珠洲たの通信・2013年3月号

2012年度

どうもこの2012から13年度の頃に,サークル通信の発行が滞っていたようです。2012年度は,わたしが,年度途中から6年生のクラスを担任することになる,という,わたしにとって初めての体験がありました。このときは,教務もやっていたのですが,それは引き続きやり,しかも担当する教科も大きくかわりました。このことについては,今月のわたしのレポートに詳しいですので,そこで少し紹介します。
そんなわけで,この通信も又,10年後の今ごろになって,発行しています。その分,わたしのなかではしっかり復習ができるので,得をしているんですけれどもね。

今月の参加者  M.S K.H K.K M.N M.O

今月の本棚

今月の資料 

1 「風のようにおもむくままに・2013年3月号」 B5 4ぺ  M.S
話題1 パクパク人形
 先月紹介してくれた牛乳パックで作るパクパク人形を,子どもたちと作ってみただそうです。当時は,まだ,『たのしい授業』や『ものづくりハンドブック』等に掲載されていませんでした。その後発行された『たのしい授業・2020年12月号』(仮説社)には発展編も含めて「パクパク人形(タイトルは「牛乳パックでパックパク人形」)」の作り方が載っています。
 せっかくなので,ここに,当時Sさんが書いてきた作り方をあげておきます。

1 牛乳パックを切り開く
 ・牛乳パックの三角の部分を切り取る。
 ・四隅のうち対角線上1組を切り込む。
 ・底を半分に織り込む。
2 切り取った色画用紙(からだの部分になる)を貼り,いらない部分を切る
3 そのほかの部分を切って貼ってできあがり

 ん~,これだけの説明じゃ,これを読んだ人はちょっと分かりにくいですね(^^;) 
 もちろん,2年生の子どもたち相手だったので,丁寧に説明し,演示しながらのものづくりだったようです。工夫したのは,からだの部分を切り取る時の型紙を用意したこと。これで,頭の部分と胴体の部分の大きさが束縛されて丁寧な人形になりました。
 先生の見本や友だちの作品を見ながら恐る恐る1体目を作り上げた子どもたちは,その経験を活かしていろいろと自分なりの工夫を凝らして2体目を作っていたそうです。
作った人形には,おきまりのように名前をつけて,腹話術ではありませんが,お人形ごっこのスタート。そして今回は,自分たちも大好きかくれんぼをパクパク人形でさせて遊んでいました。この遊びは,ほとんど二週間ほど続きました。(レポ,2ぺ)
 子どもたちの感想を2つ紹介します。
・ペンギンの足を作るのと口はむずかしかったです。目をつけて口を赤でぬったら,かわいくなりました。みんなであそんでぼくの作った名前は,りゅうのすけで,みんながりゅうって言っていました。(拓)
・わたしは,うさぎを作りました。一番むずかしかったのは,にんじんとアイスクリームです。名前はうさこです。ニックネームは,ふーちゃんです。かくれんぼやおにごっこ楽しかったです。とくいなことは,たかくジャンプです。(陽)
 
 このあと,ビー玉万華鏡もつくったそうです。掃除に来ている高学年の子から「先生って図工の先生なんでしょ」と言われているとか。ものづくりのあとの教室の雰囲気を感じているんでしょうね。「S先生=楽しいものづくり」という図式がこの小学校にできあがっているようです。
話題2 親へのアドバイス
 遠くに住んでいる友だちから,「担任の先生と息子を含むクラスの子どもたちとがうまくいっていない」という話を聞かされたSさん。その友だちは「担任の先生に数回電話をしたことがあるだが,先生の言うことと息子の言うことが違うらしい。そこで,先生のところに行ってきたいのだが,なにか,気をつけるようなこと,アドバイスはあるか」というわけです。見ず知らずの子どもと,見ず知らずの学校の先生,そして保護者が,うまく話し合うためのアドバイスなんて,Sさんにできるのでしょうか。
 Sさんは,いろいろと考えた末,次のようにアドバイスしたと書いています。
私は最後は,「小学校生活の残り1ヶ月を楽しく過ごせるようになればいいということに落ちつけばいいね」と言いました。伝えながらもこれは難しいなと思いました。(3ぺ)
 その後,その彼女は,なんと他のママたちも同伴で行くことになってしまい,結果,担任への糾弾会!のようになってしまったそうです。それでも最後は,大人同士の話になったそうですが…。こういうのを見せられた未成年者って,これから教員や大人に対してどんな風な考え方をしていくのでしょうかね。ちょっと心配です。
話題3 二度目の3.11
 忘れてはならない日。あの大災害から2年目となり,気持ちを新たにしたSさん。学校でも全校投稿があって,黙祷もしたそうです。(2023年,あれから10年がたち,今じゃ,「もはや震災後ではない」とばかりに,原発推進計画が大手を振って歩いているのが,わが国日本の姿です。ああ無情) Sさんは,教室でも低学年に分かるような解説を入れて「3.11の出来事」を紹介しました。大切だね。
・わたしは,もくとうの時,まだ家に帰ってない人を帰させてあげてくださいと言いました。わたしは学校から帰るとちゅうに大きな地しんが起きたら,ランドセルをかづいたまま走って車ざかにのぼろうと思いました。(咲)
 震災関連の本も読んだそうです。
○池上正樹著『あのとき,大川小学校で,何がおきたのか』(青志社)
 読めば読むほど,行政側に誠意が見られないと言われても仕方ないと思えるし,学校というのは,子どもたちの命を預かっているんだと再認識させられました。…ただ読むのが辛くなりました。(Sさん)
○石井光太著『津波の墓標』(岩間書店)
 Sさんが紹介している石井さんの言葉を孫引きしておきます。

 これほどまで惨たらしい光景を目にするのは初めてだった。たとえば紛争地に赴いても人間の行う破壊には限界があるし、様々ところで人間この人情を垣間見ることができる。建物は焼かれても墓地は無事に残っていたり,大人は殺されても女子供は腕を切られるだけで済んだりするのだ。
 だが,津波による被害は,一切の感情を介さない。海沿いにあるものを何もかも押し倒し,引き抜き,叩きつける。津波が襲った後には,路傍の花さえ引きちぎられ,ヘドロをあびせられる。その徹底した破壊の跡に底知れぬ恐怖を覚えた。

石井光太著『津波の墓標』18ぺ,孫引き

2 「すずたのレポート・2013年3月号」 A4 1ぺ  M.N
 2年連続6年生を担任したNさん。もうすぐ卒業式を迎えます。2年目ともなると,学校のリズムも分かるので,有を持って卒業式を迎えられるようです。
 卒業式を迎えた子どもたちに,道徳プラン「先生たちの進路決定は?」をしました。これは,中一夫さんが作られたプランで,中学校でもよく授業にかけられているようです。自校の先生方の「子どもの頃の夢」も出てくるので,あまり肩肘張らないで「今思っている自分の夢」について考えを広げられたようです。
 以下,子どもたちの感想です。
・私はまだ,本格的な夢がないので少し残念です。でも,一回でいいのでパン屋さん,花屋さん,ケーキ屋,アイス屋で働いてみたいです。レジ打ちもしてみたいです。(M)
・話を聞いて,将来の夢は成長していくと変わっていくけど,自分がちゃんと決めた職業をめざしてがんばっていきたいと思いました。(T)
・先生たちも,最初から先生になりたいと思っている人が少なくてビックリしました。(M)

 大人の本音をちょっと聞かせてあげるだけで,子どもたちの心も少し楽になるし,素直にもなるんでしょうね。子どもと学校の先生たちの距離が縮まるとてもプランです。

3 「Kメモ・130222」 A4 2ぺ  K.K
 Kさんが,鹿島少年自然の家に修行にいった話をまとめてきました。今回は「ピザの作り方」を習ってきたようで,そのレシピを持ってきてくれました。いつものイラスト入り手書きではなくワープロでしたが…。
 ピザづくりと言えば,最近,学年PTAの親子のつどいなどで「ピザ作り体験」をすることも多くなりましたね。こんな珠洲市にもピザ屋さんができているし,時代は変わっていくんですなあ。

4 「MY BOOK・2013年3月号」 B5 1ぺ  K.H
 今月紹介してくれたのは,次の3冊。
○板倉聖宣著『仮説実験授業のABC』(仮説社,2011)
○片田敏孝著『命を守る教育』(PHP研究所,2012)
○板倉聖宣著『大きすぎて見えない地球,小さすぎて見えない原子』(仮説社,2005)

 第4版の『ABC』が出たのは2004年。あれから新しくできた授業書などを追加して第5版がでました。これから仮説実験授業を始めてみたいと思っている殻は,一番新しい版を手に入れて,「授業運営法」を読んでから授業をしてみてください。
 まだ,片田さんの著書は,Sさん同様,3.11という記念日に因んで読んだそうです。津波避難三原則①想定にとらわれるな ②その状況において最善を尽くせ ③率先避難者たれ … これはしっかり子どもたちに伝えたいことです。
 最後の板倉さんの本は,1975年,太郎次郎社から出ていた『科学新入門・科学の学び方教え方』の前半部分をまとめたものです。後半部分は,迷信・超能力などの話で,これも,新版が出ています(『』)ので,合わせて読んでみてはいかがですか。
 わたしは,1975年発行の本を大学時代に読んで,とても感動したことを覚えています。

5 「ブログ的気楽レポ・2013年3月号」 A5 8ぺ  M.O
 資料を書いたのはやっと卒業生を送り出せたな…という気分になっていた頃です。この通信の前書きにも少し触れましたが,今年度は2学期途中から6年担任が産休に入ったために,急遽わたしがその学級担任を務めました。その際,これまで担当していた教科もすべて一度解消し,わたしは元女性担任が担当していたの授業をもつことになりました。このレポートの最後に,わたしは次のように愚痴っています。
今回も担任をしたのですが,私が自分の教室の子どもたちに教えたのは,国語,算数(少人数),家庭,音楽,道徳,学活,総合的な学習だけでした。これまで自分が力を入れてきた,理科や社会,図工や体育はなしです。よくこれで5か月持ったなと思います。それでも,音楽の思い出には,「バンジーチャイムがおもしろかった」と書いている男の子もいました。たのしい授業は,しっかり伝わっていきます。それを信じて,また来年度,新しい出会いを楽しみたいと思います。(レポ,8ぺ)
 厳しいなかでも,前向きな発言をしています。エライなあ,おれ。ところで,なぜ,新しく来た臨任講師ではなく,わたしが担当したのかは,ご想像通りです。
話題1 飯田高等学校出前授業
 どこから話が来たのかはハッキリ覚えていないのですが,飯田高校の理科担当教員が全員来て,6年生の子どもたち相手に,いくつかの科学実験を見せてもらいました。内容についての希望も聞いてくれるということだったので,液体窒素による低温実験をお願いしたら,それを含めての講座となりました。
 液体窒素以外には,浮沈子づくり,時計反応なども準備してくれて,子どもたちは大変満足そうでした。
 わたしは常に「科学の原理・原則を扱う仮説実験授業」を大切にしてきたのですが,たまには,理屈はよく分からないけれども,あっと驚く現象を見ることができるという体験もいいのではないかと思います。少なくとも,科学に対する関心を高めてくれることでしょう。
話題2 道徳・学習発表会
 道徳で〈うさぎとかめ〉〈鉄塔を登る男〉をやってみたという話。〈うさぎとかめ〉は,6年を担任した時のわたしの定番教材です。今回は,進学先である中学校の先生方が小学校の授業参観に来た際(いわゆる小中連絡会の会場が本校であったというわけ)の授業として公開しました。
 子どもたちの感想です。加藤締三さんの意見に対して賛成の人○,反対の人●です。
○うさぎとかめの話を始めて聞いたときは,絶対にかめが負けると思っていたので,「かめが勝てたのはうさぎのおかげだ」という文は本当にそうだと思いました。うさぎとかめを聞くときは,かめは水にいることを忘れていたので,本当にいいところを忘れていると思いました。
○賛同します。自分もカメみたいになっている時があったような気がするなあと思った。カメの方から勝負をしかけたというのを初めて知ったような気がする。
●こういうときカメは意地をはった方がいいと思う。すぐに負けを認めると,なんかかっこ悪いと思う。

 先生が持ってきた読み物だからと,賛成ばかりにはなるのは怖い授業です。その点,この〈うさぎとかめ〉は,賛成意見,反対意見が出てきて,なかなか中身のある授業になります。本サイトでもプランを紹介してありますので,ご自分のクラスでも授業にかけてみませんか。
 また卒業を祝う会で,6年生は「いじめを許さない」というテーマの劇「ピンク・シャツ・デー」を披露しました。最後の場面では保護者にも登場してもらい,「いじめは絶対許さない」というメッセージを強く前面に出した劇となりました。この劇については,すべてといっていいほど,もう一人の6年担任にお任せしました。得意な人がいるのなら,任せればいいんです。
話題3 旧松波城庭園シンポジウム
 松波にあったという松波城址(枯山水庭園)の発掘調査見学とそのシンポジウムに参加してきました。もちろん,自主的に…です。この松波城址へは,小さい頃,よく遊びに行きました。松波城址には,国鉄能登線の線路の上を通る歩道橋があり,その歩道橋の上から下を走る汽車を見るのが好きでした。家から4㎞ほど離れているんですが,お袋が松波小学校に勤めていたこともあり,よく,この城址公園には遊びにいったんです。なつかしいなあ。
 松波城址には貴重な枯山水庭園があったそうです。このときの見学及びシンポジウムの様子は,わたしのブログ「世の中まとめて好奇心」に書いてあります(2013年3月2日と3日)。
話題4 片田敏孝生のいのちを守る特別授業 第三回
 NHKEテレで放映された番組の紹介です。録画してあるので見たい方はおっしゃってね。
 わたしは,3.11を同時代に見たものとして,地震大国日本での原発は絶対反対していこうと,改めて思いました。防災,減災を考えるならば,それは当然のことだと思うのです。危険なものを作っておいて,地震に耐えられるように準備しようというのは本末転倒ではないでしょうか。原発さえなければ,起きない事故はいっぱいあります。よく原発事故の確率を飛行機の事故の確率と比較する人がいますが,自分で選んで乗っている飛行機事故と,そこに住んでいるだけで巻き込まれるかも知れない原発事故(しかも広範囲・長期間にわたる)とは性質がまったく違います。

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