いきなりの大雪,ビックリしましたね。庭や山の木々が,昨年の大雪のとき以上に折れているのもありました。海岸地方のぼた雪は,重くて要注意ですね。わたしの家の畑のドーム(白菜やキャベツの苗を覆っているトンネル)もぺしゃんこだし,雪釣りをしなかった庭木も枝が相当折れています。あーあ。ネギは,やっと顔を出してきましたが,大根などはまだ雪の下です。
さて,今年も残すところ数日となりました。年末といっても,働いている人たちにとっては年度末の方が区切りですからね。でも,そこは数え年の伝統もある日本なので,正月は正月でなにかの区切りを見つけたいなと思っています。
今月のサークルが終わってからは,バラの資料を探しながら,読みながら,当時発行できなかった「珠洲たの通信」をまとめていました。これは概ね終了しています(えらい!)。11月号のまえがきに書いた目標が,達成されたってことです。このあと,やる気があったら,もっと古い「珠洲たの通信」をデジタル化してここに掲載するかも知れません。
とにかく,この冬休みは,学校現場を客観的に見るための本などを読んで,じっくりと英気を養ってください。『たのしい授業・2023年12月号』には,そんな記事がたくさんありましたね。
例会の参加者 N.T W.T S.Ma S.Mi O.M & H.H(忘年会より)
今月の写真
今月の資料
1 「長かった2学期も終わる」 B5 4ぺ S.Mi
話題1 変化,成長する子どもたち
学校帰りに買い物にいこうと店に寄ろうとしたSさんに,昨年の卒業生が声をかけてくれました。その子は,当時,学校完全否定していたマサヤ(仮名)だったそうです。Sさんが行こうとしていたお店は閉店間際だったので,マサヤの話をじっくり聞けず「ゆっくり聞けなくてごめんね」と言ったら,マサヤは一言「おれ,先生に年賀状書くから」と笑顔で答えてくれたといいます。なんと素敵な出会いではないでしょうか。まさに教師冥利に尽きるお話です。
また,今,担任しているサトシも,じっくりと,確実に変化していているようです。毎日会っているだけに,ある日気づいたらずいぶんと変わってきたなと思う…そんな感じかな。
何が変わったのかというと,「宿題などの直しを嫌がらなくなった」「配布物を隣に渡せるようになった」「授業中ノートを書くようになった」「朝の会に参加できるようになった」…まだまだあるそうです。Sさん以外の人から見たら,イラッとするようなこともあるようですが,やはり,成長しているんです。
このように子どもたちが変化,成長していく姿はなぜ起きてくるのか。Sさんは,昨年のマサヤと今年のサトシとの自分の付き合い方の共通点について考えています。マサヤは小6,サトシは小2,発達段階も違うのですが,Sさんの指導方針としてハッキリ言えるのは「駄目なことは教えるけれども,怒らない」ということです。昨年も今年も,クラスの周りの子どもたちは「先生,なんで怒らないの?」と聞いてくるそうです。これは裏を返せば「これまでは,どの先生も怒ってきたよ」ということを教えてくれているわけです。そこでSさんは,クラスの子に言います。「今まで怒られてきたのに,この状態でしょ。だから怒ったってよくならない。だから怒らないよ」と答えるのだそうです。これまで何年もかけて「怒っても変わらない」という実験結果が出ているのだから,別の対策法で迫るということですね。
話題2 《ふしぎな石 じしゃく》終わる
二つ目の話題は,授業実践の報告です。生活科で,仮説実験授業の授業書をやっているSさん。2学期の締めくくりは,磁石に関する授業書をやったそうです。子どもたちからは,もちろん,いい評価をもらいました。子どもの感想を3つ紹介します。
・じっけんはこんなにたのしいんだなって思いました。
・すなからさてつがでてきておもしろくなって,何時間でもしたくなりました。
・磁石のしまの話がおもしろかった。
最後の感想を書いた子は,「じしゃく」という漢字を使いたくて書いたそうです。たのしい授業の相乗効果というやつですね。漢字まで覚えたくなってしまうんです。
話題3 九九・ものづくり
2年生の算数と言えば「かけ算九九」。今年,準備したものを教えてくれました。九九修行カード,九九練習プリント,九九早読み俵,お団子九九かるた,黒板掲示用タイル(上写真2枚目)などです。「九九を覚える」という作業が単調にならないように,たのしく何度も(いつのまにか)繰り返されるように準備したそうです。特に「黒板掲示用タイル」は,「九九の世界が四角形の面積なんだ」と印象づけることになったそうです。高学年になると,これが生きてきますからね。
2学期の残りの時間には,たくさんものづくりを準備しているようです。すでに「傘袋ケット」を作って飛ばした様子は「学級だより」に紹介されています。校長先生も巻き込んで,たのしい時間を過ごしたようです。
・校長先生がみんなのふくろロケットをとばして,ぼくはうれしかったです。
・とても高くとんでうれしかったです。たのしくて,とてもあせをかきました。またみんなで,ふくろロケットであそびたいです。
クリスマス前には「スノーマンとだんだんツリー」(上写真3枚目)を作る予定。「スノーマン」は本サイト「発泡スチロール球で作るスノーマン」を,「だんだんツリー」の作り方は『たのしい授業プラン図工・美術2』(仮説社)を参照してください。
2 「喃々レポ・2023年12月号」 A5 8ぺ O.M
先々月に「凡事徹底」についてレポートした際に少し触れた80年代の管理教育についての本を読んだので,そこから当時の様子が分かる部分を抜き出して紹介しました。その抜き出してきた部分は,今の教育現場の姿と重なる部分がありそうです。紹介した著書は,以下の3冊。
・宇治芳雄著『禁断の教育』(汐文社,1981)
・鎌田慧著『教育工場の子どもたち』(岩波書店,1984)
・かんかん編集委員会編『かんかん・創刊号』(ユニテ,1984)
いずれの本も,わたしが教師になった頃に手に入れたもので,当時,東の千葉・西の愛知として有名だった管理教育の姿を暴露した本です。40年ぶりに手に取ってみて,これらの本に書かれていることは,決して昔話ではないなと思いました。
例えば,教師への管理が強まっているとして,「週案の強制」「学級通信の検閲」「職員会議は伝達機関」を上げている文章がありましたが,これらはすべて,今の石川県下の教育界の姿となっています(それはそのまま教員採用試験の競争率低下にも一役買っているのです)。(なお,3冊の本のレビューについては,管理人のブクログをご覧下さい)。
3 東京へ行ってきました 口頭 N.T
初めて,のと里山空港から羽田便に乗り,東京へ行ってきたそうです。思ったよりも早く着いたので,ビックリしたそうです。飛行機に乗っている間も空から地上を見て「地図通りだ!」とビックリしたり,「ここは川が蛇行している」「山脈がすごい」などと感動していたら,すぐに東京に着いたそうです。そりゃそうだ。あっという間だもんね。
その後,仮説社を訪問したり,少し東京観光もしたり。翌日は,今回の出張の目的である「学校訪問(授業参観)」をしてきました。
訪問先では理科の授業を見たのですが,理科室の環境が自分のやっていることに近かったり,教材の捉え方や子どもへの提示の仕方も,自分の方向性とあっているような先生の授業だったらしく,とても有意義だったと話してくれました。
その一方で,一緒に行った県内の先生方が,依然として「めあてとまとめとの整合性が…」とか言っていて,とても違和感があったそうです。「出張費をもらって東京くんだりに来てまで,その話しかないの?」「もっとこの先生から理科の授業について学びたいことはないの」と感じたそうです。そりゃそうだ。
どこでどんな授業を見ようが「めあてとまとめが…」という人たちは,授業を見るときの視点としてそれが一番大切だと思っているし,もしかしたらそれしか知らないのかも知れません。指導案を見たときにも,その部分だけ見る。だから,全体の授業展開がどうだとか,資料の提示の仕方で子どもたちの認識の進み方がどうだとか…ということは,てんで頭にはない。たぶん,そういう教材解釈的・教材工夫的な部分については最初から〈教科書通りやるしかない〉と思っているのでしょう。そんな〈もの〉しかもっていない彼らが「何か質問を」と言われても,「今日のお授業のめあてとまとめがずれているような」とか「子どもたちから課題を出した方がいいのではないか」とか「まとめも子どもの言葉でまとめるのがいい」なとどいう,どの教科でもあてはまる流行(はやり)言葉(現行学習指導要領の言葉)しか言えないのだと思います。こんな人たちが教科リーダーというのですから…あとは書きません(^^;)
以前,わたしが勤務校の発表会で社会科の授業公開をしたときの授業整理会で,ある指導主事が「一番大切なことは…」と前置きして話をしました。彼はなんと言ったか…。それは「一番大切なことは指導要領をしっかり読むことです」と言っただけだったんです。これは別に当日のわたしの授業のことを言っているわけではなくて,全体的な話として出したのですが…。この研究会が終わった後で,当時のK校長と「あれはないな。ずっこけたよ」「指導主事ならもっと勉強してこいよ」と思いを共有していたことを思い出します。「一番大切なことは指導要領を読むこと」という発想からは「指導要領が変わったらそれに合わせる」と言っているようなもので,それは昔の「神国日本」と何も変わらない発想です。このあたりのことは,『たのしい授業・2023年12月号』(仮説社)でも,次のように述べている方がいます。
ずいぶん昔,「指導案検討」で若い人の指導案にケチをつけているとしか思えないようなことを言うベテランの先生がいました。流れは忘れてしまいましたが,そのあとこんなやりとりがありました。
郡進「教師の仕事ってなんだろう?」『たのしい授業・2023年12月号』(仮説社),76ぺ
ボクがベテランの先生に「そういうことは,どうして言えるのですか」と聞くと,「学習指導要領に書いてあります」とシラッと言ったのです。そこでボクが続けて,「あなたは,学習指導要領が変わったら,その考えを変えるんですか』と聞くと,そんなの当然です,という顔で「そうです!」と言ったのです。予想外の答えに唖然とするボクに向かって,その先生は「もっと学習指導要領を勉強してください」と言い放ちました。
体験コーナー
ものづくり
ビー玉星人?(詳しい名前は不明) 紹介 S.Mi
紹介してくれたSさんも,何度もクラスでやってことがあるというNさんも,正式な名前は知りませんでした。あのな検索(『たのしい授業』の記事検索)でも,Googleの普通の検索でも,「ビー玉星人」では,出てきませんでした。もっと他の名前で呼ばれているのかも知れません。
作り方は超簡単。机の上にビー玉を置いて,そこにアルミカップを被せ,4本指で軽く押さえるだけです。これで,頭だけが飛び出た銀色のマントを纏ったビー玉星人のできあがり。
平らな机や床の上で軽く押してやると,スーッと走って行きます。ちょっと止まりやすいなと思ったら,少しアルミホイルの外側を上げてあげると良いでしょう。ビー玉だけを転がすときとは違い,どうしてもアルミホイルが床に接するので,移動距離は結構短いです。
サークルでは,この「ビー玉だけよりも止まりやすい」という性質を利用して,カーリングのようなことができないかという話も出ました。あるラインを決めておいて,そのラインに一番近い人が勝ちみたいなやり方です。
作るのにほとんど時間がかからないビー玉星人。テストの空いた時間などにどうでしょうか。
なお,正式な名前や出典などが分かったら教えてください。
フイルムケースゴマ 紹介 O.M
『ものづくりハンドブック6』(仮説社,2002)と『青少年のための科学の祭典(2005全国大会)実験解説集』(日本科学技術振興財団,2005)を参考にした「プラン体験兼ものづくり」を行いました。
『ものハン』には,「〈ダブルフィルムケース〉をまわそう」というちょっとしたプランになっているので,まず,そのプランの一部を体験してもらいました。
・フィルムケースを1つだけ回す。どうやって回す?
・フィルムケースを2つ合体させて,回す。
・一方にシールを貼って回す。
・両方にシールを貼って回す。
・一方のシールを2つ(上下)貼って回す。
今回は,これくらい遊んだところで,このダブルフィルムケースを使って作る「地球と月」「太陽系」のコマを紹介しました。このネタは『実験解説集』で田崎美枝子氏が紹介していたものです。今回は作り方だけ紹介しました。
材料や作り方については,以下のサイトに詳しいですので,ご覧下さい。
→ フィルムケースゴマを作ってみた
授業プラン〈月はどこに見える?〉体験…忘年会で
先々月のサークルに参加してくださった村西さんが作られた授業プラン〈月はどこに見える?〉を体験しました。このプランをやることになったきっかけは,サークルの帰り,空の月を見て話題になったからです。
村西さんからは,授業プランと同時に演示用プレゼンも送られてきたので,今回は,そのプレゼン画面を見ながら,みんなでたのしみました。
場所は,なんと忘年会会場のお寿司屋さん。下の写真のテーブルの上を見ると,それが感じられるでしょう。約1時間くらい,たのしみました。太陽と似ている部分があるのかないのか,ここには詳しくは書きませんが,とても刺激的なお話でした。1年間の太陽の南中高度のことが分かっている人向けです。もっとも,それを知らなくても最初に少し解説があるので,分かるかも知れませんが…。
作成者の村西さんがあとがきで「入江洋一さん(広島)の授業書案〈太
陽と地球〉に出てくる太陽と地球の図(公転軌道をななめにした図)に月の軌道
を書き入れてみました(18ページの図)。すると,すっきりと理解ができるよ
うになりました」と書いているように,一見ややこしく感じる月の南中高度は,この図があってこそだと思います。
今年1年も,もうすぐ終わりです。まえがきにも書きましたが,現役の方々は「年度」が基本なのですが,ここは,やっぱりある区切りと考えておきましょう。どうか,3学期には,やり残した課題をこなすだけではなく,たのしい学習もあることを伝えてあげたいですね。いい共通体験をいっぱい作ってください。
では,来年もよろしくお願いします。
コメント