珠洲たの通信・2023年6月号

2023年度

 沖縄の梅雨明けが宣言されてから,北陸では本格的な梅雨に入った感じですね。長雨が続く前にジャガイモを掘ろうと思ったのですが,まだ木が青く,もったいなく感じて,4分の1ほど掘っただけで残してあります。来週にでも3日間くらい晴れの日が続いたら,堀り上げたいと思っているのですが。
 さて,6月の予定カレンダーに何も予定が書かれていない日を数えてみたら,土日も含めて10日間でした。だから20日間は何らかの対外的な用事で外に出ていることになります。もちろん,一日中という日は少ないのですがね。なかなか忙しい毎日です。

例会の参加者   N.T  W.T  S.Mi  O.M

今月の写真(詳細は下の記事を読んでね)

今月の資料

1 「楽しさは子どもたちと一緒に」 B5 4ぺ  S.Mi
 昨年担任した〈学校なんてクソや少年〉との再会。心温まるお話でした。子どもの成長を感じられるって,教師冥利に尽きるというものです。
話題1 《空気と水》終わる!
 運動会の練習の合間を縫いながら行ってきた仮説実験授業《空気と水》が終わりました。今回は,子どもたちの授業の評価と感想を持ってきてくれました。子どもの感想は,一部漢字に変換してあります。

・空気と水は,賢くなるやつやスポイトジュースのことが楽しいことをしてすごく幸せでした。もうちょっとしたかったけど,終わっちゃった。でも,すごくすごく楽しかったです。まちがえたこともあったけどあたったときもあったからよかったです。
・とても楽しかった。いろんなことをして楽しかった。おもしろかった。まちがえたけど楽しかった。勉強になったからメガ楽しかった楽しかった。けど面白かった。一番面白かった。

どうです,このまとまらない文章表現。こういうのを読むと,ホントに楽しかったんだろうな,学んだんだろうな,まだやりたいと思っているんだろうな…って思うのです。主語と述語がしっかりしていて,辻褄が合っていて…というような文章より,こっちの方が子どもの本音がドバッと出ていて好きだなあ。だってまだ2年生だもんね。自分の感想をうまくまとめられるはずがない。
 この授業,支援員の先生も教育実習の学生もたのしんでいたようです。「たのしく学べる内容がある」ということが広がって欲しいですね。
話題2 オオトカゲを楽しむ
 新聞紙7枚で作るオオトカゲに取り組んだという報告でした。できたオオトカゲを見ると,このつくりかたが紹介された時よりも,トカゲの飾り付けがずいぶん進化しているのが分かります。このオオトカゲの出典は『たのしい授業・2009年6月号』(仮説社)ですが,元々は,木内勝著『工作図鑑』(福音館書店,1988)という本らしいです。念のため。
 わたしがやったときは,できたトカゲに目玉,舌をつけ,せいぜいがマジックで新聞紙にもようを書いただけでした。が,この2年生が作ったのを見ると,ウロコまでついていて,たいへん工夫されています。
 Sさんは,子どもに配布した学級通信も持ってきてくれました。そこには,楽しそうに飾り付けをしている場面や,トカゲ会議を開いている場面の写真などがありました。それらの写真にはSさんの次のようなコメントが載せられていました。
みんなへ 大とかげづくり,めちゃくちゃたのしかったね。名前をつけて,たいいくかんまでさんぽにつれていった人もいたり,たんじょう日まできめていたり,うちにつれてかえったらそだてます!と言われたりして,ホントみんなの考えにおどろかされます(^O^)!
 また,子どもたちの感想も紹介してくれました,

・ぼくはずこうで大トカゲをつくりました。とてもくふうしました。
・くふうしたのはうろこの色をかえたところです。目にまつげを書いたところがたいへんだった。
・わたしのつくった大とかげの名前は,モカって言う名前です。くふうしたところはうろこです。
・たのしかったです。くふうしたところは,てんしのはねをイメージしたところです。名前はさくらです。かわいいと思ったからです。

 後日談。ある子が,家に帰ってから,新聞紙を半分にして作った「大トカゲの子ども」を作ってきたそうです。すごいですね。Sさんはそれに触発されて,さらに半分にした「大トカゲの孫」を作って来てくれました(写真)。可愛いですねえ。
 さらなる後日談。サークルでこの作り方を知ったNさんが家庭に帰って娘に教えたところ,さっそく,作ったそうです。たのしい授業の輪が広がりますね。
話題3 教育実習生受け入れ
 この歳になって…と思いながら引き受けた教育実習生。彼は,数年前,中学校で生徒として3年間一緒に過ごした若者だそうです。
 実習生の最後の言葉を聞いて,ホッとするSさんでした。
「本当に楽しかった4週間でした。まあ,途中心折れそうになることもいっぱいあったけど,なんとか終わりました。それに絶対に先生になりたいです。」

2 「Twinkle star 認められつつ…」 A4 2ぺ  N.T
 「たのしいこと(ものづくりや仮説実験授業)をやっても文句を言われない程度に校務分掌にもしっかり取り組もう」と思ってやって来たはずなのに,ふと自分が置かれた現状を見回すと,上からも下からも頼られ期待されるような立場になってきて,かえって自分の好きなことができなくなってきたような気がする…というNさん。期待されるのはうれしいし,認められているような気もしてきます。それが,次へのモチベーションの一つであることも間違いないでしょう。
 しかし「他人が描いてくれる夢の恐ろしさ」という言葉もあります(あったと思います…自信がない…)。まずは,自分のやりたいことを優先する。そのために,妥協できるところは妥協するーくらいの付き合い方ができればいいですね。
 どのような生き方を選んでいくのか。それは自分自身で決めること。「誰かに期待されて頼まれた仕事は絶対に断らないこと」という処世術もありますから。ただ,わたし自身のことを振り返ると,いろいろと求められたことに対しては取捨選択してきたような気がします。結果として,それは,たのしい授業を保障してくれる道でした。
話題1 「楽しい」を少しずつ
 隣のクラスでも「漢字マッキーノ」を始めたそうです。Nさんが楽しそうに「漢字マッキーノ」をやっている姿に興味を持ってくれたようです。ぜひ,仮説社の本も紹介して欲しいです。たのしい授業が広がって,たのしい学校になるといいですね。
 やっぱり,若者から頼られるのは,もう仕方ありませんね。大きなフィギュア(写真)なんかも気前よく貸し出しているようです。
話題2 原子の力
 文字通り読むと「原子力」となってしまいますが…。
 中学生になった教え子の保護者との会話を紹介してくれました。その中学生が母親に「中学校で原子の勉強が始まって,周りの子はよくわからずキョトンとしているけど,ぼくたち・・は小学校でやったからすごく分かる」と言っていたそうです。「ぼくたち」というのは,同じ小学校を出た同級生たちという意味でしょうね。小学校で仮説実験授業《もしも原子が見えたなら》を習った子どもたちにとって,原子・分子には「たのしい印象」しかありません。それが教科書に出てくるのですから,「おお~,やっと出てきたぞ。次はなんという原子だ? 分子だ?」と,前のめりになって学ぶことでしょう。また中学校の体育祭を見に行ったNさんを見つけた何人もの教え子が「原子の勉強始まりました!」と言いに来たとも。
原子の考え方は,いろいろなことを考える時の基本になるということも,授業をしたり,他の授業を見たりしてより強く感じてきました。教科書にある・ないではなく,大事な考え方であることを伝えていきたいと思います。(レポより)
 レポートの裏面には,現在担任している子どもたちが自由勉強ノートに書いてきた「原子・分子」の自学の様子が紹介されていました。
 これぞ,ホントの「原子力!」ですね。
話題3 ある小学校の発表会に参加して
 富山県にある富山市立堀川小学校の発表会に参加してきたそうです。この学校は「個」を大切にする学校ということで,研究をまとめた本『個の学びと教育』(明治図書)も紹介してくれました。なるほど,こんな風に個人に焦点を当てて,その変化を追っかけるのか~,と,少しだけ取り組みが分かったような気になりました。堀川小の学校研究はとても長い間続いているようです。
 ちゃんと流れを紹介しようと思って学校のHPを覗いてみました。がしかし,そこには研究について何も載っていませんでした。そこで別のサイトから,今年度発表会一次案内の「イベント詳細」(https://www.kokuchpro.com/event/4c71206da1e20007445b98908e1b9b2a/)を引用しておきます。

本校は、実践主標「個が育つ教育経営」の理念のもと、子どもがつくる学校を目指して教育実践を積み重ね、今年度第94回の研究会を開催します。
今年度は研究主題を「自己をひらく授業」とし、子ども一人ひとりが様々な取組を通して自己実現を図る過程で、自らの成長をみつめていく授業づくりを目指して研究を進めております。本研究会では、その一端をいただき、子どもの姿を通して学んだことを共に語り合うことができればと思います。両日とも、午後は講演会を予定しております。ぜひお越しださい。

「富山市立堀川小学校 第94回教育研究実践発表会」より

 また『個の学びと教育』(明治図書,2018)のAmazonの商品説明には,以下のような紹介文がありました。

本書では、「授業」を通して、自らの取組をみつめ、み直していく一人ひとりの子どもの存在を「個」という考え方で捉え、その子なりに自分らしく生きていこうとする子どもを大切に育てながら、更なる「主体的」な追究を生み出し、「協働的」な学びへとつなげていく富山市立堀川小学校の教育実践を紹介しています。「個の確立を目指す学校」「個の学びと単元構想」「「個の学び」を進める子どもの実際」「未来の担い手を育むESDへの取組」「「関わり」や「つながり」を尊重する教育活動」の5つの章に分け、個の意味と個の学びについて基本的な考えを示し、授業について教材選定から単元の提示、ひとり学習から集団過程に至るまでの手順と具体を詳しく説明しました。また、ユネスコスクールである本校のESDの立場と実践も紹介しています

 学校教育が目指すものは「一人ひとりの成長」であることは間違いないことでしょう。ですから,教育実践が「個」に焦点を当てるのは必然でもあります。
 問題は「個」を大切にしながらも,「集団」での授業や「全校行事」などをどう作っていくのかでしょう。
 わたしたちが研究している仮説実験授業は「授業の法則を掴む」研究ですが,決して「個」を大切にしていないわけではありません。否,むしろ,他のどんな授業よりも「個」を大切にしていると言えるのではないかと思っています。一例を挙げれば,小原茂巳著『授業を楽しむ子どもたち』(仮説社,1982)に出てくるお話なんて,「個」に注目したものが多いです。他にも斎藤裕子著『I君日記』(つばさ書房,ガリ本),平林浩著『しのぶちゃん日記』(太郎次郎社,1981)『ガラスの目』(フレーベル館,1983)なども,時代の新旧はあるけれども,仮説の実践者がいかに「個」に注目しながら日常を過ごしているのかがわかる実践記録です。むしろ〈授業の法則に則って安心して授業ができるからこそじっくりと「個」に注目できるのではないか〉と言えるのかも知れません。

今月話題になった本など

仮説社で販売

3 「喃々レポ・2023年6月号」 A5 8ぺ  O.M
話題1 奥能登国際芸術祭2023に向けて
 自宅の近くの元保育所の建物が次回芸術祭の作品展示会場に選ばれました。そこで,ずっと空き家だった保育所を掃除すべく,近所のみなさんにも声がかかり,わたしも少しだけ参加しました。で,掃除をしながら感じたことをまとめてきました。
 いろいろな指示をしてくださった係の方は,Iターンで珠洲に住んでいる若者ばかりでした。芸術祭をきっかけに珠洲を知り,そして定住してくれる…芸術祭はそんな機会にもなっているんだなと改めて思いました。
 今年の芸術祭は,作品見学だけではなく,ボランティアでも関わることになりそうです。会場の受付くらいは数日引き受けようかなって話も,神さんとしています。
話題2 GTとして参加して思ったこと
 地元の中学校1年道徳のGTとして参加してきました。「自然愛護」がテーマで,わたしがNPOの会員として行動しているということで声がかかりました。そして,その立場で少しだけ話をしてきました。
 今回は,生徒に話した内容というよりも,その話す内容をいろいろと考えている時に,つらつらと浮かんできたキーワードを元にまとめてみました。
 わたしが浮かんだ言葉は,「便利や快適を求めるというのは,自然からの影響を極力避けることである」,だから「人間が進歩すればするほど,自然と人間は別物という考え方が広まる」,そこで「学ぶ時に大切なのは,人間(個人)が自然と繋がり,社会と繋がっていることを認識することではないか」というわけです。この考え方がどこまで一般化できるのかは分かりませんが,今しばらく,頭の隅に置いておきたいと思っています。
話題3 珠洲たのサイトの話
 3つめは,最近1ヶ月間の「珠洲たのしい授業の会のサイト」訪問者の内訳などです。グーグル検索でどんな単語を使ってわたしたちのサイトに訪れているのか,なんてことまで分かったりします。へ~,ですね。
 最新の訪問者ベスト5が,HPのサイドバーに「ちょっと人気(最近1ヶ月)」として出てくるように設定してあります。それをみると,現在(2023/06/29)は,「都々逸を楽しむ」「珠洲地方の方言」「8秒間走」「百葉箱の語源を探ってみました」「3年生と「木と動物と夕焼け」となっています。なんと,都々逸が一番とは…。なにかきっかけがあったのかな。
話題4 今年の「わくわく科学教室」
 今年の夏休みの科学教室は仮説実験授業《水の表面》をもとに組み立てることにしました。なるべく子どもたちも実験できるような内容を取り入れていこうと思っています。
 その際「トレーで作った舟(アルコールで走る)」も紹介しようと思います。そこで,その実験もサークルでやってみました(写真)。今までなら,アルコールなんて一般家庭にはなかったのですが,コロナ感染対策のお陰で最近はすぐに手に入ります。この日も,公民館玄関にあった手指消毒用アルコールでも,スチロール舟はちゃんと走ってくれました。また,アルコールを染み込ませたティッシュを舟の後ろに置くことで,長時間走り続けることも分かりました。しかし,この実験を洗剤でやると水槽全体の表面張力がすぐになくなってしまい,舟も走らなくなります。「ここはアルコールでいきましょう!」ってことになりました。以上のことは『たのしい授業・2023年6月号』(仮説社)板倉聖宣・福嶋昭雄著『よじのぼる水 水の分子・赤パンツくんのぼうけん』(小峰書店,2013)を参考にしました。『たのしい授業』のタイミングのよさにはビックリです。
 また,アメンボが溺れる姿や,洗剤の働きについて説明する科学教育映画「洗剤の働き」(岩波映画,仮説社)も見ました。「この映画で,洗剤が水の表面張力を切るわけが分かった」と好評でした。

喫茶店で第2部
「授業書毎にグッズを整理して持っておきたい」とか「沖縄の授業の追試をしてみました」なんて話が若い衆から出たので,次回,わたしは家にある「台ばかり」と「沖縄に関するグッズ一式」を持ってきてあげる(譲渡する)ことを約束しました。どんなものなのかは,来月のサークルで紹介しますね。

コメント

  1. 「忘れらないご馳走」のプランありがとうございます。5年生に「赤ちゃんのひみつ」を「人のたんじょう」の前に2時間しました。もちろん、いい感想、評価をもらいました。「あゆみ」も終わった学期末なら、時間をもらえるかなと思い、このプランを探していました。助かります。

    • lemonadeさま
      コメントありがとうございます。
      本サイトの情報がお役にたてて嬉しいです。
      また,個人メールもありがとうございました。まだ現役で働いていらっしゃるとのこと,ステキですね。わたしは,60歳定年で現場とはキッパリ縁を切り,能登の自然保護に関わるNPOの活動に参加しています。
      ただし,月に1度のサークルはずっと大切にしたいと思っています。

      誰の役に立つのかわかんないけど,とにかく,自分が学んだものは,しっかりと伝えていきたいと思っています。

      今後とも,よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました