珠洲たの通信・2012年10月号

2012年度

 これまた今更ながらのレポート紹介です(2023/12/03記)。
 今のところ,残念ながら,3人のレポートしか発見できません。
 パソコンのフォトフォルダで前後の写真などを見ると,この月には,いろいろなことがあったようです。
 まず,わたしの学校でエクスプロラトリアムというのが開かれていました。エクスプロラトリアムというのは,小さな「子ども向け科学博物館」というような意味です。そういえば県内の学校を回り持ちしていたんです。輪島市の小学校からわたしの勤務校にやって来ました。準備も,運んできてくれた人(この方も仮説実験授業研究会員)とわたしがしました。確か1週間くらい学校に置いてあったと思いますが,どの学年の子どもたちも,とても喜んで科学的な玩具と触れあっていました。このときのようすをサークルで紹介したかどうかは忘れましたが,このページの最後に,そのときの写真を紹介しておきます。本ページのアイキャッチの写真も,そのときのものです(角度のある合わせ鏡)。
 また10月10日には,金沢に来た国本武春さんの浪曲を聞きに行ったようです。国本さんと一緒にとった写真もありました(小松のKさんも写っています)。国本さんは,若くして亡くなりました。残念です。

1 「風のようにおもむくままに」 B5 4ぺ  M.S
 いつものように「愚痴の前書き」からスタート。こうすることでレポートを書く意欲とリズムが出るのかも知れませんね。
話題1 《にている親子にてない親子》
 運動会終了後にはじめた仮説実験授業《にている親子にてない親子》が終わりました。子どもたちからたくさんのいい感想をもらってご機嫌のSさんです。いくつか紹介します。
・いっぱい虫やしょくぶつもいったいでさいごは親とはぐれたやつをするのが,たのしかったです(こうへい)
・だいこんやキャベツなど,親と赤ちゃんはぜんぜんちがうんだなと思いました。赤ちゃんはふたばとぜんぜんおもわなかったです。虫のほうは,とてもむずかしいのはカでした。赤ちゃんは水の中でくらすのに,おかあさんはとぶなんて,びっくりしました。でももうだいぶおぼえたからよかったです。しょくぶつと虫は,ぜんぜんちがうのもあるしいしょなのもあるけどおもしろかったです。(かいり)

 子どもの感想を読んでのSさんの一言がいいです。
こうして読んでみると,子どもたちは知りたいことがいっぱいで,何かを知ると感動して,指導案などに書かされるような半端な支援などなくてもこうやってそれぞれに学んでいるなと思ったのです。(レポ,3ぺ)
 そのとおり。仮説実験授業の授業書は,教科書兼ノート兼教師用指導書兼子ども用参考書兼支援兼発展問題なのですから。
話題2 牛乳パックコマづくり 
 夏の大会で仕入れた「牛乳パック」を使ったものづくり。1Lの牛乳パックを切り開いてコマを作るのですが,その1Lのパックの準備ができなくて,急遽,給食に配られた180mLを使ったSさん。それが功を奏し,思ったよりもコマの回転が速くなって,子どもたちも喜んだようです。
 授業の初め頃は,何ができるのか分からないまま,自分たちが飲んだあとの牛乳パックで…と,あまり元気のなかった子どもたちですが…。
あとは予想通り。少し回してみて,色を足してみて,だんだんイマジネーションが広がってきました。それに1Lパックの回転はなんだかとろかったのですが,180mLパックは,軽々とものすごい勢いで回るのです。こりゃ,喜ばないはずがありません。(レポ,3ぺ)
 最後は,記念撮影までせがまれて,楽しい思い出写真が学級通信に載ったようです。
話題3 本当の三角なのに
 算数の図形の授業でのこと。教科書に出ていた8つの図形を「2つの仲間に分ける」という課題。まだ,図形の定義をならっていない子どもたちも,一応,三角と四角に分けようとしますが…。
 子どもたちの意見が分かれたのは「台形」と「一般四角形」です。8人中6人が三角の仲間に入れたそうです。
三角派 四角のなかまは,かっくんてなっているけど,この2つはとんがっているからです。
四角派 かっくんとなっていても,これは(と言って,直角三角形を指す)三角のなかまです。かっくんは関係なくて,とんがっていても四角です。
三角派 そんなこと言ったら,本当の三角まで四角になる~(と,正三角形を指していた)

 こんな会話ができる授業は,楽しいですね。

2 「6年学級通信」 A4 2ぺ  H.H
 Hさんらしく,9月に入って出されたこの学級通信は,通算6号目。月に1号のペース。いやいや,彼らしいのは,そんな回数のことではありません。「書きたくなったら書く」「子どもに伝えたいことがふつふつと湧いてきたら書く」というスタンスでやってきているのです。
 で,今回の通信は,なんと,運動会当日の朝に配布しています。「まさにこの時に読み聞かせるからこそ意味のある通信だ」というわけです。
 内容は,前日の予行練習でのある子に日記に書かれていた文章の紹介ででした。この学校では,日常的に,全校児童が縦割り班に分かれて活動をしています。当然,運動会でも縦割り班対抗の競技があるのです。だから,勝ち負けもある。そんな中で,どの班も勝利に向けてがんばるのですが,勝つチームがあるということは同時に負けるチームもあるということです。低学年は6年生以上に勝ち負けを気にして,心ない言葉を友だちに言ってしまうこともあります。さて,あなたは,班長としてどう行動するのか。どんな目標を立てるのか。
 ここにその全文を紹介するのが一番でしょうが,それは本人の了解も取れていないので無理です。とにかく,予行練習の間,この班長の心が大きく揺れていることが分かります。この重圧ってなんだろうかと思うほどです。最後の部分を紹介します。
今日は予行練習だったけれど,全員本気だったと思うし,4位ばっかりだったけれど,みんな満足していると思うし,私的には,最高の予行練習だったと思います。これが運動会にも出来れば,『心の優勝』まちがいなしです。『最高・全力・満足の楽しい』予行練習でした。(レポ,1ぺ)
 担任のH先生は,この班長の日記の文章を受けて,運動会本番前の子どもたちに次のように呼びかけています。
人間ですから失敗はあります。でも,みんなのために,全力でがんばって失敗したのなら,それでいいじゃないですか。みんなのためにがんばってくれたというその気持ちとがんばりだけで,十分じゃないですか。たとえ優勝旗がなくとも,みんなの心の中に輝く優勝カップがあればいいのです。/今日の運動会では,どの班にも,それぞれの優勝カップが輝くことを願っています。(レポ,2ぺ)
 縦割り班活動は,単に1年生から6年生までがチームとなって行動するというものではありません。どの学年のどの子にとっても,「縦割り班を作ったからこそ学ぶことがあった」というものを目指すべきです。そんなときに,特に6年生担任の指導は欠かせません。単なる形式的になってしまった縦割り班活動のある学校は,弊害ばかりが目立ってきます。
 今一度,自分の学校の縦割り班活動が本当に意味のあるものなのかを考えてみるきっかけとして欲しいなと思う「学級通信」でした。

3 『「タイル」から「かけわり図」へ』 B5 14ぺ  尾形正宏
 学校の若い先生方向けにまとめたレポートです。わたしが数学教育協議会や仮説実験授業研究会で学んできた算数のエキスを,タイルとかけわり図を中心にまとめてみました。
 なぜ,□のタイルなのか。棒や○ではダメなのか。タイルを学ぶことで,中学年のかけ算割り算へ発展し,さらには小数分数にも力を出すことが出来ます。そして,中学校の因数分解でさえ,その効力があるのです。そのあたりを見通すことの出来る資料になったのではないかと自負しております。
 このレポートは,ダウンロードできるように本サイトでも掲載しておきました。ぜひ,学年を超えた教材研究のひとつとして読んでいただければ幸いです。 

エクスプロラトリアムと子どもたち

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