珠洲たの通信・2013年4月号

2013年度

またしても,10年後に書いています。資料に書かれているメモを見ると,次のような人たちが参加していたのではないかと思います。間違っていたら,教えてね~。

例会の参加者  M.S  K.H  M.N  M.O  M.K  T.M 

今月の本棚

今月の資料

1 「風はどこに吹くのか? 2013年4月号」 B5 4ぺ  M.S
 さてさて,大変なことになりました。Sさんが,中学校へと転勤したのです。Sさんは「なんで今更中学校へ?」と思ったのですが,そこは公僕。上の命令には従わざるを得ません。しかも,社会科教師としての異動だと聞かされていたのに,行ってみたら特別支援学級の担任となりました。なんとも,いい加減な異動騒ぎです。でも,もう,仕方ないからね。やるっきゃない。
 板倉聖宣先生の人生訓(哲学)に「どちらに転んでもシメタ」という言葉があります。さて,今回のこの異動にもシメタはあるのでしょうか。あるに決まっているんすが … 4月当初の職員会議で語られる言葉や会話にはついて行けず,あれよあれよという間に修学旅行へ。なんとも慌ただしい日々だったようです。
 シメタのひとつ。それは入学式での在校生歓迎言葉を聞けたことでした。これは生徒が自分で考えた言葉だそうです。
勉強は道を広げるために,部活動は道をふさぐ壁を乗り越えるために,友だちは新たな道を見つけてくれるためにあります。だから,中学校生活で努力すればするほど,自分の道は豊かになっていくと考えます。(レポ,3ぺ)
 確かに,勉強と部活と友だちという中学校の重大3要素が入っている言葉は,分かりやすくていいですね。この3要素は,中学校でのやりがいにもなるけれど,いったん躓くと不登校の原因にもなったりします。
 シメタのふたつめ。修学旅行の引率をした際,3年生と仲良くなれたこと。う~ん,これは修学旅行のシメタですなあ。
 なかなかシメタを見つけられないのは,部活担当のこと。
 門外漢の運動部担当になり,自分の時間だけが奪われた気持ちになっているそうです。言うまでもなく,部活動は中学校では大変大きなウエイトを占めています。それは子どもにとっても教師にとっても…です。だからこそ,門外漢であることを自認している教員にとって,この活動はとても重荷に感じるんです。わたしも中学校勤務6年間,それこそ門外漢の運動部の顧問として右往左往の日々でした。日々の授業にこそ時間を使いたいと思っている教員にとっては,拘束される放課後の時間は,とてももったいなく感じてしまいます。
 でも,もう仕方がない。ここでどのような時間の使い方を見つけるのか,どのように部活動と付き合っていくのか,早く中学校での自分のペースを掴まないと,積もり続ける不安感が「大切なやる気」にまで影響してしまいます。
 担任の子どもは3名。2年生1名,3年生3名です。副読本もないのに「道徳の時間」はあるそうです。ふつうは困ることですが,「これまで手に入れたお気に入りの道徳プランがやれるじゃないか…」と喜ぶSさん。やっと授業のシメタが見つかりましたね。

2 「尼崎たのしい授業フェスティバル&入門講座」 B5 6ぺ  M.S 
 春休み,尼崎に行ってきたそうです。
話題1 二階堂さんの講演
 まずは大好きな二階堂さんの講演に参加。演題は「ぼくの組織論」。二階堂さんは,60歳まであと数年を残して今年度で引退されるということなのですが,Sさんはその真意がどこにあるのかも知りたかったようです。
 「なぜ社会科を学ぶのか,社会科とはどういう教科なのか」そういったことを,社会科という教科の歴史的な位置づけも含めて子どもたちに呼びかける二階堂さんの話は,迫力があってとてもよかったです。「教えたいことがある」から教員としてここにいる。そんなことを堂々と言える教師って,あまりいないんじゃないでしょうか。「これを覚えておかないとテストに出るぞ」「競争に勝たないと大学に行けないぞ。就職できないぞ」というように,将来の不安をあおるような脅しで自分の担当教科を教えている中学校教員のなんと多いことか。
 講演の中で紹介された二「階堂さんの授業に対する生徒さんたちの感想」を読めば読むほど,「なぜやめてしまうのですか」と思ってしまいます(講演を聞いたSさんはもちろんのこと,その一部を本資料で読んだだけのわたしもそう思いました)。二階堂さんは,現役を退く理由を次のように述べたそうです(Sさんの資料より)。
もうくたくたになっちゃって自分のやりたいことができなくなっちゃうと,それが一番イヤなんですね。自分がいろんなことを調べたり,本を読んだりする体力,結構集中したり,やりだしたら夜も寝ずにやりたいわけですよ。で,授業が次の日にあるとダメですね。前は,そういうことを平気でやってたんですね。自分がやりたいことを持ちながら,学校の組織のやり方に適応できなくなったから,やめるということです。(二階堂さんの言葉,レポ5ぺ)
 自分の生き方は自分で決める。かっこいいなあ。
話題2 講座《おかねと社会》
 1日目は《おかねと社会》という講座に参加しました。講座の講師は二階堂さん。社会の科学の授業書は一般的な「実験」がないのですが,予想を立てて調べるのだから〈どの予想が正しいのかの実験〉はあります。この講座を受けながら,Sさんは「3年生とやってみたかったなあ」と思ったそうです。それくらいの学年でもたのしくできそうな授業書のようですね。いつか,サークルでもみんなで体験してみたいと思っているようです。どっかでやりますかね。この授業書は,単行本にもなっています(今月の本棚↑)
話題3 国語について
 2日目は,国語の講座に参加。題して「国語って何を教わる教科なの?」というテーマ。
 先に紹介した二階堂さんの社会科への思いと同様,この講師の木村千賀子さん(中学校国語教師)も,自分で「国語って何を教わる教科なのか,何を教える教科なのか」と考えてきたそうです。そしてたどり着いたのが,今回紹介された「主語と述語」という文章の基礎中の基礎から文章を読みとっていくという実践でした(Sさん曰く)。それが授業プランになっているそうです。これもまた,体験してみたいなと思うプランでした。

3 「ブログ的気楽レポ・2013年4月号」 A5 8ぺ  M.O
 この4月,1年後にサークルに通うことになるTさんが,わたしの勤務校へ初任として配属されたのでした。しかも,3年生2クラスをわたしと一緒に担任したのです。懐かしいな(何度もいうけど,この文章は2023年に書いています)。
 わたしは本校7年目となり,久しぶりに学級担任を持たせてもらいました。ただし教務もついているので,職員会の議案書なんて全部わたしが作っていました。でも,そんなのカンケーネー。担任を任されてウキウキしていることが伝わってくる資料です。
 さっそく総合の時間に,仮説実験授業ミニ授業書《たねと発芽》を実施。しかも新しく始まった理科の時間にも仮説実験授業《にている親子 にてない親子》も始めています。我ながらすごい勢いでたのしい授業をしかけているのが分かります。
 久しぶりの担任で興奮しているわたしは,「生きものいっぱいの教室にしたい」「子ども向けの本もいっぱい置きたい」「朝の連続小説も続けたい」と,次から次へとやりたいことを見つけて,教室をたのしい空間にしようとしています。我ながらたいしたもんです。さらに,図工では「なまえデザイン」,算数は「タイルで学習」と,これまたやりたいことをやっている感じです。
 今回持ってきた「学級通信・第9号」のタイトルは「3年生になって10日間」ですが,ここに,わたしはなかなかいいことを書いていますので,恥ずかしながら紹介します。

帰りの会が終わって
 昨日から,これまでのような「すべての持ち物をランドセルに入れてから,帰りの会をして,ランドセルをかついで,さよならのあいさつをする」ということをやめました。一日の授業が終わったら,配達物を配り,すぐに帰りの会をする。さよならのあいさつのあと,ランドセルを準備して各自帰ることにしたのです。
 それは,
①ランドセルを準備する時間に,個人差があって,待っている時間が長くなっている。
②配布されたお便りを確認することなく,すぐにランドセルにつっこんでいるのだが,これから学年が上がるにつれて,「今,なんのお便りをもらったのか」くらいは確認してほしい。
というのが,主な理由です。
 すると,思わぬ副産物が…。
 「さようなら」をしたあとに,ランドセルを用意するので,教室から出て行く時間は一人一人バラバラです。で,帰るときに,みんな,もう一度「せんせい,さようなら」って言ってくれるんです。これはうれしいです。ハイタッチをしていく子もいます。いやー,担任ならではの風景です。みんなで一斉にあいさつするのと,目と目を合わせて一人一人とあいさつするのとはやっぱり違いますからね。ホントのあいさつは,1対1ですよ,うん!
 ランドセルを準備させてから…の時は,「しゃべってないで早く準備しろ!」「みんな待ってるぞ!」「帰るのが遅くなるよ!」と言っていたのですが,昨日は,ランドセルを準備しながらの世間話にもつきあえるし,子どもたちのいろんなつぶやきやら話が聞けるし,こっちも「はやくしろ!」なんて言わなくていいし,なかなかいい感じです。

4 「MY BOOK・2013年4月号」 B5 2ぺ  K.H
 今月紹介してくれた本は,以下の6冊です。
○村上龍著『55歳からのハローライフ』(幻冬舎)
○板倉聖宣・村上道子編著『新総合読本1・なぞとき物語』(仮説社,1997)
○板倉聖宣・村上道子編著『新総合読本2・知恵と工夫の物語』(仮説社,1998)
○海野和男著『デジタル一眼レフで撮る四季のネイチャーフォト』(サイエンス・アイ新書,2009)
○齋藤孝著『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)
○佐々木圭一著『伝え方が9割』(ダイヤモンド社)

 板倉聖宣・村上道子編著の2冊(新総合読本シリーズ)には,短い読み物がいっぱい入っているので,いろんな授業に利用できます。『知恵と工夫…』には山田洋次監督の「勇敢な少年」(道徳プランあり),山路さんの「ぼくの進路」(これもプランがあったような),尋常小学校の教科書に載っていた「稲むらの火」(津波から住民を守った話)なども収められています。また,板倉先生が仮説実験授業を受けてきた子ども向けに書いた「たのしく学び続けるために」も載っています。これは卒業前の子どもたちにピッタリの文章です。
 あと,わたしが個人的に興味を持ったの海野(うんの)さんの本。このときの本の紹介に影響されて,のちほど海野さんの『デジタルカメラによる海野和男の昆虫撮影テクニック』(誠文堂新光社,2014年発行)を買ったくらいですから。
 Hさんは『雑談力…』は再読するかも知れないけれども,『伝え方…』はもう読まないと言っていました。ご参考までに…。

5 道徳プラン「先生方の将来の夢は?」 A5 17ぺ  M.N
 昨年度,卒業を間近に控えた6年生に対して行った授業プランを持ってきてくれました(このときの授業の感想などは本サイト「珠洲たの通信・2013年3月号」に紹介してあります)。プランの原案は,仮説実験授業研究会の中一夫さんが作られたものですが,それを自分の学校用に変更して行ったそうです。
 たとえば,第1問は「自分の小学校の先生方が,先生になると決めたのはいつでしょう。小学校から先生になると決めていた先生は何人いるでしょうか」という問題があります。結果は,棒グラフで示されます。
 プランの最後は,卒業する子どもたちへの学校職員からのメッセージです。このような授業のあとでいただく卒業生へのメッセージは,一段と心に響くものとなるでしょう。たとえば,次のような先生のメッセージは,この授業があったからコソの言葉だと思います。
わたしはどんな職業があるのか,ということを考えずに,調べずに職業を選んだ。女性は家庭を守るのがベストという昔の考えや方や,女性は教員が一番いいというような,ちょっと昔の考え方にながされていたことを反省している。しっかりと職業ややりたいことを調べて,決めてがんばって夢に向かってほしい。(○○先生)
 学校の先生方の本音までひき出す,すてきな道徳プランです。卒業生をもったらやってみたいですね。

他にも「カメラレポート2013年4月」(Hさん),「二階堂論文:日本人と仮説実験授業」(紹介:Sさん)などもありました。

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