珠洲たの通信・2013年12月号

2013年度

  2020/09/25 記

 今回はずいぶん前のレポートを探し出してきました。2013年12月です。
 手元には,わたしとSさん,Hさんのレポートしかありませんでしたので,その3つを紹介します。この日は忘年会もしたはずなので,もっと参加者がいたような気がしますがどうでしょうか。
 自分の記憶なんて全くないので,もしかしたらブログに何か書いてあるかもと思って「世の中まとめて好奇心」の過去の記事を見てみました。するとちゃんと書いてあるではありませんか。偉いねえ。2013年12月21日の日記「今月のサークル」です。

 今日は,今年最後のサークルの日でした。
 常連に加え,小松サークルの方からもNさんが参加してくれました。以前,奥能登の学校にいたこともあったのですが,その頃は,このサークルとは何の縁もありませんでした。
 Nさんが持って来てくれた,いろんな情報(とくに特別支援)は,とても興味深いものでした。特別支援の教育には,教育の原点があると思っています。まあ,遠山啓さんの受け売りですがね。
 6時からは忘年会。11時までしゃべりまくりました。
 これまで都合でこれなかったメンバーも久しぶりにあつまり,楽しいひとときを過ごしました。今回,私が紹介した,東京大学の三宅なほみさんたちが進めている「知識構成型ジグソー」の授業。来年は,ちょっとだけ取り組んでみたいなと思っています。
 でもでも,今回は,改めて,仮説実験授業のすごさを思い知らされました。詳しいことは,また,後で…。

 あー,そうか,金沢から長田さんが来た月ですね,確か。そして,あの「星のお兄さん」を教えてもらったのでした。プラネタリウムの解説ビデオも公民館か忘年会会場かで見ましたしね。 

■12月の例会の参加者(3名+2名)
 M.S(S市T小)  M.O(N町U小)  K.H(S市M中)  K.Nさん(金沢市)  忘年会より もう2人

資料の紹介

1 「風はどこに吹くのか?(12月号)」 B5  6ぺ      M.S
 当時,中学校現場にいたSさん。覚えていますか?
 特別支援学級における,数学科と社会科(歴史)の実践などを報告してくれました。
 担任している3人の子どもたちはそれぞれ習熟度が違います。そんな子どもたちを相手に,段階を踏んで教えることが当たり前の数学をどのようにして与えるのか? 苦悩する日々のようです。
 1学期にタイル算を教えるも,どうもついてこれずに指導者の方が挫折する始末。2学期には,そんな子どもたちとじっくり〈大きな数〉のプランを取り組んだそうです。すると3桁の数字が読めなかった乙女(仮称)が,ちゃんと位取りを使って数字を読むことができるようになってきたという手応えを感じたそうです。電車による位取りがわかりやすかったようです。
 さらに調子に乗って〈正負の数〉に出ている赤と黒のトランプゲームにも取り組んでみたそうです。すると「赤は損」「黒は得」というのを理解してトランプができるようになり,最後は(+8765)+(-232)+(-4357)なんていう計算にも正しく答えられるようになりました。これってすごい成果ですね。
 ただ,いずれのときにも,教師からの嫌らしい横やりが入り,いい気がしなかったそうです。
 また算数ネタで「てん☆てん」というカードゲームを紹介してくれました。遊びながら「十の補数」を身につけようというものです。いまじゃちゃんと市販品として売られていますが,当時はまだ研究段階の試作品。
 歴史の学習は「歌って覚えよう歴史唱歌」とNHK「歴史でドキリ」で楽しんだそうです。歴史唱歌のおかげで時代区分はバッチリだそうです。NHKの番組は中村獅童さんが歌って踊ります。これは,一昨年(2018年度),尾形が6年生を担任したときに見せた番組と同じなのかな。確かに,子どもたちは喜んでみていました。
 他には《自由電子が見えたなら》の第1部のこと,マカロニリースのこと,沖縄旅行の計画のことなどを話してくれました。沖縄へは年末に行ってくる(きた)そうです。
 このころは「早く小学校へ戻りたい」と思っていたのでしたね。
「もういくつ寝ると 小学校~」という気持ちで12月をしめます。(本人のレポより)
だって。

2 「三宅なほみ講演会(講演内容+α)」  B5  8ぺ        尾形正宏
 輪島市立門前東小で行われた講演会に行ってきました。そこで学んだことを学校にも広げるためにわたしの一言を添えた講演記録と「知識構成型ジグソー法」の進め方についてまとめたものです。
 この講演会は当時事務所にいた真智先生が,門前東小学校の研究発表の講師として三宅なほみ先生を紹介したことで実現したようです。講演のあと,わたしは自己紹介をして少しだけ話をしました。仮説実験授業全国合宿研究会・能登大会記念本は,三宅先生の講演記録を載せましたからね。そういう関係でした。
 その後わたしはこの「知識構成型ジグソー法」を算数や理科などで実践してみました。そして,この方法はけっこう面白い授業になることを体験しました。子どもたちも楽しんでいたようです。しかし2015年5月,ジグソー法の研究推進役であった三宅なほみ先生が癌で逝去されました。現在,この研究がどのように進められているのか知りません。
 右の写真(省略)を掲載しているサイトに三宅先生の一言が載っていましたので,最後に紹介しておきます。
〝学ぶ〞 とは いかなる営みなのか
「・・・大切なのは,子どもたちの考える力を信じること。すると期待以上の答えをだす子が現れるはずです。あとは子どもたちが先生を引っ張ってくれることでしょう。」

 なんと子どもを信じている言葉でしょうか。「あとは子どもたちが先生を引っ張っていってくれることでしょう」だなんて…とてもステキな言葉ですね。
 講演会当日のわたしのブログ記事を転載しておきます。

三宅なほみ講演会(131210)
 今日,午後から講演会に行ってきました。講演会のある場所までは自分の勤務校から1時間以上かかるんですが,講師の先生に会いたくて行ってきたのです。受付時間前についたので,誰もいない受付をパチリ。  その講師とは,東京大学教授の三宅なほみ先生です。三宅先生とは,こっちが一方的に知っているだけですが,最近,ちょっと気にしている教育学者です。  以前,仮説実験授業の全国大会を和倉で開いたときに,参加者に配付した「講演記録」(ガリ本)に板倉先生と三宅先生の対談も入っていたからです。この「ガリ本」をまとめたのは私なので,一度,ご挨拶をしておきたかったんです。  講演の内容は,とても刺激的でした。「知識構成型ジグソー」の仕組みとその実践例が紹介されていて,これから少し勉強してみようかななんて思いました。  飛行機の時間を気にされていて,話が出来ないかと思ったのですが,ちょうど,玄関でお会いできたので,あいさつが出来ました。よかったよかった。  そういえば,わたしも講師と一緒に玄関の学校職員に見送られて帰ってきたのでした。まるで指導主事扱いでした(^^;)

3 「今年読んだ本ベスト5」 B5 2ぺ  M.O
 当時は2013年に読んだ本の中のベスト5を書いたようです。こんなレポって,この年しか書いていないな。なんでいきなりやったんだろう。でも,1年を振り返って,毎年考えてみるのもいいかもな。
 この年のベスト5は,次の通り。
○山田洋次著『映画館(こや)がはねて』(中公文庫)
 本書には,道徳授業の定番「勇敢な少年」が載っています。
○武田邦彦著『「正しい」とは何か? 武田教授の眠れない講義』
 武田教授は,この頃よくテレビでも取り上げられていたんだと思います。〈善意〉だけの「環境問題」について,さかんに〈もの〉を申していました。
○板倉聖宣著『いま,民主主義とは (板倉聖宣セレクション1)』
 これ,続編が待ち遠しいのですが,結局「1」が出た後は続いていませんね。いつ出るんだろう。やめたのかな。
○宮地祐司著『サイフォンの科学史―350年間の間違いの歴史と認識』
 本書は,その理論(水分子の鎖説)に誤りがあったらしく,いまは絶版になっているようです。どこかどう間違っていたのかは『理科教室』だったかに書かれていた気がします。でも面白い本でした。多数のレビューで「それでも読む価値あり」と推薦されています。
○内田樹著『街場の教育論』
 内田さんの本は,本書が初めてだったのかな。よく覚えていません。でも,当時書いたように未だに気になって読み続けている著者です。いま現在も読んでいます。Kindleでも読んでいます。
 こうして改めて,自分が以前書いた文章(感想文)を読んでいると,もう一度本を読みたくなります。

4 「MY BOOK 2013年12月号」  B5   2ぺ    K.H
 今月も読んだ本を紹介してくれました。
○たのしい授業編集委員会編『たのしい教師生活のすすめ』(仮説社)
○板倉聖宣著『下町主義の教育研究』(仮説社)
○中一夫著『日本の戦争を終わらせた人々』(ガリ本,ほのぼの出版,1575円)
○小原茂已著『たのしい科学の授業入門』(ガリ本,風の子書房,1300円)

 いずれも仮説実験授業関係者による著者です。どれもおすすめ。
 Hさんは,今年1年間で読んだ本を眺めてみてその総括をしています。1年で読んだ本は全部で34冊。そのうち仮説関係の本は22冊で,全体の65%だったそうです。

5 はじめまして    A4    2ぺ     長田さん
 以前,能登にいた長田さんいたときには本サークルに参加していませんでした。存在を知らなかったようです。この日には,「たのしい障害児教育の会」に3回ほど参加してきたということで,そのエキスのような物を紹介してくれました。
 まずは書籍から。
○山本俊樹・藤沢千之編著『特別支援教育はたのしい授業で』(仮説社)
○原優里乃編『淀井泉の読み書き授業』(ガリ本)
○池上隆治著『工楽録~工夫を楽しんだ記録~』(ガリ本)
○川島滋弘著『ボクの特別支援学校だより』(ガリ本)

 1冊を除いてガリ本です。ガリ本は,残念ながら研究会(や研究会仲間が主催する会)でしか手に入りません。しかも一番の上の本だって,もともとはこういうガリ本や研究会で発表された資料の中から「たのしい授業が確実に実現できる」ようなものを集めて出版されています。わたしたちの日常的な取り組みが,実践をバックアップし,こうして広がっていくのだろうと思うと感慨深いものがありますね。
 「手順表」のためにドロップスというイラストを使うそうです。そのサイトも教えてくれました。
 また「選択肢から選ぶ」ということも意識してやっているそうです。「自分で選ぶ」という機会を多く設けることも特別支援には必要なことかもしれません。ま,一般的な子どもたちにも必要ですよね。
 ほかにも,この通信の「まえがき」にも書いたように「星のお兄さん」(上記リンク)を紹介してくれました。これをきっかけに,わたしたちのサークルではこの画像が授業中に流されることになりました。
 遠いところ,おいでいただき,ありがとうございました。

☆星のお兄さんの本『新訳! 星座の楽しみ方 「星のお兄さん」の笑説観察ガイド (コツがわかる本!)』(メイツ出版,2015)が出版されましたので,上記リンクに追加しておきました。この本も面白いですよ~。

コメント

タイトルとURLをコピーしました