新しい子どもたちとの出会い,みなさま,いかがお過ごしでしょうか?
わたしは,7年ぶりに学校を異動し,これまでとの環境の違いに戸惑う2週間でした。学校毎に,日課が違うので,体調管理が大変でした。それでも,授業もはじまり,なんとか,少しずつ軌道に乗ってきた感があります。
3月末に,学習院大学の斉藤利彦先生と,上越教育大学の梅野正信先生とお会いし,とても貴重な話をすることができました。いい出会いだったし,これからも,なにかが起きそうで,楽しみです。こんな風な出会いがあるというのも,私たちがサークルを続けてきたからこそですね。求めていると出会うことがあるのは当たり前だけど,求めている以上のことも起きることがあると言うことです。
2月は,小松の方の会に出るためにお休みにしました。が,結果的には,だれも参加できずに終わったようでした。
■3月の例会の参加者(5名)
M.S(N町U中) K.H(S市M中) M.K(N町U小) M.O(N町U小) H.H
話題になった本・その1
資料の紹介
1 「Kさん宅の古書をめぐって」 A6 15P M.O
ひょんな事からつながりができた斉藤先生とのメールのやりとりと,この間,私が読んできた両先生方の著作について,まとめてみました。
このレポート以外に,
◎「Kさんの実家から出てきた大量の古書」(2006年11月作成のもの)
◎「大衆少年雑誌の成立と展開」(斉藤先生よりいただいた資料)
◎「毎日新聞:余録(斉藤先生の著書について書かれている)」(斉藤先生より)
などの資料も紹介しました。
斉藤先生の本では,「余録」(2013年11月30日)にも紹介されている『試験と競争の学校史』がオススメです。明治期の初等中等教育における学校の試験のようすが,いろいろな資料を通してよく描かれています。昨今の学力テストの状況を見るときに,必読の本だと思います。(なお,余録は,毎日新聞HPで読むことができます。ウェブ会員の登録が必要ですが,無料ですから,この際,会員になりましょう。)
余録の出だしは「元来試験を以てみだりに競争心を鼓舞するの具となすが如きは…」です。
とにかく古書をめぐって,たのしい話が聞けたのが何よりでした。
そうそう,岡本太郎のお父さん(岡本一平)の著書まであったよね。娘が知らなかったのがおもしろかったなあ。灯台もと暗しだね。
なお,両先生との顛末は,4月のサークルにまとめてきます。
2 「MY BOOK 2014年3月号」 B5 4p K.H
今月は,以下の8冊を紹介してくれました。
○小原茂巳著『未来の先生たちへ』(仮説社)
○NHK編『プロフェッショナルの言葉』(幻冬舎)
○辰濃和男著『ぼんやりの時間』(岩波新書)
○徳大寺有恒他著『2014年間違いだらけのクルマ選び』(草思社)
○姜尚中著『悩む力』『続・悩む力』(いずれも集英社新書)
○姜尚中著『心の力』(集英社新書)
○サン=デグジュベリ著『星の王子さま』(岩波書店)
「小原さんの本には何回読んでも,そのたびごとに新しい発見があります」とHさん。
小原さんの本は,私も読んだことがありますが,こうして他の人のアンテナに引っかかった文章とその感想を聞くと,また,新たな発見があったりします。うちのお袋も「読書会」ってのに通っていたことがあったけど,たぶん,そういう感想の交流がおもしろいんでしょうね。
「優等生は創造性がない」というのは蓋然的に(そうであったり,そうでなかったり)いえるのではなく必然的なものとして言えるのです。そういう優等生を作ってはいけないと私は思うのです。
犬塚清和さんの言葉に「優等生になることを拒否しつつ,自信を持って生きる」という言葉があって,これはわたしの生きる柱としてきた言葉の一つですが,教師の世界の優等生も,おそらく,創造性がなくなっていくのだろうなと思います。
プロフェッショナルの言葉は,その人の生き様が現れていて,私も好きですが,それは,おそらく一面の真理でしかないと思います。これを,自分の置かれている場所に拡大解釈してしまうと,それもまた誤謬に陥るでしょう。こういうことばは,ことわざのようなものなので,自分にぴたりとくる言葉を探すのがいいでしょうね。
あと,『心の力』から,トーマス・マンの『魔の山』の話になったり,デグジュベリの「星の王子さま」の話などで,盛り上がりました。私は,これらの両方とも読んだことがないので,とても新鮮に感じながら,メンバーの話に耳を かたむけていました。トーマス・マンの『魔の山』なんて,あらすじを聞くと結構面白そうです。この際,読んでみようかなと思っちゃいました。
3 「いしかわ里山里海学習リーダ教員研修にいってきた」A4 5p M.K
7回にわたって研修を受けたという「里山里海リーダー研修」の報告書です。各回のあらすじと,そこで,学んだことをまとめてきてくれました。
ずいぶんと多様な活動をしてきたんだなあというのが,私の最初の感想です。
小泊地区にあるビオトープをはじめとして,白山のブナオ観察舎にまで出かけての実習。なかなか楽しそうです。
今後,この里山里海をどう生かしていくのか。とても難しい問題です。内なる点数主義を克服しないと,大学も外,就職も外,という生き方をする子どもたちが後を絶たず,気がついてみると,いつの間にか,能登にはだれもいない…なんて…。でも,わたしは,その一方で,ちょっと楽観的でもあるんです。ある程度,人間が減ったら,そこでとまるんじゃないかって。なんの根拠もありませんがね。
里山里海で,仕事ができる。そんな社会を作るのが一番の近道ですね。
4 「写真で見る「ジグソー活動」を取り入れた授業」B5 4p M.O
年度末に三宅なほみさん(東京大学)の講演を聴いてからというもの,「知識構成型ジグソー法」を取り入れた授業をしてみたいと思っていました。
もちろん,仮説実験授業ができるような単元の場合は,そちらの方を優先しますが,すべての授業が仮説実験授業になるわけではありません。どうしても,「教科書にあるから」というだけの授業があるわけで,それを如何に子どもたちが楽しく取り組めるように料理するのかは,ずっとずっとわたしたちの課題でもあります。
ジグソー活動は,とりあえず,普通の一斉授業よりも,なんとなく子どもたちが夢中になって考えてくれそうな予感があります。だからこそ,一度,やってみたかったのです。これって,珠洲にもどると,なかなかできないような気がしていましたから。
今回は,校内研修の国語科でやってみました。わたしが,校内研修で国語を取り上げるなんて,生まれて初めてです。すごいでしょ。これまでも,指導主事訪問などで,仕方なく国語(文法や書写)をやったことはありますが,校内研修ではなかったんです。これも,現在の学校が国語科に取り組んでいるから…。学校研究というやつですね。ま,もともと,この学校研究っていうものに対しても,その価値をあまり認めていない方ですので…。こんな私は,今では結構貴重な存在です。大切にしてね。
ジグソー活動は,なかなかおもしろいです。
教材と子どもの数によっては,これからも取り組んでみたいと思います。
このレポート以外にも,学習指導案や,授業に使うつもりで用意したプリント類も持って来ました。
5 「カメラレポート」B5 1p K.H
4枚の写真を紹介してくれました。雪の石川門まで撮影しに行くなんて,その行動力にびっくりです。Hさんも,FBをはじめてみませんか。撮った写真をアップするだけで,けっこういろいろな交流ができますよ~。と,まあ,誘っておきます。
6 「風はどこに吹くのか?」B5 4p M.S
3学期末のテストの最後に書いてもらった感想には,3人とも,仮説実験授業を上げているというのを聞いて,「特別支援教室も普通教室も何も変わらないんだな」と思いました。特に《もしも原子が見えたなら》の力はすごいです。世の中を見る目が変わる哲学的な授業書だということなんでしょうね。通称天邪鬼子さんの変化は,とても興味深いものがありました。ぜひ,レポートにまとめてください。
おもしろかったのが,Kさん宅の調査の時見つけた『日曜日誌』についての後日談でした。この本に出ていた,あるなぞなぞの答えを知りたくて,ネットを渡り歩いていたら,「日本国語大辞典」のサイトを見つけたり,『守貞謾稿』『近代風俗史』(岩波文庫など)という本の存在を知ったりして,刺激されたようです。『近代風俗史』は,現在,品切れ中のようです。そんなことを知ると,余計にほしくなる…。
話題になった本・その2
このほか,本の紹介(Hさん)もありました。特に,「数学的な考え方」を使って,日常を切り取るとはどういうことなのかーというようなことについて書かれている本をたくさん紹介してくれました。サークルの後,私も,この中の本を読んでみました。おもしろかったです。私が読んだのは,
○深沢真太郎著『数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』
です。電子書籍はワンクリックで手に入るから,その日の晩に読んじゃいました。自分のブクログのレビューには,次のように書きました。
社会に出て,学校に習った数学を使うってどんな場面なのか…。
よく,「数学的に考える」なんていいますが,そんなこと言われたって,できるわけではありません。
本書は,具体的な場面を想定して,具体的な例をもとに,「数学的に考えて判断する」「より有利にプレゼンするためにグラフを利用する」方法について,とても分かりやすく語ってくれます。
物語仕立てになっているので,読みやすかったです。
また「第20回珠洲市児童生徒理科研究作品展目録」(O)というのも見つけて持ってきました。昭和46年(1971年)の11月のものです。当時6年生のわたしの名前も載っていました。外にも知り合い(先輩,後輩,高校での同級生など)がたくさん載っていて,おもしろい。
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