「ハンセン病問題」を学ぶために

研究は読書から

ハンセン病関連図書・その3

●ハンセン病・国家賠償請求訴訟を支援する会編『ハンセン病問題これまでとこれから』(日本評論社,2002,270p,1800円)
 ハンセン病関連図書。訴訟に関わったさまざまな立場の人たちが書いている。執筆者の内訳を見ると,原告7名,原告代理人弁護士3名,支援者13名,研究者5名の合計23名。
 ここでは,紙面も尽きたので,石埼学氏の次の言葉を引用するだけにしておこう。
▼保護する人(国家であったり,福祉施設の職員であったり,夫や親であったりする)に保護される人は服従しなければならないという権力者の思想は,一人では生きていけない人びとへの差別思想であり,彼・彼女らに対する数々の暴力の根源である。「かわいそうな」あるいは「不幸な」人びとを助けてあげるという類の福祉思想こそが,そうした人びとに,劣等者の烙印を押し,生きる力を奪い去り,彼・彼女らの不幸の原因となっている。(158p)

●浅井あい著『心ひたすら』(皓青社,2002,310p,2100円)
 あいさんは,石川県金沢市生まれ。14歳の時にハンセン病と診断を受け,即日退学を命じられます。そのとき彼女は尋常高等小学校2年でした。その後,国立療養所栗生楽泉園に入園。以後,国家的な差別を受ける側として人生を生きなければなりませんでした。
 1999年ハンセン病国家賠償訴訟原告団の一員となり,陳述にも立ち合います。
 2001年,国賠訴訟は地裁で勝利をし,国は控訴を断念しますが,それまでに失ったものは何も戻ってきません。
 あいさんは,両目を失明しています。寮内で短歌を作り,それを時々詩集として出版してきました。この詩集はあいさんにとって「第4歌集」となります。
・開票速報聞きつつ暁喜々とおりわが亡き夫の位牌の前に
・文通を禁じて老いて逝きし母よこの家の番地いまも忘れず
・内親王生まれたまえど虐待されて世に泣く幼児忘るることなし
 国の責任を追及して自分たちのために闘うため,選挙にも積極的に参加している様子がうかがえます。
・らい園に救われ来しと言いつのる九十年の歴史顧みもせず
 「あなたたちのためだった」という国の姿勢は,「おまえたちのためだ」という学校現場の教師の姿勢と重なってくることのは私だけでしょうか?
 もう、余計なお世話は結構です!!と言いたい。

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