珠洲たの通信・2021年6月号

 やっと開けましたね,梅雨が。昨日(7/15),やっとこさ,ジャガイモ(60株)を掘り起こしました(優に3時間はかかった)。まだじゅうぶん土が乾ききっていなかったので,もしかするとイモが腐りやすいかも…と思いながら…。珠洲市では,梅雨の最後の方に尋常ではない降雨が数回ありましたからね。一方,畑の野菜は食べきれないほどできています。キュウリはたったの2株なのに…。ナス・ピーマン・トマト・オクラ・キャベツ…続々と。家庭農園はいいね。
 ばね指(指の腱鞘炎)の手術は順調に進み,2週間ほど前から土いじりも始めました。指の動きはまだ固いです。リハビリが必要と言われているのですが,指のリハビリってなんなのかイマイチよくわかっていません。まあ,この状態が自分の一部になれば,そのうち気にならなくなるでしょう。歯が抜けたり,かけたり,治療したりしたときって,何かと気になるのですが,そのうち,ちゃんとその状態で違和感なく食べられるようになりますものね。体って偉大です!

今月話題の本・グッズ

■6月の例会の参加者(6名)
 H.K   S.M   S.M   N.T   K.M   O.M 

資料の紹介

1 「珠洲たのレポート6月号」 B5   4p    H.K
 今月も以下のようなたくさんの本を紹介してくれました。
①斎藤裕子編『レモンのえり巻き』(ガリ本)
②板倉聖宣著『未来の科学教育』(仮説社)
③南杏子著『いのちの停車場』(幻冬舎文庫)
④重松清著『きよしこ』(新潮社文庫)
⑤姜尚中著『母の教え』(新潮新書)
 ①はガリ本。レモンシリーズの一冊。この本は研究会員しか手に入れられませんが,本シリーズはとても素敵な文章で構成されていますので,是非読んでみてください。わたしも大好きなシリーズです。Hさんが紹介している銀色夏生の詩がいいですね。ここに曾孫引きさせてもらいます。
自分らしく生きるということは/人の期待に応えるのではなく/自分の思いに忠実に生きること/自分らしく生きることは/人のために生きることとは違う/時には人を泣かすこともある/さあでもそこで/深く問われる/なんのために生きるのか/どっちを取るのか/泣かされた人はまた/なんのために生きてきたのか/人がその人の道を行きことは思った以上に/ほかの人を遠ざける/そして希望の朝 (銀色夏夫著『そしてまた 波音』)
 銀色さんは「自分の思いに忠実に生きること=時には人を泣かすこと」だといいます。これは,なかなか怖い言葉です。深い言葉です。それでもやっぱり「自分の思いに忠実に生きたい」と思います。がしかし,一人では生きていけません。じゃあ,どうする…「自分の思いに忠実」ということと自分本位・自己中心的との違いはなに? いろいろと考えさせられる詩ですね。
 ②は初版が1966年です。内容は授業書《ものとその重さ》(+α)を取り上げて,板倉さん自らが一般の読者向けに仮説実験授業について語ったものです。「仮説実験授業入門書」としてとてもすぐれています。わたしにとっても,学生時代,この本を読んで仮説実験授業の確かさに納得し,理科教師を目指したという記念すべき本でもあります。
 Hさんがレポートで取り上げている板倉さんの一節を原文に戻って転載しておきます。
ところが私たちは,未来の科学教育の建設を夢みて,仮説実験授業の研究をすすめているうちに,「おしつけのない本格的な科学教育は人間の社会的な生き方についても教えるところがある」ということを知りました。仮説実験授業をうけた子どもたちは,それまでとは見ちがえるほどに,自立した生き方-「他人の意見を積極的にとり入れながら,しかも他人や多数の人間に支配されずに,自分自身で考え判断することの大切なこと」を,身にしみて感じるようになるということがわかったのです。 (板倉聖宣著「11子どもたちの変革」『未来の科学教育』189ペ)
 引用を原典に戻ったのにはわけがあります。Hさんのレポートの文章は,実は引用ではなく,Hさんの手によってある程度取捨選択し,編集されたものです(レポートの文章と比べて見てください)。もちろん,編集が悪いということではありませんが,読者に「ゴシック太字で書かれている部分は本文からの引用だろう」と間違ったメッセージを与えることもあるので,注意が必要です。〈引用文〉と〈自分の文章〉との違いがわかるように書くといいでしょう。わたしがまとめているこのサークル通信は,段落を変えたり,文字を変えたり,「」に括ったりして,引用だということが分かるようにしてあります。
 ③は,映画にもなっていて,ネタバレになるので取り上げません。見たあと,読んだあとで,もう一度Hさんの感想を読んでみてください。
 恒例の「コーヒーブレイク」では,友人・親友ということが話題に上りました。あなたには,今,親友と呼べる人がいますか? 親友とはなんでしょうか? なんか〈永遠の謎〉のような気もします。今のわたしには,親友は,いないような気がするなあ。

2 「Gibbous moon」 B5 3p  N.T
 「繋がり」をキーワードにして,今月のできごとをまとめてきてくれました。内容は6年生との《食べものをウンコ》の授業についてです。Nさんは,GIGAスクール?の関係で,いろいろな授業場面でタブレットの導入を試みているようですが,仮説実験授業の授業書を使った授業でもやってみたそうです。使ったのは「AIテキストマイニング」「授業のアンケートフォーム」「jamボード」という機能などです。このような機器や機能は,それこそ適材適所で用いればいいと思います。
 ただ,そのために仮説実験授業が〈予想学習〉にならないことに注意しなければなりません。仮説実験授業は当初からあくまでも〈授業である〉ということにこだわって成立しています。他者がいて,自分がいる。自分の立ち位置を友だちとの関わりで知ることの大切さですよね。予想分布をとる際に,挙手した手を数えることを「煩わしさ」と捉えるのか「一人一人の子どもたちと目を合わす機会」と考えるのか。ここでその人の授業観が出てくると思います。メンバーからは,「授業の感想は子どもたちの字で読みたい」「jamボードは,一度に全員の絵を見ることができていい」というような意見がありました。
 さて,Nさんは,5年,6年の授業参観で理科(しかも仮説実験授業)をしたそうです。こういう公の機会に,保護者のみなさんに仮説実験授業を知ってもらうのはとてもいいことです。「子どもたちが楽しいといっているのは,こういう授業だからなのか」ということが身をもって保護者にも伝わっていきますから。
 最後に,Nさん自らが仮説実験授業の授業書の素晴らしさについて感動している部分を引用します。今回の「繋がり」とも関連します。
□最初に出てきた宇宙船の話が,最後に宇宙船「地球号」として出てきて話が繋がり子どもたちもなるほどとなっていました。ウンコの話から地球全体の環境の話へとスケールが広がっていくことへの感動が伝わる授業になったかなと思います。
□今5年生で行っている《ものとその重さ》の「見えなくなったからといって無くなったわけではない」という考え方が,《食べものとウンコ》の「食べた分だけ出す」という考えに繋がり感動しました。

 たのしい授業学派は,教育の基礎的な力を「読み・書き・計算,分子模型」と言っています。分子模型というのは原子論ということです。「原子はなくならない」ということを知り,それをバカの一つ覚えのようにしてあらゆることに応用することで,いろいろなことが見えてきます。これこそ仮説実験授業の魅力でもあります。いろんな授業書があるので,これからも自分で学んでみてください。生徒になって仮説実験授業を受けると,また違いますからね。

3 「たのしいことをもとめて」 B5  4p   S.M
 先月話していた「みんなへつうしん」の実物を持ってきてくれました。文字フォントがとてもかわいくて,字はひらがなばかりで大きいし,用紙は小さいし…。これって,ゴチャゴチャ書いてある「学級通信」以上に大切に保管しておいてくれそうです。実際,子どもだけではなく保護者からの反応もいいようだし。みんな,マネしましょう。
 子どもからの要請にあわせて「折り染め」もやったそうです。
 さらに,村岡京子さんという方から『たのしい授業のためのわたしのお気に入りレシピ』という本を購入して,いい所をマネしているそうです。もうすでに低学年を惹きつけるようなネタをたくさん持っているSさんなのに(だから),「ほかにもまだ,たのしいネタはないか」と噂を聞きつけ,本を手に入れ,さっそく実践にかけている姿勢を学びたいものですね。「先輩教師から学ぶ」って,このように「いい歳しても〈たのしい授業を貪欲に学ぶ姿勢〉を学ぶ」のことをいうのだと思います。決して「先輩教師が学んできたことを,ありがたく受け取って学ぶ」ということではないはずです…とわたしは思っています。
 とは言え,これまでに学んできたことはしっかり身に付いているわけで,今月は,そんな話も持ってきてくれました。それがタイルなどの「かんづめ,びんづめの話」です。この言葉は,知らない人にとってはまったくなんのことやらですね。わたし(たち)は,数教協の会員でもあった新居信正先生から,大いに学んだ言葉です。低学年~高学年まで,どんな子どもたちにもこの〈びんづめ・かんづめ〉を使って算数を指導してきました。そして,その新居先生は,この〈びんづめ・かんづめ〉の喩えを大正時代の藤森良蔵という教育者の著作から学んだのでした。このようにして,学問というものは引き継がれていくのですね。ただ,なぜか公式の教育界では,こういう話がちゃんと伝わっていきません。常に新しいものを追い求め,そのため,いろんなことがいい加減で通り過ぎて行く。それでいて基礎・基本と言っているんだから,一体なにをしようとしているんだかねえ。
 〈びんづめ・かんづめ〉とそれらの言葉を使ったタイル図・かけわり図については,わたしが宇出津小時代に職員用にまとめたレポート「〈タイル〉から〈かけわり図〉へ-乗除の指導」がありますので,よろしければご覧下さい。サイト「珠洲たの」の「各教科」に載せてありますのでネットでも読めます。
 膝の手術の話題で,笑気(酸化窒素)が出てきたのにはビックリ。この気体がいっぺんに身近に感じるようになりました。

4 「喃々レポ〈随時随所無不楽〉2021年6月号」 A5 8p   O.M
5 「マイクロプラスチックってなに?」 A5  8ぺ      O.M

 Nさんに相談されて「海洋プラスチックの授業」について考えてみました。少しでも参考になればと思います。今,家にあった『プラスチックリサイクル100の知識』(東京書籍)を読みなおしています。1997年発行なのでデータは古いですが「プラスチックを考える時の視点」を学ぶことはできます。新しいデータはネットでも調べられますからね。
 あと,内田樹・石川康宏著『若者よ マルクスを読もう』(かもがわ出版)の話題。珠洲市民図書館の中高生コーナーにあるので,読んでみてね。
 また,以前も紹介した香川七海先生からのお便りと贈られてきた論文の話もしました。ネットで発言する(「珠洲たのサイト」を作ったり「好奇心ブログ」を書いたりする)ことで,全く知らなかった方との繋がりができるのは今度で何度目かですが,わたしにとって,これはネットの長所です。刺激的ですもの。 

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