一気に寒くなるかと思いきや,少しだけ過ごしやすくなったり,の毎日です。わたしは,毎朝散歩をしているので,朝の気温の変化は身をもって感じています(最近は日の出前に散歩をしてますしね)。
この前,古い本を取り出して読んでいました。武藤康史著『クイズ新明解国語辞典』(三省堂)です。この本は,語釈や用例を読んで,辞書の見出し語を当てる…というクイズ本です。一つだけクイズを出してみます。□はひらがなの数です。ノーヒントで。答えはこの通信の最後に書いておきます。
①当該の高いポストを汚さず仕事をやってのけるかどうかという観点から見た、その人の対処能力。「大臣としての―に乏しい・ーを下げる[=男としての面目を失う]」②きれいかどうかの観点だけから見た、女性の顔立ち。「―がいい」
わたしは②を見たら分かりましたが,さて,あなたはどうですか。『新明解国語辞典』は,ユニークな語釈が掲載されている辞典として,わたしもずっと使ってきました。持っていない方,是非,お手元にどうぞ。
11月の例会の参加者(7名)
H.K S.M N.T K.M S.M W.T O.M
今月の本棚
今月の資料
1 「子どもから学ぶ」 B5 4p S.M
現勤務校へは,2度目の赴任。以前勤務していた時の思い出話から始まるレポートです。当時,仮説実験授業を知ったSさんは,文字通り我武者羅(がむしゃら)にたのしい授業をやりまくっていたようです。その中で,新居信正先生をお招きしての授業と講座もありました。記念に寄附して下さった『分数絵本3部作』『割合絵本2部作』に書かれていたサインも紹介してくれました(右の写真:省略)。懐かしいな。
アタマを使うということは
楽しいことです。
分数をすきになって
勉強の楽しさを
味わってください。
1996年3月2日
徳島より愛をこめて
新居信正
わたしの手元にはこの時の授業映像(8mmビデオ)が残っています。ご希望の方にはコピーをしますので,連絡してください。
さて,ちょっと手のかかる男の子の話題。Sさんはレポートの最後に
「子どもから学ぶ」なんて,かっこつけたタイトルにしましたが,手を変え品を変え,うろうろしているだけかもしれません。
と書いています。松本キミ子さんの名著に『絵のかけない子は私の教師』という本があります。たし算ができない子は私の教師,じっと座っていられない子は私の教師…,こういう構えで「問題」と向き合える教師になることって難しいですね。でも,それは十分可能だと思います。
Sさんが言っている「うろうろしている」ということを,別の言葉で言い換えると「予想→実験」しているとも言えます。予想をする時には,いくつかの選択肢が必要です。予想が一つしかないと,次に続きませんからね。
レポートを読んで,わたしは「低学年には,しっかりした行動基準が必要なのだな」「シールも有効なのだな」と思いました。教師自身は「あまり子どもをピシッとさせるのもなあ」というタイプであっても,その教師の姿勢のせいで,子どもの中にちゃんとした基準やルールが育たずにブレているのでは,子どもがかわいそうですからね。要は,教師の主義主張よりも「子どもが学校生活をより気持ちよく過ごせのるのはどの方法か」ということが大切なのだと思います。ただし,教師からの要請や指導を子どもが強制的に感じるのなら,すぐに退却するのはもちろんです。
先に話題に上った新居信正先生が,自分が受け持った子どもに伝える言葉に「人間を言います」がありますので紹介しておきます(新居信正著『あとにムナシサだけが残る実践からの訣別』の裏表紙より)。面白いねえ。
今後,このTくんがどのような展開を見せるのか,そしてSさんが,どのように子どもと関わり,「子どもから学」んで成長するのか,楽しみです。
2 「『たのしい跳び箱運動への道』で紹介されていたプランをやってみて」 A4 1p W.T
Wさんが体育の授業実践を報告してくれました。
能登町には器械運動交換会のようなものがあるそうです(珠洲市も同様です)。そこでは,跳び箱も種目に入っていて,にがてな子・できない子は,その場で恥ずかしい思いをすることになりかねません。この交換会を廃止できない以上,自分が関わる子どもたちには,ある程度満足して行事を終えて欲しいというのは親心(教師心)ですものね。
そこで,同僚のSさんから上記の本を借りて台上前転のプランをやってみたそうです。子どもの実態は「開脚跳びができる…15人/17人」「台上前転は全員が初めて」です。
プランから学んだ教師の姿勢は「どんどんやらせる」「なんとなくできるを大切に」です。峯岸さんの映像資料を見せたあと,各端末で「体育ノ介」を見て随時確認して進めたそうです(質問し忘れましたが,この「体育ノ介」ってなんですか? 知っているのは今の小学校体育の世界では常識??)。
実践してみての指導者の感想には次のようなものがありました。
・ステップごとに区切ってあることで,児童が自分で感覚を思い出そうとステップ3からステップ2へというように戻っていた。
・「腰の位置を高くすること」「頭の後ろを台につけることができれば,安全に転がることができる。」という言葉に勇気づけられた。
「自然と技が発展していく感じ」が気持ちよかったそうです。
できれば,指導を受けた子どもたちの感想が聞きたいものです。とくに,これまで跳び箱が苦手だった子の感想が聞きたいですね。「跳び箱のにがてな子は私の教師」というわけです。そこに「教師が学ぶべき何かがある」と思います。
3 「Gibbous moom」 A4 2p N.T
教師としての「自分の立ち位置」がどこにあるのか。どれくらいしっかりしているのか。揺るがないのか。そもそもそんな〈立ち位置〉って必要なのか。いろいろと考えさせられる文章でした。
職員室を見回してみましょう。自分の〈立ち位置〉をもっている教員はどれくらいいそうですか? おそらくほとんどいないと思います。確固とした〈立ち位置〉をもっている人は,それを基準に左右に動くことができます。様々な人間関係,力関係で,時には本来の〈立ち位置〉から少しずれるかもしれないけれども,帰ってこれる〈場所〉があるんです。おそらく,それが一番大切なんじゃないかな。「点数・評価・見栄え」も気にしながら,〈立ち位置〉をやじろべえの支点のようなものとして立ち続けることもできる。わたしは,自分の経験上,そう思います。
また,「川崎たのしい授業体験講座」での工夫についても,貴重な体験を聞かせてくれました。限られた短い時間を有効に使って授業を進めるという体験は,子どもたちの授業にも必ず役立ちます。
4 「珠洲たのレポート11月号」 B5 4p H.K
今月は,以下の本を紹介してくれました。
○ブレディみかこ著『他者の靴を履く』(文藝春秋)
○ブレディみかこ著『ボクはイエローでホワイトで,ちょっとブルー2』
○樋口恵子著『老いの福袋』(中央公論社)
○武田鉄矢著『人生の教養を高める読書法』(プレジデント社)
○齋藤裕子編『この道をゆく』(ガリ本)
○広中平祐著『広中平祐のちょっと元気になる話』(協和発酵)
特に,最後の広中さんについて,話をしてくれました。広中さんは有名な数学者です。Hさんも現役時代には数学を教える中学校教師でした。それで,Hさんは,学生時代から広中さんの文章や講演に影響を受けてきたようです。多感な学生時代に受けた影響って,結構大きいですからね。
「今は非常識でもいい,未来の常識を見つけて行くことが大切」という言葉を聞いた時に板倉先生の『未来の科学教育』という本を思い出しました。でも,そんな簡単に未来の常識なんて見つけられないですよね。ただ,「お前は非常識だ」と指摘された時に,「おれ,もしかしたら,未来の常識を持っているのかも知れない。それを教えてくれてありがとう」と思うことができれば,シメタものかもしれません。
現役時代をふり返り,当時は「一人前と認めてもらいたくて…」という件(くだり)がありましたが,この「一人前」というのは「当時の教師の常識を身につけた人」のことなんでしょうね。でも今ふり返って,そのために努力したことが全部無駄だったと思うのは,ちょっともったいない。いいところもあったと思うので,そんな話も聞きたいです。「果たして何が残せたか」…何か残っているはずなので。
5 「喃々レポ 2021年11月号」 A5 8p O.M
今月からなるべく配付するだけにします。ですから,質問や意見などは,FBなどを通してお寄せください。
さて,今月は,授業や講座を引き受けた時に,どのように教材研究をしていくのか,その方法や自分の気分的なものについてまとめてみました。研究授業が拒否できないのなら,それを機会に本当の研究を楽しんでみましょう,ということです。
6 「授業プラン体験〈静電気の正体〉」 伝導者 O.M
1月の科学教室のネタを体験してもらいました。子どもたちが夢中になるだろうという視点(大人たちでさえ夢中になったから)も分かったので,ありがたかったです。
さて,12月はサークルのあと,忘年会を行います。コロナ騒動も少し静かになってきたので,こじんまりと,有意義に行いたいと思います。忘年会の場で発表したいことがあったら,先に言っていただくとありがたいです。今のところ「学習発表会〈世界の国旗〉」の映像を見るというネタがあります。
▼クイズの答えは「きりょう(器量)」
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