珠洲たの通信・2021年5月号

 みなさん,いかがお過ごしですか?
 ワクチン接種も本格的に始まりました。わたしも,ちょっとビビりながら,1回目を終了。2回目は7月上旬です。92歳のお袋は既に2回済ませましたが,なんとも言っていません(^^;;)
 ここんところ,海辺に咲いている植物に目が行きます。これまではあまり調べようと思ったことはありませんでした。常時砂浜ができるような環境になり,わたしの犬の散歩コースに海岸線が付け加わったことによる,興味・関心なのだと思います。最近調べた植物で,マンテマ・コメツブツメクサ(米粒詰草)・コマツヨイグサ(小待宵草)というのは帰化植物です。また,よくご存知のハマヒルガオ(浜昼顔)は在来種です。ただこれらの植物の名前は,花が咲いていないと素人ではなかなかわかりません。花が咲いたらスマホで撮影して調べるのが,ちょっとした楽しみになっています。
 さて,1学期もあとひと月くらいになりましたね。学期末にはあまった時間ができます。その時間をドリルばかりに使わないで,みんなでたのしいもの作りでもミニ科学でもやってみませんか。

今月話題の本

■5月の例会の参加者(6名)
 H.K   S.M   S.M   N.T   K.M   O.M 

資料の紹介

1 「珠洲たのレポート5月号」 B5   6p    H.K
 仮説から学んだことは「目の前の困難は自分を磨く教材」ということです。予想しながら,改善策を探っていけたら,自分にとって良い機会になります。
とHさん。物事をこういうふうに捉えることができれば,どんなことが起きても,前向きに,明るく取り組めるような気がします。ただし,それも程度の問題ですけれどもね。
「目の前の困難」が一気にやってきたら,たいていの人はストレスが溜まって,つぶれてしまいます。
 「目の前の困難」を手のひらの上で扱えるようになるには,やはり「仮説実験的思考法」で対処するしかないでしょう。そして,その顛末を書き残す。これが一番大切なんじゃないかな。
 小松のK先生(現サイエンスヒルズ小松)は,よくそういう文章を書いていましたよね。
 クラスにうまくいかない子がいる→選択肢を作り予想を立てて対処する→実験結果を見る→次の対策(予想)を考える→…というループ。「予想を立てる」といいのは,もしマイナスな結果が出たとしても,その結果を次のステップに有意義に活用できるからです。予想を立てないで(選択肢を考えないで)行き当たりばったりでやると,失敗しても(そして成功しても)なにも残りません。これじゃあ,いつまで経っても…。
 今月紹介してくれた本は,以下の通り。
・小原茂巳著『たのしく教師を続けるために』(ガリ本)
・伊集院静著『大人の流儀1~9』(講談社新書)
・村上春樹著『騎士団長殺し1~9』(新潮社文庫)
・帚木蓬生著『老活の愉しみ』(朝日新書)
・アンデシュ・ハンセン著『スマホ脳』(新潮新書)
・姜尚中著『見抜く力』(毎日新聞社)
 どれも面白そうです。わたしがお借りしたのは『スマホ脳』。わたしの感想を書いておきます。
 わたし自身,身につまされる内容だった。特にSNSの通知が来ると気になってスマホを手にしてしまうことが多いのは問題だ。完全に,自分がスマホに牛耳られている。分かってはいたけれども,こうして専門家に指摘されるとちょっとビビる。プッシュ通知はなくして,スマホを見る時間を決めればいいんだろうけれども。さて,できるかな。
「スマホからはSNSをアンインストールして,パソコンでだけ使おう」-これが本文の最後の言葉だが,わたしはこれができない。
 人類が進化してくる過程で,生き残るために遺伝子として身につけたいろいろなヒトの「対応力」が,スマホに対してはマイナスに働いているのではないか。人類進化論の視点から,スマホに夢中になってしまうわけなどを指摘してくれる。「SNSはダメでしょ。わかっていますよそれくらい」と思っている人にも読んでもらいたい。

 Hコラム「コーヒーブレイク」では,心に残る先輩教師の話が印象的でした。若い頃に言われたことって覚えているものですね。みなさんは,どんな言葉を覚えていますか? それが今に役立っていますか?

2 「Gibbous moon」 B5 3p   N.T
 今月のキーワードは,ずばり「成長」。う~ん,いい言葉だ。さて,誰のどんなところが成長したのでしょう。
 それは自分の成長と,それに伴う子ども達の成長です。Nさんは,まだまだ「半人前を少し超えたくらいかなという気持ち」で今年のサークルレポートのタイトルを「Gibbous moon(ギブス・ムーン)」としたそうです。
 授業に余裕がない時にはできなかった机間巡視をできるようになったこと(形だけではなく,本当に意味のある場合だけれど)。いい意味で子どもたちに目が行き届くようになることで,これまで支援員が必要だと思われていた子がしっかり自立できるようになってきたこと。さらには「苦手意識のある子」にあわせた指導を工夫することができるようになったこと。そんな教師の素敵な成長の姿の一端を教えてくれました。
 特に「苦手意識のある子への指導」については,まさにHさんが仮説から学んだと言って紹介している「目の前の困難は自分を磨く教材」を地で行っていることだと言ってもいいでしょう。
■SちゃんとHちゃんの2人のおかげで,自分が成長させてもらえていると感じます。国語や算数の授業を考えるとき,その2人が参加できることを中心にしました。(N)
つまらない道徳よりもたのしい道徳を優先することができている自分を発見しています。Sくんの素直な反応は,自分が大人の都合でつまらないことをしているなということを気づかせてくれます。(N)
 「○○できない子はわたしの教師」…ですね。『たのしい授業』(2021年5月号)にも,そんな子どもたちの為の指導法が載っていましたね。

3 「長かった病院生活」 B5  1p    S.M
 手術のために計画的に学校を休んだSさん。入院は計画的だっただけに,準備は万端! でも,やっぱり手術するのは不安だし,学校に残した子どもたちへの申し訳なさもあります。さすがにレポートをまとめる時間もなかったらしいので,口頭でいろいろと発表してくれました。
 病室での様子は,Sさんらしいというか…すぐに話友だちになって,退屈な入院生活もそれなりに楽しんだようです。
 Sさんの話の中でわたしが面白いと思ったのが,「入院中の学校では…」でした。「お願いはいっぱいしたので…」「お願いはいっぱいしたけれど…」「お願いしていないけれど…」の3つのカテゴリーのまとめ方がよかったです。ぜひ,文章に残しておきたいものです。
 最近,担任がいない間に授業を勝手にすすめる人がいて,わたしはいつも疑問に思ってきました。担任がいなくても授業を前に進めることができるのはなぜなのだろう。おそらくそれは「奥能登スタンダード」というものがあるからでしょう。そしてそれに乗っ取った授業をしているからでしょう。そこには教師の教材解釈や指導法の工夫などはなくて,まさに教科書通り,赤本通り進めている教師の姿が見えてきます。だから,だれでもすぐに変わりができるんです。以前,このサークルでも話題にした「0を立てるわり算」の話。わたしが休んだ時に,補欠の先生が来て,子どもたちがやっているわり算の筆算を見て「0は立てないのです」と教えたという話題ですね。少なくとも,「なぜ0を立てるの?」くらいは,子どもたちに聞いて欲しい。それでもわからなければ,あとでわたしに聞いて欲しい。いきなり「0は立てません!」と指導したのでは,かえって子どもに不審がられます。そして,いやな思いしか残らない。
 「余計なお世話」という日本語が普通に通じるくらいですから,こういうことはどの世界にもどの時代にもあるんでしょうな。自省を含めて書き留めておきます。このサークル通信のわたしのコメントも「余計なお世話」になっていなければいいけれども…。

4 「喃々レポ〈随時随所無不楽〉2021年5月号」 A5 12p   O.M
 この通信のまえがきにも書いたように,ときどき,浜辺の植物を観察しています。彼らを踏んでも踏んでもなくならないのは,雑草の強さなんでしょうね。先月サークルで紹介したのは,今年生えてきた植物たちでした。特にスナビキソウ(確かにスナビキソウでした)が咲いたのはうれしいです。この花につられてアサギマダラも来ていましたからね。来年,もっと群生してくれれば,もっとたくさんの蝶が寄ってくれるかも知れません。楽しみです。
 他には,能登町秋吉の耕作放棄地で行われている菜の花の栽培とその畑の横にあるミツバチ農家の話をまとめてきました。そのミツバチ農家さんへ実際にインタビューに行きました。わたしの予想に反して,菜の花畑とミツバチ農家との話し合いは何もないようです。能登の里山を活かす取り組みとして面白いかも…と思って調べ始めたのですが,ちょっと残念でした。これ以上,深入りすることは止めます。
 あと,本などの紹介。
・司馬遼太郎著『菜の花の沖(全6巻)』(文春文庫)
・石川雅之著『もやしもん(全13巻)』(講談社)
・花里孝幸著『自然はそんなにヤワじゃない-誤解だらけの生態系』(新潮選書)
・映画『WOOD JOB!』
 司馬遼太郎以外の本や映画は,里山マイスターの講演で講師が取り上げていたものです。まだ読んでいない『銀の匙』なんかも,面白いらしいです。マイスター講師という,これまでとは違う方面からの刺激が,わたしに新しい世界を教えてくれます。それがわたしの今の楽しみでもあります。

5 「ミニ科学教室版〈ドライアイスであそぼう〉」 B5 1p O.M
 「すずキッズランド」から,「夏と冬に科学教室みたいなことをやってほしい」と依頼されました。子どもたちと科学の授業ができるのは願ってもないことです。わたしは二つ返事でOK。ドライアイスさえ手に入れば,夏はドライアイスに限ります。でも,低学年向きで時間も1時間くらいしかないとなれば,これまでの「ドライアイス」ネタをどのように組み直すか考える必要があります。そこで,みなさんに教えてもらおうと思って,簡単な計画書を持ってきました。
 Kさんからは,「大道仮説実験には,ドライアイスを扱ったものに〈もくもく〉がありますよ」と教えてもらいました。早速,家に帰って本棚をあさってみると,〈もくもく〉は「ドライアイスから出てくる白いもくもくの正体を突き止めてみよう」という内容でした。低学年にはちょっと難しいかなという感じがします。
 実はこの後,少し変更がありました。それはまた,次回のサークルで。

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