『読み書き・計算,分子模型』再び

仮説実験授業のミニ記録

菅原美津子
 2000.02.05

はじめに
 今年は、3年生の担任をしています。この学校にきて4年目になりました。今まで担任した子供たちとは、《もしも原子がみえたなら》をやってきました。昨年度は理科を持っていなかったのに、道徳や学級、図工の時間に《もし原》をやった上に、学芸会で「もしも原子がみえたなら」の劇をやったというくらい、《もし原》が大好きな私です。
 今年の子供たちともやりたいなあと思いつつ、1月まできました。
 去年の春、放課後の教室で、子供たちから、
「先生、あれやるんやろ?」
「ボクのお姉ちゃんも去年したしねえ。」
「水分子とか・・・ねえ。」
 などと言われました。さすが同じ学校で4年目ともなると、クラスの子供たちのお兄ちゃんやお姉ちゃんがいっぱいいるんですね。ちなみに、3年教室の20名中10名が、家に分子模型があるのです。これは、すごい確率ですね。
 だから、こんなに期待されたんだから、やらないわけにはいけない…と思っていたのに、実際は2000年に持ち越してしまいました。

1.授業の評価と感想文
 下の左側の表は、昨年度の4年生との「もし原」の子どもたちの評価です。さて今年度の結果は右側です。

昨年度(4年生:35名)の評価

評価54321
楽しさ度1612700
理解度1417310

今年度(3年生:20名)の評価

評価54321
楽しさ度182000
理解度137000

 この評価には、びっくりしました。昨年度との違いを自分なりに分析してみました。
 はっきりしているのは、私の心構えの違いのような気がします。それは、去年の暮れに参加した「サイエンスシアター」の影響が大きいと思います。今までも楽しんで勉強をしたり、子供たちと分子模型を作ってきました。しかし、サイエンスシアターに参加してきて、自分の身の回りのものを「原子・分子で見ることの楽しさ」をより一層知ってきただけに、私に勢いがあったと思うのです。
 授業中はもちろん、そのほかの時間でも、子供たちが楽しげに原子や分子について話している姿を見ると、こちらもついつい乗ってくるものですね。
「やったあ。次の時間『科学』ができるぞ。」
「今日の分子は何やろうね。」
などと、目をキラキラ輝かせて待っている子供たちと、楽しく授業ができるのは当たり前ですよね。授業をやっている間、「♪もしも原子が見えたなら どんな世界が見えるかなあ・・・」と去年見た「もし原」の劇の歌を口ずさみながら色塗りをしました。もちろん、授業書を終えた後は、分子模型も作りました。この作業も、本当に楽しくできました。
 これだけの要因がそろえば、先ほどの評価結果も頷けるのです。
 この授業を終えて、もう10日あまり過ぎたのに、子供たちは、
「あ、酸素分子飛んどるよ。」
「見えるはずないやろ。」
「あ、ダイオキシンが・・・」
と、言葉の端々に分子の話がでてきます。
 子どもってすばらしいですよね。

【感想】
・もしも原子がみえたならの勉強で男子たちが水分子のことをパンツ分子とか言っていたのでおもしろかったです。はい気ガスとかも分子でできているし、空気も息もみんな原子や分子でできているものばかりです。わたしたちの回りにあるのは、原子や分子だから、これから家に植物を植えたり、空気の入れかえもしたいと思います。この勉強で、まわりの見えないものがよく分かりました。 (みゆき)

・もしも原子がみえたならでわたしは、とても緑がたいせつだということをしりました。そして車にかんたんにのっていたっりするけど、見えないせかいでは、とってもわるいことがおこっていて、そして人にもわるいんだとしりました。
 本当はなかった分子ができてしまって、それは人や生き物によくないのに人は自分たちで自分たちを苦しめていることもしりました。もしも原子がみえたならをやっていろいろなことに気がつきました。 (あやか)

・原子のことがよくわかってよかったです。原子のべんきょうはとても楽しかったです。原子や分子に色をぬったりして、とてもおもしろかったです。いろいろな原子が分かってよかったです。こういう勉強は、またやりたいです。 (ゆきな)

・わたしは原子とか分子とかよくわからなかったけど、これを勉強して原子と分子のことがよくわかったのでうれしかったです。それといろんな原子があることがわかりました。わるい原子とかもわかったし、いろんなことを原子たちはしているんだなあと思いました。(さき)

・もしも原子がみえたなら、ぼくは気持ち悪くて空気もすえなくなってしまうと思います。原子の勉強はたのしかったです。 (いさむ)

・いろいろな原子が分かったのでよかったです。それに、いろんな自然の分子、いろんなわるい分子が分かって、とても楽しかったです。もっと分子や原子があるのだったら、それもたくさんしりたかったです。またやれたらやりたいな。 (みなみ)

3. 終わりに
 これだけのステキな感想をもらえて、やっぱり「もし原」をやってよかったなあと思っています。
 子供たちといい関係でありたいといつも願うのですが、何も肩をはらなくても、こうやって仮説実験授業をやっているだけでいいんだということを改めて感じました。
 最後に、こんな感想をもらってごめんなさい!というくらいの感想を紹介します。

・いろいろな原子や分子がいてとても楽しかった。パンツ分子やこわい分子もいたから、おもしろかったしこわかった。何でもわかってよかった。サリンとかもこわいし、けどいろいろな原子がみえたみたいだった。すがはら先生がたんにんでよかったです。パンツはすごくおもしろかった。まだまだしりたい。科学さいこう。(かよ)

 この言葉を胸に、来週から《電池と回路》を始めます。

そう言えば…という話題を 
 最後に感想を載せたかよちゃんは、3人兄弟の末っ子。上の2人は分子模型セットを持っていたのです(笑)
 新学年が始まった4月5日、学校から走って帰ってきて、お母さんに叫んだそうです。
「やっと、かよも菅原先生になった! これで原子の勉強できる‼️」って、、、。

コメント

  1. 期待されてそれに応えるって難しいですけど、仮説実験授業ならそれができる。世代を越えて喜ばれるのは嬉しいですね。

  2. 〈たのしさ〉は伝染しますよね。コロナウイルスの伝染は嫌ですが、たのしい授業の伝染は、教師同士、子ども同士、保護者同士、どんどん伝染していって欲しいです。わたしたちは、そのための基になりたいものです。変なワクチンが来たら、するりと型を変えて、また増殖すればいい。

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