角 政文
2024/10/10
M小1年(6人),Y小2年(14人+特支2人 こちらを中心に)にクレヨンで自分の顔を描く取り組みをしました。取り組みにあたって,わたし自身の顔,担任の顔(2人)を描いてみて,段取りを確認しました。
本レポートの写真は,子どもたちに手順を見せるためにいち工程ごとに写真を撮り,パワーポイントにまとめたものからとりました(ここでは,スライドそのものを縮小してあります)。
本番では,
①「次はこれするよ」と まずパワーポイントで見せ,
②「ライブでやるよ」と子どもたちを集めて,その工程をライブでわたしがやって見せ,
③「さぁ,自分でも やってごらん」とすすめました。
この〈指導者がライブでやってみせてから子どもたちが描く〉のは,キミ子方式で指導(もやし・イカ・落ち葉・ニワトリ・青い空…をやりました)してて有効だったので,以来,わたしのデフォルトとなりました。あと,子どもたちに絵を描かせる前に,わたしのつくった完成作を見せることもデフォですね。
授業で使ったスライドと進め方
以下に,わたしが授業で使ったスライドを紹介します。実際の授業では,もう数枚,提示しています。
スライド
指導上のポイント,よびかけなど
まずは,2人の担任の先生(2年生,特別支援)と,わたしの顔をの写真を見せます。
そのあと,わたしが描いた「3人の顔」を見せました。
1
「顔を描くのは,教室をあかるくするためだ」とは,ふき子ばあばさんに教えていただきました。
2
柳田小では,卒業式のときに校内掲示として1年生のときに描いた自分の顔の絵を掲示するのです(タイムカプセルみたいに)。現在の2年生が,1年生のときに描いた顔がみんな,横長だったのです。それで,この取り組みを入れました。
3
クレヨンは鉛筆とは違い,消してやり直しができない。それで,色の薄いミカン色で描いていくのだ とは,ヒゴミンさんのヒゴログにありました。
4
最初は,鼻のあな。
これは,ふき子ばあばさんに拠りました。「顔を鼻から描く」というのは,かどにとって「酒井式」(酒井臣吾)が初出だと思います。
ふき子ばあばさんの「顔の真ん中は鼻ですね。だから,画用紙の真中に鼻を描くと,下に口,上に目となって,場所がわかりやすいのです」という説明の方が,酒井先生より,わかりやすいと思います。
5
目の輪郭を描きます。「両方がすぼまっていて,葉っぱを描くように」と言葉をそえました。
ふき子ばあばさんに拠ります。
6
目の玉を描こう。「目のふちにひっついているんだよ」とも言いました。ひっついてない。まん丸の黒目も黒板に描きました。子どもら「それじゃ,怖い」と言いました。
ふき子ばあばさんに拠ります。酒井先生もおっしゃってましたっけ?
7
まつ毛を描こう。
ふき子ばあばさんに拠ります。
8
まゆ毛を描こう。キミ子式で描いたように,中央から1本1本描きました。
ふき子ばあばさんもおっしゃってます。酒井先生もおっしゃってましたっけ?
9
上唇を描いて,下唇を描きます。
口が開いていることに注意。
ふき子ばあばさんに拠ります。
10
口の中,歯を描きましょう。
歯は真ん中の2つから描いていきます。ふき子ばあばさんに拠ります。
11
顔の輪郭を描きます。
ふき子ばあばさんに拠ります。
12
「色をつけていくよー」と。「みんなの顔は紙みたいにひらべったくないよね。鼻は盛り上がっているし,ほっぺは丸いよねー」と声をかけ,次のスライドへ。
13
左の絵に赤の線を入れたものが右の絵なんですが…。
「鼻が盛り上がり,ほっぺが丸く見えるのは どっち?」と聞くと「右」と子どもたち。「こんな感じで色をつけていこうね」と声をかけました。キミコ方式(イヌの毛)でやったことから。
大家先生の小木小での指導も こうした線を描いて見せて,すすんでいました。
14
まずは,ミカン色で鼻などが盛り上がって見える線を練習します。さらさらさら…。
「ミカン色から」は,ヒゴミンさんのヒゴログ。
15
次に黄色を重ねます。さらさらさら…。
ヒゴミンさんのヒゴログ。
16
そして,ももいろ。さらさらさら…。
ヒゴミンさんのヒゴログ。
17
最後に うすだいだいを重ねました。
ここは,しっかり。
ヒゴミンさんのヒゴログ。
18
黒で目やまゆ毛を描きます。まゆ毛は毛を1本1本。ヒゴミンさんのヒゴログ。
19
目を塗ろう!と。
まず「友達の目を見てごらん」と見させました。真ん中が黒いと発見させました。
「そこから光が入っていくんだよ」と話し,真ん中をあける(下図のように塗る)ことを話しました。
20
今度は唇。
お互いに唇を見て,「唇には,たてじま が入っているね」と確認し,「たてじま で描いていこうね」と確認しました。
まず,桃色でたてじま(上図)を描き,その後で赤でたてじま(下図)を重ねました。
色の順番も,ヒゴログにありました。
21
髪の毛は1本1本,描こうねと。
この図を見せて,話しました。
22
髪の毛もいくつかの入りを重ね塗りました。
まずこげ茶色。そして茶色。最後に黒で塗りました。色の順番はヒゴミンさんのヒゴログにありました。
完成です!
子どもたちの作品(小学2年生)
参考にした先行実践
※文中にも書きましたが,「クレヨン かお」でweb検索して,ヒットした以下のHPなどを参考に実践をすすめました。ありがとうございました。
・YouTube「ふき子ばあばの図画工作指導知恵袋」
・「ヒゴログ」
・大家志夫先生が小木小1年生に指導された手順(このとき わたしは特別支援学級担任として,特別支援学級の子を支援しました)。
実践のあとで…授業者の振り返り
黒田康夫先生ありがとうございます
そして,『たのしい授業・2024年2月号』の黒田康夫先生の文章を読みました(地震で散らばった本の整理中)。その後,黒田先生に連絡をとり,いくつかの「授業プラン」を送っていただきました。サークルのみなさんと協力して,開発されたプランをより多くの先生方に提案しておいでます。
正しい「研究」の姿。
「『研究は社会的行為である』から,成果も失敗も共有され,みんなの財産とされるといいなぁ…(かど語訳)」にイカレちゃいました。
そうして ふりかえると,自分のやってきた すべてのことは,キミ子さんや酒井先生(法則化),大家先生…など,これまでわたしが出会った,たくさんの先生方の肩の上でした仕事であることに気がつきました。定年から2年,いつまで教員を続けられるのか…と思います。
レポートにまとめる,大きなモチベーションになりました。
黒田先生,ありがとうございます。
パワーポイントの威力,そしてライブ
Y小でのこの実践は,昨年度担任していた特別支援教室(自閉・情緒)の男子2人を含む,2年生16人(男子14・女子2)の実践です。強力に段階を踏んで<全員がわたしの設定した「B基準」をクリアした作品を提出するを目あてとした実践>になりました。
昨年の図工では,1年生の担任の先生が教科書の例を見せて,「こんな感じの作品つくろねー」と。なにかうまくいかないときに,個別に対応される実践が多かったように思います。「意図した作品の基準がうまく伝わってない作品」や「作品が提出されない」こともありました。
今回,全員が作品提出できました。提出できたのは,パワーポイントをつくったことが大きいとふりかえって思います。
最初に,わたしが描いた3枚の作品を見せました。そのあと「こんな風に描いたんだよ」とパワーポイントをザッと見せ,ライブでも描いてみせたのです(ここでは,今年の特支級担任を描きました)。
すなわち,
① 達成される目標(わたしの作品)と
② 全工程中での現在の工程の位置
が意識されることで,子どもたちが作品の完成の見通しが持てたことが,提出が達成されたのだと思います。
この作品のB基準としては,
・丸いものは丸く描く(塗る)。
・クレヨンの重ね塗りを楽しむ。
を考えていました。
サークルでの質疑応答…さらなる振り返り
2024年7月20日(土)に,サークル「珠洲たのしい授業の会」で上記のレポートを発表をしました。
そこでの質疑応答などをメモしておきます。
事前に担任2人の分の絵を描かなきゃいけないのは,負担ではないか。
まず,かど自身のを描いたんです。ただ,多くの子どもたちには髪の毛があるので…。かどの絵 見せても,髪の毛は…って参考にならない。だから,髪の毛のある担任の顔を描こうと思った。男子の絵 描いたら,女子の絵も描こうと思った。普通は事前作品は1つでもいいと思います。かど には,毛が無かったという特殊な事情です。
ミカン色というのは,普通の12色セットに ないのではないか。
アマゾンで,バラで20本買いました。人数分をカバーする。
「目じり」とか「目がしら」,「みけん」などという言葉は,2年生にとって難しいと思うが。
手順5で「目じり」とか「目がしら」とか「みけん」とか クイズにしました。「じんちゅう」とか「おとがい」とかも言ったかも。
順11で,「りんかくを…」って,そんな簡単に描かせれるの?
ここは,みんな集めて,顔を触らせながら描いて見せたんです。
「みんな,耳の上のあたり触ってごらん。口を開け閉めするとピクピク…動くところあるでしょ。そこコメカミっていうんだよ。かたいコメの粒を噛むとピクピク動くから,コメカミっていうらしいよ。右のコメカミから左のコメカミまで描いていくよ。コメカミ,どう? さわってカタい? そうだね。カタいね。骨がすぐ近くにある感じ。すこし下がって,耳の横,ちょっとへこんでるネ。また下がって,ホッペ。やわらかいね。プニュプニュしてる。『やわらかいよー』って言って,描こうね。また,下がって…,あご。どう? カタいね。今度はアガっていくね…。またポッペ。『やわらかいよー』だね。そして耳の横,ちょっとへこんで…,さぁ、コメカミ。長いけどイケそうですか? じゃ,やってごらん」こんな感じです。
これ酒井式(法則化)にあります,タブン…。
なんだ。ひっどい丁寧な指導があるワケね。それ書いておいてよ。
わっかりました(ここに書きました)。
手順14で,さらさら…って どんな風に塗るの?
あまり力を入れなくて,さらさら…っと。集めて見せてますから,そこで伝わる。
ここの線って大事な線なんでしょ? みんなにすぐ伝わるの?
正直.簡単でないです。机間指導です。
子どもの手(とクレヨン)持って,一緒に描いたりもしました。「ミカン色」「黄色」「ももいろ」「うすだいだい」と何回も繰り返すので繰り返しているうちに…,なんとなく,わかってくるみたいです。
それから…。大名行列するんです。
このあたりになると,ひと工程終わると,みんな 教師のテーブル集まってくるようになるんですね,自然と。みんなが集まったころで,みんなのテーブルをみんなで回るんです。そして うまくいってる子のやつを褒める。「いいね,この線。鼻がつきだして見えるよ。ポッペ丸いねー」って。
そして「みんなさー,国語,算数のときって,友達のいい意見,取り入れて考えるでしょ? 図工も一緒。『ああ,イイなー』と思ったら,マネすればイイの。友達の考え・アイディアを自分の作品にいかすの!」と言いました。
これも「うまいことイッタ ポイント」だと思います。かど は,図工の時間,いろんな作品で,大名行列,フツーにやってます。工作とか とても有効です。
B基準って何? 最近じゃ「B基準をクリアさせましょう」なんて管理職が言うの?
その作品で達成させたい技術なんかのコトなんで,自分の造語です。「B基準」に達してなければ,Cだというような…。
指導案に「評価基準」書くじゃないですか。「評価基準」に達してない子には,なんらかの手立て・支援を打って「評価基準」を達成させようとするじゃないですか。
昨年の図工のこと,チョロッと書いてますけど,「それは,評価基準に達してないのではないですか」という事例 いくつか見ちゃった,見えちゃったンですよ。まぁ…国語・算数の教材・授業研究より,図工の研究が必ずしも充分といえないのも,しかたないのかもしれないけれど…。
そこで,今年,かど かんばった!という部分が強くあります。
(作品の写真を見て)充分にB基準クリアしてると思うけどな…。
ありがとうございます。子どもたち がんばりました。達成するヨロコビというのか…,そんなものを,この子たちに味わわせたいな と思うのです。
黒田先生の「和風ペン立て」なんか,2学期の終わりごろにでも,やれないかなと思うのです。自分が作ったものが親の人なんかに「ほんとに,アンタが作ったのか? すごいぜ」と言ってもらえるような,自分が誇りに思うような作品として「和風ペン立て」は,けっこう有効なのではないかと思うのです。
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