珠洲たの通信・2022年10月号

2022年度

 男(女)心と秋の空 変わるもんだよ 日に三度 
という唄があるように,秋の天気は変わりやすいですね。今も犬の散歩に行っていたんですが,いきなり雨と雷が襲ってきました。念のためちゃんと傘を持っていったので助かりましたが,雷は傘では防げないので怖いです。
 さて,10月~11月と言えば現場では秋の研究発表会などがあったりしますが,今年はどうだったのでしょうか。何か得るものはあったでしょうか。少しでも目の前の子どもたちに還元できるものがあればいいですね。
 わたしの生活は相変わらずです。6月末から,定期的(10日に一度)に行ってきたアメリカザリガニ駆除調査(環境省がらみ)も,先日終了しました。一旦広がってしまった生きものを根絶することはできないですね。また畑の方は,昨日エンドウのタネを植えて,今年の植え付けは終わりです。大根やブロッコリーの収穫が始まっています。そろそろキャベツや白菜が収穫できる頃です。鍋の季節ですからね。
 一方,珠洲たののHPの方は,わたしの趣味部分の整理整頓に移っています。そろそろ本HPづくりに時間をかけるのも終わりかな。
 ところで,今月は紙の「サークル通信」ではなく,こちらのサイトの方を優先して作ってみました。サイトは字数に制限がありませんので,どれくらい書くことになるやら…。

例会の参加者(5名)  N.T  W.T  S.Ma  S.Mi  O.M

今月の写真

「化石発掘」のやり方は,下記『たのしい授業・2021年5月号』に掲載されています。

今月の本棚

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今月の資料の紹介

1.「楽しく進む」 B5 1p N.T
 学校の遠足で柳田植物公園の敷地内にある満天星に行ってきたそうです。事前に,子どもたちと星の学習をしてからの遠足だったので,よかったそうです。当日はあいにくの雨だったのですが,満天星の施設の中でも子どもたちは十分楽しんでくれたようです。この事前学習には,本サークルでは定番の『星のお兄さん』も見せたそうです。
 遠足先はお隣の町なのですが,満天星に初めて入ったという子もいたそうです。最近の親御さんたちは連れていかないのでしょうかね。それとも,教員の家庭とはやっぱり違うのかな。時間が許せば,近くのいろんな施設に連れていって欲しいなあ。
 Nさんは,この遠足を例にして,日頃の「種まき」の大切さも話してくれました。
日頃から月の本を読み聞かせしたり,月の豆知識を放送したり,天体望遠鏡を置いておいたりと,自分の趣味を活かして,興味のきっかけの種を蒔いています。(レポより)
 2つめは授業参観のこと。今回は,授業の課題の工夫より「子どもたちが活動しているようすを保護者に見てもらう」ことをめあてとして行ったそうです。結果,保護者にも喜ばれる授業になったようです。下の保護者の感想を読むと,頷けます。
今まで自分から手を挙げることが全くなかったのですが,今日の授業でたくさん手を挙げているのを見て,先生がマジシャンのように見えました。
 なんと素敵な感想でしょう。
 3つめの話題は仮説実験授業《もしも原子が見えたなら》のその後です。授業後1ヶ月が経っても,未だに根強い人気があるようです。自学で原子について調べてくる子も続いているし,まるい磁石を見ただけでも「原子だ!」と叫ぶ子がいたり…。
 この《もし原》の話題から,「授業等における体験の共有が,その学級メンバーの紐帯となることも多い」という話題も出ました。
 朝の連続小説で同じ本を読んでいる。仮説実験授業のいくつかの《授業書》を体験している…などが,「クラスのメンバーで共有している知識としてその集団を包み込んでいる」ような気がするのです。ただし,どんな〈要素〉でも紐帯のタネとなるのかどうかですが,わたしは〈単なる遊び〉では弱いような気がします(まったく効果がないとは思わないが)。一緒にじっくり学んだこと,そして応用範囲が広いことなどが,貴重な〈要素〉になるのではないでしょうか。たとえば,算数における「ビンヅメ・カンヅメ」の考え方が,ほかの日常的な場面でも使えたりすることです(見えないものに対して,「これ,カンヅメだからね」とか)。
 このように授業の中から,その学級独自の文化などができあがってくると気持ちいいでしょうね。これは学級王国のいい面だと思います(学級王国という言葉は悪い面で使われることが多い)。

2.サークル資料 A4 1p  W.T
 器械運動の授業では,峯岸三部作(上記「今月の本棚」見よ)を使って指導をしているというWさん。子どもたちのウケもいいそうです。日記にも「鉄棒の授業が楽しかったです」なんて書いてくるそうです。いいですね。ただ学校の設備上の制約のため(鉄棒の数が少なくて),見学する子が多くなってしまうのが問題だとか。体育の授業は,体を動かしてこそ…ですので,十分な環境が大切ですよね。このような備品については,学校側もすぐには対応できませんので,気づいたときにメモをしておいて,管理職や事務職員にしっかり伝えて,少しずつ充実させることが大切ですね。
 年に1度,「何か備品などで希望するものはありませんか」と聞かれることがありますが,そのときにちゃんと言えるかどうかですよね。消耗品であっても,揃えておいた方がいいものがたくさんあります。でも,それらをすぐには思い出せないので,ちゃんとどっかにメモっておくことが大切です。
 たとえば,わたしは新しい学校に異動したとき,「○○がなかったらすぐに注文する」と決めている○○がいくつかあります。実際,水の入ったビーカーが載せられる秤量の大きな上皿天秤や,クラス人数分の小さなサッカーボールを買ってもらったりもしてきました。自分がやってきた中で「どんな授業がよかったのか」を思い出し,その授業をするために必要なものを前もって準備しておくということが大切です。
 「今ある備品でなんとかやりくりする」という工夫が必要なこともありますが,できるならば自分が「このやり方はいい」と思ったものについてはちゃんと準備する方がいいと思います。もしそれが学校でできないようなら,結局自分で買って一揃え持っているのが一番です。
 下村健一著『10代からの情報キャッチボール入門 使えるメディアリテラシー』(岩波書店)という本を紹介してくれました。本書は子ども向けにもなっていて「多くの事例や問題が載っていてイメージしやすい本」(W)だそうです。Wさんは,
著者は,ものすごいスピードで,四方八方から情報が飛んでくるインターネット社会では,食事の仕方や道の歩き方と同じように,「情報の受け止め方」や「正しい発し方」も教わらなくてはならないと述べています。
と書いています。そのために,下村さんは情報の受信と発信について,それぞれ4つのPointを挙げています。
〈情報発信のための4つのギモン〉
・まだ分からないよね?
・事実かな?意見・印象かな?
・他の見え方もないかな?
・隠れているものはないかな?
〈情報をしっかり届けるための4つの「ジモン」〉
・何を伝えたいの?   (明確さ)

・決めつけていないかな?(正確さ)
・キズつけていないかな?(優しさ)
・これで伝わるかな?  (易しさ)
 なるほど,こうしてPointを絞ってもらうと分かりやすいですね。
 「珠洲たの」のHPも,ちゃんとこの4つの「ジモン」に耐えられるようなものになっているのかな。ちょっと心許なくなってきました。
 最後にWさんの感想を。
これからは,「伝わる」だろうかと考え努力すること,そして,「伝えました」はいいけれど,「伝わりました」か?とジモンしていこうと思います。【情報のキャッチボール】では「思いやり」が大事であると筆者は述べています。(W)

3.「子どもたちが変わっていく?」 B5  4p  S.Mi
 その後の子どもの変化について,明るい話題を届けてくれました。
 まずは,トモ君(仮名)のこと。毎日の日記の内容が,最近変わってきたそうです。これまでは日常の不満だったり,単なるその日のできごとの記述だったりしていただけだった日記の内容が,「最近は,自分の思っていることがいっぱい入ってきた」(S)そうです。そしてさらには,自分が書いたことに対して「先生はどう思いますか」とコメントを求めるようになってきたというのです。「毎日書いて先生に提出する」というだけの日記(宿題)なのに,こうして確実に子どもたちの心を開いていくんですね。Sさんが一人一人に添えるコメントを読んでみたくなりました。そこに変化のヒントがあるはずですから。
 またマサヤ君(仮名)の変化も大きいです。Sさんの表現を借りると「劇的な変化」だったそうです。あえて(と,わたしには見える)学校完全否定の態度をとって自分を保とうとしていたマサヤ君が,これまた,ちゃんとSさんに素直になってきました。そして学校のアンケートの調査で,「学校は楽しい」に○をつけるまでになったのです。
 職員室では,このようなマサヤ君の変化の大きさにビックリしているだけのようです。「なぜ,ここまで変化したのか」という管理職の問いに答えるためには,管理職自身が「なぜ,今までは変化しなかったのか」ということを再検討しなければなりません。これまで,職員室(管理職を含む職員)が,彼にどういう対応をしてきたのかを明らかにしていくことで,どんな子どもたちとっても過ごしやすい(「学校は楽しい」に○をつける)学校に改善していくことでしょう。逆に,そのような職員室内の反省がない学校では,第2,第3のマサヤ君が出てくるだけです。実際,マスコミが報道する不登校児童生徒数の右上がりのグラフは,残念ながら反省のない学校ばかりだということを証明しています。
 マサヤ君の変化は,周りの友だちとの関係にもいい影響を与えたようです。子どもたちはよく見ていますね。そして周りの子どもたちも変化していくんでしょうね。
 がしかし,残念ながら,学校にもなかなか変化できない人たちがいます。
 どこにいるかって? 
 それは職員室にいっぱいます。だから,学校は変わらない…。

4.算数プラン〈円の面積〉とその授業記録 B5  18p  S.Mi
 夏の大会で自らが体験した〈円の面積〉というプランを授業にかけ,久しぶりに全授業記録(5時間分)を書いてみたそうです。以前,仮説実験授業研究会で「授業記録は生きてる私」という授業記録シリーズのガリ本が発行されていたこともあります。授業記録を書くと(読むと)は,あの楽しかった授業を,もう一度,教師も子どももたのしむことができます。ただでさえ時間がない中で,授業記録を起こすのは大変だけれども,その分,その作業中だけは他の嫌なことは忘れることができるので,精神的にはけっこういいんです。
 録音された自分の声を聞いて,「この説明じゃわかりにくいよな」とか「わたしばかりしゃべりすぎ」なんて気づくこともありますし…。ただ,このような教師の口調や仕草はほとんどその人のクセのようなものであり,子どもはわりと柔軟に適応していることが多いので,そんなに気にするほどのこともないような…。
 さて本プランには,上皿天秤や顕微鏡が出てきます。なんで「円の面積」の授業に,天秤? 顕微鏡? ということですが,そこは作成者の出口さんにあたってください。ここでは,そういう工夫された授業書であり,子どもたちはたのしんで授業を受けることができるものとなっている…ということだけ伝えておきましょう。
 では授業後の子どもたちの感想をいくつかご紹介します。
・てんびんの考え方をした人は,すごいなと思いました(1時間目)。
・ギリシアの科学者アルキメデスが天才だと思いました(1時間目)。
・円を切ったら長方形になったのがびっくりしました。江戸の人が円の面積を求めていたのがすごかったです。(4時間目)
・分からないことが分かってすっきりしました。最後にやったπ(パイ)をまた使いたいです。(5時間終了)

 今回の報告で印象深かったのが,最後のお話についてのSさんの捉え方の変化です。そのあたりのことをレポートから引用してみます。
この「不可能の発見」という話を始めて聞いたとき,6年生には難しいなあと思っていました。…中略…でも今日,お話を読み進めていたら,みんな真剣に聞いてくれたし,ちゃんと反応してくれました。録音を聞くと,「へぇ~」とか「すごい」なんてつぶやきがいっぱい聞こえました。そうなんだ,できないということを見つけることも大切なんだということが腑に落ちたんですね。(S)
 授業書の善し悪しは,子どもが決めるというのがわたしたち仮説実験授業研究会の研究姿勢です。本プランも,さらにたくさんの授業を重ねることで,よりいいものになると思います。完成がたのしみですね。Sさんは,この記録を作成者の出口さんに送付しています。これが研究の積み重ねです。
 みなさんも,授業記録を書いてみませんか。とても楽しいですよ。ただし,体調管理には気をつけてください。わたしはそれで何度も熱を出していましたので…。ついつい夜遅くまでやっちゃうんですよね。

5.「喃々レポ・2022年10月号」 A5  4p  M.O
 今月は,まず,新「珠洲たのHP」に関する話題をまとめてきました。今年の3月ごろから,新ドメインを手に入れて,新しいサーバーに移行する作業を進めてきました。そして,以前のHPよりも,いつ,どれくらいの人が,どんな記事を読んでいるのかが,よく分かるようになりました。これはGoogleのおかげです。今回は,その中間報告のようなものです。
 Amazon AffiliateやGoogle Search Consoleなど,HPを作っていない人にはなんのことなのかわかんない情報のはなしでしたが,少しはみなさんにも興味を持ってもらえたようで,ちょっとだけ安心しました。
 二つ目の話題は,授業書の英語化に関わって,新しい人との出会いがあったという話です。
 現在,志賀原発運転差し止め訴訟などの原発反対運動に関わっているある女性が,数十年前に板倉先生に頼まれて授業書の英訳をしたことがある…というのですから,興味深い話です。これは,後ほど,詳しいことが分かると思います。分かったら,また,紹介しますね。  

 ほかにも,来年の干支の毛筆(墨絵),全国大会の参加記「夏の大会のこと」やその全国大会に持っていった資料「やりたくて《もし原》をやったけれど…」「学テ対策にもの申せたか?」(いずれもS.Miさん)もありました。どれも気合いの入った内容でした。また,S.Miさんが全国大会で貰ってきた資料もいくつか紹介してくれました。大会に行けなかった一人として,こういう大会のニオイのするものに出会えるのは,とてもありがたいです。じっくり読ませてもらっています。

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