珠洲たの通信・2022年6月号

2022年度

 まずは,テロという言葉の定義をしっかり確認しておきたいと思います。

警察庁組織令第三十九条では、テロリズムの定義として、「テロリズム(広く恐怖又は不安を抱かせることによりその目的を達成することを意図して行われる政治上その他の主義主張に基づく暴力主義的破壊活動をいう。)」と規定されている。

(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a193125.htm 参照 2022年7月11日)

 今回の事件を「テロ」と言っていたマスコミや政党関係者がいましたが,今のところ,どうも「政治上その他主義主張に基づく」行為だとは思えません。今回の事件は元総理を襲ったという意味では大変衝撃的でしたが,わたしにとっては,以前,障害者施設を襲った元施設職員の若者の行為の方が,よほど,道徳教育の限界を見せつけられた感じがして背筋が寒くなりました。どちらの殺人事件も〈新自由主義がもたらしたこと〉が関わっていることは共通点ですが。
 さて,今年の梅雨は冗談ではないかと思うほど雨が降らずに,しかも短期間に終わってしまい,わたしの日常は大きく狂ってしまっています。というのも,退職してからは「晴耕雨読の生活をしよう」と決めているので,晴れているにもかかわらず家の中で本を読んだりパソコンを触ったりするのが,どうも苦手なのです。しかし,今日は晴れたからといって外へ出て一日中仕事ができるかというと,そんな半端な気温でもなくて,外で2時間も仕事をすれば,へとへとになってしまいます。結果,なんだか,どうでもいい場所まで草刈りをしたり,あまり生産的ではないことに時間を使っているような…。あ~あ。

例会の参加者(5名+子ども2名)S.Mi  N.T  W.T  O.M  H.K

今月の写真

今月の本棚

今月の資料

1.「少しずつ」 B5 1ぺ    N.T
 段々とわかってきたのですが,
「この仕事が落ち着いたらやりたいことをやろう」と思っていてもそんな時は来ないということです。やりたいことがあるときは,優先してやるか,忙しくても強引にやるしかない。(レポより,以下同じ)
 そのとおりです。「これが終わったら…」とか「これが片付いたら…」と思っている間は,結局,〈やらなければならないこと〉に振り回されてしまうだけです。「やりたいこと」をやるためには,しっかり優先順位をつけて,進めていくことが大切。
これからも子どもたちのため,自分のためにたのしいを優先でやっていきたいと思います。
 Nさんには「優先順位」を決める基準があります。しかもその基準は「子どもたちのため=自分のため」という連関があります。が,しかし,一般の教員はどんな優先順位を考えているのでしょう? せいぜいが,〈家庭〉と〈自分の趣味〉と〈学校の仕事〉を天秤に掛けているくらいなのかな。周りを見渡してみると,どんな人がどんなことを優先して動いているのか,見えてくるかも知れませんね。
 さて,今回は,国語と算数の一般的な授業のパターンをまとめてきてくれました。
○国語
 朝の連続小説,新出漢字,漢字マッキーノ,音読,教科書の扱い方など。どれもすぐに真似ができることです。が,なぜか教員は自分が受けてきた授業パターンを再現しがちです。漢字を何度も練習させても仕方ないと分かっているけど子どもにやらせてしまうとか…です。
○算数
 授業のPointとしては,少しでも自分の考えをノートに書く(問題文に線を引くだけでもいい)。その後,児童同士の関わり合いで進めるというのを大切にしていきたいということでした。
 ○○くんは,ここで止まっているけれども,続きを説明できる人はいるかな。△△くんは,どうしてこういう考え方をしたのか分かる人はいるかな…など,少しでも書けていることを認めながら児童同士で進めていく。それが,学び合いにも繋がっていくようです
 新単元の流れとしては,まずレディネステストをして子どもたちの習熟具合を確かめてから,新しい単元に入るようにしているそうです。教科書は「これまでの学習ができていること」が前提で作られているので,そこまで達していない子には無理があるんです。だからこそ,以前の学習内容も含めて計画を立ててあげたいものです。その際,計算力などでは見えない「概念」などについても注意をしていけば,たのしい授業に繋がると思います。

2.「子どもの声に揺れる自分」 B5 4ぺ   S.Mi
 前書きがおもしろい(本人に聞いてね)。
 さて,新6年生を担任してどう算数を教えるのか。教科書通りの授業をしてきている子どもたちは,当然「かけわり図」は習っていない。また「量の3用法」もあやふやであるに違いない。そんな状態で,分数の乗除を教えることができるのか…。計算法則を見つけるたのしさにも出会わせてやりたい。教科書で学んだ子どもたちは,「計算はできるようになったけれども,分母同士分子同士を掛ける意味なんて説明できない」子がほとんどだもんなあ。というか,教員だって,なぜ,その計算方法で答えが出るのか,説明できない人が多いと思うけど…。
 迷ったあげくに教科書からスタートしたSさん。すぐに退却することになったようです。
この結果を受けて,惨めな負け戦を子どもたちに強いていく必要はないと判断して,2時間目から授業プランに乗り換えました。
 この変わり身の早さが,Sさんと子どもたちを救ってくれます。Sさんが取り上げた「授業プラン」は東京の荒井公毅さんが編集したものです。もともとは新居信正先生の「量の分数」を元にしたモノだと思います。
 今年受け持った子どもの中には,学校教育や大人に対して,斜に構えている子もいるようです。思春期前期の表れとも言えるのでしょうか。
 満を持して仮説実験授業《もしも原子が見えたなら》をやったのに,数名からはイマイチの評価しかもらえなかったようです。我々教員はついつい今までの子どもたちと比べてしまいがちです。そして,落ち込む要素を見つけ出し,自分から進んで落ち込むんです。すると,次のステップに進めなくなって,悪循環が始まる。大切なのは,子どもたちに「これまでの授業と比べてどうだったのか」を聞くことです。今までの教科書を中心とした授業と比べてもらうわけです。
 わたしが,始めて出会った子どもたちと仮説実験授業をするときには,「このプリントの授業は,これまでの教科書での授業と比べてたのしかったですか?」ということを基準にして聞いていました。2本目の授業書からは,授業書の内容そのものを聞くだけですが…。
 もし,どうしても心配なら,「これからもときどき,教科書に出ていないこと,先生がみんなにぜひ伝えたいことを,こういう形で授業をしたいと思っています。そのときには,また素直な感想を聞かせてください」くらいに通信に書いておけばどうでしょうかね。
 Aくんの「0 くそだった」という文字を見て動揺したSさん。無理もないですね。でも,これは明らかに「オレをたすけてくれ」「先生ならぼくの方を向いてくれるでしょ」というAくんからのサインですよね。そうじゃないと,わざわざ「0」とは書かない。「1」で充分です。だからこそ,こういうタイミングを大切にして,Aくんと本音を話すきっかけができたのはとってもいいことだと思います。Aくんを教師の力でどうにかしようと思わなくてもいい。寄り添って,たのしい授業をコツコツと与えるだけでいい。そのうち否定的な言葉が減ってきたなと思えたときに,教師から「わたしの準備した授業を楽しんでくれてありがとう」と言えれば。

3.「サークル資料」 A4 1ぺ     W.T
 6月12日に行われた「水泳授業のへそzoom講座」に参加して学んだことをまとめてきてくれました。
・学習指導要領では「長く泳げるようになること」と書かれている。
・クロールで大切なことは「脱力」「ひねり」
・「力を入れずに体を動かす」を極める
・「頭を上げると沈む」の法則
・お化け横浮き
・全体を見ながら個別に声かけ
などです。今年の夏は,これを参考にして取り組んで見るそうです。
 また,「はじめての折り染め」という報告もしてくれました。これは,春休みにサークル内ミニ体験講座で教えてもらったことを早速実践したわけです。
子どもたちは飽きることなく2時間染め続けました。染めた物を使ってマスクケースをつくりました。
ですって…。これに対して,サークルメンバーからは,「そんなに一度にたくさんやらせるのはもったいない」「小出しにしてやらせた方がいい」という意見もでていました。さて,どっちがいいのやら。これも仮説実験ですね。
 子どもたちの感想からひとつ。
みんながとても楽しそうで私も楽しかったです。一人一人すごい個性があっておもしろかったです。

4.「喃々レポ・2022年6月号」 A5 8ぺ  O.M
 通信5月号(の前書き)にも書いたとおり,まずは,わたしと樫田先生との関わりについてまとめてきました。これをまとめながら,本当に大切な人が亡くなってしまったんだなあということを再認識していました。
 もうひとつは,元高知県教育長の大崎博澄さんの本の紹介です。今回紹介したのは斉藤裕子編『野いちごの場所で』というガリ本です。この本の文章は『季刊高知』という雑誌で連載されているものだそうです。大崎さんが今置かれている立場や弱者や子どもに対する圧倒的な信頼感について,赤裸々に書かれていて,読む人を惹きつけてくれると思います。
 一般書店では手に入りませんが,編者に問い合わせればなんとかなると思います。ご入り用の方は,おっしゃってください。一節だけ引用しておきます。
 不登校やひきこもりでは,しばしば本人や家庭の責任が問われる現状がある。それは違う。不登校やひきこもりは個人の問題ではなく,社会の問題である。個人の責任を追及している限り,問題は永遠に解決しない。責任は社会全体で背負うべきもの,という立場にぼくは立つ。(「未熟で無力で愚かなぼくのカウンセリング」93ぺ)

モンシロチョウの羽化の瞬間の映像とそのモンシロチョウ   紹介 N.R
 N家では,アオムシを獲ってきてケースに入れ,育てていたそうです。それがさなぎになり…。そして,ある日の朝,Rちゃんがさなぎを見ていると,その目の前で,羽化が始まったそうです。サークルでは,Rちゃんが撮影した映像と無事羽化したモンシロチョウを見せてくれました。最初恥ずかしがっていたRちゃんでしたが,ちゃんと,経過について説明をしてくれましたよ。

今月の体験コーナ

さそりの標本  紹介  N.T 
 サソリの模型とフクロに入れた「さそりの標本」を紹介してくれました。サソリの模型は,どってもかっこよくてどっかに飾っておきたくなるくらいです。
 一方「さそりの標本」の方は,人を驚かすための「ものづくり」です。これについては,荒居公毅さんがまとめた「こさそりの標本つくり方」というレポートに詳しく紹介されています。
 わたしも,新しい学年を持ったときには必ずといっていいほど子どもたちを驚かせてきました。ただ,最近は,あまり取り上げていません。別に面倒だからというのではないのですが…。
 この「さそりの標本」を見せるときには,ちょっとしたコツが必要です。それは,一度に全員に見せないということです。
手渡し方ですが,全員の前で見せてしまうと,1回だけの驚きとなってしまいます。そこで廊下などに一人ずつ呼んで,手渡すという方法が効果的です。(荒居さんのレポより)
 わたしもはじめてやったときには,子どもを一人ずつ理科室に呼んで,見せたことがあります。なかなか面白かったのですが,クラスの人数によっては時間がかかるのが…。10人前後しかいないのなら,空いた時間で済ませることができそうです。

 ほかには,以前Oが買って持っていたダチョウの卵も紹介し,販売しました。この卵の中身は小さな穴から抜いてあります。この卵は「人の誕生」の授業などに紹介してきました。貴重な卵を割らないように気をつけてくださいね。
 さて,もうすぐ夏休みですね。夏休みは教員の充電期間であり,教材研究の期間でもあります。2学期に必要なものはすべて印刷しておいてもいいくらいです。時間を有効に使ってお過ごしください。

喫茶店で第2部
 喫茶店では,今月もまた,おいしいバナナジュースを戴きながら,いろいろとお話をしました。で,今月,HPにアップしたのは「クラスメイトの名前を漢字で書けますか」「たのしい毛筆」です。特に「たのしい毛筆」は,子どもたちが筆で字を書くことをとても好きになること間違いなしです。折り染め用紙も使えますしね。お薦めです。

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