珠洲たの通信・2022年12月号

2022年度

 2023年,新年あけましておめでとうございます。今年も「珠洲たのサークル通信」をよろしくお願いします。
 みなさん,今年の抱負って何かありますか? わたしは,とりあえず,次の3つを目標にがんばります。
その1 現役中(過去)に発行できなかった「珠洲たの通信」を発行する。20ヶ月分くらいあるかな。イヤ,もっとあるかも。当時の提出された資料はちゃんと月ごとに整理してあるので,なんとかなるだろう。
その2 NPO法人のホームページをリニューアルする。現在のサーバーは容量が小さいのに割高なので別の場所に移行してWordpressで作りかえるつもり。どこまでできるか…。
その3 末娘の第1子出産のために4月~5月ごろ神さんが1ヶ月ほど家を空けるので,その間,しっかりお袋の世話をする。食事もしっかりとる(自分も含めて)。これが一番大変だろうなあ(^^;)

 幸い,わたしの日常は,季節と天気に左右されているので,3月の中頃まではパソコンの前に座っていても大丈夫です。なんとか「その1」だけでも今年度中にクリアしたいと思っていますが…。
 一方みなさんが勤める学校現場の厳しさは,改善されるどころか,余計に悪くなっているような気もします。そんな現場で自分らしさを失わずにどう生きていけばいいのか。先行実践を参考にしながら,工夫をして乗り切って欲しいなと思います。

例会の参加者(5名+1名)

 N.T  W.T  S.Mi  K.M  O.M  忘年会(H.H) 

今月の写真と話題になった本

ポスターと来年のカレンダー
身振り手振り

今月の資料

1.「いろいろあった12月」 B5 4ぺ  S.Mi
 東京でライブを見,仮説社を訪問し,元気を取り戻したSさん。自分の好きなことがあるというのはいいものですね。旅でも映画でも酒でも登山でも,無心になって打ち込めるものがあるというのはステキです。自由度が少なくなった現場で,たのしい授業をやってあげようにもいろんなプレッシャーがあって…という状態でもやもやするのは仕方がない。ここはひとつ酒でも飲んで,とりあえず,「どうにかなるさ」で行きますかね。
 さて,レポートの一つ目の話題は「少年日記」です。先月,「もう書くことがない。少年日記も終わりだな」と言っていたSさんでしたが,なにかまたたいへんなことが起きたのでしょうか。気になって読み進めていくと…。ここからはレポから引用します。
次は,学校完全否定少年マサヤでした。まあ読みにくい文字でがちゃがちゃと書き込みがありました。でも,最後の項目で我が目を疑いました。「2学期,自分が成長したと感じること」の欄とその横のコメントです。
 学期末に記録することになっているというこのアンケートのような用紙に,マサヤ君は何と書いたと思いますか? これまでの教師の苦労も水の泡だったのでしょうか? ドキドキしながら読み進めます。
思わず泣きそうになりました。(中略)「成長を感じること」(の欄)に書かれている「しらない人といっぱいはなせるようになった」の「知らない人」って、クラスメートのことですよ。今まで一緒に5年間過ごしていたのに,マサヤにとっては「知らない人」なのです。そして何よりも,「えいきょうを受けた出来事」(の欄)に「先生のおかげ」と書かれているのです。
 マサヤ君は,その後,とても積極的に(この前まで知らなかったという)友だちと関わっているようです。Sさん,曰く。
彼が友達と縄跳びをしたり,一緒に着替えに行ったり,分からない友達に算数の解き方を教えている姿を見ながら,人は変われるんだな,何かのきっかけでこんなに変われるんだと目の前で見せてもらっています。(以上レポより)
 教師をやっていてよかったなと思うときはどんなときでしょうか。授業がうまくいったとき。学校長にほめられたとき。子どもたちがみんな宿題をやってきたとき…。etc. いろいろあるでしょうが,やっぱり,マサヤ君の場合のように,子どもの変化に気付いたときに勝ることはないのでは…と思います。
 そして,4月以来,Sさんの周到に準備されたはたらきかけ(子どもへの絶対的な信頼感)と,それに応えることで少しずつ自分に自信を持っていく子どもたちの「変化していく様子」を横から見てきたわたしたちにとっても,とても嬉しい出来事なのでした。
 二つ目は,授業時間数が足りなくなっている現状への憂い。三つ目は,自分の身近に起きた無情な現実への思い。順風満帆なんて言葉は,どこにもありませんね。生きることの厳しさ,生きていることのありがたさを思い知ったお話でした。

2.「最近のK」 A4 2ぺ  K.M
 公私ともに忙しい今年度でしたが,今月はサークルには顔を出してくれました。忘年会は不参加だったのは残念。体調のこともあるので,無理は言えませんからね。
 レポートの内容は,体育の話題と,自分の眼の病気の話題でした。
 5,6年生の「ハードル」では,「手旗リレーハードル」という方法を教えてくれました。サークルメンバー一同,誰も聞いたことがありませんでした。Kさんも,同僚の実践を見て学んだそうです。
 この実践の優れたところは,これまで個人で走るしかなかった障害走をチームリレーゲームにすることで,個人の記録だけではなくチームの記録更新に挑戦できることです。チームで行うことで,ハードルをうまくまたいでいる友だちの姿勢を見たり,友だちへのアドバイスをしたりということが,自然にできることが大きいと思います。これまでも「友だちの走っている姿勢を見てアドバイスしてあげてね」と言ったこともありましたが,なかなかうまくいきませんでした。その点,このチーム戦はいいです。
 Kさんはこの実践について「広く行われているのかも…」と言っていましたが,わたしがネットサーフィンをした限りでは,探せませんでした。この方法を教えてくださった同僚に,是非,出典を確認してください。もし,それがオリジナルなものなのなら,もっと教育現場に拡げるといいと思います。プライオリティがしっかりした段階で,もう少し詳しく,このHPでも紹介できればと思います。もうしばらくお待ちください。
 全校への取り組みとして,毎朝,運動場にサッカーコートのラインを引いて,移動ゴールも設置して…ということをやったそうです。すると,今まで外でサッカーをやっている姿を見たことのなかった子どもたちが,我先にと運動場でサッカーに興じていたそうです。時あたかもワールドカップでしたから,子どもたちはとても楽しんだことでしょう。環境を整備することの大切さの再確認でした。それにしても,毎日毎日,学童野球でラインもゴールも消えちゃうなんて,大変ですねえ。学校教育優先だと思うけどなあ。
 最後,自分の眼の病気について話してくれました。なにやらモノが二重に見えているそうです。「右目と左目を動かす神経・筋肉がうまくシンクロしない」のが原因だとか。「加齢によるものです」と言われても,まわりにそんな人ばかりいるわけじゃないしね。自分の目に合ったメガネも手に入れたらしいので,少しずつ改善すればいいですね。こんな状態になりながら,以下の一言にはわらっちゃいます。転んでもただでは起きない…。
本屋さんなどの棚が,ウェーブする。新しい視点,多面的な視点をゲット。(レポより)
 なんのこっちゃ。

3.「Shooting star」A4 1ぺ  N.T
 今月のタイトルが「耐え忍ぶ」。なんともやるせないタイトルです。このレポも印刷する間もなかったようです。
 追いまくられる日々。結局,産休補助教員も来ず,これまでの職員たちで教員一人分の授業を分けて受け持っているそうです。ただでさえ忙しい現場なのに,これ以上,どのように時間を探せというのか。ベテランならいざ知らず(ベテランでも大変なのに),初めて担当した学年とか教科書の内容とかに対応しながら,授業時間数が増えるというのは,狂気の沙汰としか思えません。わたしは「こんな緊急事態なのだから○○教育事務所の先生方が学校現場に助けに入るのが普通だろう」と思います。現場をよく知っている学校長たちがみんなでそう呼びかければいいでしょう。それができないで,辞めた教員宅まで来て「どうか学校に勤めてくれないか」と言うばかり。こっちも介護やらなんやらがあるから家にいるだけなんだよね。
 安心して子どもを産めない,余裕をもって働けない,そんな学校現場で働きたいという若者はさらに減っていくだけだと思います。これまで以上に採用試験の競争率が下がることでしょう。石川県の教育行政はいったい何をやっているのやら。
 困難な現場にいて,自分に呼びかけるNさん。「どっちに転んでもシメタ」「理想を掲げて妥協する」「一匹羊の強さ」…そんな言葉に勇気づけられながら,なんとかやり過ごす日々が続いているようです。あと3ヶ月。自分を潰さないように,どっかで息を抜きながら…。
 こういうときに限って,クラスの子どもたちもだんだんと落ち着かなくなります。そりゃそうでしょ。担任と子どもたちとの共居(きょうきょ)の時間をしっかり確保してこその学級づくりですからね。事務的(授業が終わったらハイさようなら的)な対応では,子どもたちはついてきてくれません。こうなると悪循環に陥っていきますよね。それをくい止めるのは,たのしい授業しかない。ゲリラ的にでもいいので,どこかで〈子どもたちとたのしさを共有できる時間〉を作って乗り切ってください。あと3ヶ月です!

4.「理科レポート・宇宙への道」 A4 1ぺ  N.T
 ある部会に提出した実践レポートです。小学校で扱う天体に関連した単元の内容をしらべ,その上で「そのために○○をしてみた」と実践例を書いてます。
 実践例としては,以下のような内容を挙げたそうです。
DVD『星のお兄さん』,星座パズル,ワークスペースに天体望遠鏡,全校集会で星の話,宇宙の広さの話,遠足で「満天星」へ,その他の宇宙関連グッズ。
 先述のKさんのレポートにもありましたが,〈子どもたちを包み込む環境〉ってわりと力を持っています。Nさんは,自分が好きな天体のことを子どもたちにも好きになってもらおうと,学校全体に働きかけています。それがモノを置いておくことだったり,全校に話をすることだったり…ということです。
 担任としての仕事だけではなく全校にも拡げていくなんて,もう立派な理科専科ですね。準備,後片付けも大変だけど,子どもたちの喜ぶ顔を見ると,大丈夫でしょう。

5.「喃々レポ・2022年12月号」 A5 8ぺ  O.M
 今月の話題は,民生委員のことです。何をするのかもよく分からないまま引き受けたこの仕事。やっと公務員から解放されたと思っていたのに,民生委員というのは「非常勤の公務員」らしいです。「え~,またオレの生活に縛りができるのか」というのが引き受けたときの第一印象です。かといって,昨年末まで,3期12年も務めてこられた方にお願いされたらイヤとはいえないしねえ。
 民生委員には守秘義務があるので(教員にもあったけど),今後,サークルであれやこれやと話題にすることはありません。が,わたしが,今後,そういう仕事(給料はあたらないので職務というらしい)をしているということは知っていて欲しいと思って今の気持ちなどをまとめてきました。ただ民生委員の歴史や外国の様子などは,調べてみるかも知れません。そしたらまた報告します。
 もう一つの話題は,本の紹介です。特に,気に入った本を3冊紹介しました。
○浜田寿美男他共著『学校という場で人はどう生きているのか』(北大路書房,2003,248ペ,2200円)
○ジョン・カーリン著『インビクタス 負けざる者たち』(NHK出版,2009,334ぺ,2000円)
○シェーン・マーセット著/兼子美奈子訳『化学についての対話』(ガリ本,2022,400ぺ,1320円)

 『学校…』は再読です。アンリ・ワロンの研究者・浜田寿美男さんがまとめた本です。今回は本書に出ていた「共居(きょうきょ)」という言葉を紹介しました。「傍にいるだけで~♪」という歌がありましたが,そんな感じの言葉です。今,学校に必要なのは,こういう「なんのための時間か分からない=無駄に思える時間を子どもと共にいること」ではないでしょうか。
 『インビクタス』は南アフリカ共和国が大変革するときの様子を書いたものです。同名の映画と共に紹介しました。これも,お薦めです。ネルソン・マンデラのヒューマニズムへの信頼が随所に出てくるので,感激すること間違いなしだと思いますが…。
 『化学についての対話』は,1800年代の本です。それを訳してくれたのが,仮説実験授業研究会員の兼子さんです。現代では間違いだと分かっている「熱素カロリック説」を使って,子どもたちにいろんな化学現象を説明しているというのが,とても面白いんです。「これだけ説明できるんだから〈熱素カロリックがある〉と考えるのも無理はないよなあ」って思います。で,本書を読んだ感想を訳者の兼子さんに送りました。その手紙もコピーして持ってきました。なんとA42ページにもなりました。我ながらたいしたもんです。子どもの頃は読書感想文なんて大嫌いだったのに,今じゃ,こうして文章を書くのが苦にならないんですからね。子どもは変われるのです。ね,Sさん!

今月の体験コーナー(忘年会の場でやりました)

〈正しく怖がるために…ロフテッド軌道とは〉   作成 O.M

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が,日本の上空を横切るように大陸弾道弾を頻繁に撃ってきた2022年。新聞によると,それらのロケット(ミサイル)はいろんな軌道を描いて飛んでいます。その中でも特に「ロフテッド軌道」という言葉をよく耳にするようになりました。
 そこで,このロフテッド軌道って,どのようなミサイルの軌道をいうのか,飛行距離や高度について調べて,大人向けのプランを作ってみました。いわゆる「イメージ検証授業」のようなものです。
 北朝鮮のミサイルがどのような軌道で日本上空を飛んでいるのか。マスコミ報道から受けた印象とどれくらいのずれがあるのでしょうか。本当のイメージをつかんで欲しいと思って準備しました。
 実際,みなさんは,本来の軌道よりも低い高度を予想していました。実際のミサイルの軌道を知ったときには,ビックリしていました。
 このプランも,どこかで紹介したいと思います。 

コメント

  1. サークルには参加できなかったけれど、内容や情報を知ることができて嬉しいです。私の職場も1人病休でいません。理由は知らされず、分からないままです。特別支援担任の私が総合を2時間受け持ちます。ただでさえ忙しいのに。何で特別支援に負担が?と思います。校長は、汗をかかず、ほとんど楽なことしかしません。でもレポートからパワーをもらって、仕方がないので、考え方を変えて乗り切ろうと思います。学校全体の給食会計(もともともと栄養士さんがいないから級外がしていた仕事)もしてます。とにかく、なんとか乗り切ります。ありがとうございました。

    • yossyさん,コメントありがとうございます。
      本当に,現場の大変さには怒りがこみ上げてきます。
      教員の職場がどうしてこうも殺伐としてしまったのでしょうか。
      喜んで教員になりたいという人が増えてくれるような職場にするのが,教育行政の仕事だと思います。
      残念ながら,本県の県教委は,まったくそれがやられていない。
      産休や病休者の代用教員くらいはちゃんと準備してくださいな。
      保護者ももっと声を挙げていいと思うんだけどなあ。

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