珠洲たの通信・2021年2月号

2020年度

 みなさん,いかがお過ごしですか。この通信が届くころには,卒業式も終わっていることでしょう。卒業式をめぐっては,現役時代(激しかったのは30代の頃),世間体を最優先する管理職といろいろやり合ったことを覚えていますが,昨年・今年と,ある意味「卒業生中心」の儀式ができたのではないかと思います。コロナのお陰。これこそ,どちらに転んでもシメタですね。
 さて,残された子どもたちとの最後の一週間。1年の締めくくりとして,「積み残しのないように」と指示されることがありますが,そのとおりです。学期末こそ,中途半端な時間がいっぱいあります。残ったプリントは提出自由の宿題にでもして(だって,昨年は配って終わったじゃん!),1時間でも多く,子どもたちと楽しい時間を過ごしてください。

今月話題の本

■2月の例会の参加者(6名)
 H.K   S.M   S.M   N.T   K.M   O.M 

資料の紹介

1 「珠洲たのレポート2月号」 B5  4p   H.K
 新しくiPhone12を手に入れ,新機種にハマっているHさん。いくつになっても,新しいものとの出会いはワクワクしますね。
①板倉聖宣著『仮説実験授業の考え方』(仮説社)
②杉山尚子著『行動分析学』(集英社新書)
③池上彰著『なぜ,読解力は必要なのか?』(講談社+α新書)
④山口薫著『発達の気がかりな子どもの上手なほめ方しかり方』(学研)
○福山雅治『福の音』(CD3枚組,全46曲)
 仮説実験授業の考え方について自分のなかで整理したくて再読した①。どんなふうに整理をしたのか,整理ができたのかを,もう少し知りたかったです。
 ②と④は,わたしがこのサークルで話題にした「行動分析学」とその応用に関する本です。今後も,この行動分析学がサークルでも話題になってくるといいなと思います。もちろん,応用編として…。
 「読解力は人生に欠かせない力だ」と③の池上さん。ま,そりゃあそうだろうと思います。読解力を身につけて,ダマされない人間にならないといけないですね。板倉先生は,「予想を持って見ることで,新聞の小さな記事にも反応できるようになる(読解できるようになる)」と,どこかで言っていたような気がします。たれ流される情報に右往左往するのではなく,しっかりとその根拠を掴むようにしていく。そのセンスを磨くためにも,①のような板倉論文を読んでいきたいと思います。
 福山雅治さんのCDの表紙には「MSHR」の文字が。あらま,これ,わたしのメールアドレスと同じじゃん。わたしもmshrなんですよ。雅治(masaharu)を身近に感じた瞬間でした。
 エッセイコーナー「コーヒーブレイク」の話題。今月のkeywordは〈伝える〉だそうです。
 板倉さん,小原さんの本などから本当の「ヒューマニズム」というものが見えてきたといいます。本当の平和教育とは,本当のヒューマニズムとは。いずれも仮説実験授業が大切にしてきたことですものね。
 最後,「夢を追いかける若者を応援したい」「夢を追いかける大人でありたい」という言葉に,わたしも同意します。これにからんで,内館牧子著『終わった人』という本の紹介もありました。
Hさんのレポートは、板倉さんや小原さんの言葉を引用していて、その言葉がとても共感できます。(N)

2 「授業実践報告①自立」(2パターン) A4  4p    K.M
 Kさんが考えたレポートの最初のタイトルが「漢字マッキーノで楽しく漢字学習」だったけれども,管理職の目を通すうちに「みんなでたのしく学びあい」と変わったようです。
 両者のレポートを比べてみたけれど,要するに,いろいろな事柄を詰め込んでまとめるのではなく,ポイントを「マッキーノ」に絞ってまとめた方が,より伝わるということですね。わたしは,添削前のレポートの方が分かりやすいし,追試もしやすいと思いました。さらには,子どもの変容もよく分かると思います。「マッキーノ」の出典やNさん作成の「ニャンコ先生」のことにしっかりふれていることは,とてもいいですね。わたしたち,現場の教員が書く文章には,こういう出典が明らかでない場合が多いと思っています。先行事例を継承していることをしっかり示すことが,教育界の常識になってくれればいいなと思います。でも,添削後の方は,何を言いたいのか分からない。単に「わたしたちはいろいろやっていますよ」という外へのメッセージでしかない。

3 「子どもの自己肯定感を高めるコミュニケーション」A5 8p  K.M
 郡の特別支援教育部会主催の講演会の内容を紹介してくれました。
 「分子と分母の話」は,面白かったです。いろいろと考えてしまいました。こういう感想も…。
さて、昨日のKさんの資料の中にあった、分母と分子の話ですが、私の中ではもっと違う説明ができないものかと考えています。/昨日(サークルの時)も言いましたが、分母を経験が作るものだとしたら、発達障害は、人が成長する過程でそうなっていくような感じを受けます。そうだと考えると、子育ての仕方が悪くて、発達障害になるということになる。まぁ、極論な言い方ですが(S)。
 わたしは,この話を聞いて,特別支援教育の子どもへの対処法の部分は「認知症」の老人への対応と同じようなことではないかと思いました。なるべく「不十分を指摘しない」。もしも「指導をするならCCQを守る」。おだやかに,そばで,声のトーンをおさえ静かに。ついつい,できないことを指摘してしまう自分を反省する毎日です。CCQですね。またレポートの中にあった,福井大学の友田明美先生の研究も興味があります。そのうち図書館で本をあさってみます。

4 「Harf Moon」 B5  3p  N.T
 「惑星~近づいたり離れたり~」と題されたレポートです。
 一つめの話題は,「理科の授業の目標の食い違い」かな。
 Nさんが目指した「理科の授業をたのしくする」という目標は見事100%を達成しているのに,テストの点数を気にする管理職。そして吐くせりふが「楽しいだけではいけない」という言い古された言葉。こんな教育界だからこそ,犬塚先生は「たのしいだけでいい!」と言い切っていたんだと思います。「点数が低ければ,興味もなくなる」なんてだれか証明したのでしょうか。そんな子は,もともと興味がなかっただけ。「科学の勉強がたのしい」という体験がなかっただけでしょう。
 そう,それは,そういう言葉を吐いている教師の過去の姿なんですよ。その教師自身が,なによりも「点数が高い教科だから好きになる」ということで入試や競争に勝ち残って来たために,それ以外のモノサシが信じられないのでしょう。分からないんですね。ある意味,かわいそうな人たちです。わたしは,点数が低かったけど,たのしい授業と出会ったために,その教科を勉強するようになったという中学生を何人も知っています。「先生,おれ,理科だけはがんばるよ」と言ってくれた子どもたち。仮説実験授業関係の本(例えば,小原さんの著作など)にも,そんな子どもたちが出てきます。たのしい経験こそ,人を勤勉にします。
 『ドラゴン桜』を読んでみたというNさん。そういえば,わたしも,学級通信に『ドラゴン桜』からの引用を連載したことがありました。教師自身が楽しんで得た情報を子どもたちに伝えることは必要ですからね。どうしたら学習内容が身につくのか,という教師側の勉強ももちろん大切だと思います。これは仮説実験授業の応用編と考えて,取り組んでみてください。
 学習内容を定着させるのならAIがいい,という話は,どうでしょうかね。くり返して定着するものって,ある? 例えば《光と虫めがね》をやっていない子どもたちに,凸レンズの虚像や実像を線で書かせたりしても,それでなにが分かるのでしょうか。図はちゃんと書けて,○はもらえても,虫めがねが作る像について分かっているとは言えないでしょう。その証拠に,あのカメラオブスキュラの問題では,カメラの原理をある程度知っている大人でさえも間違え,そして驚くのです。要するにちゃんとした学力なんて大人も持ってないんです。だからこそ,科学入門教育である仮説実験授業をやった上で,教科書の授業をすることで効果が上がるのです。
 民俗学の話は,個人的にとても興味がありました。借りた本も読んでいます。こんな内容を真面目に研究している人がいるということを知っただけでも,得をした気分になります。Nさんが文集に寄せた「流行」という話も,とてもまとまっていてよかったです。

5 「シャキッとしない2月」 B5  4p  S.M
 膝関節症のことは,よく分からないけれども,膝の痛みで階段がきつかった経験を持つわたしは,その不便さは分かります。子どもの前で正座ができない…これは直小では致命傷です。これ一つとっても,もう再任用はないと思うに充分でしたからね。どうか大事にしてください。
 生活科の発表会。人前で話す経験は確かに大切かも知れませんが,子どもの時のこういう経験が,その後どれだけ力になってはたらいていたのかの実験結果はあるんでしょうか。ディベートしかり…。その点,たのしい授業は,別に将来がどうであっても「今が楽しいからいいじゃん!」という,実に現実的で刹那的な達成感が目標なので,いいですね。その上,将来もプラスにはたらいたよ,という話もいっぱい聞きますよね。〈今をガマンして将来に備える時代〉は終わっています。

6 道徳プラン「しあわせのかたち」 B5  4p  S.M
 Zoomを使った「語り場」で知ったという漆原康之さん作の〈しあわせのかたち〉という道徳プランを体験しました。「こころ文字」という「ひらがなを埋め込んだ漢字」が出てきて,これだけでも子どもの興味を惹きつけそうです。
 実際,その後,Nさんが6年生とやったところ,とてもいい評価をもらったそうです。子どもたちは自分の「こころ文字」も書いたそうです。ということで,わたしからの卒業メッセージにも「こころ文字」を入れてみました。プランは,大人にとっては見え透いた展開だと思ったんですが,子どもたちには受けがよかったようです。道徳の定番になるといいですね。しかも習字の時間でも使えるし,何かの掲示にも使えるし。 

7 「〈アメリカ南北戦争〉から見えるアメリカ」 A5 12p    O.M
 ある西部劇映画をキッカケに南北戦争について調べてみたくなり,まとめた文章です。映画の中で見たことのない旗が出てきたので,わたしの琴線に触れたのでした。このレポートは十分な裏づけもとっていない,ネットだけの情報で作ったものなので,いつかはちゃんとしたものにできるかな。タナボタで置いておきます。次のような感想もいただいています。
南北戦争の話をきっかけにして、昔観た映画の記憶を辿る日曜日になっています。さっき思い出したタイトル「カラーパープル」。スッキリした!
ということで、なんのコメントにもなっていません(笑)(S)

 他にも「喃々レポ2021年2月号」(O)がありました。今回も最後は時間がなかったので,今度こそ,ちゃんと時間配分を考えましょう。まずはレポートの数を聞いて,何分ぐらい配分するのか考えましょう。等分する必要はないと思います。

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