珠洲たの通信・2021年3月号

琵琶湖疎水 2020年度

 新年度を迎え,新しい子どもたちと新鮮な出会いをしていることと思います。
 さて,4月に入って,わたしの生活リズムもずいぶんと変わりました。昨年まで(だけ)やっていた専業主夫は,3月29日を以て卒業しました。今年からは,ほとんと全て神さんがやります(と言ってくれています)。その分,わたしの自由時間が増えることになります。また,畑作の面積も増やしました。今までは家の猫の額畑・3畝だけの耕作でしたが,4月から近所の空き地2カ所で作り始めました。山の畑ではジャガイモを60個も植えました。下の畑は,まだ肥料と石灰を入れて畝を3つ作っただけですが,もう少し畝を作るつもりです。これらは,植物の成長と人間との関わりの記録になると思います。それから購入を迷っていたウクレレも手に入れました。メルカリで,です。コードの押さえ方はギターとは違うのですが,プラスチックの弦なので押さえやすいです。〈バネ指〉のリハビリを兼ねてやっていこうと思います。

今月話題の本・チリモン
チリモンの購入先「カネ上」

■3月の例会の参加者(6名)
 H.K   S.M   S.M   N.T   K.M   O.M 

資料の紹介

1 「珠洲たのレポート3月号」 B5  4p   H.K
 「昨年買った本は38冊,読んだ本は25冊」だったそうです。買った本と読んだ本が違うのは,だれでも同じなのでしょうかね。わたしの場合は,買った本の9割は読んでいると思います。ただし,全集物などは,そうではありませんが。
 紹介してくれた本を挙げておきます。
○小原茂巳著『〈たのしい授業〉のすすめ方』(仮説社,1600円+税)
○村上春樹著『ノルウェーの森(上・下)』(講談社文庫,560円+税)
○平林浩著『平林さん,自然を観る』(太郎次郎社,1700円+税)
○姜尚中著『生きるコツ』(毎日新聞社出版,1000円+税)
○斉藤裕子編『レモン萌ゆ』(ガリ本)
 小原さんの本は,大学生に教えていたときの教科書のようなものです。ガリ本になっていた物が,正式に出版されたというわけです。仮説実験授業の考え方がとてもよくまとまっている本のようです。この本はわたしも読んだので,以下に感想を転載します。
 著者の平林さんとは,研究会で何度もお会いしたことがある。自然についての話を聞いたことも何度かある。こんな本を出していることは知らなかった。
 平林さんは,今でこそ東京の府中にお住まいだが,ふるさとは長野県だという。
生まれは諏訪の現・岡谷市。育ったのは茅野市。父親が自然のなかに連れ出してくれた。(まえがき,p.5)
と書かれている。父親は小学校の教員をしていたらしく,平林少年は,自然と自然の中で学習をしていたのだろう。
 だから自分の子どもの頃の思い出話がよく出てくる。まさに,里山の暮らしを体いっぱいに体験していたのだろう。そして,それが,単なる少年時代の思い出として語られるだけではなく,今住んでいる東京の自宅の周りの自然や生きものの話にもつながってくる。小さいときに培われた平林少年の自然を観る目は,大人になってからも健在であることが伝わってくる。いや,健在と言うよりも,より磨きがかかって自然と向きあっているのだ。平林さんは,子どもの頃の体験を,後に学んだ科学的な知識と結びつけて,さらに,広く深く自然を観る目をわたしたちに教えてくれる。この本を読んだみなさんもきっと,身の回りの生きものをもっとじっくり観ようとするだろう。
 ところで,本書の題名は「見る」ではなく「観る」となっているが,それは次のような意図があってのことである。平林さんの学問の師である津田道夫さんに勧められたらしい。
「観る」は,その人がみずからの予想や仮説をもって対象に働きかけて見ることである。「見る」は目に映るに近い。この違いをはっきりさせるために「観る」にしたのだった。(あとがき,p.189)

 ゴキブリやカラスの話など,まさに,予想を立てて「観る」著者の姿が目に浮かぶ。
 数々の挿絵も著者のものらしい。スケッチ力のある方だなあ。
 「コーヒーブレイク」のkeywordは〈生かす〉。「自分に巡ってきたチャンスを見逃さずに,対応していけたらいいなあと思います」とHさん。まったくその通りだと思います。以前のわたしは,「なるべく巡ってこないで欲しい」と思っていたのです(それでも結局引き受けました(^^;;)が,最近は「なんでもやってみるよ」と言っている自分がいます。それだけ今の生活に余裕があるんでしょうね。

2 「ちょっと心配。だから電話,要携帯」 A5  8p    K.M
 なんとも酷い目にあったものです。自分の体でありながら自由が効かない。自分の身に大変なことが起きて,病院へ行った,というお話。
 私たちのサークルでも毎月のように〈体調が悪いこと〉が話題に上ります。研究会員のFBでも,最近,体調の変化やケガの話が出てきます。体調が悪いと,やる気もなかなか出ませんからね。下手をすると落ち込んでしまい,仕事にまで差し支えることも…。ただ,Kさんのように(あるいは最近のSさんのように),〈自分の体調の悪いこと〉をレポートにしてしまう〈強さ〉が,サークルのメンバーにはあります。これって,実は凄いことですよね。大概は,人様に知られず,じっとガマンしながら,こっそりと病院に通う…というパターンが多いでしょうから。
 そして,そこで学んだことをしっかりと見つけてくる。まさに転んでもタダでは起きない。〈どちらに転んでもシメタ〉の精神です。Kさんは,診察までの待ち時間について,次のようなことを感じたそうです。
でも大丈夫なんです。「聞いてもらって,処置してもらってる」実感があれば,待てるのです。
 ずっと放っておかれると長く感じる時間も,「こういうことで遅くなります」の一言があれば短く感じる。これは今後の生活に大いに役立つ体験となることでしょう。一言声かけ,ですね。

3 「Harf Moon」 B5  2p   N.T
 初めて6年生を担任し,はじめて子どもたちと「卒業」を迎えたNさん。いろいろな〈思い〉をまとめてくれました。レポートの内容から,箇条書きで少し紹介します。
・自分が初めて《もしも原子が見えたなら》をした学級で,仮説元年とも言える年でした(4年生を持ったとき)。
・おしつけをしないスタンスで,子どもたちとの関係は切れずにやってこれたと思います。
・卒業式前日の夕方,空っぽの教室にいると,切なさが込み上げてきました。
・自分が担任としてしたことは,準備の時間を十分にあげたり休み時間をちゃんととったり,子どもたちの負担を減らすことでした。
・たのしいことで人間関係ができると,互いにある程度のことなら許せるようになると思います。
・今一番大事にしたいことは,目の前の子どもたちのことです。

 こういう初々しい感想を読むとわたしが初めて6年生を担任したときのことを思い出します。そういえば,卒業式には羽織袴を着たんだったなあ。さすがに,この時の子どもたちをよく覚えています。しかし段々と「あれは,いつの卒業生だったっけ」ってなってきますがね。
 子どもたちといい関係で別れることができるなんて,教師冥利につきますね。たくさんの先生方に,Nさんと同じような思いをしてもらうためにも,たのしい授業の輪を広げていきたいものですね。

4 「やっぱりたのしい授業」 B5  4p  S.M
「あの大騒ぎな休校から1年たったんだと実感した3月でした」とSさん。1年生の4月が休校だったんだから,そりゃあ,他学年とは違う大変さがあったんだろうと思います。
 さて,授業プラン〈海の中の小さな生き物〉をやってみたそうです。対象は,担任の子ども(1,2年生)はもちろん,お隣の3,4年生と担任の先生,さらには複式解消講師,支援員2名と,結局,子ども11人,大人5人になったそうです。授業プランを一太郎で打ち直し,ルビを挿入して1年生でも読めるように…。この一太郎データは,貴重な財産ですね。
 授業後の感想を読むと,〈たのしさは年齢に関係ないこと〉がよ~く分かります。
○おさかなをつかまえるのは,ちょっとむずかしかったけど,とてもたのしかったです。(1年)
○大人と全然違う形をしていたのでびっくりしました。(2年)
○生き物のプランクトンは知っていたけど,ネクトンやベントスの言葉と意味が知れたので楽しかったです。(3年)
○イカやタコが貝の仲間で気づかなかったです。(4年)
○とても楽しかったです。プランクトン,ネクトン,ベントスの呼び方を初めて知りました。興味がわきました。魚の仲間やイカ,タコ,エビなど分けるのもとても楽しくできました。(支援員)
○はじめの学習で「知識」をつけるだけでなく,モンスターを探す体験も出来て,とても楽しそうにしていました。教科書に載っていないことですが,こういう授業をすることで子供は学ぶことが楽しいと感じるんだろうなあと見ていて思いました(となりの担任)
 プランをやってみたSさんの感想です。
 初めてこのプランをやってみましたが,何もやらずに「チリモンさがし」をするよりは、子どもたちは集中して探していました。今回は、授業書以外に準備したのは,プレゼンソフトに,授業書の画像を貼り付けただけですが,重要語句じゃないけど,「プランクトン」などの用語はカードにしておけばよかったなと思いました。
 なるほどです。単なる「チリモン探し」よりも最初に学習しておく方がより興味がわくのですね。これまでの「チリモン探し」が,より価値のあるたのしい教材になったというわけです。
 このほかに,新しいパソコンを巡る話,学校の「残念な生き物」(「女王様」より的確な言葉だとは思いませんか(^o^))の話などもありました。

5 「喃々レポ〈随時随所無不楽〉2021年3月号」 A5 12p  M.O
 今月は「2つの新しい出会い」についての話題をまとめてきました。
 一つは「司馬遼太郎の世界」です。殆ど小説を読まないわたしが,今,『菜の花の沖』(文藝春秋)という長編物を読んでいます。高田屋嘉兵衛という人の物語です。その司馬の小説には〈歴史の解説〉のような文章がたくさんあったことに驚きました。そこで〈小説の中に解説があること〉についてみんなに聞いてみました。するとどうも司馬だけではなく,いろんな歴史小説には,「解説」が挿入されているようです。
 もう一つは「民俗学の世界」です。Nさんが紹介してくれた常光徹著『学校の怪談』(ミネルヴァ書房)という本を読んだことをキッカケにいろいろと考えてみました。「民俗学」については,能登の世界農業遺産の話と通じる世界でもあるようですので,ちょっとアンテナを建てておきます。

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