珠洲たの通信・2019年2月号

2019年度

2023/01/16 記

 なぜか,書きかけになっていた通信を発見! あれから3年,いろいろなことがありました。
  今日,あのときのレポートを再読しましたが,なかなか刺激的な話がいっぱいあった例会だったようです。
 今回は,今までにもまして役立つ情報満載です。
 紹介した本もどれもこれも外れはありませんぞ。

2月の例会の参加者(5名) 

  S.M  K.M  N.T  H.K  O.M 

話題になった本(Amazonへリンクあり)

仮説社で購入できます

「魚釣り」掲載

「おに版画」掲載

今月の資料

1 「なにもないことはない」 B5 6ぺ   S.M
 二重否定のこのタイトル。「いつも何かある」ということの強調表現なのでしょう。と,ここまで書いて,もしかして「二重否定」という言葉を知らない人もいるかも…と思い,意味を再確認してみました。

にじゅうひてい【二重否定】
否定を二つ重ねること。また,そうした言語表現。「 A でないのではない」「かくせざる者は無し」など。形式論理としては,単なる肯定に等しいが,一般の言語や弁証法では,単なる肯定にとどまらず何らかの含意を付加する。 → 否定の否定

『大辞林・第3版』

 この『大辞林』の解説の4文めこそ,二重否定を使うことの意味だと思います。というわけで,今回も,なんやかやといろんなことが目白押しだったというわけです。
 前書きに書かれている学校現場のバカさ加減はほっておくとして(ほうっておけないけど,どうしようもないので…),ここは,よっくん(仮名)のその後を見ていきたいと思います。
 前年から話題になっている,水槽にチョークを入れるという行動をなかなかやめられないよっくん。その行動が彼の中のどこから来ているのか,担任にもなかなか分からない。でも,こういう状態を他の子たちに黙っているわけにもいかず…。
 そして担任がとった行動は,クラスのメンバーに「クセ」という話をしたことと,実際にみんなで「水槽にチョークを入れる」という体験をさせたことです。
 「クセ」はみんなにもあるよね。分かっちゃいるけどやめられない…。よっちゃんの場合は,それがちょっと迷惑なことにつながっているだけ(けっこう迷惑なんだけど)。あと,チョークを水に入れてとけていくようすをみんなで見ていたってのも,なかなか楽しい“指導”ですね。「これなら,やってみたくなるのも分かる」って思いますからね。
 その後も直らない…いや少し直ったか,と思うと,別の行動をとるようになり…このイタチごっこはいつまで続くのでしょう。
金魚の水槽には,チョークが入らなくなりました。でも予想通り,その他の行動が表れるようになりました。なぜそうなるのか,なぜそうしちゃうのか,分かりません。ただ何かしら,彼の心の中が揺れているのは事実なんだろうなということ。その揺れを収める方法(手立て)が適切ではないのかもしれないということ。(レポより
 担任教師は,自分の対応の仕方をふり返り,また,一歩前へと進んでいくのでした。
 2つ目の話題は,紙版画。『たのしい授業・2019年1月号』で紹介されていた「おに版画」。作品も持ってきてくれました。出来映えは上々で,子どもたちも大喜びしたそうです。そりゃそうだよね。ただ,なぜか強制的に描かされる「ツバキの絵」の合間を縫っての作品作りです。「版画の版の方を使った作品」も人気があったそうです。
 最後は「リズム漢字」の話。『リズムでおぼえる漢字学習』という本をもとにして,1年間で習ってきた漢字の復習をしているそうです。これ,おもしろいです。その学年の漢字が7文字ずつ言葉になるように並んでいて,それをリズムよく読んでいくのです。一覧表もついているし,専用のテスト用紙もあります(読み・書き)。
 うちの学校でもさっそく新版を買ってもらいました。この本は「全学年で1冊」というのが気に入った。私は「お経の感じで読むと楽しいよ~」と言いふらしていましたが,本書の解説を読むと「お経風に読まないでください」と書かれていました。例えば「春夏秋冬」をちゃんと発音すると「しゅんかしゅうとう」になりますが,お経風にすると「しゅうんかあしゅうとう」となって,「夏」を「かあ」と読んじゃうって話です。大人にとっては,楽しいんだけどね。

2 「ブログ的気楽レポ・2019年2月号」 A5 8ぺ  O.M
 先月からこの『ブログ的』はやめて,単独のレポート形式にしようかなと考えていたのですが,やはり,まとまったネタがなさそうなので,返り咲き。
 まず「老人ホームで魚釣り」をしたことをまとめました。『たのしい授業・2018年11月号』には,低学年向けって感じで書かれていたのですが,あるとき「これは老人ホームでも通用するに違いない」と思って実践してみたのです。すると,予想以上の老人の反応があって,なかなかいい体験ができました。準備をしていった子どもたちも老人たちも満足できる「魚釣り」。どうですか?
 次は,本の紹介。今回紹介したのは,以下の4冊。
・『別冊カドカワ 総力特集 高橋 優 限定絵柄ポストカード付き』(KADOKAWA,194p,2018,1300円)
・管賀江留郎著『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか ~冤罪,虐殺,正しい心』 (洋泉社,535p,2016,2500円)
・白井聡著『国体論 菊と星条旗』(集英社新書,348p,2018,940円)
・佐伯胖著『「わかり方」の探究-思索と行動の原点』(小学館,303p,2004,1800円)

 特にオススメは『国体論』です。戦後の日本が戦前から変わらずもっているものを「国体」という概念で統一して理解しようという論文です。これを読むと,日本国民(オキナワ)のことよりも米国のことを優先する日本政府の考え方がよーく分かります。そうなんですね。いつの時代も「国体」という化け物が日本を覆っていて,それが判断基準になっているんですね。
 おそらくわたしが担任した最後の卒業生となるだろう子どもたちの卒業記念の準備についてまとめてみました。昨年の卒業生にも…書写を担当していた関係で…,いろいろと準備をしたのですが,今年もそれに準じたものを準備するつもりです。
 あとは,道徳の定番ネタ「勇敢な少年」の感想文,メランコリアの魔方陣の授業,スチレンペーパーの使用方法についてです。

3 『「跳び箱は誰でも跳ばせられるだけ」ではダメなんだ』 A4 2ぺ   K.M
4 「以前の七尾市の器械運動交歓会」 A4 2ぺ  K.M

 大変興味深い内容のレポートでした。このタイトルだけ見ると,「体育の跳び箱+そのほかの運動のことについて書かれているのかな」と思うかも知れませんが,そうではありません。
 Kさんがこのレポートで重要視しているのは,12月の峯岸さんの講座(これは欠席だったけど)や著書『たのしい跳び箱運動への道』(オレンジ資料館)から学んだことが,これまでご自身が関わってきた楽知ん研究所の大道仮説実験等の活動と密接に関わりあっていることに気づいたことです。
 跳び箱だけ跳ばせるのなら向山式などもあるでしょう。でも,問題はそんなところにないのです。いや,この「跳べればよい」という考え方そのものに危険が潜んでいるのです。Kさんは,著者の峯岸さんの言葉を引用しながら,次のように書いています。
跳び箱における向山さんの指導法は「発展途上の技術」を伝えるものであり,これだけでは「大きなケガにつながりかねない」と峯岸さんは言います。これも後転の指導と同じように「…跳び箱運動における〈手のジャンプ〉という見方・考え方は…(略)…公になってからすでに約半世紀が経っているのです。これからも,この考え方を広めていく努力が重要だと考えています」と書いています。(レポより)
 さらにKさんは,峯岸さんの研究姿勢(先行実践を学び,自分のものとし,伝え方を考えて,発信する)に触れて,
まえにレポートで「研究は社会的行為だ」と書きました。このときは「発信すること」を想定して書きましたが,あたりまえですが,「受信すること」が「社会的行為」の第一歩である。そう思いました。勉強しなきゃな。(レポより)
と言っています。
 N市で行われていた(今もやっているのかな)器械運動交歓会についても,自分の記憶を辿ってまとめてきてくれました。「いま振り返ると,なんという危険な指導をしていたのか」と愕然としているKさんです。Kさんはそれを「黒歴史」と呼んでいます。交歓会という「ワザを見せる会」「出来映えを見られる会」。そこは,子どもたちが喜んで器械運動と戯れるの空間ではなく,とても緊張感のある世界です。そして,その交歓会に向けての各学校での練習もまた,「見られて恥ずかしくない」「見られてほめられる」ことを目指すようになります。
 そんなとき,決まって事故は起こるのです。
 わたしの教師生活でも,跳び箱や鉄棒の授業で手の骨を折った子を数名知っています。いずれの場合もケガをしたのは「できない子」ではなく「自信のある子」でした。峯岸さんが紹介してくれた方法をもっと早く知っていれば,あの子たちの骨折はなかったかも知れないと思います。まさに黒歴史です。
 『たのしい授業』(2023年1月号)にあったように,教師が「できればいい」「できるようにさせないと…」という指導に夢中になればなるほど,できない子が目立ち,自信を失わせるだけであることも,われわれ教師は知っていないといけないですね。だからこそ,「なんとなくできそう」いう指導法は,とってもステキです。

5 OJT資料「レクリエーション講座 レジュメ」 A4 4ぺ   K.M
 Kさんが,勤務校で行ったOJTの際に配布した資料です。本資料のタイトルには「縮命は宿命だけど,拡命は革命だ。人輝商売をやろう!(和田芳治「感字」より)」と書かれています。なかなか意味深な言葉です。
 Kさんは,日レクのインストラクタの資格を持っている歴とした指導者です。だから,単なるいろんなレクを知っているというだけではなく,レクの考え方もよ~くご存知です。わたしは,レクについて,こんなに真剣に考えたことはなく,単なる,遊び,時間つぶし…としか考えていなかったので,反省しております。
○ 「レクリエーション」とは?
「Re-Creation」です。訳すと「再創造」 となります。西洋人の考えの大本は,古代ギリシア人になります。彼らはこんな風に考えていたようです。ヒトはもともとは「完全」あると。それが, 日々のいろんなコトで摩耗して「不完全」になってしまう。その「不完全」な自分を「再創造」し「完全」をとりもどすのが「レクリエーション」なのだというのです。「余暇の善用」という言い方もありますが, わたしは「広島県北レク協いのち会」の和田さんの「生命を輝かすのがレクだ」をとりたいと思います。「あなたの生命が輝くときは,どんなときですか? それが,あなたのレクリエーションです。」(レポより)

6 「珠洲たのレポート・2019年2月号」 B5 1ぺ   H.K
 紹介してくださったのは以下の2冊。
・樹木希林著『一切なりゆき』(文春新書,800円+税)
・齋藤孝著『読書する人だけがたどり着ける場所』(SB新書,800円+税)

 またレポートには「一匹羊」について,富山の島さんの言葉を引用してありました。
一匹羊の強さとは,どんな環境でもしなやかに生きていける〈折れないしたたかさ〉だと私は思っています。そのためには,自分の芯を持っている必要があります。芯がないと群れる羊になってしまいます。(孫引き) 

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