珠洲たの通信・2019年6月号

2019年度

 わたし,退職して時間もた~くさんあるので,これまでに忙しさにかまけてサークル通信を出さなかった時のレポートを探し出し,順番に紹介していきたいと思います。この「サークル通信」は,一応わたしの「資料検索用」でもあるので,面倒ですが,一枚一枚,月ごとに発行していきますね。
 なお,月例会時の参加者とかは,まったく分かりませんのであしからず。レポートがある人は来ているはずです(^^;)

資料の紹介

1 「Crescent Moon~つかれた~」  B5 1p            T.N
 「つかれた~」と題されたレポート。その内容は,指導主事訪問の研究授業の授業者となってからの諸々の感想です。
「研究」という割には,これまでの「成果」はどこにいってしまったのか。~中略~初任研のときに思っていたことがぶり返された感じです。
とNさん。
「儀式」と割り切って,省エネで乗り切ろうと思っていたのですが,周囲がそれを許してくれない。
とも言っています。こういうものに対する構え方,考え方というのを持っていることも大切ですね。わたしの取り組み方は,下のようなものです。ただし②はないですね。①がだめなら,③になります。
①儀式に参加しない…こういう選択肢を選ぶのができる年齢ではないね。でも,「昨年度おれやったから…」というのは言えますね。
②「儀式」と割り切って,ひとまかせにする…最初の指導案は,これまでのだれかの実践をコピーする。そして,学校用に直すのは,みんなにやってもらう。
③「儀式」に積極的に参加する…とにかく,やらなければいけないのならば,徹底的に教材研究をする。その時には,これまでの実践などもしっかり読んで,学校の誰より,あるいは指導主事よりも勉強しておく。もちろん,いちおう指導要領も読んでおくし,教材としての変遷も調べておくとよい。
 毎年,2~3回は回ってくる研究授業という名の授業。これに対する自分のスタンスを作って置くと,これからは楽かもしれませんよ。

2 学級通信「T-REX」第37号 B5 2ぺ   T.N
 授業参観の様子を紹介してある学級通信です。授業参観では,「パラリンピック」を取り上げたそうです。これ,学校に来ていたセットを使ったものです。自分で一から集めなくってもこうして子どもたちが夢中になれる指導法はあるのですね。
・足やうでをけがした人でもすごいなあと思いました。けがをした人のためにたくさん道具が作られているのだなあと思いました。「失ったものを数えるな。のこされたものを最大限に生かせ」という言葉が心にのこりました。(Y
 「失ったものを数えるな。残されたものを最大限に生かせ!」という言葉は,今(退職後)のわたしにとっても,たいへん身につまされます。

3 サークル資料「私は十分楽しい…」 B5 4P       M.S
 めずらしくTVドラマの話題から。福山雅治主演『集団左遷』という番組。中間管理職の福山が,トップの不正を暴こうとする場面で,「そんなことはやめておけ」と忠告する仲間がいます。そこで福山曰く…「この先,20年30年とこの仕事に就いていく若者の未来のためにやらなくちゃいけない」と。
 この言葉が,そのまま今の教育界の現状(+自分の姿勢)にもあてはまるのではないかとSさんは思ったようです。「自分は,仮説実験授業のおかげで楽しい毎日をおくっている。がしかし,自分だけでいいのか。若者には何を残してやれるのか…」と。
 二つ目の話題は《空気と水》の授業記録。1,2年複式なので,2年生は仮説実験授業体験組。授業運営のポイントを押さえた指導を1年生にやっていたそうです。面白いね。
 第2時間目の感想
 ・空気が水を吸うのがすごかった。(1年生)
 ・スポイトの役目がわかりました。たのしかったです(2年生)
 同じ授業を楽しく受けても,1年違うとずいぶん違う感想ですね。面白いね。
 仮説をすると,いつも当たり前に見られる光景ですが,一番いいのは,自分が気持ちよくなれることです。
とSさん。そのとおり。
 あとは夜の話題が二つ。一つは勤務校の若者たちとホタル狩りに行った話。これ,なかなかよかったようです。もう一つは,「津波注意報が出たのに避難しなかった」というご自分の話。これが,いわゆる〈正常性バイアス〉なのか…ということですが,わたしも自分で判断して逃げませんでした。わたしは「正常性バイアス」ではなく,情報をきちんと聞き取り,判断して逃げなかったと思っているのですが…。神さんなんて,放送を聞いてから,風呂に入ったし…(^^;) ここまでくると正常性バイアスかもしれないな。「旦那がそういっているんだから大丈夫だろう」ってね。
 あと,楽しい動画を紹介してくれました。働き方改革に関するものです。「サイボウズワークスタイルアニメ『アリキリ』第1話 残業編」(上のアイキャッチ画像↑)。これには続編もあるので,合わせてご覧下さい。どれも3分くらいのものです。出てくるのは,「アリとキリギリス」なのですが,現代風です。

4 「珠洲たのレポート2019年6月号」 B5 2p         K.H
 まずは本の紹介。
・川口俊和著『コーヒーが冷めないうちに』(サンマーク出版)
・五木寛之著『元気に下山』(宝島社新書)
 『コーニー…』は,中学校の図書館にあったそうです。何か過去に戻れる話のオムニバスのような感じです。違うかな。『元気に下山』は五木さんらしい展開。人生90年(うちのオヤジは95歳で死んだ)とすれば,定年だって,まだまだ2/3を過ぎたくらいですからね。この長い時間をどう自分らしく生きていくのかってことでしょうね。「人のために働けるのは幸せなこと」「再学問は大切」など,ヒントになることがいっぱい。このとき,Hさんから本をお借りして読んだので,わたし(管理人)のレビューを紹介しておきます。

 五木寛之はとても好きな作家。最近,簡単に読める「年寄りの生き方,死に方」といった感じの本をよく出しているけど,本書もそんな本の一冊。
 定年になりあれをやろうと思っていたのに病気になった,老後のお金が貯まらない,そもそも趣味が少ない,人とつきあうのは面倒,一人じゃ心配…など,人として成長しているはずの老人になっても心配事,愚痴は尽きない。そんな人々に対して,五木さんは問答形式で「気楽に生きること」「今のまま安心して生きること」を勧めてくれる。
 最後の48で取り上げられていた「1本のライ麦」の話が心に残ったな。このエピソードは,瀧本敦さんの『ヒマワリはなぜ東を向くか』(中公新書)という本で紹介されていたそうだ。1本のライ麦でさえ,こうやって根を張って生きているではないか。あなたがこれまで生きてくるために,どれだけ目に見えない根をこの世界に張ってきたのか。想像もできないだろう。だからこそ,あなたは生きているだけで意味がある。大切な一人の人間なのだ。あれができないこれができないと悩む必要なんて無い。あなたはあなたで大丈夫(おかんの唄)と教えてくれる。
 下山を始めた人だけではなく,若い人にも読んで欲しいな。少しは肩の力が抜けて自分体に近づけるかも知れないよ。
 特に今の時代は,まわりの人の評価や他人との比較を気にする人が多いように思います。そんな人は,他人と比べてどこか勝っていることがなければ,あるいは周囲からの評価を得られなければ,「自分には価値がない」と思い込んでしまう。/でも,私は,名もなき一人の人間のままでいいじゃないか,と思うのです。/成功しようと失敗しようと,満足しようと絶望しようと,とりあえず今日まで生きてきたし,そしていまを生き,明日もなんとか生きようとしている。/他人と比べて勝っていることもなければ,誇るべきこともない。それでも,ただ生きているだけで価値があるんだ,と私は言いたいのです。(本書p.236)

 支援員として関わっているときの気持ちも伝えてくれました。それこそ,中学生の姿に一喜一憂ですね。でも,それだからこそ,学校に勤務している意義があるというものでしょうね。

5 「ブログ的気楽レポ2019年6月号」 A5 12p        M.O
 わたしも,まずは地震の話題から。今回の地震もわたしの予想どおりの震度分布になって,ますます以前プラン化した地震の授業の確かさが証明されたようでうれしいです。
 あとは,《燃焼》の授業で気づいたこと。今年も16版をやってみたのですが,これはなかなかおもしろかったです。子どもたちの感想はまだ取っていないようです。
 その他,ほかの授業や教科について,楽しいネタをどのように交えてやっているかを紹介しました。6年社会(歴史と公民)では,「日本歴史唱歌」を聞きながら授業を始め,単元の終わりにはその「唱歌」の中から一つ選んで新聞作りをします。また,テスト用に「でるカード」づくりもやりました。これはそのまま〈中学校での自学にも結びつくこと〉も子どもたちに伝えてきました。5年理科はさっさと教科書をすすめ,2学期の単元も…。2学期にはじっくりと授業書をやりたいからです。4年音楽は,「イージー8」「毛虫が3匹」で始め,あとは適当にお茶を濁す,それでも子どもたちは楽しいと言ってくれます。5,6年外国語では,わたし自身が,エイデンのおかげで楽しくやれています。
 最後に,紹介した本は以下の通り。
・藤岡換太郎著『フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体』(講談社ブルーバックス,2018)
・小原茂巳・山路敏英共同編著『たのきょう(創刊号)』(ガリ本,2019)
・鴻上尚史著『「空気」を読んでも使わない:生き苦しさからラクになる』(岩波ジュニア新書,2019)
・辻和洋編『データから考える教師の働き方入門』(毎日新聞社,2019)
・苫野一徳著『「学校」をつくり直す』(河出新書,2019)
 短時間にずいぶんいろいろな本を読んでいるもんですね。これも,授業で使いたい,知りたいことがある,仮説実験授業と関わっていたい,労働者として考えるべきことがある…ということなんだろうと思います。すべて,わたしが今気になっていることです。だれかに強制されて読んでいる本なんて,一冊もありません。これが気持ちいいよね。これこそ趣味の世界と実業(教師の仕事)とが一致している気持ちよさですね。
 今回,みなさんにオススメするとすれば,苫野さんの本ですね。
「信頼して,任せて,支える」。これは一つの教育の秘訣です。いや,秘訣なんて大層なものではなく,本来は教育の基本中の基本です。でも,わたしたちは時にこの基本を忘れてしまいます。「信頼して,任せて,支える」ことは,ある意味とても怖いことだからです。/でもやっぱり,それこそが教育というものの本当は基本であるはずなのです。(216ぺ)
子どもたちの姿こそ,実践者にとっては最大の説得力なのだと思います。(223ぺ)

 以上で,6月のレポートの紹介を終わります。ちゃんと4ページになっちゃったよ。

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