珠洲たの通信・2020年2月号

 ここ数週間,まったく予期していなかった出来事が起こり,日本のみならず世界中がパニックになりかけています。生活に様々な規制ができて,店頭からはいろんな品物が消えていく状況を聞くにつけ,わたしの中では疑問符だけが増えていきます。今のマスコミを見ていると「本当にここまでの対策が必要なのか」「以前の流行病と何処が違うのか」というような科学的な根拠は何ら語られないまま,ただただ不安だけを煽っているような気がしています。今後,この騒ぎがどのようになっていくのか,大いなる実験の真っ最中なのでしょうが,おれの退職どうしてくれる!。
 週末には,PrimeVideoで小松左京の「復活の日」や,「感染列島」「サバイバルファミリー」といった映画を見ていました。いずれの映画も,突然の環境の変化(未知のウイルスや電気の消失)に右往左往する人間の姿が,あるときは真剣に,あるときは滑稽に描かれています。これらの映画を見ていると,今の新型コロナウイルスをめぐる社会の状況にとても似ていることに気づきます。
 一方,仮説実験授業研究会では,早速,何人かの方が〈感染症を科学的,客観的に学ぶためのプラン〉をまとめています。次回のサークルでは,それも紹介します。
 さて,2月のサークル通信(つまりこれ)は,Sさんがまとめてくれました。は,今年度(わたしにとっても)最後の県委員会に出席していたのでサークルは欠席でした。わたしの37年間の教員生活はそのまま37年間の組合員としての生活でもあります。「これで教育会館に来ることもないかな」と思って,本部におじゃまして「宗玄」を置いてきました。県教組には本当にお世話になったなあと思います。

■2月の例会の参加者(4名)
 M.K  , K.H , T.N , M.S 

資料の紹介

1 珠洲たのレポート  B5 1p            K.H
 Hさんが読まれた2冊の本を紹介してくれました。紹介のその前に,Hさんが聞きました。
「ぼくが2019年に買った本は何冊くらいで,そのうち何冊読んだでしょうか」
って。
 私は,Hさんが以前言っていた「積ん読が多いんですが」を思い出し,買っているけど,読まないのが多いのではと予想して「40冊くらい買って半分くらい読んでいる」と予想しましたが,予想は外れ「60冊購入して,25冊読破」したそうです。ここの所,私は紙媒体はできるだけ増やさないようにしているので,正直驚きました。
 さて,本の紹介。
○益川敏英著『自分力の磨き方』(ブックマン社,1300円)
○『特別支援教育支援員ハンドブック』(日本文化科学社,2000円)
 『「自分力」の第一の定義とは,好きなこと,興味のあることをとことんまで突き詰めて,結果へとつなげる力だそうです。また,自分の才能に気づくための第一歩は自分と対話することだそうです。』とHさんは書かれています。太字になっているところが本書からの引用ですね。
 私は,益川さんが定義する「自分力」磨きにはほど遠いなと思いました。あるとすれば,「自分と対話」は結構やっていると思いますが,対話しているうちに自分を忘れることがあるのも事実です。
 『支援員ハンドブック』の方は,こういう本が出るくらいに,今の学校ゲンバは,支援員さんなしは成り立たなくなっているという現実を見たように思います。珠洲市では,来年度の支援員さんの立場?について,なにやらもめているようですが,いい形で着地してほしいなと思っています。

2 サークル資料「理想を掲げて妥協する」 B5 4P      M.S
 3学期に入って1ヶ月が過ぎ,自分が思い描いているような毎日ではないことをつらつらと書いているうちに,『たのしい授業』2月号の記事「新ことばノート(9)理想なければ妥協なし/村上道子」を見つけました。板倉先生の「発想法かるた」を元に書かれている記事です。私はなるほどな~と思って,とにかく生活科の発表会が終わったら,やりたいことをじゃんじゃんやろうと思っているとまとめました。がしかし,休校騒ぎで,残念な結果に終わったわけです。それにしても,困った時に自分を導いてくれる示唆を与えてくれる板倉先生の言葉には,いつも感謝しています。
 あとは,めずらしく2冊の本を紹介しました。
○坂本菜の花著『菜の花の沖縄日記』(合同会社ヘウレーカ)
○安克昌著『心の傷を癒やすということ』(角川ソフィア文庫)

3 「たのしい科学教室」感想集 A5 4p         O.M
4 「仮説のメンバーらしい退職記念の会」 A5 11p    O.M
5 「飛び入り道徳学習指導案」 A4 4p          O.M

 これらは,配布資料です。Oさん本人は,組合の県委員会出席のために,サークルは欠席でした。退職記念の会の資料は,読むと,あの日の楽しかったことが手に取るように思い起こされ,本当によい会だったなと思うのです。あの会での名言は,Nさんが言った一言ですね。「ぼくが退職する時も,こんな会をしたいな~」って。はてさて,その時,私は参加できるだろうか? もしも生存していたら,曲がった腰に手を当てて,参加するからね。

6 授業書体験〈オリンピックと平和〉 A5 64p     紹介  M.S 
 この「ミニ授業書体験」が,2月のメインイベント?でした。
 この授業書は2012年1月5日に発行されているので,第31回夏期オリンピック「ロンドン」開催時のものです。その年の忘年会上で,印刷したわけでない冊子を読みながら,予想したり,意見を交わしたりして楽しんだのを記憶しています。それを今年の東京オリンピック前にみんなで楽しみたいと考えたわけです。
 限られた時間の中だったので,授業書を配り,読んで予想してと,テンポよく進めました。私は,昨年不評だった「いだてん」(NHK大河ドラマ)を辛抱強く見続けていたので,近代オリンピックに関しては結構知識が増えていました。それでも,予想通りまちがえて楽しみました。オリンピックの歴史に始まり,開催されなかった時の話など,大いに盛り上がりました。
 体験した後の感想を紹介します。(「すずたの」のメッセンジャーから)

■オリンピックが平和の祭典というのは聞いたことがありましたが,「たくさんの国で一緒にするから」くらいの認識でした。平和だからするのではなく平和のためにするものと知り,オリンピックの見方が変わりました。来年高学年を受け持ったらやりたいと思いました。(N)
■オリンピックなんて,4年に一度開催されるくらいしか知りませんでした! オリンピックに古代,近代があることも今まで知りませんでした。人間の長年の間の取り組みが大きいと実感できました。(H)

 このお二人の感想を読んで,ビックリしました。というのは,2月に紹介し忘れたミニ授業書作成者の吉田秀樹さんの「はじめに」に書いてあったことそのものだったからです。少し長いですが,引用します。(はじめにのp2~p4の中から抜粋)

 この授業(授業書になる前の授業プランのこと:S注釈)を受けた神奈川の中学生は,授業後,次の感想を書いてくれました。
「オリンピックって,もしかしたら人間の歴史を変えた重要なイベントだったのかもしれない」
 私はこの感想を聞いたとき,驚き,感動しました。私自身がそれまでうまく言葉にできなかったオリンピックに対する思いが,見事に表現されていたからです。
 オリンピックは別名「平和の祭典」と呼ばれています。長いオリンピックの歴史を振り返ると,そこには,ただのスポーツ大会というにはあまりにも多くの「人々の平和への思い」がこめられているのです。
 世界中を巻き込むような戦争こそ起こっていませんが,まだまだ世界が平和だと言えない状況が続いています。今まさに戦火にさらされている人もいるでしょうし,「またいつか戦争が起こるのではないか」と,不安を抱えている人もいるでしょう。だからこそ私は,オリンピック本来の趣旨を伝えていきたいのです。
 世界中の様々な国の人びとが,国の違いを超え,文化や習慣の違いを超えて,「みんな同じ人間なんだ」ということを実感し,オリンピックを,そしてその歴史を,楽しむことができればと願っています。
 オリンピックに託された人びとの「平和への思い」が,この授業書を通して,読まれた方に少しでも伝わるなら,作者としてこんなにうれしいことはありません。            2011年10月16日 吉田秀樹

 どうですか。著者の吉田さんが意図したことを,体験した私たちがちゃんとくみ取っていたのです。(自分たちを褒めすぎ?)ということで,素敵な時間でした。
 でも,その後1ヶ月で事態は急変しました。戦争ではないけれど,もしかしたら,東京での開催が危うい。どうなるのか,歴史的な一コマを自分の目で見ることができる年でもあります。

 社会の科学研究会MLで流れている一番新しいグラフを紹介します(ここでは省略)。京都の村西さんがまとめてくれているものです。縦軸は対数となっています。今後,これがどうなるのかが興味深いです。詳しくは,3月の例会で。

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