珠洲たの通信・2015年5月号

 先日,ある知人から「カマキリの子どもがたくさん生まれたから,子どもに見せてあげないか?」と電話がかかってきました。「それはありがたいです。よろしくお願いします」というと,すぐに学校玄関まで,ケースを届けてくれました。その方の住まいは蛸島。私のいる学校まで10分くらいしかかかんないけど,せっかくの休みにわざわざ届けてくれるなんて,なんて,ありがたいのでしょうか。この方,実は,15年ほど前に道徳の時間にGTとして来ていただいたことがあるのです。それまでも,ちょっとした知り合いではあったのですが…。FB上で再び交流するようになって,こんなことも日常的に起きるようになったんです。
 ひょんなことから始めたFB。若者のアイテムだろうって思っていたのですが,やってみると,自分自身の世界が広がるのを感じられます。
 仮説実験授業の仲間たちからの情報。珠洲原発反対運動を一緒に闘った仲間たちの日常。教え子たちの今の様子…などなど。私が,一歩足を踏み出さなければ,決して会えなかったFBの中の人たちです。
 一方,学校に目を向けると,「教科書を教科書通り,授業時間数も守って教える」ことだけに一生懸命です。そして,生徒指導は一致団結。はみ出しは許さない…。<それが,先手先手の生徒指導だ>と思っている節もあります。こんな窮屈な場所から,自由で楽しい学校生活を作り出せるとは思わない。〈ゆとり〉というのは〈あそび〉から生まれるはずです。〈あそび〉のない世界は,窮屈なだけではなく,急なハンドル操作につながるので,かえって危険が増すのです。

■5月の例会の参加者(5名)
 H.K(元教員) , M.S(N町M中) ,M.O(S市T小) ,K.T(N町U小) , M.K(N町U小)

資料の紹介

1 「ブログ的気楽レポ5月号」A5 4p      M.O
 連休ネタを書いてきました。
 今年のゴールデンウィークは,長女のいる長野にオジャマすることにしました。きっかけは,善光寺の御開帳です。「きっかけの論理」で行き先を決め,はじめて,諏訪湖近辺にも行って来ました。なかなかよかったです。
 善光寺には,最近の地震の爪痕も残っていました。1847年5月にも,善光寺地震と呼ばれる地震が起きている場所でもあります。今年は,それから170年近く経っていることになります。屋根が欠けた灯籠などもあって,最近の地震大国日本を象徴しているような気がしました。もっとも,そんなことを思って御開帳の列に並んでいるのは,私くらいかも知れませんがね。
 あとは,酸性のお風呂の宿に泊まったのも,おもしろかったです。毒沢温泉といいますが,名前からしてすごそうでしょ。ここの温泉の水を持ってきたので,サークルや理科部会で飲んでもらいました。みんな酸っぱいのにビックリしていました。だんだんペットボトルの中の液の色が茶色く変色してきました。賞味期間は3か月っていってたけど,そこまで持たないかも知れません。早めに,次の実験をしてみようかな。
 あとは,算数と理科のちょっとした話題をまとめてきました。

2 「風向き」 B5 4P           M.S
 先月,フクシマの現状を見てきたそうで,その報告をしてくれました。案内してくれたのは,大学のサークルの後輩です。この後輩は,3.11の時,津波に巻き込まれたのですが,九死に一生を得たそうです。
 大熊町,双葉町,浪江町と案内してもらいながら,車窓から見える家々は,4年前の状態だったと言います。なにも終わっていないし,収束してもいない。
 案内してくれた後輩は「フクシマの現実を伝えて欲しい」と言っていたそうです。「大人げない発言だと思うけど…」と前置きして,
「安倍首相はさ,除染作業は順調に進んでいるとか,収束に向かっているなんていうけどね。だったら,自分の奥さんとかをここにすませられるかって言いたいですよ。」
と言っていたそうです。
 知らないと,無いことになってしまいます。知らないと,終わっているのだと思ってしまいます。みんな日常が大事だから,いつのまにか「いつもと同じ」だと思っているのだけれども,現実は,そうじゃない人たちがいっぱいいるんです。
 貴重な体験を聞かせてくれて,ありがとうございました。
 「できること探し」では,特別支援の子との<やりとり>が書かれています。といっても,実は,<やりとり>になっているかどうかも,指導者には自信がないようです。一方通行ではないのか…と心配なわけ。「特別支援教育を考えるのは教育の原点だ!」なんてことをいうのは簡単ですが(これまで,私も,よくそう言ってきましたが),現実は,一人一人の引っかかりがちがうので,それを理解して指導していくのは大変難しいことだなあなんて思いました。
 でもでも,だからこそ,実践あるのみ。予想して,働きかけて,結果を見る。この繰り返ししかありませんよね。
 体力をつけるために,体育館を走るようにした。最初は一緒に走っていたのだが,生徒さんの走るスピードが遅いので,指導者は歩くようにした。すると,10周する間に,生徒さんが指導者を回ほど追い越すことになり…それが生徒さんにとっては嬉しいみたい。まさに,これこそ,仮説実験です。

3 「MY BOOK 2015年5月号」B5 2p       K.H
 今月紹介してくれたのは,次の1冊。
○小原茂巳著『たのしい教師入門』(仮説社,1800円)
 小原ファンのHさんですので,紹介も熱いです(^^;;
 一部,本からの引用部分を引用します。
仮説実験授業は,優等生だろうが劣等生だろうが子どもたちそれぞれに<自分の素晴らしさの発見>のキッカケを与えてくれます。そして,<他人(共に学ぶもの)>の存在の素晴らしさも感動的に発見させてくれます。
 そう,だから,わたしは,仮説実験授業をやめられないんです。これだけ教師をやってくると「わざわざ仮説実験授業をやらなくても,授業が成立しなかったりということはない」「教科書授業でも,十分,理科が好きと言ってもらえるような内容を持っている」と思っています。それでも,あえて,時間を作って仮説実験授業をやりたいのは,子どもたちが,科学的な考え方を身につけていく過程で,自分や友だちの素晴らしい姿に感動して欲しいからです。こういう授業の体験があるのとないのとでは,雲泥の差だと思います。これはテストができるかどうかとは関係ありません。

4 「カメラレポート2015年5月」 B5 2ぺ        K.H
 兼六園の八重桜,ツツジ,カキツバタなどの写真を持って来てくれました。ピントを合わせる位置を変えたり,遠くをぼかしたりと,一眼レフ的な写真が出てきて,見る方も楽しくなってきました。
 今月の1枚…が,どの写真だったのかは忘れたけど,そんなことはいいです。こうして,四季折々の写真を見ているだけで,和む10分間です。

5 小原茂巳講演記録「2010年11月大阪にて」B5 6ぺ       K.H
 今月もまた,以前の小原講演のテープ起こしをしてきてくれました。ありがとうございました。
 今回は「仮説実験授業Q&A」と題する講演です。どっかで,読んだことがあったかも…と思いましたが,どのガリ本だったのかは,全く思い出せませんでした。
 講演は,理科の授業のはじまりから途中の運営法に至るまで,いろんな場面を質問にして,参加者と交流しながら進めています。
 簡単に復習してから始める,プリントはうらがえして配る,「誰か読んでくれる人いませんか」と聞く…など,その方法だけではなく,「なぜ,そうするのか」もちゃんと説明してくれています。
 授業書があれば科学の授業ができる…それが仮説実験授業ですが,いろんな場面でのちょっとした運営法を知っていれば,もっとたのしい授業ができます。子どもたちにストレスを感じさせず安心して授業を受けてもらえるようになるのです。
して欲しくないことは強制指名ですね。言いたくないのに言わされる。言いたくないのに言わされるのが一番イヤみたいですね。職員会議もそうですね。仮説実験授業を受けているみなさんも気づいていると思いますが,発言する権利は認めますが,発言しない権利も認めます。それを保障すると学ぶ側にとっては,どれだけうれしいか。怖がらずに頭を回転させることができるのです。
 こんなことも,当たり前ではない教育界。
 そういえば,珠洲たのFBには,メンバーからのこんな書き込みもありました。
計画訪問に向けて、高学年の授業参観があった。そして、放課後整理会があった。まず、16時15分から開始だったが、予定の時間に行っても誰もいない、というより鍵が開いていない。鍵を開けると、机も椅子も片づけられており、一人で準備。その後、少しずつ人が集まり、16時38分から始まった。遅すぎでしょ。次に、付箋の資料は全く活用されず、ある先生と校長先生がほとんど話し、それを聞くその他大勢。17時30分頃に、まだ発表していない人必ず発表して下さいというある先生。「出た!O先生が言っていたあれだと」、「全員発表と時間はどちらが大切なんだよ」と思いながら、整理会終了。
 この整理会のいいところは,「全員発表は如何に意味がないか」を自らが体験できることですね。だから,子どもにも強制しなくなって欲しい…が,そうならないのが教師の世界。教師の中の一般常識って,根強いからなあ。なぜそうなるか,理由は簡単です…子どもが成長するため…これですね。これこそ,なんにでも使える天下の宝刀です。別の言い方で言うと…善意の押しつけ…です。

 他にも,「フェルメールのカメラオブスキュラ」(紹介:S),「春の生き物探しビンゴ用紙」(O)もありました。
 実際に,フェルメールは,カメラオブスキュラを使って絵を描いていたそうです。Kさんに教えてもらいました。紙製のこの製品は800円前後で手に入るようです。今年のサマー・サイエンス・スクールの担当講座は「光と虫めがね」です。今回学んだフェルメールのことも紹介できればいいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました