珠洲たの通信・2015年10月号

授業風景 2015年度

 またまた昔のレポートを取り出してきて,サークル通信をまとめてみました。この月は,とてもたくさんのレポートが出たようです。以前のように紙で通信を作っていたときには,なるべくB5版4ページに収めるようにと,いくつかのレポートを省略したりもしていましたが,こうしてネット上にあげたり,電子データーとして送るだけなら,長さは自由なので便利です。

例会の参加者(分かっている分だけ)  T.K  K.M  S.M  H.K  O.M 

話題になった本 

資料の紹介

1 「風向き」 B5 2ぺ  S.M
 昨年まで行ってきた縦割り班活動を利用した文化祭活動。今年は,これまでの反省を踏まえて,取り組み方を変更し,縦割り班活動をなくしたそうです。これまでの反省というのは,例えば次のようなことです。
 2週間の時間割は45分授業ですが,その後そうじ帰りの会をして,合唱練習。4時から5時までが縦割り班活動で,その後に部活動。部活動がない3年生は6時半まで作業をしてもいいとか,土日もやってもいいとか…。縦割り班と言いながら,3年生が仕切って3年生が楽しむ文化祭にしか見えないこの私。(Sさんが,昨年の文化祭のころに書いた資料より)
 縦割り班活動を止めたことによって,実に動きやすくなったそうです。そして非常に分かりやすくなりました。時間割も組みやすいし。そりゃあ,そうでしょうね。
 しかしその一方で,3年生への説明が十分とは言えず「先生主導のお手伝い活動」(Sさん曰く)となった部分もあって,生徒会との関係はなかなか大変だったそうです。子どもは学校行事に対しては本来とても保守的です。昨年までの行事が同じように続くものだと思っていることが多く,それまでは我慢をしたり,あるいは自分が最上級生の時のイメージを持ったりしています。だから,今回のように大きな変化を取り入れるときには,職員間だけではなく,生徒たちにも十分納得のいく説明が必要だと思います。
 教文部長として県教研に参加したSさん。残念ながら,レポートの数も減り,開催日程まで短くなって,先細りを感じたそうです。現場には,強制研修の押しつけがある。その押しつけから自立し主体的に生きるためにも自主的な研修機会を大切にしたいんですが,現実は,その逆になっていますね。忙しいから,他のことをしていられないよ…とね。それが結果的に,自分の首を絞めていることに気付くのはいつなんだろうか。

2 「働く理由と組合の役割から生きる理由を考えた」 A4 3ぺ  T.K
 仕事と労働,生きるとは,幸せとは,自分らしさとは…などなど,教師3年目の若者が真剣に考察したレポートでした。これを読みながら,「おれも若いときはこんなことを考えていたのだろうか」「いや,あまり考えずに来たような…」と思いました。
 ここでは「おわりに」の部分を転載しておきます。
 仕事を始めて3年目。大変さは変わらないが,仕事には慣れてきた。そして,仕事を楽しむための活動もでき始めている。このきっかけや継続できているのは,人とのつながりである。すごい人たち(特に,たの会)が周りにいるので,とても良い環境を受けている。自分が50,60になっても今と同じような情熱(そんなに熱いわけではないが=クールファイヤー?)を持ち続けていたい(それを才能というらしいが)。(3ぺ)
 参考にした本は下の通り。
○戸田智弘著『働く理由 99の名言に学ぶシゴト論』(ディスカヴァー・トゥエンティワン,232ぺ,2007)
○戸田智弘著『続・働く理由 99の至言に学ぶジンセイ論』(ディスカヴァー・トゥエンティワン,236ぺ,2008)
○池上彰著『池上彰の「日本の教育」がよくわかる本』(PHP文庫,249ぺ,2014)

3 「合わせ技,1本」 A4 3ぺ  K.M
 1本のレポートにならないようなものをつらつらと…。
学生ノートックさん
 能登少年自然の家に,自然体験活動を主体的に計画・実行する学生の団体がやってきたという話。彼らは自然の家のカリキュラムに則って行動するのではなく,自分たちで考えたことを考えた時間で実践していくのですが,そこでKさんが学んだことがあったそうです。
 それは,厨房のお母さんたちから聞いた話から感じたことです。お母さんたちは「学生たちは,食の細い子が食べ終わるまで90分近く待っていた」と言っていたそうです。残飯も異常に少なかったとか。普通,自然の家のカリキュラムに則ってやるときには「はい,次,活動があるからここまでね…」と規定時間(どんな時間だ!)があります。これに遅れた子は,食べ切れなくて残してしまっていますが,その現状に対して,これでいいのだろうか…と。厨房のお母さん方にしてみれば,ちゃんと残さず食べてくれることほど嬉しいことはありませんからね。
『その子の気持ちを優先して待っていたというのは,「ほほう」だなあと思うのだ』とKさん。
制服向上委員会
 制服向上委員会(SKi)というグループに,「ダッ!ダッ! 脱・原発の歌」という曲があるそうで,その歌詞を教えてくれました。このグループのことは,名前だけわたしも知っています。清志郎が,制服向上委員会を紹介するときに「制向委」なんて呼んでいたからね。
 彼女らの歌は,どれもこれも,気合いが入っています。そのときの時事問題をネタにして,しっかり自分たちの主張を入れた曲を作り歌います。結成20周年記念のアルバムがすでに34thだというのですから,ずいぶん前から活動しているグループだということが分かります。リーダーは,このレポートの時点ですでに9代目です。Kさんは,5代目リーダーの橋本美香さんが書いた『脱がない,媚びない,NOと言えるアイドル制服向上委員会の生き残り戦略』(ヤマハミュージックメディア,174ぺ,2012,1500円)という本も紹介してくれました。面白そうな本です。
こたつのコントローラー
 最後の話題は,こたつの発熱体を交換したところ,なかなか暖かくならないという不満です。省エネ設定らしいのですが,自分で強弱を変えられないようなものらしく,寒いときには困るそうです。Kさん曰く…どうも人間不信というか,勝手に動く「カシコイ」機械が(この場合)キライである。外出時には,コンセントからプラグを抜いてでる家訓なので,ぼくのこたつコントローラーは常に「強」である!
 以上で,合わせ技1本でした。

4 「MY BOOK 2015年10月号」 B5 1ぺ  H.K
 今月は,以下の2冊。新しい生活が窺えます。
○栃木利隆他著『野菜づくり 畑の教科書』(家の光協会,1400円)
○遠山啓著『数学教育の展望』(太郎次郎社,2000円)

 畑で野菜作りに取り組んでいるHさん。ちゃんと本も買ってお勉強です。第1章は肥料の基礎,堆肥づくり(落ち葉,稲わら,牛糞,もみ殻など),第2章は,種と種まき,育苗,植え付け,間引きなどについて書かれているそうです。
 この頃は人ごとのように聞いていたのですが,現在(2023年)は,すでに退職3年目=野菜作りも3年目。わたしは未だにこういう基礎・基本を知らずに,野菜毎のそのときそのときの対応本を見て判断しているだけです。一度,こういう本もしっかり読んでおきたいなあと思います。
「野菜づくりもやり始めると奥が深いなあ」とHさん。わたしも強く同意します。
 遠山啓さんの本は,数学教育の歴史的なことが書かれているそうです。このシリーズはとてもいい本です。ぜひ,古本屋でもいいので揃えてほしいな。算数・数学教育の基礎・基本を教えてくれますよ。

5 「全国大会報告2015」 B5 4ぺ  H.K
 仮説実験授業全国合宿研究会で参加した分科会の話題のエキスを教えてくれました。Hさんは,「たのしい教師入門分科会」に参加したそうです。わたしのノーミソに刻み込んだ話題をふたつ挙げてみます。
 まずは富山の島さんのレポから。
・保護者会では,せっかく学校に来てくれた保護者を楽しませているそうです。例えば,授業でやっていることの体験(カルピスゼリーなど),クイズ○年○組に聞きましたなど。
・同僚との付き合い(特に年下が増えてきた現状)では,直接ほめるのは照れくさいので,「第三者に聞いたよ作戦」でほめているそうです。なるほど…。
 中村文さんの「マンガで資料」も面白そうです。「マンガは効果的で面白いです」とHさん。文さんのマンガはわたしも手に入れました。仮説実験授業研究会での新しい風ですね。

6 「理科専科として2年,仮説教師として32年」 B5 12ぺ  O.M
 この夏の仮説実験授業夏の全国合宿研究会東京大会に提出した資料です。奥能登教育事務所管内で初めての理科専科教師として配属(なんと昨年はわたし一人だった)され,新しい学校での2年目。この間,全校の子どもたちと理科的なことがらについてどのような関わりができるのか,試行錯誤しながらやってきたことをまとめました。本職の授業では,もちろん仮説実験授業をすればいいのですが,それ以外の場面でも,仮説実験授業研究会の成果やその仲間たちにお世話になっているなあということを実感しました。
 内容は,①私的カリキュラムづくり,②生き物コーナーには背骨のある動物たちを,③昆虫写真もまた楽し,④研究仲間のありがたさ,の4つです。

7 「ブログ的気楽レポ・2015年10月号」 A5 8ぺ  O.M
 まず,先月に引き続き,平成27年度の全国学力・学習状況調査の小学校第6学年理科の問題についての違和感をまとめてきました。「ふりこ時計」についての問題です。わたしの結論を言うと,熱による金属の膨張でふりこの長さが長くなることを心配するより,しっかりゼンマイを巻いた方がよい…ということです。要するに,そもそもこんな問題自体が,ナンセンスなんです。1つのふりこ時計のふりこの長さ(重さの場所)を調節するというのならまだ分かりますが,ほかの金属と比較してもそんなに大きな違いはないですからね。知り合いの時計屋は「ふりこ時計が狂うわけを,軸の素材で言ったのを聞いたことがない」と言っていました。
 2つめの話題は,教科書単元「流れる水のはたらき」の授業計画についてです。今月,この単元で校内研究のための授業をします。知識構成型ジグソー法を全校の職員たちに紹介するための授業でもあります。そのときの指導案も持ってきました。ネットにも挙げておきました。

8 「常識と非常識は紙一重」A5 13ぺ  O.M
 このレポートは,先月のサークルに提出した『理科に関わる重要な「問題」…二題』と今月紹介した学力調査の「ふりこ問題」の内容を元に再編集し,市の理科教育研究会で配布したものです。理科部会ではプレゼン資料も用意して,時間をとって40分も話をしてしまいました。理科の先生方が集まった中でも,みなさん,「発芽には光が必要であるものもある」という事実は知りませんでした。いや,野菜をつくったことがある方はなんとなく聞いたことはあったのですが,そのことと教科書に出てくる「発芽の3条件」とがまったく結びついていませんでした。
 また,学力調査の問題についても,お上が作ったんだからと,その前提条件を信じてしまってはいけない=科学的に考える必要性を感じてくれたと思っています。 

 その他にも ,「石川県理科教育研究大会七尾鹿島大会振り返り」「初県教研」「柳田小学校参観」(T.K),「第5学年理科学習指導案(流れる水のはたらき)」(O.M),「カメラレポート2015年10月」(H.K)がありました。

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