珠洲たの通信・2012年2月号

2011年度

 あの大震災から1年。日本は変わったのでしょうか? 
 今日(2012/03/11)の『北陸中日新聞』の社説は「私たちは変わったか」と題して,この1年を振り返っています。後段を引用します。
新しい日本を創ろう
 私たちは変わったか、という問いは厳しすぎるかもしれません。しかし前進するためには、絶えざる自戒と反問が必要です。昨年のきょうは、未来への真剣な考察を私たちに重く課したのです。恐るべきほど多くの犠牲のうえに。
 それに報わずして何としましょう。被災地の人々は変わったけれど、そうでない人々は変わらないという事態を恐れます。国を古きから新しきに変えて、原発に頼らない国を創る。核なき世界を目指す。新しい日本を創りましょう。新しい日本は私たち一人ひとりの中にあるのです。

 あの日以来『北陸中日新聞』は確かに変わりました。今まで原発について尻込みしていたことを反省し,脱原発に向けての記事をどんどん書いてきました。その姿勢が今日の社説に現れている気がして頼もしくなります。
 川村湊著『福島原発人災記』の〈「あとがき」のあとで-重版に際し〉で,著者は次のように述べています。
 これらを広島の原爆ドームのようにそのまま原型保存(もちろん放射能は除染)して世界遺産とすることを,少々気が早いかもしれないが提言する。映画『東京原発』の「都知事」役の別所広司がいうように「喉元過ぎればみんなすぐに忘れてしまう」に決まっているからだ。
 別所広司(東京都知事)の言うとおり「喉元過ぎれば忘れてしまう」ことを一番恐れます。本物の都知事は「天罰が下った」と言ったことを忘れて欲しいでしょうがね…。ま,忘れなくても都知事に当選するんだから,日本人は何にも変わっちゃいないんです。
 さて2月の例会は,3名での会でしたが,その分,ゆっくりと話ができました。「どっちに転んでもしめた」です。

■2月の例会の参加者(3名)
 M.S(S市T小)  H.K(S市M中)  M.O(N町U小)

話題になった本など

資料の紹介

1 「釜石の奇跡」を見て               M.O
 NHKのクローズアップ現代で紹介された「釜石の奇跡」を追ったドキュメント番組のことを1月のサークルで知った私は,Sさんからさっそくその番組を手に入れて,自習時間に見てもらいました。
 番組は26分ほどですので,番組を見る前と見た後に記入するプリントも用意しました。
 そのときのプリントはあとで編集して子どもたちに『科学かわら版』として渡しました。

2 「MY BOOK 2012年2月号」 B5 2ぺ K.H
 紹介してくれた本は
・筑紫哲也著『若き友人たちへ ラストメッセージ』(集英社新書,756円)
です。本書は,03年~08年にかけて私立大学で担当した講座の内容が元になっているそうです。アマゾンの商品説明には「その中で再三伝えようとしたのは,情報や情緒に流されることなく自分の頭で考えることの素晴らしさであった。」と書かれています。
 第5章が「教育こそが国の基本である」というタイトルの内容らしいので,是非手に入れて読んでみたいです。
 そういえば,10数年前,飯田小学校体育館で本多勝一とのコラボ講演会を主催したんだったなあ。私はあのとき,筑紫さんの講師紹介をしました。講演の後,飯田町の炉端あさ井で一緒に飲みました。懐かしい。

3 「A君と一緒に勉強して」B5  1p      K.H
 特別支援学級を担当しているHさんが,この1年間試行錯誤でやってきたことの一部を紹介してくれました。レポートは口頭。質問に答えながらの発表でした。
・作業の前に,到達点を先に示してやる
・自由ではなく,決められた線どおりに切らせるとよい
・パニックになった時に,クールダウンのしかたを教えておく
・買い物に引き算が必要なのではなく,買い物をしたときの合計金額にあったお金を出せるのが大切
など,いろいろと為になる話がありました。
 今,私は,ちょうどユニバーサルデザイン関係の本を読んでいることもあり,この話題にはとても興味を持って聞き入っていました。

4 「お気楽たより」B5  4p      M.S
 今月の内容は「授業中と感想のギャップ?」「特別支援教育の話」の2本。
 授業をしているときには積極的に関わっているのに,授業後の感想をとってみると「3.ふつう」としかつけないK君のことが気になるっていう内容。ん~,これは微妙です。何かが影響しているのでしょうが,それが何かはよくわかりません。自己肯定感が低い子のようですが,「もっと楽しいことを求めている」「もっと自分に注目して欲しいと思っている」とも言えそうです。今後の展開も気になりますね。と言ってももうすぐ新学年。来年度の様子も追跡するといいかもしれません。
 「特別支援教育の話」の方は,奥能登地区の講演会で聞いた人(佐藤慎二さん)の本の紹介でした。『通常学級の特別支援 セカンドステージ』ってやつです。この講演会や本については,(サークルの後)うちの学校でも紹介されていました。興味があるので手に入れて読んでみます。

5 「裏・全国教研」B5  6p       M.S
 今年の日教組全国教研はおとなりの富山県でありました。あいにくの大雪の日で,記念講演が中止になるなどということもあったようです。うちの神さんも日本語教育分科会に参加しました。
 さてSさんももぐりで参加しようと出かけたようですがだめだったそうです。
 それで,富山で何をしていたかというと,全国教研の期間中に同県で開催されていた「自主教研」に参加していたそうです。この「自主教研」の正式名称は『日の丸・君が代』問題全国交流集会というそうです。日教組の教研がだんだん「日の丸・君が代」問題から遠のいていく状態に危機感を感じた組合員が2000年に始めたらしいです。
 ずっと「信教の自由」「教育の中立」などについて闘ってこられた人たちの話はとてもインパクトがあったようです。そりゃそうだよなあ。
 さて地元に帰った自分には何ができるのでしょうか?
 自問自答するSさんです。

6 「忘れてはいけないことだから」B5 2p           M.S
 震災関連の本を3冊紹介してくれました。
・市川恵子著『フクシマからの手紙』(本の泉社,1143円)
・今西乃子著『心のおくりびと 東日本大震災 復元納棺師』(金の星社,1300円)
・森達也編著『僕のお父さんは東電の社員です』(現代書館,1400円)

 市川さんは川内村に移住してカフェを営業して,地元の人々との交流を深めているさなかに原発事故に遭いました。
 今西さんの本は,復元納棺師という肩書きを持ってる笹原さんの仕事についての記録です。この復元納棺師というのは,津波被害で原形をとどめなくなってしまっている遺体を修復し,復元して遺族に渡すという仕事をしている人のことをいうそうです。想像しただけですごい世界です。でも遺族にしてみれば,せめて元通りに近い姿で見送ってあげたいと思うのが人情です。こういう仕事から私たちは何を学ぶことができるのでしょうか?
 森さんの本は,私も読みました。「珠洲たの本棚(今月の本棚1999-2010)」でも紹介してあるのでそちらをご覧下さい。福島原発の事故は誰が責任を取るべきなのか? 今後の原発をどう考えていけばいいのか,素人が素人らしく毎日小学生新聞の投書欄で語り合ったことがまとめられています。
 別件ですが,「Booklog」(http://booklog.jp/)というのがあって,ネット上に「自分の仮想本棚」を作ることができます。登録も利用も無料です。現在52万人が利用しているようです。私も利用しています。読んだ本をカテゴリーに分けて,評価をつけて登録するだけです。場合によっては,ログを書いたり引用をしたりすることができます。
 これをつけておくと,自分がいつ,どんな本を読んだのかが分かるので大変便利です。DVDなども登録することができます。是非作ってみませんか? お互いに読んだ本を紹介し合うことで,読書の幅も広めることもできます。私はこのブクログを書き出してから,サークルの例会で提出していた「今月の本棚」というシリーズのレポートはやめてしまいました。
 2011年以降でわたしが読んだ本は,本棚「世の中まとめて好奇心」(http://booklog.jp/users/mshr)で見ることができます。どうですか,やってみませんか。

7 「新居信正・教育現場より愛をこめて」 A5 4p        M.O
 新居信正先生の講演記録・第3弾です。
 今月は4ページ分を起こしてきました(これで全部で14ページ)。内容は藤森良蔵の「繰り返すことをいやがってはならぬ」という話です。藤森は,「季節が巡るように,桃太郎の話に繰り返しがあるように,繰り返すことは大切であり,繰り返す度にその感じ方も成長しなければならない…」ということを,実に楽しくそして面白く語ってくれています。
 春休みには講演記録をすべて起こしたいと思っているのですが…。異動なんてあるとそれも不可能かな。

 その他,「数の数え方(大きな数につける単位)について)」(O),「にがりの製法と成分」(紹介:O)などがありました。
 3月は別れの季節ですね。なんとなく感傷的になるのが好きだったりします。
 今年度は私的にもいろいろとあった年でちょっと慌ただしかった気がします。最終日3月31日には長女の結婚式です。私も歳をとったってことですね。
 でも,その分,好きなことを好きなようにできるの年齢なのかもしれません。今後ますます…ね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました