珠洲たの通信・2011年5月号

2011年度

 外国語活動が始まりました。瀧口優「小学校外国語(英語)活動で何を育てるのか」『教育』(国土社,2011年5月号)から,導入までの経緯をまとめてみました。

  • 1970年代末 財界から提案
  • 1980年代  臨教審答申で,公的文書に小学校での英語活動の可能性が記述される
  • 1992年   文部省(当時)による英語活動の研究指定がはじまる
  • 2003年   「小学校英語教育特区」を内閣府の元におき,スタート
  • 2011年   高学年で週1時間の「外国語活動」の時間が始まった

 財界からの提案が基となり始まっているのは,もはや周知のこと。グローバル化に対処するための「国際競争力の向上」などという謳い文句も,子どものためではないことは明らかです。「外国語活動」といいながら,その内容は「英語活動」です。かといって,しっかりした教科書のない「外国語活動」で,しかも素人が教えている現状で,経済界が要求しているような「国際競争力」に打ち勝つための英語の“素地”が養えるとも思えません。このさき一体どうなっていくんでしょうかね。
 「外国語活動」における私の今年の目標は昨年同様ただ一つ-英語嫌いを作らない-です。これは単純なようでむずかしいです(すべての教科についてこれができる教師はそんなにいないでしょう)。キライにさえならなければ,外国語を導入したためのマイナスの効果は,とりあえずないことになりますから。

■例会の参加者(7名)
 S.N(N町U小)  M.S(S市T小)  M.O(N町U小)  K.H(S市M中)   M.N(W市K小)  K.Y(W市K小)  T.M(A町A小)

資料の紹介

1 「お気楽だより」 B5  8ぺ            M.S
 「やっぱり〈読み・書き・計算・分子模型〉」「なまえデザイン」「かけわり図登場!」「津波てんでんこ」「風力発電」の5つの話題でまとめてきました。
 仮説実験授業《もしも原子が見えたなら》で学ぶと…
水分子は,空気中にもあるよってお話の時に,床に水をこぼして見せました。「こうやって水がこぼれても,誰も拭かなくてもなくなるよね」と言いながら見せました。そして翌日,「先生,水の分子が消えています! どこに隠したんですか」と子どもに責められました。
 「なまえデザイン」は『たのしい授業3月号』で紹介されていた図工のネタ。
もようをぜんぶちがうのにしてよかったと思いました。まいさんの名前デザインは,〈ま〉のさいごにくるっとなっていたのでいいなと思いました。
 わたしも担当している3年生相手に描いてみました(本ページのタイトル写真)。感想を一つ紹介します。
わたしがくふうしたところは,青色のところに星の絵をかいたところです。そして,水玉とかハートが好きだから,そのデザインにしました。(さくら)
 「なまえデザイン」は子どもたちも夢中になること間違いなし。お薦めの教材です。
 「かけわり図」は,数教協が開発したシェーマ図です。かけわり図自体にもその簡略化の仕方でさまざまなものがありますが,どんなものにしろ使えるようになるかどうかで,高学年での文章題の理解が大きく違ってきます。Sさんは3年生に導入しています。できれば2年生のうちに,しっかり「タイル図→かけわり図」をやっておいてくれると,その後の授業がとても楽になります。子どもにとって…ですよ。こういうものは,自分で本を手に入れて調べるとか,研究会に出向いて学ぶとかで手に入れるしかありません。私たちの若い頃には当たり前だったものをこうして伝えていきたいものです。
 山下文男著『津波てんでんこ-近代日本の津波』(新日本出版社,1680円)という本と「津波てんでんこ」ということについて教えてくれました。「日本では津波が起きる!」とはわかっていても,今回のようなものはわたしにとっては想定外でした。わたしが学んできた知識の中にはなかったのです。この話を聞いて,もう一度,日本の過去の巨大地震と津波についてしっかり学習しておきたいなと思いました。
 最悪の原発事故が進行中です。脱原発への流れはまだ見えませんが,確実に原発撤退へと進むことでしょう(否,進まなければならないでしょう)。今後の石油・原子力の代替エネルギーとして風力発電があります。珠洲にもすでに30機も立っています。ただ風力発電にもいろいろと問題があり,それらの問題とどうつきあっていくのかも考える必要があるようです。

2 「気仙沼で感じたこと」 B5   10ぺ        M.S
 Sさんの父親は気仙沼出身です。ですから,多くの親戚の人たちが今回の震災にあわれています。幸いにもなくなった方はいなかったようですが,それぞれ,とても大変な体験をされています。
 4月末,Sさんは父親を連れて車で気仙沼まで行って来ました。そしてそこで見聞きしたことを10ページもの資料にまとめてきてくれました。
 間一髪で津波に流されずにすんだという従兄弟の話。たまたま流れてきた車と一緒に流され,その車が2階建の建物にぶつかり,その拍子に幸運にも建物の屋上に飛び移ることができ,そこで一夜を過ごした…といいます。
 「被害の様子を一度見ておくといい」と車で案内されて向かったそこにあったのは「がれきの山」とさえも言えない自然の猛威の足跡でした。
 現地に滞在していたのはたったの8時間だったそうですが,その8時間で得たものを大切にして,次世代の子どもたちに伝えていって下さい。

3 「すずたのレポート」A5 2ぺ         M.N
 3月~4月とサークルをお休みだったNさん。その間に何をしていたのかを日記風にまとめてきてくれました。
 Nさんが自転車を好きなのは「ツーリングのと」の話で分かっていたのですが,なんと彼はスキーにも興味があり,しかも大変上手なのです。「バッジテスト」とかいうのを受けてきたそうです。で,数年来の目標だった1級に見事合格! すごいなあ。極めようとするその姿勢が素晴らしい! 
 学校ではもちあがりの6年生担任。子どもたちは10名。どんな授業書をやろうかと思案中。
 4月にあった「スピードウォーク」での一コマ。「スピードウォーク」とは「速歩き」のこと。だから「走る(両足が地面から離れる)」のは,ルール違反です。ところが,子どもたちは,友だちと競争しているから,ついつい走ってしまいます。そのついつい走って上位に入った子が入賞ってのは…いかがなものか。
 「競歩」が町おこしの一環となっているとはいえ,ルール違反の子どもを表彰するなんてことをしていたら,ダメですなあ。
 そもそも自分を押し殺して走ってはいけないというような競技は,はじめっから子どもに向いていないのではないでしょうか。

4 「MY BOOK 2011年5月号」 B5 1ぺ       K.H
 今年,初めて特別支援の担当になったという濱岸さん。戸惑いながらも,少しずつその子に寄り添ってつきあってほしいと思います。
 今回は杉山登志郎著『発達障害の子どもたち』(講談社現代新書)を紹介してくれました。
 こういう本で示されるのは,それこそ一般的な情報でしかありません。「障害」から子どもを見ると子どもの全体像が見えなくなります。知識は知識として入れたら,子どもそのものを見ながら,一歩一歩進んでいきましょう。
というようなアドバイスが出ていました。

5 「『朝日年鑑』を見る」 A5 4ぺ        M.O
 ずっと前,古本屋で手に入れた昭和18年の『朝日年鑑』に出ていた広告のページ(13ページ分)を持ってきました。そして,その広告から何が学べるか,どんな発問をすればいいかなど,発問例も書いてみました。
 わたしが古本を手に入れるのは「授業のネタになるかも知れない」という思いがあるからです。ま,考えてみれば,読んでいるすべての本について「授業につながるかも知れない」と思っているんですけれどもね。それが教師の性でしょう。
 6年生でもいいし,夏の平和教育の導入でもいいので,是非,この広告をネタに授業をしてみて下さい。そして子どもたちの反応を教えて下さい。

6 「科学かわら版《燃焼編》」 B5 8ぺ    M.O
 《もしも原子が見えたなら》のあとに引き続き《燃焼》をしています。
フラスコとスチールウールとピンチコックを使った実験はたのしかったです。自分の意見があったのに,相手の理由を聞いたら自分の意見が変わるということは,何か不思議に思いました。この実験で,私は,予想を立てることと実験の結果を見ることが一番楽しいと思いました。(みく)
 こんな感想が出てくるから,仮説実験授業はやめられませんねえ。

7 「文科省『放射能を正しく理解するために』」 A5 4ぺ   M.O
 『北陸中日新聞』に文科省が『放射能を正しく理解するために』という冊子を配布したという記事が載っていました。どこにどう配布したのかはわかりませんが,もしやネットでも読めるかも…と思って見てみるとしっかり掲載されていました。で,その内容が,ちょっといただけません。ネット上にも,その冊子への反論や批難がたくさんありました。
 私は,3.11以来の政府公表の報道を聞いてきた感想を,次のように書きました。
「本当のことの一部分を並べ立てることで,相手のイメージを誘導する」ことはいつの時代にあっても(洋の東西を問わず),時の為政者のやることだと思っていた方がいいようです。

 他には,お土産で,教育勅語(口語訳付き),龍神雷神図ミニファイル(O),ミニかもめの玉子(S)などがありました。
 6月はまったく祝日のない月です。それで息切れしているかも知れませんが,そんなときこそ,サークルで疲れを取りましょう。

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