珠洲たの通信・2009年3月号

2008年度

 新学期が始まって1週間のぶっ続けは大変でしたね。
 新しい子ども達との出会いの授業はいかがでしたか。私は,担任を外され,教務の仕事を任されたので,授業で忙しかったというよりも時間割や職員室の掲示物づくり,そして新入生の補助などで慌ただしい思いをしておりました。なんともつまらないものです。
 そんな中で,昨年はじめに,「男の子がニガテ」「人前では話せない」とかいっていたS子が6年生になって,なんと児童会運営委員に立候補したと聞きました。これにはびっくり。でも,もうそろそろかなと思っていたのも確か。子どもは周りの環境で変わっていきますね。
 5月には,和倉で会をすることに予定しています。この通信と前後してその案内が送られてくると思うので,ぜひたくさんの人を誘って参加して下さい。

■3月の例会の参加者(6名)
 H.H(S市S小)  K.H(S市M中)   M.O(N町U小)  K.Y(S市H小)  M.K(N町U小)  Y.N(S市市S小)

今月の写真

資料の紹介

1 『すごい力だ!「漢字マッキーノ」』 B5 4ぺ  M.O
 07年度の6年生に引き続き,08年度の5年生にも,ほとんど毎時間「漢字マッキーノ」を続けてきました。そして,その威力たるや絶大でした。
 08年度は,忘れずに子ども達の感想を聞くことができましたので,それをまとめて持ってきました。子ども達の感想を読むと以下のことがはっきりします。
 まず,どの子も,漢字に対するアレルギーがなくなります。何と言ってもこれが一番の成果です。「漢字なんてきらいだ!」という子がいなくなるというのは,他の学習方法ではあり得ないのではないでしょうか。テストではほとんど点数をとれない子まで,「マッキーノは楽しい」と言ってくれました。
「楽しく漢字を覚えることができました。これを考えてくれたマキノさんに感謝します」
なんて感想をたくさん書いてくれました。
「次の学年にあがってもこのマッキーノ法でやったらたのしく覚えられると思った」
とも書かれていました。
 実は,その次の学年の担任にはMさんがいます。というわけで,09年度も彼らはマッキーノで漢字を覚えられるのです。
 2年続きのマッキーノ。
 さて,子ども達はこれからもこの楽しさを持続できるのでしょうか?
 これもまた実験です。来年の3月が楽しみです。

2 『ゴジラ対へドラの主題歌』 約3分     M.O
 5年生社会科の最後に出てくる「公害」の授業。
 以前ならば,子ども達は「公害」を習う前からこの手の話は少なからず知っていたのですが,最近は,環境問題というと地球規模の話題(地球温暖化,オゾン層の破壊,酸性雨)の方の話が多くて,日本の産業の歪みによる公害についての知識は何も持ち合わせていないようです。
 私達が子どものころは,都会の海がヘドロでどろどろであって,魚なんて住めないのは当たり前だと思っていました。それは,社会科で学習する前からみんな知っていました。なぜなら,ニュースでもしょっちゅうやっていたし,ウルトラマンなどの番組でも「ヘドロが変化してできた怪獣」が出てきていたからです。
 今回,その方面の情報をネットで探してみたところ,「ゴジラ対へドラ」という映画があったことが分かりました。その主題歌がなかなかおもしろいので,YouTubuからダビングして持ってきました。ブログからも聞けるようにしてあります(著作権の関係で、現在は削除されています)。

水銀 コバルト カドミウム/鉛 硫酸 オキシダン/シアン マンガン バナジウム/クロム カリウム ストロンチュウム/汚れちまった海 汚れちまった空/生きもの皆 いなくなって/野も 山も 黙っちまった/地球の上に 誰も/誰もいなけりゃ 泣くこともできない/かえせ かえせ かえせ かえせ/みどりを 青空を かえせ/かえせ かえせ かえせ/青い海を かえせ かえせ かえせ/かえせ かえせ かえせ/命を 太陽を かえせ かえせ

 これを子ども達に聞かせると,大合唱になります。ただし,公害が深刻なものだったと言うことに対しては「こんな授業でいいのか…」という反省はあります。

3 『キャンドル・サービス20ウシツショウ』 A4 3ぺ K.M
 キャンドルサービスのレジメを持ってきてくれました。上の写真は,ろうそくの火をつける時のポイントを紙の模型で説明してるところです。これでちゃんと右の紙にも火がつくのです。それがプロ級でおもしろい!!
 ここでは,キャンドルサービスそのももの内容と言うよりも「レクレーション」というものについての話をして下さいました。
 レクレーションは,re-create なので,表記は「レクリエーション」が正しいとか。なるほど,「もう一度-創造する」という意味なんですね。こういってもらえると,どっちの表現がいいのかがわかりやすいです。
 このとき紹介された和田芳治さんという方。ネットで調べてみるとなかなかおもしろい人です。前総領町教育委員会教育長という肩書きもあります。広島北レクリエーション顧問でもあるそうです。「日本語を乱す会」の会長も自認しておられます。こういった変わり者が教育長になれるところが日本もまだまだすてたもんじゃありません。和田さんの漢字(感字)に次のようなものがあります。
「楽力(学力)」
人生を楽しむ力/人を楽しませる力/新楽力 進楽力 伸楽力/なにはなくても/楽しく生きる力/なにがあっても/楽しく生きる力
和田芳治著『詞集・いい感字』より)

 こういう発想に,仮説実験授業研究会に近いものを感じます。『たのしい授業』そのものですよね。
 レクリエーションについてこれからもたくさん学びたかったのですがKさんは,今度の異動で「少年自然の家」に行くことになりました。土曜のサークルには出てこれませんねえ。ん~ん,もったいない。シーズンオフで休みがもらえたときにでもぜひ来て下さい。

4 『悪夢の12月6日から3ヶ月』  B5  4ぺ  T.M
 さてさて,悪夢とは…。具体的なことは世界に発信されるこの紙面に書くことはできない…。
 とにかく,突然に,片足が不自由になったMさんが,その不自由さを押してまで出かけた沖縄旅行についてまとめてきてくれました。
 人生初の松葉杖&車いすの生活のなかで見たこと・感じたことは,興味深く,障害者の立場から日本の社会を見ることができたようです。
・普段より視線が下がったので,いつもは気づかないものにも気づけたということ。
・車いすを後から押してもらうと,前にものがあった場合ぶつかりそうで怖かったということ。
・空港での過剰とも言える親切な対応のこと。
など,いろいろ話してくれました。
 それにしても,けがをして出発を少し迷っていたMさんに「沖縄へ行ってきていい」とOKしたというのですから,さすがMさんの父親です。
 ちゅらうみ水族館では「電動車いす」が登場。
 ただ,彼女たち(MさんとSさん)は,沖縄観光が目的というよりも,宮城先生との再会と沖縄戦跡をめぐるのが目的だったのですが…(このあたりのことは,2009年1月のSさんのレポートにくわしい)。
「どちらに転んでもシメタ」の言葉どおり,どんなときにも学習意欲旺盛のMさんでした。見習わなければ…。

5 『「日本の格差」を見る』  B5 4ペ  尾形正宏
「経済社会データーランキング」というHPをみつけたので,そのHPの紹介と,そこに出ていたデータを使って「日本の格差社会」を見てみたことをまとめてみました。
 国民の格差を見る指標というものがあることもはじめて知りました。
 それは「ジニ係数」というものです。ジニ係数は0から1の範囲になり,0に近いほど格差が少ない社会だということになるそうです。
 それをつかって日本の社会とイギリスや米国とをくらべると何が見えてくるのでしょうか? 
 レポートの方は,HPの方に載せておくので,どうぞご覧下さい。

6 『MY BOOK 2009年3月号』 B5  1ペ  K.H
 中さんの『学力低下の真相』奥野宜之著『読書は1冊のノートにまとめなさい』を紹介してくれました。中さんの本は,PISAの結果を全く別の視点から分析して,仮説実験授業の優位性を解くもので,私の大好きな本の一つです。というか,この話をお聞きしたいがために,能登にまで来てもらったのですから。
 もう1冊の方は,読みっぱなしにしないためにどうすればいいかというHow toが書かれているようです。Hさんや私がやっている「今月の本」というものは,ココに書かれていることと同じようなことじゃないのかな。

7 「もしかしたらこんな方法で…」 B5  2ペ  M.O
 思いつきで書いたものです。「もしかしたらこんな方法で「学力」があげられるかも」というタイトルです。ま,思いつきですので…。

8 『つながり合い,心を開き,協働して学ぶ子の育成』A4 300ペ H.H
 1年間にわたる内地留学の成果ができました。なんと資料を含めて300ページにも及ぶ大部の冊子です。本文だけでも200ページ近くあります。
 「ケア」「協働」「学び」「メタ認知」などをキーワードとして,論理が展開されます。
 「学力」や「数値」を目指すことで,置いていったものはなんだったのか?
 子どもと向き合う,教材と向き合う,子どもが向き合うーそんな授業,そんな集団づくりこそが,子どもの成長にとって一番大切ではないか-そんなことを訴えているようです。
 とにかくじっくり読んでみてください。
 私はこれを読んで,ますます仮説実験授業の意義が高まっていると思いました。

9 簡易デジタル顕微鏡「アイクロップス」    紹介 Y.N
 バンダイが発売している、テレビに接続するだけでミクロの世界をテレビ画面上で手軽に楽しめるデジタル顕微鏡『アイクロップス』を持ってきて見せてくれました。バンダイのHPによると,この「アイクロップス」は,
アメリカのJAKKS Pacific社(本社:アメリカ・カリフォルニア州 社長:Jack Friedman)が2007年8月よりアメリカで販売を開始しているヒット商品
だそうです。確かに,本体をテレビに繋いで見たいものにレンズを近づけるだけという手軽さで,27インチのテレビに拡大すると約200倍の高倍率で映し出されるリアルなミクロの世界を楽しむことができます。実際のレンズの倍率はライトスコープと同じ30倍くらいなようです。これで,約5000円です。ピントを合わせるのにちょっと慣れが必要なのが難点ですが,子どもたちと一緒に画像を共有できるので,授業での使い道はありそうです。

10 授業プラン『みんなちがってみんないい』B5  21ぺ  東京 T
 東京からレポートのみの参加です。
 こんな風にレポートが読めるのも,インターネットが普及したおかげですね。
 さて,本プランは,特別支援学級にいる子ども達について,いわゆる普通学級にいる子ども達が理解を深めるために作ったものです。
 大変良くできているなあと思います。
 サークルでは,
・ここに書いてあるようなことをいわないといけないクラスなのだろうか?
という疑問がまずありました。私達の周りにも特別支援学級があり,交流学級もありますが,とても自然にその子たちと接しているので,こういう授業の必要性を感じないのです。でも,都会では,偏見の目があるのかも知れません。
・得意なこと不得意なこと,好き嫌いはだれでもある
ということについても,わざわざいわなくてもうちの学校の場合は理解しているように感じています。
 で,このプランは,特別支援学級に通っている人達のことを理解するというよりも,「人それぞれすばらしいところがある」ということをいいたいから作ったのかなという話にもなりました。
 このプランを生かすなら,「障害」というものを理解するために,障害そのものについて学ぶプランにした方がいいのではないかと思いました。「みんなちがってみんないいのですからみなさん仲良くしましょう」という道徳的な押しつけは必要ないのではないかというわけです。
 このプランを使って,一度,「障害って何」というような学級指導プランを作ってみたいものです。

11 広島の話                語り手  T.M
 08年度の日教組の全国教研は,広島市で行われました。07年度は,全体会会場が貸してもらえなかったとかで,未だに裁判沙汰になっていますが,今年は,右翼の攻撃もなく,無事,終えることができたそうです。
 Mさんは,音楽部会に参加しました。「私は中学校では理科の教師です」というと,周りから同情とも軽蔑ともつかない視線が来たようですが,そのおかげで,「ちょっと場違いな者が場違いな発表をします」というような感じで気楽に発表できたと言っていました。
 お土産は,キャラメル。「ヒロシマンVSカキラ」って書いてあります。ヒロシマンは平和戦隊,カキラは謎の大怪獣だって。このカキラ,平和の敵なのかと思いきやそうではないらしい。そりゃそうだね。広島名産の牡蠣にちなんでつけたモノが悪者では困ります。じゃあ,なんでVSなんだ??
 キャラメルはおいしかったですよ。絵はがきももらいました。

 このほかに,『学級通信』(O),『エコ棺桶とエコ骨壺』のパンフ(紹介:K),「東海道五十三次」「環境問題が勉強できる」トイレットペーパー(写真,紹介:M)などがありました。環境ペーパーの「しりべん」というネーミングを考えた人と会ってみたい。きっと楽しんで仕事をしているはずです。

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