珠洲たの通信・2008年7月号

 2学期に入って3週間。各学校では慌ただしく運動会を迎えたのではないでしょうか? そこで,ちょっと運動会に関して一言。
 運動会の練習といっても,以前のような「直立不動」「足をそろえて行進」「勝ったらバンザイ,負けたら拍手」などということを何度も何度もやらせる<行き過ぎた指導>に血眼になる教師も少なくなってきました。私は,行進の練習(内側はゆっくり,外側は大股で)などは教えなければならないことだと思うけど,それでもうまくいくまで繰り返すというのにはあまり教育的効果を感じていません。ましてや「勝ったらバンザイ,負けたら拍手」などというのを繰り返すのはバカみたいです。そんなのは,「正々堂々と闘おうね」で十分だし,「バンザイ」や「拍手」は,それこそ自然に出るものだと思うのです。オリンピックで3位になった日本のリレー選手が,最後にうれしさのあまりバトンを放り投げていましたが,あれを「いけない」という大人はいるのでしょうかね。私は「おいおい,それはいけないだろう。バトンにキスをするなら分かるけど…」と思ったのですが,そんなのは少数派かな? ま,それほど喜び方にはいろいろあるわけですよ。
 そんなわけで,やっと静かに授業ができる雰囲気となりました。が,自分の体調が祭りモードが抜けきれていないという矛盾。この矛盾を解決した時,あらたな飛躍が生まれるのかも知れません。なんのこっちゃ。

■7月の例会の参加者(3名)
  H.H(S市S小)  M.O(N町U小)  K.H(S市M中) 

資料の紹介

1 『ブログ的気楽レポ7月号』 B5  8ぺ   M.O
 「宿泊体験活動」への意義付けや事前や事後の指導などについてまとめてきました。
 毎年ある学校の行事は,すぐに「去年はどうだったか?」から始まることが多いですが,始まりはそうだとしても,その中身が授業を数十時間つぶしてやる意味があるのかを考えておかないと,ただ「行事をやっただけ」になってしまいます。
 本当にどうでもいい行事は,全てこちらがお膳立てして(ということは,事前の授業時間などを使わずに)当日の活動だけに時間をとられるというふうにしたいものです。
 こんな行事についての話なんて,あまりサークルでも言ってきませんでしたが,事前も事後も,子どもたちにやや負荷をかけながら,やり遂げた満足感を持たせてやりたいと思います。
 二つ目の話題は「世界の国旗」に関わる話題。日の丸を振る中国人,日本政府の紋章,外務省発行の「名探偵コナン・サミットガイド」というパンフレットの紹介。
 今月の本の紹介は,次の通りです。
○石田寛人著『プラハ 金沢 街角だより』(時鐘社新書,2008,186p,900円)
○森達也著『視点をずらす思考術』(講談社現代新書,2008,193p,735円)
○古山明男著『変えよう!日本の学校システム』(平凡社,2006,231p,1680円)
○寺岸和光著『「かかわりの力」で学級が変わる』(三学出版,2008,190p,2000円)
○牧衷著『牧衷集中講義・運動論と仮説実験授業』(ガリ本,2001,220p,?円)
○板倉聖宣著『新科学入門・下 迷信と科学』(仮説社,2007,176p,1890円)
○佐久協著『高校生が感動した「論語」』(祥伝社新書,2006,300p,840円)
 寺岸さんの著書をほしい人は,Hさんに言ってください。彼は,今年,寺岸学級へ出入りしていますので…。

2 『MY BOOK 2008年7月号』 B5  4ぺ   K.H
 以下の本を紹介してくれました。
○今森光彦著『里山を歩こう』『里山を歩こうpart2』(岩波ジュニア新書,980円)
○井上勝・松崎一崇著『たのしく教師』(ガリ本)
○『仮説実験授業ハンドブック1』(仮説社)
○『2002仮説実験授業セミナー記録集イン横浜』(ガリ本)
○『2003仮説実験授業セミナー記録集イン横浜』(ガリ本)
 時々,教育原理の本に触れていないと,自分の教育実践が一般的な事柄に支配されそうになります。だから私も,ときどき「ガリ本」や「仮説関係の資料」を読んでいます。
 西川さんの言葉から…
「学校で長い間先生をしていると,『勉強をする。その気にさせる』というような教育の一番基本的な事柄を忘れがちになります。」
 板倉さんの言葉から…
「“自分でものを考える”ということは,対象について自分なりのイメージを持って,そこに空想を働かせることによってはじめて成立するといってもよいでしょう。」
 今一度,体にしみこませておきたい言葉がいっぱいのガリ本でした。

3 『学級通信』 B5  4ぺ   M.O
 学級通信を6日分もってきました。内容は,以下の通り。
№33「複眼でものを見る」(金子みすゞ「大漁」の授業)
№40「聖徳太子ゲームをやってみて」(構成的グループエンカウンターの感想)
№45「いよいよ宿泊体験学習が始まります」(行事への事前指導)
№46「行ってきました 宿泊体験学習」(とりあえず報告,写真編)
№52「友だちと助け合った宿泊体験活動」(学級指導)
№57「宿泊体験 五・七・五」(行事の感想を短くまとめる…国語)
 №33は,道徳の時間にやった「大漁」を教材とした授業の話と子どもたちの感想です。ちょうど授業参観で行いました。なかなかおもしろい授業になりました。
 №45~№57は,『ブログ的気楽レポ』で述べたものの具体です。
 この中では特に「宿泊体験 五・七・五」が話題になりました。
 これは「宿泊体験」での感想を「五・七・五」で作ってもらい,出きた作品をみんなで読みあい(無記名),自分のお気に入りベスト3やクラスのベスト10を決める-というような授業の記録です。「五七五」には,季語など入っている必要もなく,ただだらだらと書いてくれればいいのです。
 Hさんは「こういう主知主義じゃない部分の授業は,ある意味クラスや集団というものを作っていく上で大切になるのではないか」と言っていました。一部の「構成的グループエンカウンター」のような,クラスに関係のない「とってつけたような実践」ではなくて,必然的な導入の中から,子どもたちのかかわりが出てくる場面を如何に作っていくのかが,学級経営上の教師のうでの見せ所なのかも知れません。今回の「五七五」では,偶然にも,わりと控え目な女の子の句がベスト1に選ばれるというハプニングもあり,それでクラスの雰囲気が少し変わったのは確かです。しかし,ガラリと変わることはありません。変わるはずもありません。

4 金大附属小学校○年○組理科授業記録とその感想 B5 3ぺ  H.H
 「空気と水の性質を調べよう」という授業の記録とそれを参観したHさんの感想がまとめられています。
 この授業記録をもとにして,サークル部員の思いを色々と語りあいました。
 私の走り書きのメモに書かれているのは次のようなことです。
・「教師←→子ども」のみの作用はダメだろう。「子ども同士」の作用が必要。
・教室内の雰囲気で,教師の必要とするものを出すようになるのではないだろうか。
・「お前らしいわ」という言葉を,知識の獲得より上だと考えるようなベースが必要。
・「おもしろい考えやナー」
・学校というものは,知識を与える場所のみになりかねない。それ以外の価値の持ち込みが大切。←これは先の「575」にも通じることか。
・知識を出させるためのペアなのか,お互いを受け入れさせるためのペアなのか。
・ハンカチ理論…布がつながっている。つながりのない所でハンカチはできない。
・教材研究はすごいが,子どもとのかかわりは弱いと思う。
・自分の意見をだいじにし合う関係。
 今となっては,これらの言葉をどうしてメモしてあるのか覚えていません。でも,これらの言葉が誰から出たものにせよ,「こういう考え方が身に付いていた方が<子ども中心主義>の教育だぞ」と思ったから書いたのだと思います。
 Hさんの感想は,佐藤学さんの本からの引用も的確です。それは,Hさんの問題意識がはっきりしているのでよりしっかりと佐藤さんのまとめた一言がビビッと来るためだと思います。大切なのは問題意識。問題意識を持つためには意欲ですね。

 そのほかに何があったのか,全く思い出せません。スミマセン。
 次回のサークルでは,夏休み中に仕入れたお話をしましょう。9月中の実践や研究の話もいいかもしれません。もちろん,話を聞きに来るだけでも大歓迎です。
 仮説の全国大会の時(私は出ていない)や根上でのサマーセミナー(詳細は珠洲たのHPで)の時に,「仮説の全国大会を能登で」という話が出ました。これについては,やりたいヤツが数人集まらないと無理だし,応援してくれる人も20人以上は必要です。夢に終わるのか実現するのか,歩み出すのかどうか…。

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