- 学びたいことがある 伝えたいことがある -
小松楽しい授業研究会・富山楽しい授業の会・珠洲たのしい授業の会・能美楽しい教師入門サークル共催で「楽教セミナー」を開きました。といっても,ほとんどすべては小松サークルにお任せでしたけれども…。
メイン講師に,二階堂泰全さん(岡山),峯岸昌弘さん(群馬)のお二人をお迎えし,内容のいっぱい詰まったセミナーになりました。
○日時 2008年8月23日(土)~24日(日)
○場所 根上学習センター(石川県能美市)
夏休みもあとわずかになったこの時期に,自分のお金を払ってまで研究しようとする若い~年老いた教師たち。大変楽しい二日間でした。
おしくも参加できなかった皆さんのために,簡単な内容を紹介しましょう。
【講演Ⅰ】あなたもできる楽しい授業入門 二階堂泰全
二階堂さんは,中学校社会科の教師です。小学校にもおられたこともあります。30年にわたる仮説実験授業の実践者です。
今回の講座では,ミニ授業書《沖縄》を使って,話を進めてくださいました。
授業書を体験しながら,教師として大切なことを教えていただきました。
日本の『学習指導要領』は,改訂のたびに「児童中心」か「教材の系統化」かで揺れ動いてきました。今回の改訂もまた,学力重視という揺り戻しのど真ん中にいるようです。今まで,「これは確かだ!」「これなら子どもに歓迎される」というものを積み上げないまま,ずるずるとその場の対応で終始してきた日本の教育界。
そんな中で,
「私は教えたいことがあるから教師をやっている」
という二階堂さんの言葉に,背筋がピンと伸びました。
私たちも,「教科書にあるから教える…」という気持ちで教師になったわけではないはずです。
「これを教えたい」「これを教えるとクラスの子どもたちは喜ぶだろうな」というものを一つ一つ子どもたちに与えていきたいです。
このとき使用した
ミニ授業書《沖縄》は
仮説社で販売しています。
あるいは,仮説実験授業研究会のメンバーが主催する大きな講座などで手に入れてください。
【超簡単・ものづくり】 主催者メンバー
ミニブーメラン,空飛ぶ種,回る花びら落下傘,ピコピコカプセル,割れないシャボン玉,わっ!ゴム印,バルーンスライム,ふき玉,ペットボトル空気砲,傘ぶくロケット,ティッシュでまつたけ,などたくさんのものづくりを行いました。
たくさんお店を開いておいて,好きな所にいって作ってもらうという出店方式で行いました。あっという間の1時間30分でした。全部作れなくて残念だったみたいです。
どれもかんたんにできて,しかも子どもたちが喜ぶものづくりばかりです。
今回紹介したほとんどは,『ものづくりハンドブック』(仮説社1~7,2008年現在)に載っていますので,気に入ったのがあったら準備してやってみてください。
【講座Ⅰ】 授業書・授業プラン体験
【講座1A】 仮説実験授業《空気と水》 野村泰裕
1日目の最後は,2つに分かれてもらいました。一つは授業書体験です。
この《空気と水》という授業書は,特に低学年から中学年に人気の授業書です。学校にある器具でかんたんにできる実験ばかりなので,ちょっとだけ予備実験すれば,だれでも楽しい授業をすることができます。
子どもの気持ちになって授業を受けることで,授業書の楽しさに魅せられたことでしょう。
右の写真は,1階の床に置いたコップの中に入れたジュースを,2階の男性がストローで吸い上げることができるかどうか実験している場面です。必死に吸い上げますが,さて,結果は…(ここには書きません)。
1階には,大きな図書館がありますが,そこに出入りする人たちもしばし足を止めてこの実験を見ていました。
【講座1B】 道徳の授業プラン集 峯岸昌弘
教師6年目の峯岸さん,若さ爆発の好青年です。
自分の生い立ちや自己紹介などは,明日の「講演2」の方でやっていただくとして,今日は,じっくりと道徳プランを楽しみました。
紹介してくださったプランは,
「モンジ」「ともだち」「白桃」など,たくさんありました。低学年から中学校まで,2学期にすぐにやれるプランばかり。
峯岸さんはこれまで仮説の研究会で出ているプランが,主に中学年~中学生向けであることで,一念発起。低学年でも使えるような文章を作って(みつけて),授業プラン化したのです。授業プランの紹介だけではなく,子どもたちの反応や授業記録なども配布してくださり,資料がいっぱいの講座でした。
【ナイター】
講師を囲んでの,どこに向かうのか分からない夜のブレーンストーミング。話しをはさむのも自由,途中で寝るのも自由。
簡単な自己紹介をしながら,いろんな話で,盛り上がりました。
「仮説実験授業と出会ってからも,なかなか授業ができなかった」
という話も出てきました。
「学級という畑にいろんな芽が生えてくる。ベテランの教師なら,雑草と作物の芽の区別がつくのだろう。そして,雑草の芽は早めにつみ取るにちがいない。そして,作物の芽にはしっかり水をやって育てる。でも,雑草に気づかず,大きくなってから雑草を抜こうとしても,なかなか抜けないし,抜けたとしてもクラスという畑に大きな穴が空く」
「雑草と作物の区別が分からなくて,どれにも水や肥料をやっているのが初任の頃の自分だったような気がする」
という話もありました。
講座に使ったドライアイスがあまっていたので,ジュースや焼酎に入れて飲みました。もくもく煙の出るコップを片手に話をする…なんともあやしい…。
ナイターは,講師の方とお知り合いになれるチャンスです。自分の問題意識を出すと,話はどんどん盛り上がります。
飲み過ぎで,明日の講座にひびかないように注意しましょう!
【講演2】 教師がたのしくなった時 峯岸昌弘
初めて教壇に立った教師1年目。元気のいい女の子がいすの背もたれに坐っている(右の絵も峯岸さん)。ま,一番うしろの席だし,別に迷惑をかけているわけではないから…という姿勢で対応していたところ,学級の子どもがだんだんと荒れ出します。さて,そらからどうなったのか…。
初任の頃の学級崩壊状態の頃から仮説実験授業に出会って楽しい教師生活を送るようになるまでのことを,ときどき「問題」をはさみながら楽しく面白く話してくださいました。
石川の若い教師たちにも,「楽しいことをいっぱいやって,楽しい教師生活をおくろう」と呼びかけてくれました。
仮説実験授業の存在を知ってからも,なかなか実践できなかったのは,やはり,いろんなことが障害になっていたからでしょう。その傷害を乗り越えた今,仮説の存在を教えてくれた奥さんよりも熱心になってしまっている峯岸さんでした。
【講演3】 不登校児に出会って 島 百合子
5年生と楽しく授業をしていたのに,突然,不登校になった男の子。
教師や学級に不満があるのではないようですが,どうしても学校に来られなくなったのです。
最初は,なんとか学校にきてもらおうとするのですが,そのかたくなに拒否する姿勢にこれからの対応を考え直します。そして,学校に来れるようになるまで待つこと。学校とのつながりを絶やさないように,楽しい授業のネタをもって時々家庭に出向くこと,そして,親御さんたちともしっかり連絡を取り合って足並みをそろえること,など,いろいろと手だてを取る中で,6年生の4月からは,何事もなかったように学校に来るようになったそうです。
クラスに不登校児がでても焦ることなく,じっくり予想を立てて問いかけながら,親と二人三脚で行動し解決に向かったというお話しでした。
不登校児が出ると自分や学校や親や本人を責めてしまいがちです。そうならないために,今回のレポートをゆっくり読み直します。
【公開授業】 仮説実験授業《ものとその重さ》 貝田 明
近くの小学校の子どもたちに来てもらって,子どもたちとの仮説実験授業を見てもらいました。授業者は,主催者の貝田さん。彼もまた,古くからの仮説実験授業の実践家です。
この≪ものとその重さ≫は,主に中・高学年で行われている授業書です。ときどき活発な討論が起きることもあります。問題を解き進める中で,「重さの保存性」に気づくようになってきます。
今回は,その第1時間目の部分を見ていただきました。貝田さんの軽快な口調も楽しんでもらえたと思います。
【講座2】 授業書体験・ドリル講座
【講座2A】 仮説実験授業《世界史入門》 二階堂泰全
仮説実験授業は,いわゆる理科の教育だ,と思っている方もおいでるでしょう。
しかし,ある問題に対して,目的意識的に問いかけて予想を立て,「その<結果>を調査や資料で明らかにしていくこと」を「実験」と考えれば,「社会の科学」というものも仮説実験授業で扱えることになります。
今回は,まだ完成したとは言えない≪世界史入門≫を二階堂さんに授業していただきました。
世界の歴史が一つかみにできる…というこの授業書の醍醐味を味わうことができたようです。
私は,講座2に出ていたので体験できなかったのが残念でした。体が二つほしい…。
【講座2-B】 子どもが喜ぶドリル集 太田英一 他
太田さんを中心として,2時間30分,いろいろなドリルのやり方について,4人のメンバーが紹介しました。
時々体験も入れての講座となりました。
漢字ドリルのやり方,計算ドリルのやり方,あるいは「10ます計算」。また,重要語句を覚える方法もありました。
社会では都道府県名をひたすら繰り返す覚え方から,国盗りゲームなどもありました。
今回は,漢字だけでも3種類のやり方が示されました。自分とクラスの子どもにあったやり方を試してみてほしいと思います。たのしいドリルは必ずあります。
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