珠洲たの通信・2008年6月号

桐の花と実 2008年度

 7月も半ばとなりました。
 この通信が届くころには,みなさん夏休みに入っていることと思います。私の学校では,通知表渡しが夏休み中にあるので,夏休みに入ってからが,通知表の記入になります。ま,その分,ギリギリまで授業ができるのですが,最後の日はほとんど授業にはならないのは,他の学校と同じです。
 教師にとっての夏休み…昔とちがい,毎日,しかも一日中学校へ行かなくてはならないのですが,それでも自分の好きな仕事ができるのはありがたいです。まさに2学期への充電期間ですね。日々の授業では,<その日暮らし>のことも多々あるので,ここでじっくり勉強をしたいものです。
 私の夏休みの目当ては,またサークルで。

■5月の例会の参加者(4名)
 M.S(NYSB)  T.M(N町U小)  M.O(N町U小)  K.H(S市M中)

資料の紹介

1 『ブログ的気楽レポ6月号』 B5  9ぺ   M.O
 今月は,金大連携ゼミの「参加記」が主な話題。
 今年,ひょんなことから金大連携ゼミの「小中理科実験ゼミ」に参加することになった私は「どちらに転んでもしめた」という人生哲学の下,その時間を有意義に過ごすために活動することにしました。
 といっても,第1日目の固い開講式には辟易しましたがね。
 第1回が水生生物観察,第2回が大桑層の地層観察でした。それぞれ,とても楽しい会でした。次の日には,学級通信にも学んできたことを書いています。なんせ子どもたちをほっぽいといていってくるのですから,これくらいは子どもたちに還元しないとね。
 大桑層については,調査結果がネット上にも解説されていますので,興味のある人はそちらをご覧ください。
 金大連携ゼミについては,後ほど(夏休み中に)HPにアップするつもりです。情報発信も,教師の大切な役目だからね。
 今月の本棚は,以下の本を紹介しました。
○木村小舟著『昆虫翁 名和靖』(国土社,276p,1981,図書館)
○赤座憲久著『まいあがれ!春の女神 昆虫博士・名和靖ものがたり』(PHP)
○香山リカ著『キレる大人はなぜ増えた』(朝日新書,2008,205p,700円)
○奥野宣之著『情報は1冊のノートにまとめなさい』(Nana,2008,229p,1300円)
○姜尚中著『姜尚中の政治学入門 』(集英社新書,2006,190p,700円)
○牧衷著『歴史研究と現状分析』(ガリ本,1998,195p,?円)
 仮説実験授業《花と実》の授業の流れで読んだのが名和靖の伝記です。
 赤座さんの本は木村小舟さんの本がもとになっていますので,木村さんの本を読むことをお薦めします。ただし,手に入りにくいです。
 香山リカ・姜尚中は,最近,ときどき手にとって読む著者の一人です。この二人の本を読んで,いつもとても心地よい刺激を受けています。
 牧さんのは,以前の講演記録です。牧さんの講演を理解するために,もう一度世界史を勉強しようかと思っているのですが…。

『昆虫翁 名和靖』

2『徒然レポート・6月号』 B5  2ぺ   S.M
 今月は,2年生の自閉症の子の話。
 文字は読めるのに,なぜかひらがなが書けない。特に,「す」とか「る」とか,曲がったりするやつが苦手なよう。
 さて,あなたならどう指導しますか?
 Sさんは,
「書けないということは,形を線と線でつながっている部分を捉えきれていない」
と予想して,正方形で9ドットを描いたプリントを用意しました。
 そして「まねっこ」と言って,一緒にやってみるのですが…直線ならできるのに,曲がりや交わりが入ると途端にできなくなったそうです。
 何度も繰り返すうちに,少しずつできるようになり,ドットを25に増やしたのですが,まだこれは無理なようです。
 一部が書けたひらがなを書くこともあり,何が原因かは分からないようです。
 「8」という数字もかけなかったそうですが,「クルリンパ」とやっているとちゃんと覚えてくれたとか。「8」を書くたびに,クルリンパって言っているそうですが。

3 『MY BOOK 2008年6月号』 B5  4ぺ   K.H
 先月に引き続き,『数学の広場』(ほるぷ出版)の本を紹介してくれました。
○遠山啓著『ふく面の数学Ⅰ』『魔法の箱』『ふく面の数学Ⅱ』『数楽サロン』『数学ハンドブップ』
の5冊です。連立方程式,関数,2次方程式,確率など,さまざまな数学の分野の指導法が載っています。
 Hさんは,これらの本から,遠山さんの「数学とはなにか」という文章をコピーしてもってきてくれました。1979年の論文です。最初の小見出しが「生まれつきの数学ぎらいはいない」です。そうです。子どもたちを「数学ぎらい」にしているのは,我々教師の「算数をなんとか分からせよう」とする<善意>なのです。
 遠山さんの本は,古本ではないと手に入りにくくなってきました。古本屋で見つけたら買ってみるといいでしょう。
 そのほかには,茂木さんの以下の本を紹介してくれました。
○茂木健一郎著『脳を活かす勉強法』(PHP)
○茂木健一郎著『ひらめき脳』(新潮新書)
○茂木健一郎著『脳の中の人生』(中公新書)
○茂木健一郎著『「脳」整理法』(ちくま新書)
 茂木さんの本は,読みやすいのから,ちょっと骨のある本までいろいろありますね。

遠山啓の本『数学の広場』シリーズ(Amazonへ)

4 「前回のサークルから1ヶ月」 A4 2ぺ   T.M
 5月31日~6月1日,小松サークル主催の「牧衷講演会」に参加したMさんが,そこから学んだことを自分の周りに当てはめて考えてみたことをまとめてきてくれました。
 それを項目だけ挙げておくと,
・距離感が大切
・学校も国際情勢と無縁ではありません。そんな目をたくさんの方がもってくださいますように
・多数決がなじまないことは,多数決させない。
・正しいこと(原理)は押しつけるが,子どもが押しつけと思うようなことは押しつけない。

です。
 一般的に,いろいろな講演では,考え方の「原理・原則」を話されます。だから,それをお題目のように唱えているだけでは,自分の生き方や物事への対応の仕方に反映することはできません。Mさんのように,講演で学んだことを自分の生活に降ろすことで,より応用力のある対応ができるでしょう。
 牧さんは,まだたくさんのことを教えてくださいました。
 これらについても,今後,サークルで話し合っていけたらいいなと思います。

5 「学級通信」 B4  8号分    M.O
 学級通信を8日分もってきました。
 内容は,以下の通り。
№29「チューリップにはタネができるのか?」(<花と実>授業記録)
№35「名和靖昆虫翁のお話を読んで」(<花と実>授業記録)
№36「バースディーカードを描いてみました」(ALTとの授業から)
№37「生物の多様性を学んだよ」(金大連携ゼミの話)
№39「栽培漁業ミニ体験教室」(ヒラメの飼育について)
№44「玄関にいる生き物たち」(私が育てている学校の生き物)
№47「団結つなひき大会 見事,団体優勝!」(行事の作文から)
№48「大桑層という地層の見学」(金大連携ゼミの話)
 №29の授業記録は,ボイスレコーダーに録音して書いたものです。詳細な授業記録を出すのはこれが今年度初めてです。子どもたちは,自分たちの発言を読んで,そのときの授業を思い出しながら楽しんでいました。
 今回のように,少数派が勝利する授業のときには,よく感想を書いてもらったりして,授業記録を発行し,私の授業観や科学観を子どもたちに教えます。
 今回も,理科が得意な子どもたちが多数派にいて,しかも間違った予想を選んでいました。こういう授業は必ず面白くなります。みなさん,多数派で論客がいるだけで胡座をかいていますからね。
 子どもたちの感想を読むと,「少数派でもあっていた」「あっていたことに,ビックリした」「間違っても楽しかった」などというのがわんさと出てきます。こういうときにさっと授業記録で知らせてあげるってのが,私の喜びでもあります。 
 間違ったっていいよ。
 あっていた人も100%正しい自信がないものなんだよ。
 いろんな意見があった方が楽しいでしょ
ってね。

 そのほか,里山里海自然学校編『キノコから里山の再生を目指して』(紹介:O)がありました。この本は,宝立公民館に無料で置かれていたものです。
 みなさん,夏休みにはいろいろと研修(もちろん自主研修)に行くことと思います。そこで学んだことをぜひ9月に持ち寄りましょう。
 私も,金大連携ゼミに3回出かけますし,楽教セミナー(根上)も楽しみにしています。水泳大会があり,仮説の全国大会に行けないのが残念ですが…。

コメント

タイトルとURLをコピーしました