珠洲たの通信・2020年9月号

 2学期に入って早1ヶ月…と書いてから,「あ~,今年はもうすぐ2ヶ月経つんだな」と思い直しました。まだまだ暑かった8月末からここまででも大変長い2学期ですね。ただでさえ長~い2学期+αなので,子どもたちも指導者も息切れしているんじゃないかと心配しています。
 ここに来て,やっとこれまでの資料(自分や研究会仲間のもの)を少し整理する気になってきました。まだまだ始めたばかりです。ついつい資料を読んでしまって時間が経つ…ということもたびたび起きて,整理はなかなか進みません。サークル通信を書いていない月も,まだ12ヶ月分以上はありそうです。追々,書いていきますね。
 また,カセットテープもその再生機もそろそろ寿命です。大切な講演などは電子データー化しようと思っています。講演の録音は,入力の声が小さくて大変聞き取りにくいのですが,電子データにすることで,アプリで音量を上げることもできます(ただ,わたしの技術では雑音はなかなか消せません)。次回のサークルから,それらのデータをおわけします。古い録音は1985年のものがあります。わたしがまだ教員生活を始めて3年目のときです。

今月話題の本

■9月の例会の参加者
 K.H , T.N , M.S  , M.S , M.O

資料の紹介

1 「珠洲たのレポート9月号」 B5   4p     K.H
 今月も本を紹介してくれました。
○小原茂已著『未来の先生たちへ』(仮説社)
○「たのしい授業」編集委員会編『教師のための教育相談』(仮説社)
○石田ゆり子著『Lily』(文藝春秋)
○五木寛之著『下山の思想』(幻冬舎新書)
○『「ロウソクの科学」が教えてくれること』(サイエンス・アイ新書)
○三浦しをん『船を編む』(光文社文庫)
○能勢博著『ウォーキングの科学』(講談社ブルーバックス)
○扇野剛著『あさ』(仮説社)
 仮説実験授業研究会の会代表になった小原茂巳さんの文章は,堅くなくてとても読みやすいです。教師になりたいなあ,教師で良かったなあと思える文章がたくさんあります。また仮説社から出版された絵本『あさ』は,とても人気が出ているようです。ほのぼのとした普段通りの「学校のあさ」の大切さが伝わってきます。コロナ禍の中だからこそ,余計に「普段のあさ」のありがたさが感じられます。また,読書の感想をお聞きしたことで,自分では手に取らないだろう思われる本『Lily』にも少し興味でてきました。
楽で美しいものはないのだと思います。子どもも,若者も,野生動物も必死に生きているからこそ美しい。美しいと言われる存在は,ただ安穏と過ごしているわけでない。周囲に甘んじない生き方をしているから,美しいのだとわたしは思うのです。(『Lily』より孫引き)
 紹介してくれた音楽CDは,小田和正『あの日 あの時』,サザンオールスターズ『海の幸』,嵐『All the BEST!!』の3枚。どなたも国民的スターですね。でも知らない曲はいっぱいあります。それにしても,ファンというのは,すべてのアルバムを持っていても,こういうベストアルバムも欲しくなるのはなぜでしょう。新しい曲を聴きたいから…ではないのですよ。全部持っていたくなる。う~ん,この心境,わかりませんな。わたしだって同様のタイプですが,自分でも分かりません。

2 「まさに長い月 9月」 B5   4p       M.S
 文字通り「長い月」となってしまった9月。タイトルを読んで,そもそもの長月の謂れを調べてみました。手元にある岡田芳朗他編『現代こよみ読み解き事典』(柏書房)から引用してみます。
 古来から,ナガツキは「夜(よ)長(なが)月(つき)」の略であるとの説が有力である。つまり,秋の夜長の頃という意味である。また,「長月とは,夜初めて長きをおぼゆるなり。実に長きは冬なれども,夏の短きに対して,長きを知るゆえなり」という説明もある。/しかし,異説も多い。まず,「稲(いね)刈(かり)月(づき)」のイとリが略され,ねかづき→ながづき→ながつき,となったという説がある。(p.22,出典などは省略して引用した)
 さて話題は,ゆっくり学ぶことが必要な子の算数指導法について。数を塊として意識できないままに,引いたり足したりすることを教えようとすることの無謀さ。かといって,じっくりと指導する時間がなかなかとれないもどかしさ。指導者として心の中で「ごめんね」を繰り返す毎日だそうです。でも,せめて,そういう心だけでも持っていたいです。できないことを子どものせいにすることだけはやめないと。最近の若者たちの中には,私達の時よりも子どもに寄りそっているような気がしますが,これはわたしだけの感覚?
 雨の日の生活科で突然思い立ってやってみたという「4文字の言葉を完成させるゲーム」はおもしろかったです。子どもたちが盛り上がる様子も想像できました。自分で問題を考え,自分でヒントを出し…もうこれだけで主体的対話的なゲームになりますからね。子どもたちの出すヒントが「ほぼほぼ答えそのまんまじゃん」というのがあったりして,ホントおもしろいね。レポートには現れない具体的な話もあって,それをまとめるといい読み物になるのになあという意見もありました(わたしが言ったんだけど)。この「脳トレゲーム」の進め方を書いておきます。
①教師が見本を示す。「○らん○」…この言葉は何? ノーヒント5点,ヒント1で3点,ヒント2で1点とする。
・ヒント1…「遊ぶときに使います」
・ヒント2…「1~13までのカードがあります」
・これをもう2問練習する。
②子どもたちに作ってもらう。「○□□○」の枠を配布する。ヒントも二つ考えておいてもらう。
③問題を出し合う。

 子どもたちは「問題づくりがたのしかった」「ほかの時間でもやってみたい」「今度は真ん中を○○にしてみたい」などという感想を寄せてくれたそうです。このゲーム,もともとは田辺守男さんの実践を参考にしたそうです。
 最後の話題は学校全体に関すること。
 小学生がいない中学校と同じような時間感覚で進められる文化祭の準備。なんとか小学生でも無理なく参加できる新しい文化祭の形に持って行けないかと試行錯誤しているようです。詳しくは次回のサークルに出てくるのかな? まだまだ新しい学校なので,そこでどのような事が可能なのか,可能じゃないのかを実践的に考えてみる必要がありますね。小中一貫校は未だに実験校だと思っています。

3 「喃々レポ2020年8月号」 A5   8p  M.O
つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。(『枕草子』の冒頭)
 これといってすることもなく手持ちぶさたなのにまかせて、一日中、キーボードに向かって、心の中に浮かんでは消えていくとりとめもないことを、あてもなく書きつけていると、(思わず熱中して)異常なほど、狂ったような気持ちになるものだ。(「マナペディア」より引用改作)
 というわけで最近のできごとをいくつか書いてきました。箇条書きであげてみます。
・前勤務校へ出向いたときの居心地の悪さ
・『たのしい授業』の教師論を読んで
・再任用をしなかった理由の一つ
・教え子が訪ねてきたこと
絵本『あさ』の感想
 テーマとしてはいろんなことを書いているつもりですが,こうして出来上がった文章を読んでみると,みんな「たのしい授業」「たのしい教師生活」に関することばかりでつながっています。「たのしかった教員生活」が前提にあってこその,今のわたしの気持ちのありようだということが,書いてみるとよく分かります。書くって,自分の気持ちがよりハッキリすることなんだなということにも気づきました。
 二つ目の話題は「地元の地層」の話です。ハッキリ言って,これだけ詳しく地元の地層について調べ,教材化しようとしている教員は,珠洲ではわたしたちだけだと思います。ぜひ,発展させていって欲しいです。外浦には外浦のおもしろさがあります。残念ながらわたしは外浦に勤めたことがないので,詳しくは調べていません。大谷小中学校を建てるときのボーリングデータがありますので,これは使えます。今回調べている中で,旧石川県教育センター紀要がPDF化されてすべて読めることが分かりました。これは便利なので,ぜひ,ダウンロードしてご自分のパソコンに入れておくことをおすすめします。できれば,印刷もして持っていると便利です。

4 『《空気と水》の「もんだい2」について』 A5   8p   M.O
 授業書の問題について,気になったので調べてみました。結果的には,有力な手がかりは見つかりませんでした。どっか,たのしい授業MLにでも発言すると知っている人がいるかもしれません。ただ,もう亡くなっている人もいますから。
 これを調べていた副産物として改めて「人様の授業記録を読むことの大切さ」について気づくことができました。複数の人の授業記録を読むことで,自分の授業の技術も上がりそうです。

5 「わたしの琴線の在(あり)処(か) №1」 A5   4p   M.O
 退職してから本を読む時間が増えました。映画を見る時間も増えました。
 そこで,今月から,市販本やレポートなどの中から気に入った文章を引用し,残しておこうということを思い立ちました。名付けて「わたしの琴線の在処」。我ながらかっこのいい響きじゃ。
 このシリーズは,A5版4ページ分できあがったら持ってきます。だから毎月じゃありません。みなさんの感想も聞かせてもらうとうれしいです。

 ほかにも,先輩からのオモチャや本などのプレンゼンもありました。
 民間教育団体で学んできた先生たちが,数年前から続々退職しています。数年後の学校現場には,おそらく数教協歴教協児言研文芸研科教協仮実研も知らない先生がほとんどになるのではないでしょうか。それじゃあ,困ります。先人たちが身銭を切って研究してきた成果はしっかり図書になって残っています。自分で指導案を書く前に,まずは先人の実践を学んで欲しいです。その上で不十分だと思ったら(あるいは現代風に)自分なりに発展させればいいのですから。〈学ぶ〉は〈まねる〉からです。サークルにつながっている若者たちに期待したいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました