久しぶりに秋の京都へ行ってきました。娘夫婦が「Go To Travel」を使って宿をとってくれたからです。「たまにはいいか」と思って出かけたのですが,日本の感染者数は増え続けている中での旅行だったので,感染対策はしっかりしていました。退職後のわたしの生活の拠点である能登学舎(+野外活動)では,ほとんど(野外では全く)マスクをしてませんからね。
それでFacebookでも一部紹介したように,往路では福井の一乗谷朝倉遺跡へ立ち寄り,目的地の京都では料理と紅葉を味わい,復路では滋賀県の永源寺(ここの紅葉は半端ないほど鮮やか)に寄って,『麒麟がくる』の放映までに帰宅したというわけです。
旅中,入場時には,あらゆるところで体温をはかられ,資料館などでは住所・名前・携帯番号を書かされ,ホテルでは免許証までコピーされました。なんか,だんだん違和感を感じてきて,こんなに易々と個人情報が漏れていっていいのかと心配になってきました。私達は「安全」と引き換えに,個人情報・行動を監視される社会にいるのです。これは防犯カメラやドライブレコーダーでも同じです。あれって,いざというときに犯人を見つけるのに便利ですが,一方ではわたしたちの行動も逐一記録されているわけです。このまま「安心・安全」ばかりを追求していくと,独居老人(将来のわたしたち)が行き倒れても本人確認ができるようにマイナンバーチップ(GPS機能付き)を個人の体に埋め込むようになったりして…。おお~,怖い未来だ。
■10月の例会の参加者(4名)
K.H M.S T.N M.O
資料の紹介
1 「珠洲たのレポート10月号」 B5 4p K.H
5GのiPhoneが気になるというHさん,購入するのでしょうか。
さて,今月も本を紹介してくれました。
○小原茂已著『たのしい教師入門』(仮説社)
○石田ゆり子著『天然日和』(幻冬舎文庫)
○楠木新著『定年後』(中公新書)
○五木寛之著『百歳人生を生きるヒント』(日経新書)
○五木寛之著『白秋期』(日経新書)
○新海誠著『天気の子』(角川文庫)
○ファラデー著『ロウソクの科学』(岩波文庫)
○有働由美子著『ウドウロク』(新潮文庫)
本の紹介の前に,小原さんからのメールを紹介してくれました。そこには,仮説実験授業の理論や本を紹介するときのコツが書かれていました。それはとても汎用性のある言葉だったので,わたしのノーミソテープで再現してみます。
若い人に,ある理論や読んだ本などを紹介したいときには,その著者が書いた本から,自分の気に入った部分を引用し,それに自分の感想をつけるといいと思います。
というような言葉だったと思います。この言葉を聞いて,わたしが始めた新しいレポート『わたしの琴線の在処』を後押ししてくれる言葉だなあと思って嬉しくなりました。
映画でも,本でも,授業でも,旅でも,その書き手(本人)が感動して紹介したいと思った,その実際の〈部分〉や〈場面〉を引用した上で,今の自分(本人)にとって,なぜ,その〈部分〉や〈場面〉が心に響いたのか,人様に紹介したいと思ったのかをまとめることで,他人様に自分の気持ちが伝わりやすくなるのだと思います。そして,おそらく何よりも,分かったつもりでいる自分にとっても,再確認になるし,場合によっては文章をまとめる中で再発見することもあるでしょう。だから〈書く〉という行為は,常に自分探しでもあるわけです。Facebookでも,使いようによっては自分の考えをとりあえずまとめておける場にもできるでしょう。
Hさんも,気に入った本の気に入った部分の引用とその感想を,ご自身のFacebookで発信するといいかも知れません。同じ本を読んだ人たちがいれば,何か反応してくれるんじゃないでしょうか。
2 「忙しいこと欠乏状態」 B5 3p M.S
前書きは,「Go To トラベル」を使ってドックの前に一泊したという話。安くなって,しかもクーポンまで頂いて「コロナのおかげで安くあがりました」と喜んではみたものの,考えてみるとこれはすべて国民の税金=自分たちも払っているってこと。国や県がばらまいたこれらのお金,コロナが収まったら,どのように回収するつもりなのか。怖くもある。
小中学校での「文化祭」のあり方についての考察。中学校だけではない難しさがあり,かといって小学生を無視するわけにもいかず…という中で,いろいろと模索しているようすを紹介してくれました。実際の文化祭がどうなったのかは,次回のサークルで話してくれると思います。
いろいろと検討していく中で,〈小中学校のよさ=縦割り活動〉という縛りをしているからこそ起きる矛盾に気づき,それならば,文化祭の一部くらい学年で取り組むことにすればいいと発想を転換して提案した「学年ごとのブース活動」。これが功を奏して,小学生が放課後遅くなることも少なくなるようです。この改革に対する,教職員や子どもたち,保護者の評価も聞きたいものです。
わたしも縦割り活動を重視してきた人間ですが,それは日常的な活動においてです。以前は大きな学校でも「運動会だけ縦割り」「行事の時だけ縦割り」というのがありましたが,そういう学校で提案してきたのは,「縦割り活動は日常生活に入れないと意味がない」ということでした。逆に言うと「縦割りがうまくいかないと学校は回らない」という状況を作ったのです。ただ「卒業生を送る会も縦割りで出し物」となったりすると,これまた負担が大きくなることもあります。やはり,子どもたちの状態や授業時間の確保,放課後の過ごし方などをしっかり見通して,行事を計画する必要があります。
今回,Sさんが作成した「文化祭までの日程表」のようなものを全員に配布して,見通しを持ってやっていくことが必要ですね。できれば,行事後まで見通せるといいと思います。わたしは,例えば運動会なら,その運動会のあとの総括などを縦割りでどうするのかまで考えておきました。直小学校では,運動会の後の朝会で,ジュースで乾杯することが恒例になっています。単に乾杯するだけではありませんよ。
あとは,黒服訪問をめぐる指導案づくりなどに対する管理職との関わりについて。ほんと,どうでもいいことに一生懸命になる管理職の多いことには辟易します。ちなみに今の「辟易」は,下の③の意味で使っています。
へき‐えき【辟易】
(「辟」は避ける、「易」は変える意)
①驚き怖れて立ち退くこと。
②勢いに押されてしりごみすること。たじろぐこと。太平記(14)「その勢ひに―して河よりむかひへ引退き」。「すごい剣幕に―する」
③閉口すること。東海道中膝栗毛(5)「裸にされてはたまらぬと大きに―し」。「くどい説教に―する」
『広辞苑第七版』より
そして一番いけないのは,そういう対応に追いまくれるあまり精神的に楽しいことをやる余裕がなくなることです。家に帰っても疲れちゃって,楽しい授業の準備に手が回らない。まねができる楽しい授業のネタはたくさんあるのですが,これらはすべて「熱心な教師なら」という条件付きです。準備などは,それなりに大変なんです。だから,自分の教師生活にある程度の余裕がないと,子どもたちに楽しい授業を紹介することもなかなかできないのです。黒服イベントには力をぬいて遣り過ごしながら,本家本元を大切にしていきたいものです。
3 「Harf Moon」 電子データ 2p T.N
今回は,印刷に間に合わなかったらしく,電子データで話をしてくれました。Dropboxに入っているので,端末さえ持っていれば読めます。便利ですね。
今回のテーマは「残っていくもの」。
いい実践や経験は,しっかり残っていきます。例えば,『たのしい授業』関連の話,ある図書と図書館司書との出会いの話,ペットボトルロケットや漢字学習の進め方の話。教師4年目でありながら,これだけ〈残るもの〉を持つことができるというのは,サークルの力も大きいですね。「自らから学ぶ」というのは「本物に出会う」ということでもあるのです。上からの要望(例えば訪問とか指導案とか)に応えていても,残るものは本当に僅かしかない。教科書が変わったら,その残ったものも終わったりしてね。悲しいね。ぜひ,若者が自ら学ぶ(教科書に止まらないという意味で)ようになってほしいです。年寄りからの願いです。
残らないもの…は,バックアップをとっていなかったデータ。ああ無情!
4 「喃々レポ2020年9月号」 A5 12p M.O
今月のネタは,「ため池調査」「昔のテープ音源の電子データ化」「教育雑誌『ひと』の記事」に関することです。
まず「ため池調査」から紹介します。これはNPOの活動というよりも,珠洲市自然共生室からの委託という形で行っている活動です。能登学舎にいる宇都宮さんがコーディネイトをしているので,そこに出入りしているわたしのようなNPOメンバーやマイスター経験者などが,2人一組になって調査をしているというわけです。年に3回,いろいろな場所で行っています。で,いろんな人(年齢もキャリアも)とペアになって行くので,それこそいろんな話ができるわけです。その方々との会話の中には,わたしの好奇心を刺激することも多いわけです。
今回はその中から「マタタビ」の話題を紹介しました。このネタは,先日I小学校で情報の講演をしたときに,その導入に使いました。だからこうして文章にしてまとめておくのは大切ですね。いつ,どんなことがどこで利用できるか分かりません。わたしでさえそうなのですから,現役の皆さんは,「いつか授業に使えるかも」と思って,書きためておくことをおすすめします。
「昔々の音源」では,わたしがまだ20代だった頃に録音した仮説実験授業研究会関係の講演会データを紹介しました。これはDropboxに入れておきましたので,興味のある方はコピーしてください(Dropboxの「珠洲たの共有フォルダ」とは別のフォルダにコピーしてください。わたしの方で消去するとみなさんのデバイスにある「珠洲たの共有フォルダ」からも消えてしまいますので注意が必要です)。次回サークルの前日(11月20日)には,新しいデータと入れ替えます。
教育雑誌『ひと』に関する話題は,元はといえば,『現代教育実践文庫(全40巻)』という本を手放す前に読んでおこうと思ったことから始まっています。そしてまた,時を同じくして,ある大学の先生からメールが来て,以前発行されていた『ひと』とその周辺の話題について2,3回やりとりしたことから,ちょっと振り返ってみたくなったのです。また,その方のレポートの一部を,紹介されていたサイトからダウンロードして持ってきました。香川七海著「ある教育運動史の発掘」『Forum on Modern Education No.24 2015』という文章です。
雑誌『ひと』の発刊から10年間分くらいをテーマ別にまとめた『現代教育実践文庫(全40巻)』は,Nさんに譲りましたので,学習で使いたい方は,Nさんから借りてください。今でもとても役に立ちますよ。
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