珠洲たの通信・2015年1月号

2014年度

2021/01/18 記

 未整理のレポートを見ると,2015年の通信をあまり出さなかったようです。2015年と言えば,わたしの親父が亡くなった年(2月12日が命日)です。そのせいかなあ。よく分かりません。そうか4月から10月頃まで自宅を改築していたんだったっけ。それで,資料やパソコンなんかの環境はけっこうバタバタしていたハズです。
 例会に誰が参加していたのかなんてまったくわかりません。レポートだけで判断しますね。このころは,当時,金大付属へ転勤になった中前さんや宇出津小の椿原さんがよく参加していました。「オレもいたよ」という人は連絡してね。
 菅原さんのレポートを読むと,2015年1月のサークルは阪神淡路大震災の記念日だったようです。「震災から20年」と書いてあります。今年(2021年)は,それからさらに6年たったことになるんですね。

1月の例会の参加者(4名+α)  H.K  S.M  K.M   O.M

資料の紹介

1 「風向き・2015年1月号」B5 4p  S.M
 特別支援で関わっていたアスカちゃん。12月にはできるようになっていたはずのことが,新学期始まってやってみると全くできなくなっていたそうです。こういうことのくり返しで,挫折感を味わうSさん。程度は違えど,「できていたことができなくなっている」ことは珍しくないことですね。アスカちゃんがなかなか定着しないことに対して,「(アスカへの指導を)あきらめないと私がつぶれそうになるのです」と,Sさん。指導者が潰れてしまっては元も子もありません。だから,諦めも大切。しかし,その一方で「そうやって考えると,私がやることは何も無くなるのです」と溜息をついています。
 そんなときに出会った板倉聖宣他編『あきらめの教育学』(仮説社)というブックレット本。そこには,示唆に富んだ文章がいっぱいあったそうです。なにせ,その本から2ページにわたって引用文を書いていますからね。こんなことおそらく初めてでしょう。いくつか孫引きして紹介しましょう。
・「あきらめることは受け入れることでもある」という視点を持つと,広がってくるものがありますね。
・板倉先生は「学校のいいところは,独学の場合と違って,適当に落ちこぼしたり,あきらめたりしてくれることだ」っておっしゃってますね。
・「あきらめることによって進歩することがあるからあきらめる」っていうことがありますね。

 久しぶりに手に取ったガリ本。以前読んだはずなのに,「前に読んだときには全く引っかからなかった」部分の文章が気になるそうです。それが人間,大人になっても日々成長しているってことなんでしょうね。だから,本は捨てられない!

2 「サザンオールスターズのこと」B5 4p  S.M
 Sさんの「サザン愛」が作らせたレポートです。
 事の起こりは,サザンが出演した年末のNHK紅白歌合戦や年越しライブの桑田のパフォーマンスらしいです。
 例によって,ネトウヨや在特会(在日特権を許さない市民の会)たちが,政治的な発言や紫綬褒章を侮辱するような桑田のパフォーマンスに対して「売国奴」「不敬」呼ばわりをしたというのです。それに対してサザンの所属事務所側は,一応,謝罪のコメントを発表しました。
 しかし,桑田佳祐という男は,もともとそういうアーティストだということは世間もわかっていたはずですよね。なんで今更…とも思いますが,これも,世の中全体が右傾化して行っている証拠だと思います。
 ついこの前(2021年1月12日)亡くなった半藤一利さん(『日本のいちばん長い日』『昭和史』などの著書がある)が,生前,「いつの間にか自分が左翼呼ばわりされるようになった」とおっしゃっていたそうです。彼は「それだけ日本の社会が右傾化している証拠だろう」とも言っていました。それまで戦争体験について語らなかった半藤さんが語りはじめたのは,今の世の中が戦前と同じ道を行くように見えたからだと言っていました。(1/17「サンデーモーニング」より)。わたしも以前は「半藤さんって,文藝春秋にもいたし…」と思って彼の著作は読んでいなかったのですが,ここ10年くらい前から彼の文章を読むようになりました。『昭和史』も全て読みました。
 サザンとは話が離れましたが,現在の日本社会では,これまでの〈保守〉が〈リベラル・左翼〉と見なされていることも多々あるようです。これからもこういう状態が続くとは思いたくないですが,5年前のこの出来事を振り返ると,現在のほうが余計にやばい方向に進んでいることは確かです。
 私の好きなThe Beatlesと勲章のことについても,紹介しておきましょう(なんか,この文章,だんだん「サークル通信」という性格をはみ出してきたな)。
 1965年に,大英帝国彰勲章(M.B.E.)がビートルズに贈られることが発表されました。国家に対して、多大な経済的貢献があったというのが叙勲の理由でした。これを聞いた、〈戦争の武勲で勲章をもらった元軍人たち〉が、つぎつぎと勲章を返上するという騒動まで引き起こしました(ネットによると863人が返上した)。「リバプール出身のオカッパ頭のおかしな4人組」が叙勲などとは,M.B.E.の品格が疑われてしまうということだったらしいです。それに対するジョンの言葉は,
「僕らの叙勲に、不満をもらした人たちは、戦争で人を殺して それで勲章をもらったんだろう !! でも、僕らの叙勲は、多くの人を楽しませたことの結果だから、僕たちのほうがもらう資格はあると思う。」
というものでした。
 ついでにいうと,ポールは「勲章なんかより別荘がほしい」と発言したとか。リンゴも「古道具屋にもっていけば売れるだろうかね」と言っています。ジョン・レノンは4年後、英国のビアフラ戦争への介入に抗議する目的でこれを返却します。
 ビートルズを愛してやまない桑田佳祐も,こういう話題は当然知っているはず。そのジョークや価値の転換がわからないのは,やっぱり国民が未熟なんだろうね。1965年の英国の軍人と同じなんだよ。ああ無情!

3 「MY BOOK 2015年1月号」B5 2p  H.K
 今月紹介してくれたのは,小原茂巳著『〈原子・分子〉との素敵な出会いを!』(ガリ本,1000円)という本です。
 明星大学の小原さんが,東京都羽村市の理科フロンティア校へ出向いて指導助言していた研究校の実践記録です。
 研究会のメンバーがいるわけではない学校で,如何に仮説実験授業を展開していけるのか。どのように先生方の同意を得て学校全体に広げていくのか。興味深い実践記録となっています。
 わたしたちの学校でも,研究校になると,ときどき大学の先生が来て校内研修に参加し,アドバイスし,発表会では講師を務めるということがあります。相手は大学の研究者ですから学べるところもありますが,なんとも心許ないと思うときもあります。このように小原さんは,現場からは「余計なお世話だ」と見られかねない立場にいるわけですから,支持してもらうのはなかなか大変です。
 小原茂巳さんが羽村市の教育長に頼まれてスタートした理科教育フロンティア授業は成功したのでした。本当にこの本は読んでいて,授業する先生方の様子が感じられ,とても良い本に仕上がっています。(レポより)
 このガリ本の紹介に関して,別の貴重な資料も頂きました。それは,小原さんが「理科フロンティア校地区公開講座」で準備した「講演用メモ」と,「仮説実験授業の教育原理を考える会in横浜」で配布した「講演資料」です。
 こういう実物資料は,書いてある内容そのものも興味深いですが,講演の際にどの程度のものを準備していけばいいのかがわかったりして,参考になります。お前,講演なんて頼まれるのかよ…と言わないでね。だって授業も同じ。指導略案のようなものをどの程度準備するのかは,けっこう重要だったりしますからね。

4 「小原講演記録」B5 4ぺ    テープ起こし  H.K
 今月,テープ起こしをしてくれた音源は,2006年8月の小松での講演です。
 小原さんは,これまでの大学の理科教育学の授業が学生にとってつまらないものだったということを指摘した後,自分の目標を以下のように紹介しています。
 教室の過半数の学生に,
・「科学って想像していた以上に,ずっとたのしいものなんだ」ということを実感してもらう。
・「こういう科学の授業なら僕も私もやってみたい,できるかも」と思ってもらう。

 小原さんはこれらの目標を達成できるように,仮説実験授業の授業書と仮説実験的な思考法,そして板倉哲学を縦横無尽に操り,編集して,大学の授業を組み立てていきます。そして,毎年,学生自ら「わたし模擬授業をしていみたい」という子が出てくるようになるんです。
 ほかにも「一点突破の話」など,参考になること満載でした。

5 「ブログ的気楽レポ2015年1月号」B5 6p  O.M
 最初に「今月から,B5版に戻します」なんて書いてあるのですが,いつのまにか,またA5版になっていますね。一貫性のないわたし。
 まず,富山県の仮説の先輩であるY.Aさんの「定年記念の会」の参加記をまとめました。今読んでみても,とてもしっかりまとめられていて,我ながら大したものです。Yさんは,ネイチャーゲームなどの講師もやられているので,一度,参加者として学んでこようかなとも思っています。わたしのNPOにも活かせそうなので。
 Yさんの人生の歩みの話は初めて聞くことばかりで,どのように今のYさんが形成されてきたのかがわかる気がしました。
 このあとのミニ小松サークルも刺激的でした。いいですね~,人と話ができるというのは。わたしは,このレポートで,〈サークルの創造的な意義〉として,筑紫哲也さんの発言を引用していますので,以下に転載しておきます。
座談会や対談の妙味の一つは,議論しているうちに当人たちが初めは考えもしなかったことが議論のなかで一種の“化学変化”を起こして生まれてくるという点だと思うのですが,この面白味に達するにはかなり長いスペースがいる。雑誌などだとその点が保障されているのだが新聞ではどうだろうか…。(佐高信著『不敵のジャーナリスト 筑紫哲也の流儀と思想』19p)
 ほかには,理科専科,算数少人数担当としての話題が少し。今(2020年度)のNさんみたいです。

Yさんの退職記念の会の写真

6 「ジグソー活動をやってみました」B5 4p  O.M
 4年算数「複合図形の面積を求めよう」で知識構成型ジグソー法を取り入れてみたという報告です。このとくの授業は,わたしにとっては3度目の「ジグソー導入」だったようです。この授業,自分でやっただけなのか,誰かほかの職員が参観していたのかは覚えていません。ただ,このレポートは学校職員向けに書いたようなので,誰か参観に来ていたのかもしれません。

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