先週12月5日(土)のNHK「週刊こどもニュース」に「どうする?もうからない空港」という特集があり,工夫をしている空港として我らが能登空港が取り上げられていました。HPからその部分を引用します。
石川県にある「能登空港」では、多くの飛行機に飛んできてもらうために、ある作戦を考えた。
石川県が考えたその作戦とは「搭乗率保証制度」。
搭乗率とは、飛行機にどれだけお客さんが乗っているかということ。席が全部埋まっている場合、搭乗率は100%。席が半分しか埋まらなかった場合は、搭乗率は50%になる。
この制度では、もし、1年間の平均搭乗率が、航空会社と約束した数より少なかったら、その分、県が航空会社にお金を払う。でも、逆にお客さんが、約束の搭乗率以上乗った場合は、航空会社が県にお金を払う。という制度なんだ。
これなら、もしお客さんが少なくても航空会社は「損」をしない。だから、航空会社は、能登空港への便を増やすことにしたんだ。
ただ、この制度、お客さんが少なかったら、県は「損」をする。空港を運営する石川県では、なんとしてでもお客さんを増やそうと、様々な取り組みを始めた。
飛行機に乗ったお客さんに、冬の間、抽選でズワイガニをプレゼントしたり、空港からの交通を便利にしたりしたんだ。
努力の甲斐あって、搭乗率保証制度は大成功!今までに石川県がお金を払ったことはない。逆に航空会社から3回もお金を貰っているんだって。
そんなわけで,2008年度の空港利用者は,全国では前年度比4.8%減の中にありながら,能登空港は同0.8%増と大変健闘している(『北陸中日新聞12.11』というわけです。めでたし,めでたし。ただし,赤字なんですよ。
■11月の例会の参加者(7名)
M.S(NYSB) K.H(S市M中) M.O(N町U小) M.K(NSSI) T.M(N町U小) S.N(N町U小) H.H(S市S小)
資料の紹介
1 「103方程式問題集2009」B5 14ぺ K.H
10月のサークルの折,Hさんが一次方程式の授業の最後に「子どもたちが問題づくりをした」という話をしてくれました。そのときの「サークル通信」に私は次のように書きました。
最後に子どもたちが問題を作りそれを解き合う場面があり,いい実践だなと思いました。全員の文章題を全員で解くという時間はないかも知れませんが,せめてお隣と交換して解き合うとかすればよかったね,というアドバイスもありました。参考までに,私が尊敬する新居信正先生は,全員の作った問題を印刷して子どもたちに渡していました。
Hさんは別のクラスでさっそくこの実践をしてみたようです。
プリントには,子どもたちの作った35の問題とその解答,そして「自分で問題を作り,友だちと問題を解きあった感想」が掲載されています。
生徒の評価は,たいへん楽しかった…13人,楽しかった…4人,というものでした(しかも評価2以下が,たったの2人)。中学校の数学でこれだけの評価をもらうのは大変ではないでしょうか。しかも「純粋に頭を使うものなのに…」です。イヤ,もしかしたら,「純粋に頭を使うだけだから…」いい評価をもらえたのかも知れません。
・みんないろいろな問題を考えていてそれを解くのがとても楽しかったです。自分の中ではちょっとは自信があった問題を色々な方程式でみんなで解いていたのがとてもうれしかったです。
・文章問題がまったく解けなくて,テストでもダメだったけど,今日の学習でめちゃくちゃスラスラに解けるようになってとてもうれしかった。
・みんなの個性が出ている問題で,とても楽しかったです。
どうです,すごいでしょ。子どもたちは頭を使う時間を欲しがっているのですね。
その手だてをこちらがどう用意してやるのかが大切なんでしょう。教科書をなんとか済ますだけの授業からは,こういう子どもたちの言葉は生まれないと思います。
2 「ほどよいもたれ ほどよいすきま」 B5 4ぺ M.S
三崎地区の教育対話集会に参加して思ったことを綴ってきてくれました。
このときの講師は,抒情書家室谷一柊(いっしゅう)さん,朱琴(しゅきん)さんのご夫婦。お二人は数年前に京都から能登町に移住されて芸術活動を続けていらっしゃるとか。能登町の広報誌にもその書を連載しているようです。
右の作品は,『広報のと・09年11月号』の裏表紙に掲載された一柊さんの作品です。大きな字は,
去年 わらいでおさめた
今年 なにでしめくくろうか
来年 おにがわらってる
と書いてあります。
Sさんのレポートによると,宗玄酒の銘柄のラベルもデザインされたと聞きました。そこで,その銘柄を調べてみました。
「漲(ちょう)」というもので,ラベルは写真のとおり(ネットでは省略)。シンプルですが,漢字の部品が3つある文字なので,その真ん中の「弓」をそれこそ弓のように引っ張って長くしてあります。一柊さんは,このラベルをどんな思いで作ったのでしょうかね。ちなみに,楽天のお店「KAGAYA」では「旨味・コク・酸味の三拍子揃った酒」と紹介されていました。う~ん,一度飲んでみたいものだ。←その後,宗玄酒造から購入して飲んでみました。お冷やで飲むのがおいしいですよ。
さてその書家さん。「環境を与えれば,環境を作れば,若い人が羽ばたける」「こんなすばらしい環境にいる能登の人は,それが生まれたときから当たり前だから,それに気づいていないのかもしれない。だから外から見直すという活動もいるのかな」と自説を展開。その通りだと思います。子どもたちにとって「あって当たり前の景色は,将に,あって当たり前」なのです。
だからこそ,その大切さに気づいた人たちが,能登をPRしてくれることが一番なんでしょうね。それは能登人自身ではむずかしいのではないか。そんな気もしています。「なかなか気づかないものを<環境>という」のではないかとも思うからです。
3 「繰り上がれた!」 B5 4ぺ M.S
4月,2年ぶりで出会ったキョウヘイ君は「数え足し」しかできなくなっていました。(4月のレポート参照のこと)。
そこで,タイルにもどってしっかり教えてきたところ,繰り上がりがスムーズにできるようになったといいます。繰り上がる問題なのか,そうじゃないのか,ということも,タイルで判断していくキョウヘイ君です。
ここでタイルの威力がでてきました。それはタイルを見せたり,動かせてみることで,「3+6は,は~そっか,3の上に6をのせたら…あ,9や。だから一本に変身しないんだ」と納得していけたのです。それからは,26+32=の問題でも,「6の上に2をのせたら…8。変身なし」と言いながら,繰り上がらないと判断できるようになっていきました。そうなると次は百の位まで挑戦です。(中略)5ケタ以上の足し算です。数なんて読めなくていいのです。ただひたすらに,繰り上がりがあるかないかを見分けながら足し算をするのです。これも難なくクリアです(拍手!!)
どんどん計算が出来るようになり意欲的になるキョウヘイ君の姿が想像されるレポートでした。
4 「遊ぶように《空気と水》」 B5 8ぺ M.O
小学4年生2クラスとやっている《空気と水》の1時間目の様子をまとめて持ってきました。
今回の《空気と水》の授業は,この夏の大会で学んだ言葉=「遊ぶように」が私のテーマです。
仮説実験授業の授業書は,もともと「遊ぶように」出来ているのでしょうが,今までそんな感覚で授業をしたことはありませんでした。そこで今回は意識して「遊ぶように」を心がけることにしたのです。すると,授業運営上でもいろいろな工夫が出来るし,子どもたちに楽しんで貰うことができることも分かってきました。
題名ともじっくり触れあわせたい…これは斉藤裕子さんから学んだこと。そして,少しずつ空気と水の世界に入っていきました。
両クラスとも意見がたくさん出て,討論が活発な授業となりました。
やっている私も大変楽しかったです。インフルエンザの中での授業だったことが残念でしたが…。
授業は既に終わっています。
全体の感想は,12月のサークルにまとめくるつもりです。
5 「6年理科指導案」 A4 3ぺ T.M
6年生理科「水溶液」での公開授業用に準備した指導案を持ってきてくれました。
酸性雨を考える授業です。こういうとあまりおもしろくなさそうですが,ちゃんと仕掛けはしてあります。
学校の銅像から導入し,「雨には何か溶けているのか」を考えてもらう授業です。
この授業はすぐにでも環境問題につながるけれども,「即,そういう問題につなげるのは良くないのではないか…」というのが私の意見です。Mさんと一緒に指導案を考えていく中で「雨は元々酸性なのだ…ということを教える方が先だろうと思う」と言い続けてきました。さて,実際の授業はどうなったのでしょう。
ネットには「酸性雨の実験=排気ガスや大気の汚れ」のようなものが多いのですが,そこは飛躍しすぎのような気がしています。
サークルで,酸性雨をめぐる話題を聞いていたKさんが,実際に授業も参観してくれました。そして「珠洲たのML」で次のように感想を述べていました。
まず,行ってよかった。
11/21のサークルでのKにとっても最大のセンスオブワンダは,
「雨は酸性に決まってるダロ。CO2がとけこんでるンだから。だから,お百姓サンたちは,石灰まいて土を酸性じゃなくして,作物つくってるンだよ。アレ,ほっとけば,降水で土壌が酸性になっちゃって,作物,育ちにくくなるトコをくいとめてるンだね」
という発言でした。
「昔から,雨は酸性だったンダ!」
あたしゃ,自動車の排気ガスのせいで,雨が酸性になるンだと思ってたからネ。
「あら,酸性! 自動車ノルのひかえなきゃ。自転車だぁ。自転車通勤だぁ」
なんてネ。
そカ…。
酸性にちょっとでもかたよっていたら酸性雨。その酸性雨が何回も何回も降るから「黒い森」の木々は枯れちゃうし,銅像は腐食する…
と思ってた角には,センスオブワンダだったノ。
酸性雨って,ペーハ5.6以下の雨をいうのネー。
ここまでが,サークルの感想ってことになります。そして授業参観の感想が続きます。
M先生は,雨水がBTB溶液で酸性だとつきとめた後,
自動車の排気ガスをとかしこんだ水が酸性になってるとすぐつながずに,
ビーカにとった水道水(BTBの反応はなぜか青:アルカリ)に呼気をストロで吹き込んで…(ブクブク…)。
するとアラ不思議,青っぽかった水道水がさぁっと黄色に。
「おおっ!!」
だったし,
二酸化炭素がとけこんでるから酸性なんだトはっきりわかったし,
自動車の排気ガスばかりがワルモンなンじゃないとも思ったし…。
で,次時に自動車の排気ガス(子どもから排気ガスと酸性雨の話でてた)の実験もしようか…として終わったのでした。
あれ見なきゃ。「排気ガスわるモン授業」がおこなわれたンだなと
思ったママだったロなと思います。
見てよかったです。
それにしても,BTBの反応のはっきりサ。
そなンや,呼気ブクブクでBTBの色かわるんヤ…。
水道水が,青色(アルカリ)だったのは,なんでや?
表流水は,そもそも,雨水やったげし,酸性ねんろ,
ながに,アルカリ性。どこでや?
そもそも,酸性とかアルカリ性とかってなんや?
なンて,「科学のこころ」を刺激されました。
以上,Kさんの文章が読みにくいかどうかは慣れでして…(^^ゞ
私は,Kさんと同じことを一般の参観者も思ったはずだと思います。指導案にも「排気ガスを溶かしたら酸性になるか調べよう」なんて書いてあるんですからね。
今回,Mさんと何度か話をしていて,科学の基本的な事実をムシした「派手な実験」は子どもにとって受けるかも知れないけれども,その出会わせ方には充分気をつけなければならないと思いました。環境問題が大切だからこそ,押しつけずに知らせてあげたいものです。
こういう授業は今までにもあったのかなあ?
6 お話「紙で作る立体」 M.K
自然の家の行事で使おうか…と1枚の紙から作ってみた「飛び出す絵本?」を持ってきてくれました。それもたくさん!!
すぐに作れるようなものから,時間がかかりそうなものまで種類も豊富。ちょっとした図工や学級の時間に作るのがいいでしょう。
出典は,次の2冊を教えてくれました。
①中沢圭子著『立体グリーティングカード』(ブティック社,2005年)
②くまだまり著『かわいいポップアップカード―モチーフがとび出す、手作り立体カード62 (セレクトBOOKS)』 (主婦の友社,2008)
①は№2も出ています。手に入れて,この冬休みにおこたにあたってじっくり作ってみてはいかがですか? いずれも1000円~1300円です。
そうそう,紙の話も出ましたね。紙にも色々あるようです。「マーメイド紙」ってのがきれいです。表面が少し凸凹している柔らかな紙肌の紙のことです。でもちょっと割高です。ネットでは,B4・5枚組で390円でした(画材ショップKAWACHI)。
7 「ブログ的気楽レポ・2009年11月号」A5 2ぺ M.O
ちょっと小さな話題を二つ書いてきました。
ひとつは,「実験ならいいよ」という子どものつぶやき。
あるクラスで
「冬休みも授業をすることになりそうだ」
と言ったとき,
「え~」っというブーイングの後で漏れてきた子どもからの言葉です。
「1日中,実験ならいいよ。理科ならいい」
だって。うれしいじゃありませんか。
もうひとつは,久しぶりの鶴彬の話題。鶴彬についての映画「鶴彬-こころの軌跡」もでき,石川県近代文芸館の隅っこの部屋に「特別展」もやっています。ぜひ見てきてください。
このほかに,『能登仮説実験授業入門講座感想文集』(S)などがありました。
今年も色々ありましたが,来年はさらに良い年になるでしょうね。
なんせ全国大会が待っているのだから。
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