新学年が始まって約10日。
今年は5日の入学式が月曜日だったので,とっても長い1週間でした。私は1日の職員会議から土日も休まず出勤していたので,10日間ほど休みなしで大変疲れました。未だになかなかもとのペースに戻れずにいます。家のパソコンの前に坐る時間もなかったのですが,ようやく時間を見つけてサークル通信を書き出しています。
この異動でメンバーの何人かも職場が変わりました。予期せぬ異動もあり,私よりももっともっと日常を取り戻せていないのではないか…と心配しています。
さて,でも,そんなことばかりも言っていられません。
授業は本格的に始まりました。
今年度も「たのしい授業学派」の一員として,<学力>より<楽しさ>をめざしていきたいと思います。
「たのしい授業学派」とか「仮説実験授業学派」というのは,〈子どもたちが「楽しい」と言ったら楽しいんだ。楽しいという子どもたちに依存してやらなければいけない〉という原理原則をもとにしています。そしてさらに,〈子どもたちが楽しいと思っているかどうかは教師が外から見ていただけではわからない。楽しいかどうかは子どもたちに聞いてみなければわからない〉という,原理から派生する「判定法」まであるのです。だから「学派」,「党派性」というのができます。
『たのしい授業2010年4月号』より
さて3月には,遠く富山県から大学生も来てくれました。片道3時間くらいかけて能登半島の尖端まで来て下さいました。その熱心さにびっくりです。「珠洲たの」のHPを見て参加したというのですから大した行動力です。
まずは,そんな彼の感想を紹介します。(サークルのあとでメールを頂きました)
昨日、珠洲でのサークル活動に参加させてもらいましたYです。 嬉しいことに!、昨日のサークル活動で多くの事を体験したので、頭の中が整理できずにパニック状態です。 これより下には、私の感想を書いていきます。 私が珠洲のサークルに参加したいと思った理由ですが、富山で活動しているKさんの影響もあります。それ以上に、私自身がサークルに参加し、直接お話をすることでホームページなどでは見えてこない部分を感じたいと思ったからです。身軽に、いろいろな所に飛び込んでいけるのは大学生の特権かな?と考えて、珠洲のサークルに飛び込んでみました。 活動をした後の感想としては、動物のバリケードから悩み事まで多くの話題が話し合われている事が驚きでした。皆さんが発表する姿を見ていて、私も何か用意すればよかった!という気持ちになりました。上手に説明できませんが、皆さんと活動している時の熱というか空気のようなものを強く感じました。上手く説明できないと悔しい思いをしますね。(中略) 今後もサークル活動に、参加したいと思いました。ありがとうございます。
私は「サークル活動の時の熱を感じた」というYさんのこのメールから,逆にYさんの教育への熱を感じ取りましたが,みなさんはどうですか?
■3月の例会の参加者(7名)
初:U.Y(富山大R学部) R.K(N町N中) M.K(NSSI) H.H(S市S小) M.O(N町U小) K.H(S市M中) M.S(NYSB)
今月の写真
資料の紹介
1 「動物バリケード」A4 1ぺ M.K
最近,道路際の工事の際に時々見かける動物のバリケードについて,いくつか写真を撮って見せてくれました。
もともと変わり者好きの私たちの集団。「オジギビト」の話題以来,今まで以上に道路にある看板によく目がいくようになっています。ついつい車を止めて写真を撮ったりもしています。
さて,今回の話題のもなかなか奥が深そうです。
この写真のようなものを「単管バリケード」と呼ぶそうです。そんな名前があることさえ知りませんでした。
このバリケード。インターネットのあるお店で調べたところ,上のふつうのやつが約800円,下のうさぎさんのが約3000円でした。
何のために4倍近くのお金を払ってまで動物を使うのでしょうか? そんなことも調べたくなってきました。
うさぎやタヌキ,カエルを見たことはありましたが,能登にもペンギンや虎がいるとは…。変わり種を捜したくなる仲間たちではあります。
でもあまりにも可愛かったら,そのうち盗難に遭っちゃうかも…
2 「歌:スイヘイリーベ」 紹介 M.K
これはおもしろい歌です。
元素を周期表の順にただただ歌っているだけのものですが,リズムが良くて,のりのりです。子どもならば,あっという間に覚えてしまうのではないかと思います。
どんな歌なのか気になる人は,YouTubeにあるので,聞いてみて下さい(珠洲たのブログにもリンクしてあります)。
これは「エレメントハンター」というアニメの主題歌らしいです。この番組は3月末に一度終了したのですが,また,4月4日から毎週日曜日8時25分からNHKハイビジョンで再放送されているようです。私は,依然として見逃しています。
本CDには,他に「科学者偉人伝~みんな初めは~」「花粉症ブルース」という曲もおさめられています。これも一聴の価値あり。アマゾンで900円です。今すぐ購入だ! 私も毎日車で聞いています!
3 「1年1組道徳感想文集」 B5 3ぺ K.H
中学1年生と行った「指揮者のミス」(中一夫案)の授業感想文をまとめてきてくれました。26名中16名が「楽しかった」(2,1はなし)と,評価もまずまずいい感じです。担任でもないHさんが,こうして道徳の授業をかってでまでやるなんて考えてみればすごいことですよね(ふつうの教師は,そんなマネはできないでしょう)。これも「だれがマネしてもたのしい授業ができるプラン」の存在があるからこそです。そういうプランをどのように使っていくのかを考えるのが私たちの仕事です。
今回も,「このプランは1時間ではキツイ」「子どもたちがよくしゃべるようなら2時間は欲しい」「2時間にするのなら,岩城さん指揮の本物の映像(DVD)も見せるとよい」などと次の授業へのヒントも語られました。
4 「My BooK 2010年3月号」B5 2ぺ K.H
『遠山啓エッセンス』シリーズ(日本評論社)と秋山惣一郎著『自分で考えるための勉強法』(楽知ん研究所)を紹介してくれました。
『遠山啓エッセンス』は待ちに待っていた本です。
いやーいい本がでました。最近,水道方式や量の理論に関する本がなかなか手に入らず,若い人たちに伝えるときには苦労するなあと思っていたところです。
遠山さんには全27巻(+別巻2)ある『著作集』もありますから,これを持っていればいいのですが,今じゃ簡単には手に入りません。その『著作集』からまさにエッセンスを抜き取ったのがこの『エッセンスシリーズ』なのです。
生誕100年,没後30年を記念しての出版だそうです。
で,もし遠山啓の文章に興味を持ったら,ぜひ,古本屋から著作集を手に入れることをお薦めします。今,ネットで調べたら古本屋でたったの12000円~20000円くらいでした。安い!
私たち教員は,さしあたり明日の算数の授業展開を考えることも大切ですが,「なぜ算数を教えるのか」「子どもがある概念を認識するとはどういうことか」など,「数学の根本的なこと」(Hさんのことば)を考えることも必要だと思うからです。長い目で見ればそちらのほうが,自分の授業づくりに生きてくることにもなるでしょう。
5 「6年学級通信・5号,6号」 A4 4ぺ H.H
1月と3月の学級通信を持ってきてくれました。
Hさんの学級通信は「担任がいいたいことがあったら出す」みたいなところがあります。今回もそんな感じ。
子どもたちの聞く姿勢が今ひとつではないかと感じたHさんは,子どもたちの変化を促すために「手紙」(鈴木敏史・作)という詩を紹介します。
手紙 鈴木敏史
ゆうびんやさんが こない日でも
あなたに とどけられる
手紙はあるのですゆっくり 過ぎる
雲のかげ
庭にまいおりる
たんぽぽの わた毛おなかをすかした
のらねこの声も
ごみ集めをしている人の
ひたいの汗も・・・みんな手紙なのです
読もうとさせすれば
この最後の「読もうと」という部分を隠して授業を進めます。出典は金森俊朗さんの「文学の授業」だったか…といっていました。正式にわかったら教えてください。
第6号は「6年生を送る会」をしてもらった6年生の感想です。とてもやさしい子どもたちに育っているのがよくわかります。
卒業間近になるとなぜか気分が落ち込む担任。6年の担任になったことのある者なら誰にも経験があるのでは…これはうちのサークルだけの現象なのだろうか…。
6 「教師・新入門研究会に参加して」 B5 2ぺ M.S
東京で行われた標記の会に参加したときの感想をまとめてきてくれました。この会にはSさんとHさんが参加しました。この日はちょうど2月のサークルの日。うちのサークルは3名でやっていました(^^ゞ)
講師の話のエキスを教えてもらいました。例えば小原語録…。
・できないことはやらない。できることをやる。
・仮説に出会った人はラッキー
・いわゆる知識はいばっちゃうものだけど,興味から入る知識はうれしい。
なかなかいいでしょ。
売り場で購入した「逆さマスタージャパン」も紹介してくれました。これはおもしろかったです。『たの授』に載っていただけではその面白さはわかりませんでした。
これを使ってクイズゲームが出来ることもわかったので,いきなり10個ほど注文しました。ローマ字を習ったばかりの3年生から大人の余興まで,いろんな場所で使えそうです。そのためには複数持っていた方がいいです。
7 「信じられないし…」 B5 2ぺ M.S
マ,信じられないことって世の中たびたびあります。
「信じられない」という言葉は,自分の常識ではあり得ないことが起きたときに使う言葉です。
「信じられない」基準,はあくまで「自分の常識」でしかありません。
「アルコール50mlに水50mlを足すと体積が100mlにならない」ことは,ある人にとっては「信じられないこと」ですが,授業書《ものとその重さ》を学んだ子どもたちにとっては「当たり前」の現象です。
さて,その「信じられない」ことが,Sさんの学校で起きたという話です。私もこの話をはじめて聞いたときには少し「信じられない」とは思いましたが,ちょっと考えてみるとそうでもないと思い直しました。
私たちは子どもの方を向いて授業をしたり行事を考えたりしています。しかし大方の管理職はそうではありません。管理職が気にしているのは,法律であったり,世間体であったり,自分の立場の保守であったりするのです。だから「うちの管理職は基準はそんなもんだ」と思っていれば「信じられない」ことは起きないのです。
今度の異動で,「信じられない」学校ともおさらばのSさん。
でも期待度を低くしないと「信じられない」ことはどこの学校でも起きますよ。
8 「3つの話題」 B5 2ぺ M.O
今回は小さな話題を3つ持ってきました。
一つは黒曜石の原石の紹介です。
「たのしい授業ML」を通して情報を得,業者に注文しました。分けて欲しい欲しい方は言ってください。
私は,今年度「ヒストリアクラブ」というのを計画しています(もちろんNHKの「歴史秘話ヒストリア」にちなんだ命名です)。このクラブは,歴史上のもろもろを体験してみようという趣旨で行います。何をするのかはまだ決まっていません。とりあえず第1時「火おこし体験」の次に,この黒曜石で鏃などを作ってみたいと思っています。理科で「安全メガネ」も買ったし。
二つ目の話題は年度末にやった木版画(本ページのタイトル写真)のこと。デジタルカメラで撮った写真を元に原盤を作り完成させました。なかなか素晴らしい作品が出来ました。
三つ目は「紙粘土で作ったお寿司」です。4年生の作品はどれもなかなかの出来映えでした。感想を取っていませんが…たのしい授業学派とは言えないなあ。写真はブログに掲載してあります。
9 「《溶解》の授業感想を読む」 B5 6ぺ 尾形正宏
ハッキリ言って,中途半端になったレポートです。本当は授業記録も入れて…と思っていたのですが,間に合いませんでした。そこで子どもたちの感想だけから授業をまとめてみました。
今回は「主体的に考える子どもたち」というものをテーマに据えてみました。
「何回言えばわかるの?」ということを別の面から見ると,「人間は,何度説明されても自分なりの考えで判断することが多いのだ」ということです。そして,それはある意味とても素晴らしいことでもあるのです。一度説明されてわかるような頭は「疑うことを知らない」「権威と合わせることが得意な」「優等生的態度」だといえるかも知れません。ものごとには両面があり,今回の授業では子どもの主体性が浮き出た分,私が感動してしまったというわけです。このレポートは不十分だけど,多くの人に内容を知って欲しいのでHPにアップしておきます。(まだ準備中)
10 「Umisachi通信・13号」 A4 2ぺ M.O
結局,まだ職員には配っていません。内容がちょっと過激なので…。
少し編集して,今年度の第1号に配布しようと思います。
内容は〈ある「基礎学力の向上」の話〉。昔も今もやっていることは変わらない。「原理原則」が〈流行〉する現場に浸かっていると,ミニスカートの流行のように忘れた頃にまたはやり出すのです。そんなことに一喜一憂するより,自分自身の原理原則に沿った授業をやっていきたいという決意表明でもあります。
このほかに,「umisachi通信11~12号」(旧能都町の歴史文化の教材化の可能性,O),「〈音と振動〉と〈ふりこと振動〉」(板倉論文,紹介:O)などがありました。
今回,資料が足りない人がいました。何人来るかわかんないですが,最低8部は印刷してきてください。ま,となりの部屋にコピーもありますが…。
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