珠洲たの通信・2005年11月号

 いよいよ師走。早いものでもう1年が終わりますねえ。
 夏前から計画していた中さんをお迎えしての講座が盛況のうちに終わり,なにかいい雰囲気で年末を迎えてることができました。みなさんはどうですか?「何かやる」「積極的に行動する」ということは,受け身でいるときとは違って,自分の自信につながってくる気がします。ホント,楽しい会をやろうと言ったSさん,それにのってくれたみなさんに感謝します。
 11月の例会には,新しいメンバーも来てくれました。若い人たちと一緒に話すのは,こっちまで元気をもらえますよね。Mさんが準備していた「世界の国旗」の劇の話ができなくてスミマセンデシタ。12月にはビデオなども見たいなあと思います。
 12月は,いつもどおり第3土曜日です。夜は忘年会もしますので,それに参加される方はなるべく早く教えてください。

■11月の例会の参加者
M.S(NYSB)  初・K.Y(NYSB)  T.M(N町M小)  H.H(S市S小)  K.H(S市O中)  Y.N(S市M中)  M.O(S市S小)

資料の紹介

1.『あせらない あせらせない』 B5  4ぺ   M.S
 自閉症と言われるマサキ(仮称)を担任して7ヶ月。僅かな期待をしたり,期待する自分に「過大な期待はいけないよ」と言い聞かせてみたりしながらの7ヶ月。マサキと共に模索しながら成長していく教師の姿が見えます。
 その成長は,Sさんが予想を立てながらマサキと過ごしているから来ていることに違いありません。文字を書くどころか,鉛筆をしっかりもつことさえもできなかったのに,今じゃ,自分の名前を書けることもできるようになったようです。それで「一つクリアしたら,次は…と要求水準を上げてしまう」自分と向かい合うことになります。「確かにそれは大切だし,それがなかったら教師やってられないというか,教師の楽しみがないのかもしれません」という言葉にも同意します。
 しかし…とSさんは言います。
しばらくは,『すごいなー』『声を出せるようになったんだー』って,それを一緒に喜んで共有すればいいのにな~と思ったのです。そうやっていけることで,子供と気持ちがつながっていけて,お互いが気持ちよく過ごせるんじゃないかな~,そうしているうちに,いつか声が大きくなるのではないかと思ったのです。
 人にアドバイスするときには,「焦らない方がいいよ」とか言っているのに,いざ自分がその場になるとついつい「次へ,次へ,もっと,もっと…」と過大な期待をしてしまう。それが悲しい教師の性であるならば,教師である限りついてまわることなのでしょう。だからそこ,こうして時々,自分をふり返り,子供に寄り添っているかの点検をすることが必要なのでしょう。まさに一休さんのスタンスですね。

2.『自閉症児Aの立場に立って!』 A4  3ぺ   K.Y
 初参加です。
 H校から引き続き自閉症のAくんを担任。コミュニケーションの苦手なAくんと,どのようにすれば気持ちが通じるのか,試行錯誤。プールから上がるときに「時間だよ~」といっても,頑なに拒否するAくんが,教師が更衣室に入りドアを開けて手招きするとすんなり入ってきてくれたという話には,なるほど~と納得。手を変え品を変え,子供に対し予想→実践を繰り返すYさんの姿からは,学ぶべきこと多し。
今回の事例のように自閉症児自身がどうしたらよいのかわからず,適切な行動ができない原因は,指導者側の手立てが間違っているのでは?と考えてみることが大切です。
そうですよね。これは,何も「障害」児の世界だけではない。教師の指示や対応がまずくて伝わらないことはたくさんあります。伝わらないどころか,悪循環に陥り学級が成り立たなくなることだって多いのです。心して「何をするにも仮説実験」ですね。それが積み上げた力となるのでしょう。
 Yさんが自閉症児の指導のポイントとして上げている次の6点は,そのままフツーの学校の子供にも当てはまりますよね。
①いつするのか ②どこでするのか ③何をするのか ④いつまでするのか ⑤終わったら次に何があるのか ⑥話されている内容がわかるのかどうか を明確に!

3.「寺岸学級を参観して」A4 1ぺ+ビデオ  H.H
 11月10日~11日,金沢大学附属小学校の研究発表会を見てきたHさんが,寺岸学級の授業の様子をビデオに撮ってきてくれました。
 サークルでは,Hさんがなぜ寺岸学級を見てみたいと思ったのかを話してくれました(浜上薫「国語 つくるためだけの「手だて」から「総合的手立て」へ」『授業研究・1998年1月号』を紹介しながら…)。それを聞きているうちに「なるほど,Hさんの目指しているものがそちらの方向にあるのかもしれない」と思いました。
 実際の授業の様子(ビデオ)も少し見せてもらいました。
 授業で(あるいは授業開始前から)見せる6年生とは思えない屈託のない笑顔。授業することが,否,話をすることが楽しくて仕方がないというような顔,かお,カオ。一種独特のこの雰囲気は,はじめて見る人に「宗教的」なものも感じさせてしまいます(私も感じました)。この子たちは自由なように見えて,本当は教師に操られているのではないか…と。
 しかし「あの休み時間のように,授業で子どもたちが生き生きとしないのはなぜか? そして,子ども同士が関わり合わないのはなぜか?」という寺岸さんの問題意識を知ったとき,ハタと気づきました。「この学級の子どもたちは,フツーは仲のいい子どもたち同志でしか見せない自分を,クラス全体に見せているだけなんだ」ということに。身振り手振りを使った話し方,音楽にノリノリになる姿…,どれも,仲良しの友達同士の間ではごく普通にやっていることです。そんな自分をクラス全体に臆面もなく示せるとしたら,こんなに過ごしやすい場所(学級)はない。
 私が中学生を担任していた頃,その学級がうまくいっているかどうかのバロメーターとして「女の子が給食のお代わりができる学級」「女の子がゴミ箱の前で鼻をかめる学級」ってのがあるのではないかなんて思っていたことがあります。実際,私の担任したある年の3年生は,そういう学級でした。勉強好きな子もきらいな子もみ~んな生き生きしていました。自分を飾らずに学級に出せるというのは,こんなにも居心地のいいものなのかと思いました。
 もう一度,じっくりビデオを見てみたいと思います。それがどこから来ているのか…,そしてそういう学級は,どうなっていくのか…楽しみでもあります。ところで寺岸さんは本を書いていないのかな…。
 今,ネットで検索をかけると,本ではなく,新聞記事が引っかかりました。Hさんの見てきた授業の続編です。長いけど紹介します。

■「ニート」問題、児童も考えよう 金大附属小、来月、大学生と討論
 仕事に就かず職業訓練も受けていない「ニート」について、金大附属小六年生が、身近な問題として考える取り組みを始めた。年明けには、どうすればニートが生まれないのか、児童たちなりの考えをまとめ、大学生と意見交換も予定している。
 取り組みを始めた当初、ニートに対して良いイメージをもっていなかった児童たちだが、調べていくうちに、大学院卒業者や留学経験者らでも人間関係の問題や仕事での失敗を契機にニートとなってしまうことを知ったという。「学校で必要な知識や技術を身に付ける」「夢をもつ」ことなど、単純な理想論では割り切れない問題であり、児童は国の対策や社会のあり方なども含め、話し合いや聞き取りを行うことにした。
 先月三十日には県若者しごと情報館を見学し、武田寿夫館長から若者の雇用状況を聞いた。質疑応答では「家に閉じこもり、支援施設まで足を運ばないニートについてどうするのか」「家族や地域の人々への働き掛けはしているのか」など、鋭い質問も飛び出した。
 児童はグループごとに意見をまとめ、来年一月に金大教育学部の授業で学生と議論することにしている。担任の寺岸和光教諭は「ニート問題を世間で起きている他人事ととらえず、自分の身にも将来起こりうることとして子どもたちにとらえてほしかった」と話した。
 ジョブカフェ石川の植村まゆみセンター長は「早い時期からキャリア教育をと訴えていたなかで、小学生としてはとても積極的な取り組み」と話している

『北國新聞』05.12.04

 この記事を最初に教えてくれたブログ(http://blogs.dion.ne.jp/clair_de_luna/)には,この記事に対して,次のようなコメントが書かれていました。
えげつない事考えるなぁ。小学生にダメだしさせようってのか(・ω・)コノコラハエリートラシイケド
 これが一般的な考えなのかもしれないということも,あたまにいれておかなければならないのかなあ。ん~むずかしい。

4.科学のひろば「《足は何本?》を終えて」 B5  4ぺ  M.O
 3年生と一緒にやった《足は何本?》の授業の感想をまとめてきました。
 この授業書,私は初めて授業にかけました。生活科ができる前は1,2年生にはぴったりの授業書だと思っていて,低学年を担任したことのない私には,関係ないなあと思っていたのです。3年生以上には,まだまだやりたい授業書もあったしね。
 4月に≪空気と水≫をやって,3年生には二つめの授業書。身近な虫のこととあって,経験や想像やらでいろんな意見が出て,授業者の私も楽しませてもらいました。ホント3年生はかわいいよなあ。これも級外をやっているから感じられる贅沢なののでしょう。満足しなければ…。子どもたちの授業への満足度はなんと95%(4と5)。はじめて授業をやったのにこんなに成果を上げるとは…授業書の力はすごい-と改めて思いました。

5 「今月の本棚2005年11月号」 B5 7ぺ   M.O
 2ヶ月ぶりに紹介しました。このころは梶田叡一氏の著作を選んで読んでいました。また,ビジネス書と言われるものも手にとって読んでみました。ビジネス書の方は,本屋に行ったときにちょっと気になったので,気楽に読もうと思っただけです。
 最近はやりの「基礎・基本とは何か」を考えるときに,梶田さんの書はたいへん参考になります。まずはこのあたりから整理をしないと,校内研修会で話をしていてもなかなか前に進まない気がします。というわけで,今月のイチオシは『基礎・基本の人間教育を』に決定!
○梶田叡一著『基礎・基本の人間教育を』(金子書房,2001,215ぺ,1600円)
○梶田叡一著『教師・学校・実践研究』(金子書房,2005,205ぺ,2000円)
○梶田叡一著『絶対評価<目的準拠評価>とは何か』(小学館,2004,146ぺ,1300円)
○大橋禅太郎著『すごい会議』(大和書房,2005,160ぺ,1400円)
○後藤芳徳著『ダメな奴でも「たたいて」使え!』(フォレスト出版,2005,207ぺ,1300円)
○鍵山秀三郎著『掃除道』(PHP,2005,251ぺ,1300円)
○鍵山秀三郎著『鍵山秀三郎「一日一話」』(PHP研究所,2004,221ぺ,1000円)
○稲盛和夫著『君の思いは必ず実現する』(財界研究所,2004,225ぺ,1200円)

 以上の他,12月の講座についての打ち合わせをしました。講座で紹介するつもりの「高速W回転浮沈子」や「レインボースコープ」の実物も見せてもらいました。いずれも最近の『たの授』に紹介されたもので,わりと簡単に作れそうです。しかも,まだ,あまり紹介されていないハズなので,参加者にも楽しんでいただけそうです。あとは,CD浮遊体。これも簡単でできるし,遊べるし…。クラスにつかう分を小分けして販売するということも決まりました。いつでも使えるようにして上げるのが,大切なことですよね。参加者も喜んで購入してくれたようです。よかったよかった。

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