珠洲たの通信・2004年7月号

 7月のサークルからずいぶんと時間が経ってしまいました。この間,子どもたちも来ていないのに毎日学校へ行く日々の夏休みがありました。珠洲市内の学校には職員室に冷房が設置されているので,それなりに過ごせましたが,そうじゃない地区の方は「なんでこんな暑い日に職員室にこもっていなければいけないの」と思っていたのではないかと想像しています。
 夏季休業中に行われた種々の研究会での話は,9月のサークルに出して頂ければと思います。特に「楽しい授業」系統の話題をお待ちしています。

■7月の例会の参加者(5名)
K.H(Y村Y中数学)  M.S(U町O小)  M.O(S市S小)  T.M(N町M小)  H.H(U町M小)

資料の紹介

1.『やまない雨はないpart2』 B5  6ぺ  M.S
 学級物語の続編です。
 なかなかしんどい状況が続いているようです。完全オフレコということなので,ここにもあまり多くを書きません。
 小原茂巳著『教師が崩壊しないために』からの「別れを考えます」という文章。そして,『たのしい授業・2004年7月号』の犬塚記事「楽しさがイメージできて勤勉になれる」という文章を紹介して,「元気」について考えているSさんでした。「今度のクラスは大変な子がいてね」というのを「面白い子がいてね」と語っていけるかどうかは,そんなに簡単なことではないようです。
 暑い夏の間に,しっかり研究の楽しさを取り戻したいという教師の姿。悲壮感を感じさせることなく,前向きに進む姿だけは,なくしちゃいけませんね。
 優先順位を考えた授業の組み方が必要だと思います。

2.『科学のひろば・5年生』第1号 B5  5ぺ  M.O
 新しい学校での5年生との最初の仮説実験授業《ものとその重さ》の感想文をまとめまてきました。
 この学年は,ちょっと学級の雰囲気がよくありません。というのも,ある数人の子が別の数人の子に対し差別的な見方や発言,態度をとっているからです。これは早めに何とかしなければと思います。担任に任せていてはいけないなあ,みんなで考えてあげないと…とも思っていますが,今年のボクは,自分の授業で精一杯な感じです。
 それで,この授業通信も,子どもたちに渡すかどうか迷っています。夏休み直前に作ったのですが,終業式の日に渡すことは出来ず,結局,9月に入っても渡していません。
 でも,この前の小松の会では「授業通信・学級通信」は生きている証拠…なんて言ってた手前,遅ればせながら子どもたちに渡そうかなあ。

3.「醤油ちゅるちゅるは心臓ポンプだ」 A4  4ぺ  M.O
 いつぞや,「醤油ちゅるちゅる」そのものについての話題を紹介したことがありました。今回,この醤油ちゅるちゅるを使って,6年生理科の心臓の授業をしてみたので,まとめてきました。出典は,TOSSLANDのいくつかの実践を参考にしました。
 子どもたちは,本当に機械化の中で育っているんだなと改めて思いました。まず,この灯油ポンプの仕組みを見たことがない。どうして灯油が入っていくのか,よく分かっているわけではないのです。ですから,水を右の水槽から左の水槽へ入れるためにシュポシュポやるだけで,夢中になっています。弁の動きもよく見ています。まだまだ工夫の余地のある実験や実践ですが,今まで自分がやっていた授業よりは動きのあるものとなったと思います。残念ながら子どもたちの感想をとってありません。

4.「少人数授業に思う」 B5  3ぺ   M.S
 「個に応じた指導(の教材開発)」「数値に残す」などという言葉の飛び交う中での学力向上フロンティアの研究推進校。そこで研究するのも大変です。学力の定義から,個に応ずるという意味まで,校内で統一するだけでも1年はかかりそう。そもそも「40人もの個に応じた指導」って可能なの? いくつかのパターンに分けるのなら,それはとりあえずって感じだし…決して「個に応じて」いない。大昔のプログラム学習とかスキル学習とかがなぜ滅んでいったのかをまずは研究しないといけないと思うのだけれど,それってやられているのかなあ。
 持ってきてくれたのは算数の指導案。少人数授業用の2種類です。2つの授業の担当者が相談せずに作ってきた指導案はほとんど同じ。これじゃあ2つに分けたことにならないからと言って,書き換えた指導案で指導しながらも,「こんなんやっていていいのだろうか」と感じたとか。
 話題となったのは「平行・垂直」の概念がしっかりしてこその図形だろうということ,角度の概念が出来ていない。鈍角・鋭角ということもつかませておきたいということなどでした。

5.「『勇敢な少年』を読んで」 B5  5ぺ  K.H
 なんと,1年生の担任が出張の時に担任でもないHさんが道徳をしたそうです。そんなことって,あまりありませんよね。教材は「勇敢な少年」。授業を受けた生徒の感想文集を持ってきてくれました。
 中学校の生徒には,それなりにつっこんで聞いてみるといい部分もあると思います。「なんで小林君は復讐しなかったのか」ということに対するみんなの意見を出し合うことで,「いじめっ子,小林君の中にもある良心や羞恥心」に気づくことができたかも知れません。もちろん,それをしなくても,十分楽しいお話ですがね。

6.「MY BOOK 7月号」 B5  2ぺ  K.H
・田上幹樹著『生活習慣病を防ぐ七つの秘訣』(ちくま新書)
・石塚進著『仮説実験授業と生活指導』(オアシス出版,ガリ本)
・斎藤茂太著『頭がいい人の時間術』(サンガ)
の紹介をしてくれました。
 石塚本の中に紹介されていた,「教師は居直った子どもに対しては無力なんだなあ」という小原さんの言葉は頭に残りました。
 斎藤さんの本は,たいしたことなかったようです。他の人も「あの人の本はちょっと…」という意見が多かったです。

7.「今月の本棚・2004年7月号」 B5  6ぺ  M.O
 今月紹介したのは,以下の11冊です。
○板倉聖宣著『哲学的とはどういうことか』(つばさ書房,2004,173p,1500円)
○齋藤孝著『座右のゲーテ』(光文社新書,2004,218ぺ,700円)
○南郷継正著『武道講義入門 弁証法・認識論への道』(三一書房,1994,237ぺ,1800円)
○板倉聖宣著『原子論の歴史-誕生・勝利・追放-』(仮説社,2004,253p,1800円)
○板倉聖宣著『原子論の歴史-復活・確立-』(仮説社,2004,205p,1800円)

○橋本治『上司は思いつきでものを言う』(集英社新書,2004,221ぺ,660円)
○ビートたけし著『顔面麻痺』(太田出版,1994,213ぺ,1300円)
○鎌田慧・野田正彰他著『教育破壊NO!』(コンパス21刊行委員会,2004,93ぺ,600円)
○高橋哲也他著『教育基本法「改正」に抗して』(岩波ブックレット,2004,63ぺ,500円)
○堀尾輝久著『いま,教育基本法を読む』(岩波書店,2002,227ぺ,1700円)
○藤村靖之著『エコライフ&スローライフを実現する愉しい非電化』(洋泉社MOOK,2004,127ぺ,1300円)
 ずいぶんと読んだみたいですが,今までのボクの枠内の本ばかりです。
 板倉本の3冊は,『哲学的…』がお薦め。文庫本になっていて一般の書店では手に入りませんが,哲学的に考えるコトの大切さが平易な文章で書かれています。『原子論の歴史』2冊は,西洋史を知らない人にも分かるような書き方になっており,原子論が誕生してから確立するまでの歴史が面白く読めます。
 教育基本法関係の本は,今,この法律を改悪しようとしていることもあり,10冊くらいは読んでみようと思っています。この問題についてとりあえず1冊というのなら堀尾さんの本がいいでしょう。詳しくは,「今月の本棚」のページをみて下さい。

8.「給食だより・2004年7月号」 B4  2ぺ  M.O
 給食だよりも4ヶ月目。今回はカラー版にして持ってきました。しかし,子どもたちに配布するときは白黒印刷です。ランチルームにはA3版に拡大したカラー版を掲示してあります。給食だよりの全てをパソコン上で編集したいというボクの方針があるので,一番困るのは面白いイラストを探すことです。具満タンって満タン過ぎて見つけにくいしねえ。フリー画像をネットから探すのが一番ですね。

その他に「正常化通信1毎号・分数の累加」,新聞記事「スローでいこう」(紹介:O)などがありました。この二ヶ月はサークルが出来ませんでしたので,9月には話題豊富かと思います。紙レポート,口レポート何でも結構ですので,話題を持ち寄りましょう。

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