珠洲たの通信・2004年12月号

 新年,あけましておめでとうございます。
 昨年もいろいろと忙しい中,なんとか殆ど毎月サークルの例会を開催することが出来ました。参加人数も3人~6人くらいでしたが,それぞれ悩みやら楽しみやらを話し合うことが出来てよかったなあと思います。何よりも「本音で話ができる場がある」ということが,サークルの一番のよさかなと思っています。
 それでは,今年も,一歩一歩,たのしい研究をもとめて,語り合いましょう。
 さて,11月中はいろいろと日程が重なってサークルができませんでした。で,12月早々,忘年会もかねた会を開きました。忘年会から参加された方もいました。メールでしかお知らせしなかったので,開催を知らない方も居られたようです。メールはちゃんとチェックしましょうね(「サークル通信をちゃんを書く方が先だろう!!」←陰の声)

■12月の例会および忘年会の参加者(6名)
M.S(U町O小)  H.H(Y村Y中)  T.M(N町M小)  R.I(R町K中)  H.S(S市H小)  M.O(S市S小)

■資料の紹介

1.『2学期のカウントダウン』 B5  10ぺ   M.S
 学級物語の続編です。
 10月のレポートの続編。「子どもを信じる」ということばに対して,Oたちがいろいろとつっこんだのですが,それについてのSさんの考えから話ははじまります。そして,「信じる・信じない」ということについて,東京の中さんにもメールして,いろいろ意見をもらっています。
 最後にSさんはこう言っています。
子どもたちが自分の思うように変わってくれることを期待していることを<信じる>と使っていたように思います。これでは子どもたちは息苦しいだろうし,それに達成しないことには私自身がいらいらしてしまったんでしょうね。
 子どもが自分の思い通りにならないことを,「奴に裏切られた」と思うのは違いますよね。それは自分の予想が外れただけで,そう予想した自分がまちがっていただけですから。だから,別の選択肢でアタックしてみるとか…そういう風につきあうしかないのだと思います。

2.『第4学年理科学習指導案』 A4  3ぺ   M.O
 12月中に校内で研究授業をすることになっていましたので,その指導案を持ってきて,みんなに少し意見をもらいました。
 今年は担任をしていないので,理科の授業に出ている4年生を使っての授業です。
 この単元は,仮説の授業書を取り入れていませんので,教科書を使っての授業です。やはり「盛りだくさんすぎるのではないか」という意見がありました。自分でも思っていた通りです。2つの進め方がまだ自分の中でしっかりしていないのです。
 「ものの温まり方」の指導計画として「空気→水→金属」というように教科書通り進めていましたが,サークルで「水→空気→金属」という方がいいのではないかという意見も出ました。空気が膨張するというイメージは,目に見えない分だけつかみにくいのではないか-というのがその理由です。なるほど,それも一理あるなと思いました。そういう実践記録も,どこかで読んだような気がします。
 子どもたちにとって,空気にしても水にしても金属にしても「あたたまるとかさが増える」のは当たり前ではありません。そこで,どこからはいるとスムーズにいけるかという事が問題ですね。
 今回は,「空気→水→金属」という進め方をしましたが,次回やる時には,考えてみたいと思います。あと,この「空気」「水」という限定がどうもいただけない。「金属」といっても鉄球(真ちゅう球?)しか扱っていないのだから,とても一般化までは行きません。これも今回はもう授業時間がないので削りましたが,本来なら,「二酸化炭素」「窒素」「アルコール」「酢」「アルミ」「銅」など,一つにつき3つくらいは「温度によってかさが変化すること」を見せてあげたいです。

3.「第6学年社会科学習指導案」+授業記録 B5  16ぺ   H.H
 「黒船来航は,世の中をどう変えたのか」の単元の3時間目の授業です。
 歴史といえば,とにかく覚えるだけの教科になってしまいがちです。子供たちにしても一部に歴史が好きで教科書以上のことをたくさん知っている子もいるかと思えば,まったく興味を示さない子もいます。
 Hさんは「教科書を見るとこの辺(引用者注:開国から明治維新)の動きがスマートにまとめられている。しかし,その文章を読んだだけでは児童には理解できない。それは,歴史上起こった出来事やその時代の人物の考え方を具体的に調べ,発見し,自分の頭の中で再構成し,つながりをもたせなければ本当に理解できないからである」と述べています。そして,その方法として,2枚の絵を比較する中で,武士や庶民の置かれていた状況を創造する授業を組んでいます。
 以前,このやり方で失敗したので,今回はリベンジしたそうです。
 いつもながら,Hさんの子供達は,出された課題を解決しようと,一所懸命,資料にあたっています。4月からの子供への姿勢が,こういう授業に現れるのでしょう。

4.「割合の表し方を考えよう」 A4  1ぺ  H.H
 算数の教科書で「割合」と「比」と「比例」の部分で,いろいろ考えていることを話し合いました。
 現在使っている教科書の「割合の表し方」(86ぺ)の部分は,「同じ味のドレッシングを作ろう」ということから比を導入しようとしています。それはそれでいいのですが,やはり,比というからには「2つの量」ではなく「3つ以上の量」を取り上げてほしいと思います。今の教科書は「内容の3割削減」とやらで,今まで以上に雑多な知識が-一般化できるまでのスキルをすることなく-出てくる感じで,これじゃあ,子供たちは困るよなあと思います。
 サークルでは「単元全体の計画にとどまらず,算数の全体計画そのものをも見据えながら指導計画を組む必要があるのではないか」という話も出ました。これはなかなか難しいことかもしれませんが,今一度,数教協をはじめとする先人の研究に学ぶ必要がありそうです。

5.「今月の本棚・2004年11月号」 B5  4ぺ  M.O
 今月紹介したのは,以下の11冊です。
○酒井邦秀著『快読100万語! ペーパーバックへの道』(ちくま学芸文庫)
○野田正彰著『させられる教育』(岩波書店)
○日本教育法学会編『講座現代教育法1 教育法学の展開と21世紀の展望』(三省堂)
○茂木貞純著『日本語と神道』(講談社)
○伊藤恵『授業書の中のお話の授業の実際』(よりたの出版,ガリ本)
○皆越ようせい写真・文『ミミズのふしぎ』(ポプラ社)
○斉藤貴男著『安心のファシズム』(岩波新書)
○高橋哲也・斉藤貴男著『平和と平等をあきらめない』(晶文社)
○高橋哲也著『教育と国家』(講談社現代新書)

○入江曜子著『教科書が危ない-「心のノート」と公民・歴史』(岩波新書)
○三浦綾子著『光あるうちに』(新潮文庫)
 斉藤さんや高橋さんの著書には,今の教育がおかれている状況とその危険性がとてもわかりやすく示されています。教育が新自由主義と新保守主義を両輪としてどんどん改革されている中,本当に,このままでいいのか,子供たちはしっかり生きていけるのかとても不安になります。
 私たちは,地に足をつけた実践をしていくしかありません。
 お勧めは,野田正彰著『させられる教育』。教師なら読んで欲しいです。私たち教員は,単にお金のためにこの職を選んだわけではないはずです。その思いが強いか弱いかの違いはあるでしょうが,子供達と楽しい授業がしたい,一緒に明るく過ごしたいという希望があったはずです。それが,今,上から言われた通りにやりなさいと言われてきています。まさに「させられる教育」です。
 もう1冊のお薦めは,岩波新書の『安心のファシズム』です。著者の視点が面白いです。これは万人向け。

6.「給食だより・2004年12月号」 B4  2ぺ  M.O
 給食だよりも8ヶ月目。表は給食に関するいろいろな話題,裏は献立表と決め,
 今月の「給食だより」は,おせち特集。おせちにいろいろなものが入っている理由を雑学してみました。

 その他,クラスの話題やら4月からの悩みやらを真剣に笑いながらお話しすることが出来ました。
 当日はみなさんの都合で,抜けたり入ったりの忘年会となりました。それでも,新しい人や久しぶりの方をお迎えし,楽しいひとときを過ごすことができました。

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