今月の本棚・1999年版

旧・今月の本棚

12月号

 先月から,まだ2週間しかたっていませんので,今回は少しだけの紹介となります。
 しかし,これでこの「今月の本棚」も1年続きました。たいしたもんですね,自分が決めたとおりにしっかりやったというのは。今日は自分で自分をほめてあげましょう。

●檀上慎二著『ふしぎ体感,科学実験』(講談社ブルーバックス,1999,206p,820円)
 この手の本は,最近はやっていますが,この本は,やや教師向けの<実験書>です。
 内容は「光の実験」「振動と音の実験」「力と運動の実験」「熱と大気の実験」「電気の実験」と,盛りだくさんです。『いきいき実験わくわく物理』『ものづくりハンドブック』などで,今まで紹介されてきたものが多いのですが,そのどれもが「より身近な材料で」「より簡単に」できるような工夫がされています。今後,この本に出ている実験を少しずつやってみようと思います。
 今回は「フイルムケースで作るライデン瓶」を紹介します(これはサークル向けに書いたものです)。

●高木仁三郎著『市民科学者として生きる』(岩波新書,1999,260p,700円)
「ガンと闘いながら,明日への夢を語る」と帯にもあるように,著者の高木さんは,現在,ガンと闘っていらっしゃいます。
 高木さんは,ご存じの方はよくご存じでしょう。反原発の論客として,推進派に恐れられている人です。原子力資料情報室の室長もなさっていました。この書は高木さんの「自叙伝」でもあるようです。
 心に残った部分を引用します。
▼これは典型的な研究(者)の論理で,何が重要かよりも,何をやったら論文が書けるか,という方向にどんどん流されていく。研究者はすなわち論文生産者となる。私もいったん,完全にこの研究の論理にはまりこんだ。
▼多くの場合,この中毒症状によって,研究者は,研究が研究を呼ぶ世界にはまりこみ,何のための科学か,とか,今ほんとうに人々に求められているのは何か,ということへの省察からどんどん離れてしまうのである。
▼実験科学者である私は,私もまた象牙の塔の実験室の中ではなく,自らの社会的生活そのものを実験室とし,放射能の前におろおろする漁民や,ブルドーザーの前にナミダヲナガす農民の不安を共有するところから出発するしかないだろう。大学を出よう,そう私は心に決めた。
▼私自身は,批判的作業や原発反対運動に終始して来た感があるが,基本的には,それは「よりよく生きたい」という意欲,明日への希望に発していた。しかし,そのようなものとして,うまくボジティブに表現できず,反対運動としてネガティブにのみ受けとられたことが,今日の危機をとめるための有効な運動を生み出せない原因だったのか。この点は,私個人の問題としてでなく,戦後の平和,人権,環境運動全体の問題として考えていかなくてはならない宿題である。

 高木さんは,私たちに<宿題>を出しています。たしかにネガティブだけでは人の心は掴めないでしょう。「原発反対なら対案を示せ」と言われたりするのもそこから来るのだと思います。
 教育の世界も同じこと。今の教育界を嘆き糾弾するばかりではいけません。しっかり「楽しい授業」という対案を示して,できるところから「明るい未来」を語りたいと思います。

●永六輔著『結界(けっかい)』(マガジンハウス,1998,238p,1300円)
 副題に「越えてはならないことがある」とあります。<結界>とは仏教用語のようです。意味は「物事の内と外とを区別し,決して,侵入したり,越境したりしないこと。また,侵入,越境を許さないこと」だそうです(カバーより)。 
 内容はラジオか何かでしゃべったのをまとめたものです。いつもの軽いタッチですが,言ってる内容はずしりと来るものもあり,おもしろいです。

●高橋健一監修著作『完全図解 からだのしくみ全書』(東陽出版,1991,224p,1845円)
 うまくいえませんので実物を見せます。「からだ」の授業の時,看護婦をしているお母さんから借りてきたと言って,この本を持ってきた子がいました。とてもわかりやすく内容も深いので,ぼくはすぐにクロネコに注文しました(隣の先生にも勧めて2冊注文しました)。
 ボクの持っているのは99年発行ですが,すでに91刷だそうです。すごい!

●石須秀知著『蜃気楼のはなし』(魚津埋没林博物館,1995,74ぺ,100円)
●麻柄一志著『埋没林のはなし』(魚津埋没林博物館,1992,80ぺ,100円)

 今どき100円で,これだけのものが買えるというのが不思議です。ページ数は100ページに満たないものの,それぞれの内容について,知りたいことはだいたい述べられています。
 2册とも,この間「魚津埋没林博物館」へ行ったときに買いました。
 『蜃気楼のはなし』は,蜃気楼の出る仕組みや気候条件などが書かれています。水槽で蜃気楼モデルを作る方法も載っていましたが,大量の砂糖が必要ということなので,まだやってみていません。また,魚津の蜃気楼には冬と春があるのですが,冬は珍しくないようです。そう思って,海を眺めてみると,珠洲からも蜃気楼が見えるようです。問題は春の蜃気楼を見ることのようです。
 『埋没林のはなし』は,まだ読んでいる途中ですが,発見の歴史から最近の研究成果まで盛り込まれています。
 ボクは,博物館や資料館などへ行くと,たいてい何かその展示物について書いてある本を購入します。そういう本は書店で売っていることはまず無いので,後で後悔しないために買うのです(ですから,はしから端まで読むというのは希です)。今回もすぐに買い求めました。
 このようなちょっとした説明本が,安い値段ですぐに手にはいるのはいいことですね。

11月号

 いやー,突然寒くなりましたね。お陰で喉を痛めて風邪をひいてしまいました。まいっちゃったな。まあ,こうしてワープロが打てるのも,少しよくなったからです。
 さて,今年のメインイベントが,この1か月間の間に幾つか行われました。

●近藤俊介編著『原子力発電所で働く人々』(ERC出版,1998,220p,1500円)
「さらに定期検査の直前にチームワークをより一層向上させる機会にと,企業対抗『みんなでジャンプ(縄跳大会)』をスポーツイベントとして開催しました。みんな熱心に練習したのでしょうか,黄色い声援の中で跳躍回数50回を超えるチームが続出しました。」(本書116p)という説明と共に,みんなで跳んでいる写真まで掲載されています。う~ん,それにしてもねえ。
 明るい部分ばかりを取り上げた本書は,もちろん推進派の人たちが書いています。「通路には花も飾ってあり」「発電所の敷地には野生のキジも出現する」と写真入りです。ボクはこういう推進派の本を買ってまで読みません。かといって反対派の本ばかり読んでいるわけではありません。いわゆる推進されている方の文章は,ただで学校にたくさん送られてきますからね。
 本書は,新潟の平和集会に出たついでに,宿屋近くの本屋さんで購入したものです。次に紹介するのも,その時一緒に買いました。

●藤田祐幸著『脱原発のエネルギー計画』(高文研,1996,148p,1500円)
 この本は大変わかりやすいです。原発やエネルギー問題を考えるときには是非手にとってお読み下さい。近年「コジェネ」ということついて,脱原発派では「電力と熱を一緒に採る方法」として話題になっていますが,それの欠点についてもちゃんと考慮されています。章立てを書いておきます。
原子力問題は放射能問題である/「終わり」が始まった原子力の時代/石油枯渇問題とは何か/日本のエネルギー収支/原発を止めたら電力パニックが起きるか/当面のエネルギー問題解決の筋道/小規模分散型電力への提案/電力を自由市場へ開放せよ
 あとがきから印象に残った部分を書き出しておきます。
▼市民が電力の問題に主体的に向き合い,地域の問題としてこれに対処することが,問題の解決の第一歩になる。繰り返すが,原発を止めるために小規模分散型のエネルギーの議論をするのではない。エネルギー問題を,地域の問題として,その他のもろもろの環境問題同様,市民の主体的な意識の中に解決の道を委ねることこそが,いま問わねばならないと,私は考える。

●山住昭文著『江戸のこばなし』(筑摩書房,1995,203p,1100円)
 題名通り,「江戸の小咄」を集めたものです。簡単な解説とその小咄に関連する川柳も出てきます。「ちくまプリマーブックス」の1册なので,漢字のふりがなも多く,とても読みやすくなっています。
 ついに小咄まで興味が広がってきたボクですが,次の落語の本もおもろかったです。

●相羽秋夫著『落語入門』(弘文出版,1991,235p,1400円)
 落語に関する入門書。落語の仕組み,歴史,話の種類,落語家修行などについて書かれています。落語は子供の時に聞いたことはありますが,話の内容の分類などについては全く知りません。この本を読んだ後も,「別にこんな分類分けしなくてもイイや」と思っています。この本の3分の1ほどが現代の噺家の紹介に当てられています。
 実は,この前,「落語蔵出しシリーズ(全10巻)」というCDを購入しました。昭和30年代頃に活躍した人たちがSP版に録音したものの復活ものです。所々にわからない言葉や言い回しがでてきますが,大変おもしろいです。

●羽仁進著『羽仁進の日本歴史物語』(小学館,1998,334p,1800円)
「日本歴史を見直す」ということが流行のこのごろです。これも世紀末ということも関係あるのでしょうね。新しい歴史教科書を作る会?だったかかも,「日本人が誇りを持てる」歴史を作ろうとしています。
 本書は,別の意味で,日本の歴史を見直すいい本だと思います。最近の研究成果も盛り込まれております。本の腰巻きから引用しておきます。
▼歴史は,偉人が作るものではない,ということはかなりはっきりしてきた,と思います。私達の眼に触れる同時代は,そうとしかいえないのです。(中略)歴史の変化の多くは,大勢の人たちの動きの結果であり,しかも残念ながらその変化が人間の幸福を全面的には保証しませんでした。/バブル崩壊後の日本では,子供と一緒に散歩する父や母を,だいぶ見かけるようになりました。そのなかには,本当に楽しそうに幼い子と遊んでいる姿があります。案外,新しい世紀の文明は,こんなところからはじまる可能性をもっていると,私は考えています

楽知ん研究所のサイトへ

●松本キミ子著『モデルの発見』(仮説社,1999,210p,1900円)
 『たのしい授業』誌上で紹介されたキミ子さんの記事を元に,加筆追加して1册にまとまったものです。しかし,一度読んでいるはずなのに,こうしてまとまってみるととても新鮮に感じます。最後の「色づくりから広がる世界」は,ちょうど2年前の「キミ子方式全国大会」でも話題になっていたので,そういう意味でも興味深く読めました。
▼おそらく,「3原色と白だけをつかい,部分から全体へ,画用紙が足りなければ足す」という方法だけをマネしても,ふつうの描き方のときよりは人々は集中し,よろこんでくれるだろう。しかし,私の目的は,ただ「うまい絵を描かせる」ということではない。なによりも,たのしく,退屈することなく生きていってほしいのだ。私は絵を描くことがその目的にぴったりだと思っているのだが,その目的に反するなら,絵など描かせないほうがよいのだ。(「はじめに」より)

●名和秀雄著『子どもの目が輝くとき』(中央法規,昭和62,218p,1300円)
 先月ご紹介した名和さんのエッセイ集です。「昆虫博士から見た子育て論」と言ったところでしょうか。内容は大変読みやすく,おもしろいです。珠洲での講演に出された話題もたくさん出てきました。これも「サイン本」です。それにしても,あのあたりの年代の活力ある人達って,どうしてあんなに個性あふれているのでしょうか。うらやましくなっちゃいます。

●本間善夫・川端潤著『パソコンで見る動く分子事典』(講談社BLUEBACKS,1999,363p,1800円)
 分子模型に関心のある人は絶対買いましょう。たったの1800円で,1200以上もの分子の形がパソコン上でみることができます。もちろん,回転もできるし,印刷もできます。詳しいことがわからなくても,みているだけで楽しいですし,もし,分子模型を自分で作ってみようというときには,威力を発揮するはずです。
 自分のパソコン上で分子模型を作るのなら,以前紹介したプログラムが必要ですが,見るだけなら,この本に付属しているので十分です。

●初等科学史研究会編集『初等科学史研究MEMO1』(楽知ん研究所,1999,116ぺ,1200円)
 この冊子は『初等科学史講座』(6巻)を作るための研究誌だそうです。できあがる『初等科学史講座』という本もすっごく興味がありますが,この『研究MEMO』もなかなかおもしろかったです。
 今まで日本語に翻訳されていない基礎文献の翻訳が主になるそうですが,その翻訳の仕方も「補訳」といって,「原書にはない絵や解説を大胆に取り込んで読者本意の本を作る」ことを目的とするといいますから楽しみです。
 第1号には,「フランクリンの手紙Ⅱ」を宮地さんが補訳したものが掲載されています。内容は,今回のシアターの「電気ブランコ」の話で,読みやすかったです。
 自分たちで原書にあたって翻訳するなんて大変ですが,その成果ならすぐにでも手に入れたいと思われる方,あるいは素人の研究方法に興味のある方は必読のシリーズになりそうです。

9,10月号

 うちの学校は,運動会も遠足も終わりました。けれど,「研究会の秋」で,色々なところで研究発表会が開かれており,学校現場は全員が揃うことは,まずありません。ずいぶんと忙しい現場になったものです。じっくりと授業に取り組んでいたいのですがねえ。
 さて,「9月の本棚」は,お休みしましたので,今月はそれも含めてご紹介します。今月から,「およそのページ数」と「およその値段」も書いておきます。購入する場合は参考にして下さい。

●板倉聖宣著『教育が生まれ変わるために』(仮説社,1999,290p,2000円)
 板倉さんが『たのしい授業』誌上で発表してきた論文を1册にまとめたものです。帯の文章を紹介しておきます。
「いじめ・登校拒否・学級崩壊。教育の話題は暗いものばかり。その中で,この本は異常?-教育の現状の画期的な見方,確かな評価論,仮説実験授業を中心とした具体的な改革の手だて,そして教育を明るくするために問題となることを論じた1册。学校・授業改革に本当に必要なものは…!」
「創造性を評価すること」「理科離れについて」など,またまた刺激的な話がいっぱいです。教育界の常識は知らないうちに身につきます。ご注意下さい。

●新島洋・清水直子編著『闘う首長-自立する地方自治体とは』(教育資料出版会,1999,230p,1700円)
 「闘う」なんて過激な言葉があるから,沖縄太田前知事や襲撃事件を受けた産廃反対の町長なんかがでてくるのかと思ったら,そういうのもありますが,国の方針にとらわれることなく「果敢に(柔軟に)地方自治をやろうとしている」自治体の長が20名紹介されています。このあたりのことを著者は「<闘う>と言うことは首長にとっては特別の意味を持つ。なぜならば拒否や抵抗という要素以上に,生産的であり創造的であるという要素が行政の長には強く求められるからだ。」と述べています。本当にその通りだなあと思います。
 翻ってうちの市を見てみると,「う~ん」とうならざるを得ません。地方の時代だよ。もう。

●小林卓二著『静電気のふしぎ』(さ・え・ら書房,1987,63p,1100円)
 子ども向けの<科学読み物>兼<実験書>です。
 静電気の簡単な歴史を紹介しながら,テレビのブラウン管の表面から静電気をためて,いろいろな実験をしています。内容は豊富で,「ギルバートの検電器」「ガラス電気と樹脂電気」「ライデンビンの発明」「フランクリンと避雷針(フランクリンの静電モーター)」など,充実しています。実験もわかりやすく書かれているので追試も簡単にできます。
 同じ著者の『ファラデーのモーターの科学』も一緒に購入しましたが,こっちの方は,まだ読んでいません。

●ウォルター・ウィック著『視覚ミステリーえほん』(あすなろ書房,1999,40p,1800円)
 これも子ども向けの科学絵本というか写真絵本です(そんな言葉があるのかなあ)。著者のウォルター・ウィックは,写真家です。
 この絵本も全て実際の物体を写真に撮ったものです。エッシャーの絵のようなものがちゃんと写真でも再現できているので驚きです。この本は,うちの2年生の子供にも受けました。超お薦めの写真絵本です。『たのしい授業』で紹介されていたので取り寄せてみました。さすが『たの授』読者は目が高い。

●ウォルター・ウィック著『ひとしずくの水』(あすなろ書房,1998,35p,2000円)
 これもウィックの作品です。写真をふんだんに掲載した水についての<科学読み物>となっています。水が繰り広げる色々な状態を写真におさめ,その水のスバラシサを見事にとらえています。「1997年ホーン・ブック賞受賞」と書かれていました(それがどんな賞かは知りませんが)。中・高生が読んでも,大人が読んでも面白いと思いますよ。これもお薦めです。

●へれん・ばなーまん作・絵『ちびくろさんぼのおはなし』(径書房,1999,62p,1000円)
 ご存知『ちびくろさんぼ』の完全復刻版です。元版のように手のひらに入るサイズで,絵も原作のものを使ったそうです。
 この『ちびくろさんぼ』は,10年ほど前,「黒人差別だ」というので突然絶版になったことを覚えていらっしゃるでしょうか。その以前には何種類かの「ちび黒サンボ」が出ていました。また,絶版後も絵や題名を変えて類似した絵本が出されてもいました。
 ボクは,もともと「差別だ」「人権だ」といって,「小説狩り」や「言葉狩り」をする発想についていけません。「差別的な言葉を追放しても心が変わらなければ,また新しい言葉ができるだけ」だと思うからです。
 例えば,「めくら」という言葉に差別を込めて言うこともあるでしょうが,親しみを込めることだってありえます。それは「目の不自由な人」と言い換えても同じことでしょう。「めくら」を「目の不自由な人」と言い換えて喜んでいるような哲学のなさには,ちょっとねえ。「言葉とは何か」ということについてもっと調べてみたいなあ-時間があればですが-でも,このあたりのことは三浦つとむさんが書いていたようにも思います。
 話がずれましたが,この『ちび黒サンボ』を巡る顛末について書かれたものに,同じ径書房の『「ちびくろサンボ」絶版を考える』(1990年)があります。差別とはなにか,日本人はなぜこんなにも敏感に反応するのかなど,興味深い話題でいっぱいの本です。こっちの本の方がお薦めです(原本もちゃんと載ってますから)。

●永六輔著『悪党諸君』(青林工藝舎,1999,227p,新書判,800円)
 永さんが1985年から1999年まで,全国各地の刑務所の囚人達に向けて講演したものの中から,4講演を選んで掲載してある本です。講演場所が場所だけに,なにか複雑な気がしますが,そこはさすがです。ちゃんと笑いを取り入れながら,「あきらめないで元気に生きていってね」という永さんの気持ちがしっかりと伝わってくる講演内容ばかりです。
 本書の40ページをしめる対談もすごいです。なにせ,30才までの経歴が「妻を売ったのが1回,捨てたのが6回,妾宅を構えること24回,警察のご厄介が124回」という元極道の吉田さんとの話なんかがあるのですから…。足を洗ったとはいえ,話している内容はすごいです。内容は読んでのお楽しみ。

●名和秀雄著『虫のいい噺』(中央法規,1995,180p,1600円)
 珠洲の教育研究集会の講師として来市された昆虫博士・名和さんの著書です。講演会そのものは,口調が激しかったために賛否両論があったようですが,ボクはあれだけハッキリ言う方が刺激があっておもろいと思いました。
 さて,この本はその会場で買ったものです。朝日新聞に掲載したものを元にしてまとめられたそうです。ボクが,おもろかった虫の解説は以下の通り。いずれも抜粋です。
・シリアゲムシ…いかめしいハサミは獲物をとったり,戦うためでなく,交尾の時,雌をおさえつけるためというから情けない。
・キリギリス…ネギが好きなので,子どものころ,ネギにひもをつけて,魚釣りの要領でキリギリスを釣り上げ,その感触を楽しんだものだ。
・クリシギゾウムシ…栗の中から丸まるとした黄白色のうじ虫が出てくる。時には1個に2匹も3匹も入っている。栗のだ意外中であり,栗の季節にはおなじみの虫である。この幼虫をいって食べると,香ばしくてうまい。砂糖としょうゆで味つけしてご飯に炊き込むと,これまた絶品である。
・クツワムシ…人の気配で,ぴたっと鳴きやむので,昔,武家屋敷の庭で鳴かせておき,忍者の侵入を察したという。

 以前,「ふれあい昆虫館」の職員たちが,「あまりにも茶の香りがするので,ナナフシのウンコを煎じて飲んだ」という話をしたと思いますが,やはり,昆虫好きには通じるものがあります。

●吉岡斉著『原子力の社会史-その日本的展開』(朝日選書,1999,320p,1500円)
 すごい事故が起こりました。あり得ない事故だったために,その建物にはなんの防御もしてありませんでした。
 この本は,日本の原子力開発の歴史を,戦前から今まで網羅的に述べたものです。今までにこういう本は無かったので(少なくともボクは知らなかったので),大変興味深く読みました。しかも分厚いので,時間もかかりましたが…。ちょうど新潟の平和集会へ向かうことになっていたので,そのことをきっかけとして読み始めました。
 著者は,日本の原子力開発の社会史を以下のように時代区分しています。
1939~53 戦時研究から禁止・休眠の時代
1954~65 制度化と試行錯誤の時代
1966~79 テイクオフと諸問題噴出の時代
1980~94 安定成長と民営化の時代
1995~  転換期を迎えた原子力開発利用
「わずか400字で500枚ほどの紙面(作者の言葉)」なのですが,結構,内容のある本です。「さくいん」も詳しくて,これからも何度か利用できそうです。

 この10月は,『週刊金曜日』『ニホン・ミックの新聞切り抜き』の年間購読料支払いの時期であり,毎年毎年購読を迷いながらも,数万円の出費をしています。今まで購読っていた本を止めると,なんか調子が狂いそうで,惰性でとっている本もずいぶんとあります。

8月号

 夏休みも明日で終わりという日に書いています。今年の夏休みは,ボクにとっても大変思い出深いものとなりました。夏休み期間中の4分の1ほどを海外で過ごしたので,今までとは違った形の休みとなりました。
 それで本の方は,例年のような冊数は読めませんでしたが,でも,たくさん買いました(秋の夜長にでも読めるかなあ)。

●興津要著『江戸川柳女百景』(時事通信社,1994)
 古川柳の本です。ただ,江戸川柳ばかりではありません。江戸時代に書かれた小咄や物語からも引用されており,より当時の江戸女たちの暮らしの様子が分かります。帯には「江戸市井の娘や妻は,日々どんな思いで,どんな姿ですごしていたか。そして吉原に暮らす遊女の明け暮れは・・・。いまに残る川柳や小咄を豊富に引用して,彼女たちの喜びや悲しみを,生き生きと描く江戸姿女模様」と書かれてあります。大変読みやすい本でした。
 花嫁はこわく嬉しく恥かしく(柳多留96)

●柏木博著『日用品の文化誌』(岩波新書,1999)
 色々な<もの>をテーマにして,その<もの>ができたときのエピソードや人々の受け入れ方などが書かれています。
▼労働の機械化は,当初,その作業や動作の動きを模倣しそのまま機械化するというアイデアから始まることが多いのだが,結局は,まったく異なった論理によって機械化されることが少なくない(17p)
確かに「掃除機」は,箒というイメージからはほど遠いですね。
 取り上げられているものには,次のようなものがあります。
 現代住宅,洗濯機と洗剤,紙製品,加工食品,電灯,ミシン,寒暖計,無線,クリップ,カタログ,幻灯,写真装置など。
 サミュエル・ピープスも出てくるし(193p),おもしろい本でした。

●石井明著『落語を楽しもう』(岩波ジュニア新書,1999)
 落語をよく聞いたのは,小学校の頃だと思います。テレビで見たのですが,今よりたくさんの番組をやっていたようにも思います。
 この本は,「落語の歴史」と「落語の入門書」が合体したようなものです。噺家の系統も書いてありますが,なんか入り組んでいてよく分かりません。落語は聞くに限ります。
 最近,江戸川柳・狂歌から発展して小咄・落語はては歌舞伎にまで興味が出てきて,それなりの入門書も買ったりしているのですが,なにせ,まったく下地の無いところでは本の内容も頭に入ってきません。だれか,古典落語のいいCDかビデオを教えてよ~。

●野口悠紀雄著『「超」整理法3』(中公新書,1999)
 ご存知「超整理法」の第3弾です。副題に「とりあえず捨てる技術」とあるように,この本は「いかにうまく捨てるか」ということについて書かれています。
 必要なものとそうでないものとを区別するため,あるいは捨てるに忍びないけど・・・というものに対する考えとして「バッファー」という概念を用いています。要するにパソコン上の「ゴミ箱」の考え方です。「とりあえず捨てる」「とりあえず取っておく」「まだ読んでいない本を置いておく」という場所をしっかり確保することで,自分のまわりの資料の整理環境が格段によくなると言います。
 考えてみれば,ボクの部屋にも,「まだ読んでいないので本棚に片付けていない本」「整理前の新聞切り抜き」「週刊誌やサークル資料」など,時間があるときにやろうというものを雑然と置いてある場所がちゃんとあることに気が付きます。それでも,まだ資料を見つけるのに大騒ぎになるのは,どうしてでしょうか。

●藤本義一・杉浦日向子著『いろはカルタに潜む 江戸のこころ・上方の知恵』(小学館,1998)
 まず,「いろはカルタ」に江戸編と上方編があることにビックリ。わたしゃ,今まで日本のいろはカルタってのは,1種類だとばかり思っておりました。
 内容は,東西の代表が書いているとあらば,面白くないハズはありません。全部で96のカルタが紹介されています。
 ただ,差別の観点から「かったいのかさ恨み」「盲の垣のぞき」というカルタの絵が省略されているのは残念です。本の後ろに「編集部注」で差別については書いてあるのですから,ちゃんと絵柄も出してはどうでしょうか。「カルタ」には絵がつきものではないかと思うのですけれどねえ。小学館じゃ,無理かなあ。

●大鐘雅勝著『中学英語で「英会話」を1週間で攻略する本』(PHP,1999)
 欧羅巴へ行く予定だったので,すこし英会話の本でもと思って読んでみました。中学英語自体を忘れちゃっているので,困るんですが,それでもこの方面のほかの本よりかは,わかりやすかったです。でも実際の旅行には,うちのかみさんの購入した『ど忘れ英会話』というのを持っていきました。
 この本は「勉強のコツシリーズ」の中の1册とのことです。表紙をよく見るとなぜか向山洋一の編集になっていて,なんだかよく分かりません。

●マルク・シャガール著『シャガール わが回想』(朝日選書270,1985)
 スイスでの最終日。ほかのメンバーより先に,家族でチューリヒに向かいました。チューリヒでは,ペスタロッチ公園と聖母聖堂のシャガールのステンドグラスだけは見たいと思っていました。シャガールのステンドグラスは,予想以上にかっこよくてきれいで,しっかり頭に残りました。この建物-聖母聖堂の入場料は無料ですよ。すごいですねえ。
 で,帰ってきて,本屋で見つけて読んだのがこの本です。
「回想」といっても,この本を書いたのがシャガールがまだ30代の頃です。聖母聖堂のステンドグラスを手がけたのが83歳ですから,すごいです。シャガールは,結局,1985年,97歳で逝去します。
 本の方は,決して読みやすいとは言えません。なんというか,絵のような文章とでも言うか・・。特に前半の幼児期の記憶の部分は,シュルレアリスムの詩を読んでいるような気にもなってきます。

●大竹三郎著『エレキテルびっくり記』(大日本図書,1982)
 学校の図書館から借りて読みました。
 エレキテルの話,蘭学の話,雷の話などが,とってもわかりやすく書かれています。子ども向けといっても大人が読んでも面白いです。
 サイエンスシアターに関する本がないか探していて,学校で見つけました。江戸時代の文献についても詳しく書かれていて,シアターのシナリオ集の内容を補完してもくれます。これを読んでいると,橋本曇斎の『エレキテル究理原』を欲しくなってきます。
 この本の中に,シアターのシナリオ集では引用されていない図があります(言葉なら187ページに紹介されている)。それは,「エレキテルの気が火をつたわる実験」というものです(111ぺ)。「静電気が炎をつたわる」なんて・・。これを見た途端,ちょっと信じられないので,是非やってみたいと思いました。
 おそらく11月のシアターが終わるまでは,このような電気関係の歴史の本を探して読むことになると思います。

●板倉聖宣責任編『電気となかよくなろう・後編 電流を上手に使う法』(板倉研究室,1998)
 昨年12月に行われた「サイエンスシアターのシナリオ原作本」の後編です。
 「静電気の話」が中心の前編とは違い,後編では「遠くまで電気を伝える法」や各種の「センサー」の話が出てきて実用的です。特に,「センサーの話」は,全く手品のように見える現代の機械の仕組みをとてもわかりやすく教えてくれました。トランジスターというものも始めてその役割が分かったように思います。こんなのずーと前に習ったはずなのですがねえ。

●山本正次講演集『夢と目覚め 或いは賭け』(大阪たのしい授業研究会,1999)
 山本正次さんの講演集です。1994年から96年にかけての講演のなかからテープ起こしをしたものです。山本さんが仮説実験授業を知る前に出会った子どもたちのことが書かれており,とても興味深く読ませて貰いました。編集も,山本さんのあのゆったりした口調が思い出されるようで,読んだ後に満足感があります。
 10年前には,新居さんと山本さんのジョイント研究会もあったっけ。あのときの二人のせーかくは,どう考えても正反対にしか思えなかったよなあ。
 でも「子どもを信頼して,教育研究に打ち込む姿」は重なります。二人ともボクは大好きです。

●犬塚清和編『学級崩壊を考える』(ガリ本図書館,1999)
 皆さん,明るくなりましょう。
 だれですか「学級崩壊」という言葉を作り出したのは。
このガリ本の一部の文章は,『たのしい授業』にも紹介されました。話題になった川上亮一著『学級崩壊』も,一部教師には「よく言ってくれた」と支持を受けているようですが,この現状を「強制の強化」で乗り切るわけにはいきません。
子どもたちの立場に立った改革が今こそ必要なのでしょうね。はたして,「総合的な学習」の中には,それがあるのでしょうか?
 『たの授』に掲載されたもの以外では,増山さんの「無競争集団主義の到達点と問題点」がおもしろかったです。これに似たことをボクもやってるなあと思ったからです。

7月号

 学期末でなかなか忙しくなってきたのですが,ボクは,この時期がわりと好きです。というのも,テストをしながら本を読んだりもできるからです(マルツケに追われることもありますが)。読みたい本がたくさんあるといいながら,ベットに入ってしまうとすぐに眠りについてしまう毎日です。昔ほど体力もないのかなあと思ったりもしています。

●有田和正著『21世紀の学力・学習技能』(明治図書,1999)
 生協のチラシに出ていたので,久しぶりに有田さんの本でも読んでみっかと思い,購入しました。主張は一つ-「これからは一つ一つの知識ではなく,<学び方>を学ぶ授業が主流とならねばならない」ということです。で,そのための授業の実際を幾つか示しています(重複した事例が多いのが気になる)。
 その主張には,その通りだと思います。しかし,考えてみると,今までも<学び方>を重視してきたようにも思うのですが…。ただ,それがうまくいっていたとは言えませんが…。最近は,知識はどうでもよくなってきて,小学校を出ても県の名前や主な国の場所さえも知らない子がいるようです。そんなんでいいのかなあ,とも思います。覚えることの楽しさも知って欲しいですね。
 全然関係ないけど,15ページに「歴史はだんごと串ざし」という文章が出ていました。これには思わず笑ってしまいました。なぜだか,「珠洲たの」通信の読者には分かりますよね。

●大野晋著『日本語練習帳』(岩波新書,1999)
 日曜日の番組を見ていたら,著者が出てきて
質問 「最良の」と「最善の」に続く言葉はなに? [努力・方策・体調・できばえ・処置・状態・品質・道]
とやっていたので。これは面白いと思って読んでみました。ベストセラーになったようで,ボクの持っているのは5月24日で第15刷(1月12日発行)です。学生時代,文法が苦手だったこのボクでもたのしく読めましたから,やっぱりいい本なのでしょう。
 「Ⅳ 文章の骨格」で著者は,学校で子どもたちに書かせる感想文についてこう述べています。
 このように感想文とは書き手の条件に左右されるもの。また,一度ざっと読んだだけでもいちおうは書けるものです。それでは文章の力は養われません。そのうえ,感想文を書かなくてはと思うと,読書の楽しみが失われ,読書が荷物になり,本を読むことが喜びでなくなる。これはとんでもない間違いでしょう。学校の先生方が生徒に感想を書かせるのは,一人一人違った感想が出てくるのを,読み手として楽しみたいという気持ちがある。
 生徒のためにはそれよりも,個々の作品を精確に読みとる練習をまずさせるべきで,文章を読む眼力を鋭くさせる方が先でしょう。先生は生徒の縮約の答案にあらわれる微かな差に気を配って,生徒とつきあうべきだと思います。 (124ペ)

●千野栄一著『ビールと古本のプラハ』(白水社,1997)
 これを読むと「黄金の虎」というビヤホールへ行ってみたくなります。古本の方は,どうせボクはチェコ言葉なんて分かりませんから,まあいいですが。でも,本を愛する気持ちはよく分かるので,「特殊な本」の話もたのしく読むことができました。あとは,先月の言葉をそのまま借ります。
 新書版のくせに900円とはちょっと高いです。が,知らない地名が出てきてもそんなに気にせず読めました。これも,著者の興味・関心にそった具体的な話だからでしょう。観光ものの本を読んでいると地名やら建物の名前ばかりが出てきて,全然イメージが膨らみませんが,こういう本は読みものとしても面白いです。

●広田照幸著『日本人のしつけは衰退したか』(講談社現代新書,1999)
 青少年による凶悪事件や学級崩壊と言われる状態に対し「家庭でのしつけが後退したのだ」という常識的意見が氾濫していますが,これに対して著者はあえて問います-「それは本当なのか」と。
「それでは,昔はどうだったのか」と時間をさかのぼり,決して今だけが子育てに悩んでいるのではないことを明らかにします。しかも階級差があった昔は,子育ての仕方にも方向にもその家々で個性がありました。しかし,最近,国民のほとんどが中流意識を持つにいたって,「子育ての完璧なマニュアルを求めすぎているのではないか」と,読者に問いかけます。
▼家庭のしつけにさまざまな問題の原因を求める議論は,すべての親に「完璧な両親」になることを求めるのだが,そんな時代はくるはずがないし,それが実現したとしたらずいぶん気持ち悪い社会になるはずである。人間の生き方は多様だし,親はそもそも子供のためだけに生きているわけではないのだ。(200p)
 こういう言葉を聞くと,みなさん安心するのではないでしょうか。親がそれなりに真剣に生きていれば,そんなに曲がった子どもはできないと言うことかなあ。100册以上の参考文献も紹介されております。話は変わりますが,やっぱり柳田國男もそろえたいなあ。
 この本はお薦めです。是非是非読んでみて下さい。しゃれたあとがきの最後も紹介しておきましょうか。
▼最後に,十代半ばから二十代はじめまで親を疎んじ,ろくに口もきかなかった,かわいげのない息子であったことを詫びつつ,この本を倉敷に住む両親に捧げたい。(206p)

●下山弘著『「江戸川柳」男たちの泣き笑い』(プレジデント社,1994)
 江戸川柳・古川柳にこり始めて2年くらいになりました。毎月,何らかの本を「クロネコ」で注文しています。
 この著者の本も,これが2冊目。古川柳のよさを,<腰巻き>から紹介しておきます。ボクが古川柳を好きなのも,おそらくこの庶民性にあるんだろうなあと思います。
川柳は「春雨や…」とか「古池や…」という風流ではなく,商売や遊びとか夫婦喧嘩が題材だから,それこそモロに人付き合いの世界。登場人物はみんなくふうや苦労をしながら人と付き合っている。そこが面白い。それに舞台は江戸時代だから,現代とはピントが1センチぐらいずれて,あまりドギツクないのも有難い。

●網野善彦著『中世的世界とは何だろうか』(朝日選書555,1996)→「網野善彦氏の著作を読む」へ

●板倉聖宣責任編『電気となかよくなろう・前編 静電気の世界』(板倉研究室,1998)
 昨年12月に行われた「サイエンスシアターのシナリオ原作本」の前編です。ずいぶん前に手に入れていたのですが,やっと読んでみました。
 というのも,秋に行われる予定の「北陸サイエンスシアター(金沢)」研究会のメーリングリストが始まったので,論議に混ざるためにも内容を知っておかなければならないからです。
 この中で,ボクが特に面白いと思ったのは「電気石」の話と「エレキテル」の詳しい物語です。これらのことを調べようとすると,今まで読む気もしなかった江戸時代の文学本などを見るようになったという研究者達の話に,なるほどとうなずくボクです。自分はまだそこまで行かないので,じわじわと触手が動き出すのを待とうと思います。メーリングリストでの発言は,すでに160以上もやりとりされています。

 今(7月16日),ある会合から帰ってきてビールを飲みながら,なにげなくテレビを入れると,午後の11時頃から教育テレビで「東北からいくつもの日本へ」というシンポジウムの様子が映し出されていました。パネリストには「網野善彦」氏が参加しているというので,途中まで見ていました(残りはビデオに撮り,今これを打っているのです)。三内丸山遺跡が発掘されたことで,日本人の深層に「縄文文化」イコール「森林文化」が色濃く残っている,という論調で話は進んでいました。
 そう言えば「もののけ姫」が守ろうとしたのも「森林文化」でした。
「森を神のすみか」と見る文化は,今なお濃く残っています。お寺さんの呼び名の最初に「○○山」とつくのも何かあるに違いありません(「本山」という言い方も考えてみれば変ですよね。平地にある寺のことでさえ,そう呼ぶのですから)。
 いろいろと興味は,つきません。

6月号

 毎月のことですが,読む本より買う本の方が多いので,読んでいない本がたまる一方です。「これはなんとかならんのか」と,自分自身に聞いてみたりもするのですが,返事は…「欲しい本はすぐ欲しいのだもの」ということです(自分で言ってりゃ世話ないよ)。クロネコですぐに頼めるというのは,欲しい本を我慢しなくてもいいということでもあり,これじゃあ駄目です。本が減らなくて…もう,どうしようかなあ。というか読みたい本がありすぎるのがイカンのだ。

●山本正著『タンポポの研究』(国土社,1980)
 著者の山本さんは,満州で小学校の訓導や校長をした人です。本人はもう亡くなっていますが,この本は,山本正著(芦田恵之助校訂)『小学自然研究 第二編 タンポポ』(芦田書店,1925)の全文を採録したものです。
 山田さんが満州にいた頃のタンポポの研究について書かれています。今では,タンポポのことも結構知られています(教科書にもあるので)が,70年以上も前の文章なのだなあと思うと,また楽しからずやです。はしがきと解説は,板倉聖宣さんが書いています。ここで説明されている,芦田恵之助さんと山田正さんとの出会いのことなども,興味深いですよ。

●板倉聖宣編『新総合読本4 自然界の発明発見物語』(仮説社,1999)
 以前,『たのしい授業』(仮説社)などで発表された文章を集めたものです。新総合読本とは「知っていると確かに役立つ,世界が広がる-そんな知識を教えてくれる読みものです。学年や教科に関係なく,読むだけでたのしい授業ができます。もちろん,一人で読んでも楽しめます」(背表紙より)という目的でまとめられた本です。
 ボクのお薦めは「アンテナ物語」と「バカ苗菌とジベレリン」です。「アンテナ」を授業で紹介した日は,アンテナをみながら家に帰ることでしょう。

●清水龍郎著『高校生におくるたのしい学び方考え方』(仮説社,1999)
 著者の清水さんは授業書《生物と種》の作成者です。高校の生物の先生でもあります。そんな清水さんが,学校の組織上「学年通信」を書くことになりました。その通信が,生徒だけでなくて親からも期待されるようになり,さらには研究会のメンバーにも読者ができたとか。
 清水さんは「なぜ学年通信を書くことになったのか」という章で,
教師になるまでー仮説実験授業の日々ー高校生でも白熱の討論をするーたのしい授業で受験学力もつくー突然,学年主任にー学年通信の発行ー卒業しても読むにたえるものをー反響はこわいくらい…ーとうとう3年間で100号以上ーとうとう1冊の本に
という項目を設けて,その経緯を報告しています。
 『たのしい授業』(仮説社)や仮説実験授業研究会で学んだ成果を元に,生徒に語りかける文章は,大変読み応えがあります。しかもわかりやすい。自分の娘が高校生になったら,是非読ませてあげたいと思います。中高の教師と親は是非是非読んで下さい。

●番組制作スタッフ編『たけしの万物創世記』(幻冬舎,1998)
 「知ってるつもり」や「万物創世記」など,民間の教養番組にもけっこうおもろいのがあります。この本は,番組の内容を1冊にまとめたものです。「人類創世記」「地球創世記」「動物創世記」という3本の柱で分類してあります。
 科学の最新情報も含めて,大変わかりやすく書かれています。比べちゃいけないのかも知れませんが,他の同内容の科学の啓蒙書よりもわかりやすいと思います。
 最近,この本の続編が出ましたが,ボクはまだ手に入れていません。

●樋口清之著『日本の風俗の謎』(大和書房,1984)
 日本に古くから伝わる「礼儀作法」や「年中行事」などの起源を探るための本です。おもろいです。
 ただ,起源があやふやなのでさえ,「日本の伝統!!」てな感じで「こうであるに違いない」と書いてあることにはちょっとねえ。「礼儀作法の原点は神話そのものにある」と言われても,疑り深いボクはすぐにうなずくことはできません。その根拠も「古事記」や「日本書紀」なのですから,なおさらです。それに著者は「古いものがいいと言っているわけではない」「変わらないのがいいと言っているわけではない」と言いながら,「日本の伝統こそすばらしい」というにおいがぷんぷんしてきます。このあたりは,著者の思想の現れではないかと勝手に想像してしまいました。
 でも,先に述べたように,読んで損をする本ではないですよ。

●山藤章二他選『平成サラリーマン川柳傑作選(2匹目)』(講談社,1992)
 江戸川柳に興味を持ったボクも,現代の川柳まで幅を広げるときりがなくなりそうで,今までそのあたりの本を買うことを控えていたのですが,ついに誘惑に負けて買ってしまいました。これで「サラ川」も全てそろえることになるでしょう。あ~,何と言うことだ。
 折角だから,気に入った川柳を5つ紹介します。
・晩酌に毎日通う販売機
・まだ寝てる帰ってみればもう寝てる(これが一番だよ)
・子犬飼い育児の失敗やりなおす(こうはなりたくないと思っているが)
・やる気出せやる気なくするその言葉(そのとおり。言葉に注意ですぞ)
・七五三妻の化粧に子はおびえ(こんなことはないと思うけど,本人よりまわりの方が張り切ることは,大いにありそうでおもしろい)

●相田みつを著『いちずに一本道いちずに一ツ事』(角川文庫,1998)
 平成4年出版の単行本を大幅改訂して文庫化したものです。
 書も収録されていますが,殆どが,相田さんの「自伝」となっており,とても興味深く読みました。特に,「あんちゃんの話」や「戦時中の中学校での話」など,胸が熱くなったり,怒りがこみ上げたりと,久しぶりに興奮して,一気に読み終えました。
 俵万智さんの解説もいかしています。「あの素朴でいちずで,ちっとも偉そうじゃない書で表されていたからこそ」相田みつをさんの書は,人々の心を揺さぶるのだという俵さんの指摘に,なるほどとうなずいたボクでした。ボクはそんなに相田ファンというほどではなかったのですが,この文庫を読んで,もっともっと相田さんの書が読みたくなりました。

●北川幸子著『プラハの春は鯉の味』(日本貿易振興会,1997)
 東欧の一部だった「チェコ」の首都プラハ。ソ連邦崩壊後の自由主義経済を取り入れはじめたチェコの様子が,2年半ほどプラハに滞在した日本人女性の目を通して書かれています。
 伝統のボヘミアングラスさえも変えつつある自由化の波・競争力という力。「西欧と東欧の狭間でゆれるチェコのとまどい」(裏表紙)が,決して悲観的ではなく,書かれています。
 新書版のくせに950円とはちょっと高いですが,これも,チェコの勉強のためです。知らない地名など,そんなに気にならずに読めました。これも,著者の興味関心が<チェコの今変わりつつある生活>に向いているからでしょう。観光ものの本を読んでいると地名やら建物の名前ばかりが出てきて,全然イメージが膨らみませんが,こういう本は読みものとしても面白いです。

●中道風迅洞編『現代どどいつ叢書第三集 風のあしあと』(自費出版,1999,3000円)
 中道風迅洞さんは,もう80歳になられました。現代どどいつの世界では,その中心的な役割を果たした人のようです。「どどいつ」を「俳句・川柳・短歌・狂歌」と並ぶ文芸の分野にしようと努力なさっています。
 この本は,門下生の作品を集めたものです。ボクは,新居信正さん(徳島県)の紹介で知りました(新聞記事の切り抜き)。直接ファックスで注文しました。手に入りにくい本をここで紹介するのも気が引けるのですが,今(1999年6月)ならまだ間に合うでしょう。川柳,狂歌もいいですが,やっぱり「どどいつ」ですね。
 頭の薄い人の哀愁の漂うどどいつをふたつ。
・なでりゃ毎朝生えてるヒゲが禿げた頭にゃなぜ生えぬ
・髪は抜けても足袋さえはけば頭寒足熱健康体

 梅雨は,読書の季節です。外に出たくもないし,部屋の掃除をしてきれいになった机で本を読むのが学生時代のボクの生活パターンでした。あのころは同時にレコードをかけてコーヒーも入れて…という生活でしたが,最近は静かじゃないと,本の内容が頭に入ってきません。歳をとったからでしょうか。

5月号

●宮本政於著『お役所のご法度』(講談社,1995)
 著者は「厚生省検疫課長」という肩書きをもっている官僚の一員です。この本は「お役所仕事にはいかに無駄が多いか」「お役所の残る旧態の暴露」など,歯に衣着せぬ表現でばっさばっさと切り捨てます。
 彼のこの課長職も本当のところは「何も仕事がない役」なのだそうで,彼をいじめるために用意されたポストのようです。1冊目の暴露本を書いたために左遷にあったり,いじめにあったりするわけですが,それが,この2冊目の本を書くきっかけになっているところがおもしろいですね。
 読み進む内に,「教師の世界にもよく似たことがあるなあ」と思ったりしました。たとえばこういう文章はいかがですか。
▼今日は集団の調和とか整合性に重きを置いたかというと,明日は役所はみんな違った組織体だと言ってくる。お役人と議論をしていると,ポリシーを貫きながらの議論ではなく,規則を守らせるためいかに相手を丸め込もうとなり,いつまでたっても埒があかない。(264ぺ)

●亀谷了著『寄生虫館物語』(ネスコ/文芸春秋,1994)
 ずっと前に何かの本で見て買ってあったのですが,ふと本棚で見付けて読んでみました。著者は「目黒寄生虫館館長」です。第1章が「とても楽しい寄生虫の暮らし」となっていることからも推察されるとおり,寄生虫に魅せられて研究を続け,ついに日本の寄生虫の第1人者となってしまったようです。
 寄生虫だからと言ってすべてが害になるわけでもないことや,いろいろな寄生虫の話を読んでいるうちに,ボクも寄生虫に興味を持ってきました。
 シーラカンスが捕獲されたとき,真っ先に寄生虫の検査を申し込んだりと,なかなか楽しい話がいっぱいです。
 寄生虫を食べてみる話などは,もう最高に楽しい。自分の体にわざと寄生させて研究する研究者の話も,すごい。
 先日,修学旅行で「ふれあい昆虫館」へ行ってきました。そこで,係りの人から「ナナフシ」の話をお伺いし,実際にさわらせてももらいました。その時,「実はこのナナフシの糞は,いい匂いがするのです」といってナナフシの糞の臭いをかがせてもらいました。なんとお茶の臭いがするのです。そこで昆虫館の人たちは,その糞茶を濾過して飲んでみたそうです。さて,そのお味はというと…ちゃんとお茶の味がしたそうです。研究者って,やっぱり変わり者ですね。おっちょこちょいでなきゃ,やってられません。もちろんこれはほめ言葉です。

●竹内敬二著『地球温暖化の政治学』(朝日選書,1998)
 地球温暖化問題が国際舞台に出てきて今のように注目されるまでの歴史的背景が書かれています。特に京都会議までの各国の思惑とやりとりは,「地球環境問題」が「科学の問題」でありながらも「政治の問題」であることがよくわかります。
▼IPCCのワトソン議長は京都会議の本会議で『この会議で決まる削減目標はどんな数字であろうと第1歩でしかない。あなた方政治家は,最終的にどのレベルで温暖化を抑制するのか,政策は何かを決めなければならない。科学は繰り返し語ってきた。答えを出すのはあなた方だ』と訴えたが,そうした質の高い議論で削減目標が弾き出される時代は来るのだろうか。(244ぺ)
 二酸化炭素というどこにでもあるガスを扱う問題なだけに,フロンの規制とは違った難しさがあります。今後,世界の指導者たちがどのような政策を提案するか,いろいろとみていきたいと思いました。

●金森俊朗・村井淳志著『性の授業 死の授業』(教育資料出版会,1996)
 いろいろな実践で名高い石川県内の教師・金森さんの著書です。宝立小学校を会場に講演会があったとき,出席した人に買ってもらいました。
 性の授業は,実際の妊婦さんを教室に招き入れての授業の様子,死の授業は,末期ガン患者を招き入れての授業です。特に「死の授業」の方は,深く考えさせられました。自ら命を絶ったり,人の命を大切にしない子どもたちが増えているとすれば,どこかで,「生きる」ということを「死」からも見つめてみることも必要なのでしょうか? この授業のきっかけは赤井さんという石川テレビのディレクターが泉沢さんを紹介したことから始まります。赤井さんは珠洲原発問題を生活者の視点から再構成したドキュメンタリー『能登の海 風だより』を作った人です。

●斎藤喜博著『教師の仕事と技術』(国土社,1990)
 1979年に出版された本のリニューアル本です。講演記録を集めたものなので,それなりにおもしろくて,結構ニューモアもあったんだなあと気づきました。ちょっと,新居さんに似ているところもあるかも知れません。
「<見る>と言うこと,<見える>ということ,そこから<考える>ということが,教師の技術の基本になります。目の前の事実が見えるという裏付けがなく,他人の技術をそのままあてはめて行ったのでは,教師の仕事は形式的になり,型だけのものになってしまい,相手の事実を生き生きと動かすことなどできなくなってしまいます。」
「教師の困難を切り開くための武器としての<技術>」という言葉に,ちょっぴり賛同する自分がおりました。
 ただ,どうも斎藤さんの言辞に,「教師は苦労せんといかん」という臭いがしすぎるので,「もっと気楽にやりたいなあ。そんなに肩肘張らずに研究したいなあ」と思ったのも事実です。

●新居信正編著『文章題と図式(正常化通信№427)』(ガリ本,1999)
●新居信正編著『「たし算・ひき算」と「テープ図」(正常化通信№431)』(ガリ本,1999)

 個別単位・藤森良蔵・新居語録満載の2冊。もう,賢くなるしかない。こんなのが出てくるから定期購読はやめられません。ついでに,次の本も名著です。
●新居信正編著『新しい個別単位を作って解く分数のわり算と割合の文章題(正常化通信№149』(ガリ本,1991)

4月号

 さて,今月の本シリーズ第4弾は,あまりありません。年度末・年度始めということで,じっくりと本などを読んでいる余裕がありませんでした。

●串間努・町田忍共著『ザ・ジュース大図鑑』(扶桑社,1997)
 カバーの裏に「なまえ」なんて書く欄を作ってある変な本です。内容は,日本の「コーラ」と「炭酸飲料」と「果実飲料」の歴史です。写真もふんだんにあり,見ていても飽きません。「懐かしいなあ」という図柄や話題もあって,それなりにおもしろかったですが,1300円の価値があるかどうかは,それぞれか・・・。
 嘉永6年に日本人が初めてラムネを見たとき,開栓時に「ポン」と音がすることから鉄砲かと驚き,思わず刀に手を掛けたという真偽不明のエピソードには笑いました。こんな話題がもっとあるとよかったけどなあ。

●大林・高木・西尾著『原発と地球環境』(原子力資料情報室,1999)
 ボクは,原子力資料情報室通信を読んでいます。毎月1回発行で,年会費が6000円だったかな? このブックレットは,市販もされていますが,会員向けに注文しなくても送られてきたものです。
 地球温暖化と原発を絡めて原発の推進に向かっている政府案に対して,そのまやかしを浮き彫りにしています。
 総合エネルギー調査会がまとめた「長期エネルギー需要見通し」。この中の原発積極推進政策に対して,当の調査会の会長自信が「実現するとはおそらくだれも考えていないのではないか」といい,電気事業審議会の委員にいたっては「虚像もしくは妄想に類する」とまで言い出すという始末(38ぺ)これが「見通し」とはお笑いですが,まあ,常にこういうレベルで問題を先送りしているところがヨーロッパとは違う点ナノでしょうな。

●立花隆とゼミ生著『20歳(ハタチ)の頃』(新潮社,1998)
 板倉聖宣さんのインタビューものっているということで手に入れました。600ページにも及ぶ大部な本です(でも値段は2200円)。各界の有名・無名な人に,立花ゼミの生徒たちがそれぞれの「二十歳の頃」をインタビューし,まとめた本です。おそらくすべてのページを読むということは無いと思うので,先に紹介しておきます。とにかくいろいろな人が出てくるので,自分の興味のある人の部分でも読んでみればいかがですか。

3月号

 今月は,結構いろいろな本を読みました。特に「お薦め」はありませんが,強いてあげるとすると,小林対田原の『戦争論争戦』かな。では,ちょっとだけ紹介します。

●小林よしのり×田原総一朗著『戦争論争戦』(ぶんか社,1999,1500円)
 ボクは,一時期,『ゴー宣』に夢中になっていました。それは,著者の小林よしのりが「エイズ問題」に関わり,「オウム」に追われていた頃のことです。また「部落差別問題」に対しても堂々とした意見を発表し,それはそれで面白かったからです。今までのマンガの殻を破ったマンガとでも言ったらよいでしょうか。マンガならではの表現力にも圧倒されていました。
 しかし,ボクの小林に対する興味も『新ゴーマニズム宣言』になった頃から,徐々に薄れていきました。というのも,例の藤岡信勝らと一緒に「新しい教科書を作る会(?)」だったかを旗揚げし,自分の個人的な思いを国民全体に押し広げようと言う運動に参加しだしたからです(実は,小林の個人的思いなのかどうかも大変あやしい。彼は,一つの権力と闘うことを快感としている節が感じられるのだがどうだろうか)。いろいろな問題に対し,わりと自由に表現し発言していた小林が,ある一定の思想を持った学者たちのプロパガンダになってしまったなあと思ったとき,「もう,ボクには,小林は用事はない」と『ゴー宣』を買うことを止めました。
 それで,ちまたで売れている『戦争論』という分厚い漫画も,本屋でちょっとだけ立ち読みこそすれ,買おうとまでは思いませんでした。
 しかし,今回,上記の小林の「対談集」を買ったのは,相手が田原総一朗だったからです。田原は,小林の言う単なる「左派・進歩的学者」ではなく,独自の理論を持って発言しています(基本的には左派だと思うが)。両者がどのような話をするのか。どこか接点はあるのか。田原は,小林の何について突いていくのか,興味は尽きません。
 「個と公」という対立の図式をあくまで崩さず「てめーは日本人だろーが」と迫るしか能のない小林に対して,「公」を「世界」にまで拡げようとする田原の考えとのぶつかり合いとでも言おうか…,話が一致したり激論になったり。
 漫画家の小林が,藤岡信勝よりも影響力が大きいことは確かだから,ほおってはおけない問題ではあるが,かといっていちいち付き合ってもいられない。
 自分は<正義だから正しい>というのはもってのほか。「自国に誇りを持たせる教育は正しい」という<正義>をかざすのではなく,<真理>は何かを教育していくことが,大人のつとめでしょうね。これをきっかけに板倉聖宣著『近現代史の考え方』を読んでみられることもお薦めしたい。

●斎藤喜博著『授業』(国土社,1990,1600円)
 だいぶん前に買ったままにしてあった本を,なんとなく読んでみました。この人は,なんかすごかったらしくて,全集を持ってる人もいたりするのですが,ボクは一冊も読んだことはありませんでした。
 斎藤さんについては,ボクの大好きな新居先生が「5つの指に入る」といつも言っていますし,法則化の彼氏も「斉藤喜博を越える」なんて頑張っていましたから,名前は知っていました。でも,以前,板倉さん(か仮説の人)から「何人かの教育者が集まり,理科教育や仮説実験授業についての座談会を持ったが,その時の記録を記事にすることを出席者の斎藤喜博が反対したことがある」と聞いていたので,なんか胡散臭いやっちゃなあと思っていました。
 でも,この本を読んでみると,それなりに面白かったです。文章が,読者に対して時々挑戦的なのがいいですねえ。赤線引いたところを抜き出します。
▼教師の実践には案外そういうところがある。ことばで「ファッショ反対」とか,「民主主義」とか「子どものしあわせ」とか,「人間尊重」とか「仲間づくり」とかいっていながら,実際やることは,それらとはおよそかけはなれた実践をしていることが多い。
▼教材をじっくりとよみ,そのなかから,新しい発見をし,新しい問題を持ち,自分の持った発見や問題を,どうしても子どもたちに投げかけてみたくなり,時間のくるのが待ち遠しくなるような状態に自分をしておかなければならない。
▼国語や算数で悪い教材だと思っていたものが,教師の解釈によってよい教材となることがある。ある先生は駄目な教材だと思っていたものを,他の先生がよい教材にしてしまうこともある。

とまあこんな風である。しかし,こういう常識的な言葉もある。
▼芸術教育は知識や常識を教えることではなく,イメージを豊富に咲き乱れさせ,それを感覚として定着させることである。
 なんか今までの芸術教育はその通りなのですが,今のボクならこういいます。
「芸術教育は知識や常識を教えることを通して,イメージを豊富に咲き乱れさせそれを感覚として定着させることである」
追記:上記商品リンクは,2006年発行の新装版です。

●福島瑞穂著『福島瑞穂的弁護士生活ノート』(自由国民社,1998,1300円)
 この本は12月,和倉で社民党の集会があったときに手に入れた本です。社民党の集会に出たのは,福島瑞穂が目的ではなく,その前段の「ザ・ニュースペーパー」を見たかったからです。「ザ・ニュースペーパー」のことは,本で知っていたので,是非本物を見たいと思っていました(珠洲に呼びたいという思いまでありました)。元「ザ・ニュースペーパー」から,二人だけの公演でしたが,しっかりブラックジョークが効いていて,とてもおもしろかったです。
 おっと,本の紹介でした。
 その時手に入れたのが,講演者でもあった社民党の議員で,弁護士でもある福島瑞穂さんの本です。ですから,この本には,ちゃんと「1998.12.12福島瑞穂」ってサインがあるんですよ。いいでしょう。どーもミーハーだなあ。
 夫婦別姓や女の自立に興味のある人は読んでみて下さい。
 ボクは女じゃないけど,「いろんな草鞋を楽しくはこう」という最後の提言には,うなずくものがありました。ボクも,学校の教師だけでなく,ミニバスの担当をしたり,サークル通信を書いたり,反連協の役員になったり,秋祭り実行委員会を組織したり,サイエンスシアターに関わったり,3人の父ちゃんであったりと,草鞋が何足もあります。ちょっとしんどいときは休みながら無理をせず,でも,草鞋を脱ぐより,より楽しくできる方法を考えた方がいいのかも知れませんね。
履けるものなら草鞋を何足も履いて,それを目いっぱい楽しんだらいい。自分のいろんな要素を自分で楽しむというくらいでよい。忙しすぎて,不機嫌になったり,消耗して疲れてきたら,少し休んで,自分なりに整理をしたらいい。自分のなかにいろんな力があるかもしれないことだって,やってみなくちゃわからない。現実や体験は,私たちを大きく育ててくれる。人生は1回きり。何足も草鞋を履こうと言いたい。(203~204ぺ)

●山崎利彦著『ただいま子育て中につき本日休診』(草思社,1995,1600円)
 これも半年以上前に買った本です。
 著者は,産婦人科のお医者さんです。なんと,自分の子どもを自宅分娩で誕生させ,3人の子どもを育てるというお話。兼業主夫としての7年間の生活が綴られています。世の中にはすごい人がいるもんです。帯には「京都から帯広に移って夜間急病センターの医師となり,自宅分娩,桶谷式マッサージ,無農薬野菜作りから三度の食事,オムツ洗いまで,3人の女児を育てた7年間」と書かれています。

●筑紫哲也・CWニコル・宮本政於著『他人の問題・自分の問題』(講談社,1996,1600円)
 これも3年も前の本ですが,手に入れたのは1ヶ月ほど前です。金沢の現代風古本屋「BOOK OFF」で,半額で手に入れました。こういう系統の本は,この店では殆ど半額です。この店には金沢へ行ったら,必ず立ち寄ることになりそうです(椎名誠の昔の単行本などは新品同様でも100円だった)。
 第3章の「日本人は自由を恐れ自律できない」という段落では,次のような筑紫さんの発言があります。
▼つまり民のほうで,自分の利益をじゃまするものをたたいてほしい,突出した奴をへこましてほしい,だけど自分がそれをして相手を傷つけたりうらまれたりうらまれたりしるのは嫌だから,官のほうで決めてくれ,という無責任さがあるんですね。
▼そのパターンで,あらゆるところに網の目のように,まるで赤ん坊の面倒を見るみたいに,役所は自身の権限を増やしていったんです。これが55年体制の国内的な構造なんですよ。

 それがついには駅構内の放送にまで及んでいると言います。
▼この意識が変わって、忘れ物をするのもしないのも自分の責任だとか,自分で注意して電車の乗り降りを決めるのが当たり前だということにならない限り,結局は官僚制というのは不滅かもしれないと思うんです。
 そのとおりだなあと思います。このほかにも「子どもを歪めているのは誰か」など興味深い内容の対談が続いています。

●浦谷年良著『「もののけ姫」はこうして生まれた』(徳間書店,1998,1900円)
 帯の文句を紹介。
「映画<もののけ姫>の制作過程を約2年間にわたって追いつづけたドキュメンタリー番組プロデューサーの記録!」
「制作会社スタジオジブリに潜入し,宮崎駿監督とスタッフへの根気強い取材が解きあかした<もののけ姫>とジブリアニメーションの秘密とは? <映像>に携わるプロである著者が目撃した<もののけ姫>の真実がここに。」

 舞台裏を覗くのはおもしろい。2年ほど前に『たまごっち誕生記』という本を紹介したこともありましたが,それも,舞台裏のドキュメンタリーでした。著者は,その舞台裏を取材するにあたり,次のようなことを書いています。
▼取材準備中に,私は何を考えていたかを振り返ってみる。その後,役に立ったものも,立たなかったものも含めて書いておこう。準備期間の要点は,取材対象に関する,面白くてしかも納得感のある仮説を,育てることにある。取材とは,結局のところ,その仮説を,実際の現場で検証して行くようなものだからだ。仮説=取材の視点と言ってもいい。仮説を持って現実を見る。見て,仮説を修正する。仮説に縛られるのではなく,それこそ「曇り無き眼で」見極める必要がある。仮説が裏切られることは,かえってインパクトの高い発見となる。仮説が無ければ,取材対象を見る眼が甘くなる。漠然と眺めることになる。それは,相手に失礼でもあるし,成功の可能性は少ない。
 「仮説を持って主体的に問いかけないとなにも発見できない」という指摘は,仮説実験授業のよって立つ考え方と全く同じです。
 本の内容は,単なるアニメーションの技術的なことだけでなく,チームとしての行動,声優の話,舞台設定の理由など,多岐にわたっています。それを日記風にまとめ上げ,とても読みやすい本に仕上げられているなあというのが,ボクの感想。
『「もののけ姫」はこうして生まれた』というビデオ3本組(10000円)も[限定発売で]出ています。ボクは高くて買いませんでしたが,だれか手に入れたら見せてください。

●菅原努・野津敬一著『太陽紫外線と健康』(裳華房,1998,1400円)
 2月,県理科研究会協議会があり,教育センターへ行って来ました。そのときの研究発表の場で高校の女の先生が「紫外線測定器による研究」の成果を発表していました。そこで出された言葉に「UVA」「UVB」などというものがありました。こういうとき少人数の会ならば,すぐに「それどんな意味ですか」って軽く聞けるのですが,このときは,なかなか堅い場所で「聞くは一生の恥」という言葉も思い出したりして,質問することはできませんでした。そこで,帰りに本屋に寄って買ってすぐに読んだのが,この本です。
 問題は立ち読みでも解決したのですが,紫外線の害についても少し知りたくなって,ちょっと高いけど購入しました。
 「UVA」と「UVB」は波長の違いです。波長が320ナノメートルから400ナノメートルまでの波長域の紫外線を「UVA」といい,波長が290ナノメートルから320ナノメートルの紫外線を「UVB」と呼ぶそうです。また,「光のエネルギーは,波長に逆比例する」ので,短い波長を皮膚に受けると一般的により危険だということになります。
 また,以前,ブラックライトというものを手に入れた訳ですが,その波長はそんなに危険なレベルではないそうです。でも,長時間,直接目に入ると,やはりよくないそうなので,気をつけて実験しましょう。ブラックライトのことは,桜丘高校のFさんから送っていただいたレポートで詳しいので,参考にしてください(サークル内部の話題です)。この本には,そういう関係の話は全くありませんでした。

●高橋浩子著『ウィンドウズファイルがわかれば“もっと”みえてくる-トラブル解決編』(技術評論社,1998,1690円)  
 Windows95のファイルに関する教科書です。どちらかというと,初心者を脱したい中級者向けの本です。パソコンを使うとき,ファイルの意味が分かっているのといないのとでは,雲泥の差があります。今のボクのレベルは,システム関連のファイルになると全く分からないという状態です。このあたりは,MS-DOS時代からパソコンを操っている人との決定的な違いです。まあ,それが分からなくても何とかなるのが,今のパソコンなのですが,やはりトラブルに対処するためには,ある程度,ファイルに関する知識が必要になると思うのです。
 で,こんな本を,苦しまないで楽しく読みたいと思う最近のボクは,やはり変。『たのしい授業』より先に,こちら関係の本が読みたくなるこの頃です。

2月号

 今月は,先月のサークルから20日ほどしかたっていないので,そんなに読んだ本はありません。4冊だけ紹介します。

●トム・コネラン著『ディズニー7つの法則』(日経BP社,1997,1400円)
 ボクの持っている本は1998年9月で22刷です。
 帯を見ると「顧客満足世界一の秘密を解明せよ」とあります。続いて「全米からディズニーワールドに集結した5人の男女が発見したディズニーに連綿と受け継がれる驚くべき7つの不文律とは?」と書かれています。と言っても実際に5人が行ったお話ではなく,著者がディズニーへ出向いていろいろと聞き取った「ディズニーの企業理念」を,小説風な仕立てにして述べています。ボクのようなものには,小説風の書き方の方が読みやすいと思いました。人によっては,まわりくどいかも知れません。ただ内容は,ボクたち教師にとっても為になること書かれています。教師だって,学級経営をしています。となれば,経営のノウハウは大切でしょう。
 7つの不文律とは以下のようなものです。
・顧客が比べるすべての企業が競争相手
・細部にこだわる
・すべての人が,語りかけ,歩み寄る
・すべての物が,語りかけ,歩み寄る
・耳が多いほど,顧客の声はよく聞こえる
・報い,認め,讃える
・誰もごキンパンソー(誰もがキーパーソン)
 最後がわかりにくそうですね。「組織のみんなが,一人一人が大切だ」ということです。
 ディズニーについての理論本は,このほかに『ディズニーランドの経済学』(朝日文庫,1987)『ディズニーランドという聖地』(岩波新書,1990)という本がボクの本棚にあります。これらも,「ディズニーランドとはなんぞや」ということを知るにはいい本です。ボクが初めて東京ディズニーランドへ行く前後に読んだ本です。

追記:上記商品リンクは,2014年発行の新装版です。

●樋口廣太郎著『前例がない。だからやる』(実業之日本社,1996,971円)
 ボクの持っているのは1998年11月(11刷)です。これもまた売れている本ですね。『ディズニー』同様,企業が成功するときの秘訣が書かれています。
 著者は,元アサヒビール社長(現会長)です。アサヒビールは,一時期,シェアをヒトケタ代に落としていましたが,この社長が大胆な改革を進めたお陰で,持ち直しました。それどころか,最近はキリンを抜いて1位になったというニュースも聞きます
 消費者の心をつかむためには何が大切なのか。著者は「まえがき」で次のように述べています。
▼激しい環境変化,長引く景気低迷等を経営の所与の条件ととらえ,それに挑戦し,「どうしていくのか」を社員に示すことが本当の経営ではないかと考えています。つまり,逆境の時代は,過去にとらわれず,前例のないことに挑戦できる時代でもあるわけです。
▼混乱期の教育の世界にも当てはまるとは思いませんか? もう少し引用を続けます。
▼私は全国の工場に出かけ,社員に「私たちは何のために働いているのかを考えてほしい。いい商品,おいしいビールをつくるために働いているのではないですか。だったら,これからは安い原料を使って少しでも儲けようなどと考えるのはやめようではありませんか」と訴えかけました。これは大きな賛同を得ました。

 また,次のようにも言っています。
▼経営者が決断をするときにいちばん大事なのは,率直に若者の声を聞き,若者の意見の根拠にあるものが,本当に世の中の動きを反映した声なのか,あるいは単なる一時的なアジテイターなのかを識別できる知力と体力をもつことです。それが,企業の経営を預かる者の責務です。
 この本のことは,仮説実験授業研究会ニュースの「編集者から読者へ」の欄で二階堂さんが紹介していました。学校現場でも活かせる提言がこのほかにもたくさんあります。

●高木仁三郎著『市民の科学をめざして』(朝日選書,1999,1200円)
 原子力資料情報室の高木さんが,「市民の立場からの科学とは」という問題意識でやってきたこと・考えてきたことをまとめたものです(高木さんは,今,ガンと闘っています)。
 市民の側にも専門家が必要です。御用学者ばかりだと,釣り合いがとれません。このことは,歴史を振り返ればよくわかるでしょう。市民には,変だという感覚があります。しかし,その裏付けなり,啓蒙なりをしてくれる頭脳が必要です。どうすればそう言う立場に科学者が立てるのか? その実践の書といってもいいかも知れません。原子力資料情報室は日本でも数少ない「市民の方に向いた科学」のあり場所です。その成果が,もう一つのノーベル賞と言われている「ライト・ライブリフッド賞」の受賞となったのでしょう。
 とくにお薦めは,「ライト・ライブリフッド賞」の受賞記念に,スウェーデン議会でスピーチした内容がいいです。ご一読ください。

●後藤道夫著『子どもにウケる科学手品77』(講談社BLUEBACKS,1998,820円)
 「簡単にできてインパクトが凄い」と副題にもあるように,見開き2ページに1つの科学手品が紹介されています。簡単と言っても,熟練を要すものもありますが,なかなか楽しく出来そうです。サークルでも紹介した「ペットボトル浮沈子」も紹介されています。「青少年のための科学の祭典」などで紹介されたものもあるそうです。
 これらの実験見せた後は,「子どもは目を輝かせて,手品に見入るはずです。そして,なんでそんなことが起こるのか,懸命に考えようとするでしょう。そうしたら,すぐに答えを教えずに,ぜひ,子どもと一緒に考えてあげてください」という風にするといいということです。

「今月の本」はどれもぼくからの「お薦めの本」です。ボクの本の買い方はおよそ3パターン。
その1 欲しい本があったらじっくりと本屋で見つけるまで待つ。これが結構楽しい(見て,おもしろくなかったら買わない場合もある)
その2 すぐにでも欲しい本は,クロネコで注文する。しかし,すぐに読まない場合も多い。なぜかなあ。
その3 本屋でたまたま見つけた本を買う。これは,たいてい,すぐに読み始めます。
 今月の本で言うと,その1が『ディズニー7つの法則』『市民の科学をめざして』,その2が『前例がない。だからやる』,その3が『子どもにウケる科学手品77』です。

1月号

 先月のサークルで宣言したように,今年1年,ボクがその月に読んだ本を紹介していきたいと思います。途中で読みくじけた本も時には出てくるかも知れません。「ひとこと紹介」から,「思い入れ紹介」まで,乞うご期待!-しないでね。

●柳田理科雄著『空想非科学大全』(主婦の友社,1998,1200円)
 同じ著者の本は,「珠洲たの」のホームページの「お薦めの本」にも既に何冊か紹介しました。ご存じでしょうか? この著者の処女作『空想科学読本』(宝島社)は,「続」とあわせて100万部以上のベストセラーになりました。
 ちょうどボクたちの世代から以降にはやったテレビマンガの主人公たちの「設定・能力」などを,科学のものさしでまじめに考えるとどうなるか?という発想で書かれており,本当にお薦めの本です。
 今回の本は「非科学的」となっていて,今までとは一風変わった視点で書いたと言いますが,まあ,やってる論理は同じです。

●イアン・リトルウッド著『日本人が書かなかった日本』(イースト・プレス,1998,2000円)
 サムライ・ゲイシャガール・フジヤマといった日本を見るものさしがあります。それは,ある面では当たっていますが,全てのことを物語ってはいません。しかし,外国から日本を見る眼は,ある程度の「メガネ」で見られているのではないでしょうか。
 この本は,イギリス生まれのリトルウッド氏が,海外の雑誌や文学・紀行文等に現れた日本人の捉えられ方を紹介し,「ステレオタイプ」でみることの怖さを語っています。
2カ所ほど引用します。
▼日本人が子供だという見方の裏には,子供が持っている相反する資質が当てはまるという意識も潜んでいる。子供は汚いことをする大人に比べて無垢であり,楽園の住人にふさわしい。その一方で,無責任,あるいは不道徳といった,あまり誉められない面も持ち合わせている。私たちは日本に対して憧れを抱く一方で,文明国のマナーや常識が通用しないという警戒心も抱いているのだ。
▼たとえば,地球に火星人が一人現れた場合,私たちはその個体の特徴を持って火星人全体を判断してしまうであろう。情報が限られている場合には,個人の性質や行動が拡大されるのである。残酷なヨーロッパ人がいるからといってヨーロッパ人全体が残酷だと思う者はいないのに,残酷な日本人が全民族を代表しているとみなされた背景には,そのような問題が横たわっていた。

●『HomePage Design vol.2』(エーアイムック,1997,1600円)
●『HomePage Design vol.3』(エーアイムック,1997,1680円)

 年末にH小学校のホームページ作りに精を出していたボクは,その関連の図書も購入しました。これらは,いずれも,単なるHTML文書を作るだけでなく,ホームページに動きを入れたり,音を入れたりといった,「見せる・聞かせる」ためのアドバイスの本です。で,結構中身もあり,未だに理解できない部分もあります。
 それよりは,ホームページを作り始めた人は,次の月刊誌がお薦めです。

●月刊誌『ホームページマガジン』(インプレス,1750円)
 この雑誌が出ていることは,この前まで知りませんでした。こんな月刊誌が成り立つ(売れる)こと自体,個人のホームページ作り熱があることの証明ですよね。
 インプレスという出版社は,『ホームページ用素材集』というシリーズも出しています。この月刊誌にも,900ものホームページ部品(背景画像,ボタン,文字,カット,写真,音)の入ったCD-ROMが付録に付いています。また,簡単に「デザイン文字」を作成するソフトなんかも付いています。ただ,これだけでページを作るのは難しいです。ボクのホームページの作り方は,項を改めて紹介します(サークルの話題)。

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