珠洲で見られる在来植物

里山里海

珠洲市内で見つけた「昔から日本にいる植物(在来植物)」を紹介します。いずれの在来植物も,よく似た外来種よりも,なんとなく,背丈は小さく,花もちょっと小さくて可憐な雰囲気を醸し出しています。そう感じるのは日本人の欲目なのかな?
登録順は「花の咲く時期順」にしてあります。一般的に,花(やそれに似たもの)が咲いたり,実がなったりしないと,植物は注目されませんからね。特に花が咲いていると「この植物の名前を知りたいな」と思いますよね(少なくともわたしはそうです)。
ここでは,主に草類(こんな言葉があるのか知らないが)や低木類を紹介してあります。なお,解説文は主に,花検索アプリ「花しらべ」を参考にして書いてあります。

タチツボスミレ(立坪菫)  スミレ科  花期:3月~5月

雪が解けて保全林に入ると,まず目に入ってくるのが,このタチツボスミレです。耐寒性の多年草なので,北陸でもしっかりと自己主張しています。
「名前の由来は,開花してしばらくすると茎が立ち上がり,坪(狭い庭のこと)などに生えることから」(花しらべ)ついたそうです。
花の色は,紫だけではなく,白や青っぽいのもあるそうです。葉っぱの形はハート型。まわりにはギザギザがあります。(三崎町,2023/03/25)

キクザキイチゲ(菊咲一華)  キンポウゲ科  花期:3月~4月

春,アカガエルの調査をしようと,いつもの水田に出かけたら,近くの湿った林縁に,写真のような薄紫色の花が可憐に咲いていました。この種はスプリング・フェメラル(春植物)のひとつだそうです。名前の由来は読んで字の如く。菊に似た一輪の花をつけるから。花びらに見えるのは萼片。
花の色は,白・青・紫といろいろですが,日本海側では紫が多いらしいです。まさに,この写真の通り。(三崎町,2023/03/31)

シュンラン(春蘭) ラン科  花期:2月~4月

ランという名前がつくのだが,さすが在来種らしく,大変控えめな花です。普通に歩いていると,葉に紛れて花に気付かないほどです。慣れれば,「あ,ここにも,ここにも…」となりますけれどもね。
能登には「春蘭の里」という里山で宿泊体験ができる地域もあります。山林の半日陰に自生していて,なかなかステキです。別名をジジババ(爺婆)なんて呼ぶこともあるそうです。「花しらべ」には,「花びらの様子を,腰の曲がったおじいさん,おばあさんに例えて」と書かれていましたが,知り合いの先輩は,ランの中のおしべ・めしべの話をしていました。(三崎町,2023/04/01)

イカリソウ(碇草) メギ科  花期:3月~6月

花の形がとても特徴的なので,一度見たら忘れられないと思います。自宅の近所の林縁に咲いていました。
名前の由来は,花の様子をイカリに見立てたもの。別名「三枝九葉草」とも呼ばれるそうです。3本の柄に3枚ずつ葉がつくからだそうです。3✕3=9。写真では,その葉っぱが見えないのですが…(宝立町,2023/04/10)

モミジイチゴ(紅葉苺) バラ科キイチゴ属  花期:4月~5月

落葉低木。
イカリソウと同じ場所に咲いていました。林縁に見られます。モミジのような葉っぱの形をしています。また別名「黄苺」とも呼ばれるように,このあと6月頃には黄色い苺のような実がなります。
「キイチゴ属の中では一番おいしい」と「花しらべ」の解説にはありました。
写真の花は少し虫食いですので,改めてキレイなものを撮影したいと思っています。(宝立町,2023/04/10)

カキドオシ(垣通し) シソ科  花期:4月~5月

自宅のすぐそばにたくさん生えています。紫色のきれいな花だなと思っていると,蔓がドンドン伸びてきて,そこらあたり一面に広がってきますので,気になって調べたんでしょうね。たぶん。名前の由来も,垣根を通り越して延びることにあるらしいです。
乾燥させたものはレンセンソウ(連銭草)といって,糖尿病や尿路結石,小児のかんの薬効があるそうです。だから別名「疳取り草」。(宝立町,2023/04/14)

ツボスミレ(坪菫) スミレ科  花期:3月~7月

わたしは,スミレ科の花だというのは分かりますが,種(シュ)まではなかなか分かりません。植物観察を始めて3年目ですが,依然として自分では種の判断はできないです(^^;)
ツボスミレの「ツボ(坪)」は「庭」のことです。山野の日当たりのいい湿った草地に生えています。
茎の高さは5㎝~30㎝と幅があります。
白花の唇弁(中心の下の花びら)に紫色の網目模様が入っていて,2枚の上弁が左右に反り返っているのが特徴です。葉が♡型なのも特徴かな(三崎町,2025/04/22)

アケビ(木通) アケビ科  花期:4月~5月

ご存知,秋の風物詩。田舎に住んでいる人なら必ずや一度は食してみたことがあるんじゃないかな。タネが多すぎて困るけど,実の甘さは絶品。
春のころの姿は,大人になってから知りました。雌雄同株で,ぽつんと鮮やかな色で咲いているのが雌花です。雄花は集まっています。
英名は,Chocokate vine。vineというのはブドウの木のことだそうです。(宝立町,2023/04/24)

ミツバアケビ(三葉木通) アケビ科  花期:4月~5月

アケビとよく似ていますが,アケビは小葉が5枚ですが,本種は名前のとおり3枚――正確には,3出複葉――です。
雌雄同株で,雄花と雌花が咲きます。秋には,おいしい実ができます。(宝立町,2025/04/25)

ウラシマソウ(浦島草) サトイモ科 花期:4月~5月

これとよく似た植物に「マムシグサ」(下に解説あり)がありますが,ウラシマソウを見つけたときには,なんだかうれしくなります。
名前の由来は,紫色の仏炎苞(この中に花がある)の中から釣り糸のように垂れ下がる様子を浦島太郎の釣り竿に見立てたところから。
マグシグサとは違って,仏炎苞は葉の下につくので葉が大きくなると目立ちません。残念ながら有毒です。(三崎町,2025/04/30)

ウマノアシガタ(馬の足形) キンポウゲ科  花期:4月~6月

この時期,田舎の道を歩いていると道ばたに大変よく見かける黄色の花。多年草の植物です。
なんともけっけいな名前ですが,植物名の由来は,花の形が馬の足形に似ているからだそうすが,よく似た花はいっぱいありそうですね。
可愛い花ですが有毒なのでご注意を。汁液が付いただけで,皮膚炎を起こすことがあるそうです。
八重咲きのものはキンポウゲ(金鳳花)と呼ばれるそうです。(宝立町,2023/05/10)

アオマムシグサ(青蝮草) サトイモ科  花期:4月~5月

テンナンショウ属の植物。マムシグサに似ていますが仏炎苞(ぶつえんほう:ふたのような部分。一見,花びらのように見えますが、中央に突き出ているのが本当の花です)が緑色になっています。林などの湿った場所で見つかります。
この植物も有毒植物で,誤食すると口内炎・嘔吐を起こすことがあるそうです。お気を付けて。ただ,この姿を見ると,何かやらかしそうなので,触るのもはばかれますがね。(宝立町,2023/05/10)

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