研究レポートもマネしてみました

レポート綴

 ○○中学校 尾形 正宏
1987年 記
2022年追記

本レポートは『東北仮説』(当時,東北地方の研究会員が編集・発行していたガリ本)用に書いたものです。「仮説実験授業を研究会以外の場所でしっかり紹介するためのレポートをまとめたい」という人に向けて書きました。
本レポートと,このレポートをもとに書いたわたしのレポート『常識から科学へ…仮説実験授業の授業書《花と実》による授業』(1986)を読んで頂ければ,いろんな授業書での授業の紹介に使えると思います。(2022/07/22記)

O はじめに

 『東北仮説』 の読者のみなさん、 初めまして。 ボクは、 北陸の能登半島のさきっちょに住ましていただいている(こんな謙虚な言い方はしなくていいのですが)者です。 そんなボクが 「なんでこんなところに顔を出すのか」 というと、それは 「仮説実験授業をやってるから」 としか言いようがありません。
 それにしてもキッカケと言うのはあるもので,実は,青森で「上北仮説の会」をしている萌出さんという方から手紙を頂いたのです。『北陸仮説・3』に載っていたボクのレポートに対する感想を戴いたんです。そして最後に「東北仮説の方にも資料送ってくださいね」 とかいてありました。 こんな機会でもないと,自分から進んでレポートを送る勇気が出ません。
 そんな訳で(どんな訳かわからなかったかも知れませんが)、これからも仲好しして下さい。

1 イヤイヤ引き受けたけど

 毎年、年度始めになるといろいろな会の発足がなされます。組合でも「教研発足集会」というのがあります。ボクの市では、もうひとつ教委側のもので「学校教育研究会 (学教研)」というのがあります。最近はやりの「教組教委相乗り」という形で会がもたれています(2020年現在は別になっている)。だいだいこういう会は、あまり好きじゃありません。特に全体会などは、ただただ眠いのを我慢するだけで精一杯。決りきった文句に、どうでもいい話。こんな時は『たの授』を読んでいるか,久しぶりに会った前任校の先生と「あの子どうしてる?」などと話をするのが一番です。
 おっと,話は変なところにいきました・・・
 昨年まで、ボクは小学校にいました。学教研では「理科部会」に入っていて,「なるべく何も当らんように」と思っていたのですが…いつの間にかイヤーナ仕事があたってしまいました。「小学校教科課程研究発表(理科)」というやつです。これは,文部省(現文科省)の方の教研で,進んで行く人なんかだれもいません。
 ボクは、せんせーをはじめてから5年目になりますし、仮説実験授業をやってからも、ちょうど5年目になります。 昨年までは、仮説実験授業について「組合教研」や「学教研」の場でレポートしたことは,1度もありませんでした。しかし,今回 (といってももう去年の話ですが)こういう役があたって、,「どうしようかなあ」と考えていたのです。
 「近くの地層でも調べて『地域の教材化』なんかすれば、あたらずさわらずで無難かなあ。 デモ、オレハ仮説実験授業ヲヤリタイ」。
 とにかくイヤイヤでも、引き受けてしまったのは仕方がないのです。

2 どうせやるなら仮説実験授業を

 金沢で仮説実験授業入門講座がありました。
 その帰りにこの話題を出したら「そんなん仮説実験授業をやってくださいな」「何を言われるか楽しみだ」との意見。
 根が単純なボクは,その場で「どうせやるなら仮説実験授業をやろう」と決めたのでありました。「そーだ。テープも持っていって助言者の意見やらもとってこよう。あとで,レポートするからね」 と言ってしまったのです(ちなみにボクは、日常的なサークルに参加していません,というか,地理的にできません。 

「珠洲たのしい授業の会」を立ち上げたのはこの年(1987年)の12月でした。

3 研究レポートをマネする

 「仮説実験授業をやる」と決めたものの,なんとも敵陣に乗り込むような気持ちで,「しっかりしたのを書かないと叩かれるぞ」 と思っていました。実際は,たいしたことがなかったのですが,その時は本気でそう思っていました。「当日は『仮説実験授業のABC』も持っていって,なにか聞かれたら,この本に書いてありますって言おうかな」なんてことも,思っていたくらいですから…。

 「しっかりしたレポートを書きたい。でも,いまの自分には限界がある。でも,でも,ボクのせいで仮説実験授業が誤解されるようなことがあってはいけない。ボクも会員なんだから、その責任はちゃんと果すべきだ。」
 そこで,つばさ書房・西尾仮説サークル編『科学入門教育研究1』(仮説社,1983)にのっていた,塩野広次さんのレポートの形式をそっくりそのままマネルことにしました。塩野さんのレポートは「楽しい授業の創造をめざして」という題で《溶解》について述べてあります。ボクの選んだのは《花と実》です。普通なら、全く別のレポートになりそうですが,仮説実験授業の場合,そんなことはないのです。仮説実験授業のスゴサをあらためて感じました。

『科学入門教育研究1』

4 レポートの内容

〈研究仮説〉

(1)科学の基本的な法則を捉えさせると,科学が好きになる。
(2)授業には法則性がある。一定の成果があがる。

1 単元

授業書《溶解》に関連した単元名を書く → 授業書《花と実》に関連した単元名を書く

2 単元について

授業書《溶解》に関連した指導書の目標 → 《花と実》 に関連した指導書の目標

教科書や従来の指導の不充分な点を例をあげて説明する。

3 研究仮説

(1)授業書の目標等を読んで,「常識から科学へ」の橋渡しとしてどのような手立てが必要かを書く。
(2)ここでは,塩野さんのものがそのまま役に立つ。自分の気持ちを出せば,自然とつながる(ボクにとってだけかも)。

仮説実験授業の紹介

仮説実験授業の「2つの命題」を明記

授業書の形式を書く (問題,質問,予想,討論,実験,お話,研究問題など)

4 仮説の検証

これをしっかり立てておくと,強い。「楽しさ度」と「テスト」は,8割~9割主義でいこう。

5 指導計画

授業時間数がどうしても多くなるので、それだけの「価値」があることを強調する。
《生類憐みの令》などの道徳関係以外は「道徳の時間を使った」 などという本音は書かない。授業書《たべものとうんこ》は、道徳でも十分耐えると思う(ただし,これは2022年現在では無理がある)。

現在なら「総合的な学習の時間」という授業もあるので,総合の年間計画の中に位置づけるのもよい。

6 授業記録

本時の指導

どこかの授業の様子を1時間分載せる。特に時間配分は入れない。 気を使って入れたりすると,挙げ足を取られるおそれがある(実験事実があるわけじゃないが)。「授業の進度は子ども次第」ということも仮説実験授業の大切な一部だからである。

授業記録

最低「本時の授業記録」は載せるといいかもしれない。仮説実験授業研究会のメンバーは日頃から「授業通信」を書いているので,特徴的なものを数時間分載せるだけで,説得力が出る。

7 評価

「仮説の検証」 で延べた2点について、堂々と提出しよう。 子どもの感想文も必ずつける。

8 まとめ

自分の今思っていることを素直に書けばいいんじゃないの。

参考文献

引用したものは特にきちっと書くように… 「○○化運動」 みたいにならないためにも。ボクのようにほとんど盗作の場合は、「スゴク参考にしました」 と書くこと。

 以上、 塩野さんのレポートの書き方をほとんどまねて『常識から科学へ 仮説実験授業の授業書《花と実》による授業』 というのをつくりました。書いていて,仮説実験授業を初めて知った時に似た気持ちを味わいました。それは,今までより一歩成長したと感じられたからです。マネしながらやった授業で感じたことを,マネしながら書いたレポートでも感じたのです。
 結局,地層なんかで発表やるよりもずっと楽しかった。
 仮説実験授業のよさを改めて知ったし。
 こうして『東北仮説』とも仲よくなったし。
 さて、今年も授業を楽しむか。

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