キンミズヒキ(金水引) バラ科 花期:7月~10月
素敵な名前ですね。全国の山野に自生する多年草です。名前の由来は,黄色の穂の色を金色の水引に見立てたんですね。黄色の5弁花です。
別名はヒッツキグサとあるように,実にはカギ状のトゲがあり衣服についてタネを運ばせます。(宝立町,2022/08/24)
ヌスビトハギ(盗人萩) マメ科 花期:7月~10月
これはなかなかの名前です。盗人ですからねえ。悪者です。これもまた,山野に自生する多年草です。名前の由来は,実の形が盗人の足跡に似ているからだそうです。
花は,いかにもマメ科の雰囲気の花です。
この実(種子)も,やっぱりくっつき虫で,動物の体や衣服にくっついて運ばれます。
(野々江町,2022/08/25)
ホツツジ(穂躑躅) ツツジ科 花期:8月~9月
こんなきれいな花を初めて見ました。遊歩道にたくさん咲いていました。拡大して見てみるととても可愛い花です。
昔,この木の枝でホウキを作ったことから,ヤマボウキという別名もあるようです。
ピンク色の可愛い花の見た目とは違い,植物体には,グラヤノトキシンを含んでいて,誤食すると危ない有毒植物なのです。(野々江町,2022/08/25)
ハギ(萩) マメ科 花期:7月~10月
わたしがこの植物の名前をわりと小さい頃から知っているのは,親戚のおじさんの庭にあったからなのだろうと思います。ハギは,マメ科ハギ属の総称です。
この植物も「秋の七草」の一つで,万葉集でも大変多く詠まれているそうです。(宝立町宗玄,2022/08/25)
というわけで,今回も万葉集から。
我妹子(わぎもこ)に 恋ひつつあらずは 秋萩の 咲きて散りぬる花にあらましを
〈秋の七草〉について
万葉集には,秋の七草について以下のような歌が残っています。
いずれも山上憶良の歌です。
1537: 秋の野に 咲きたる花 を指折り(およびおり)かき数ふれば 七種(ななくさ)の花
1538: 萩の花 尾花葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝顔の花
この1538番の歌に出てくるのが秋の七草と呼ばれている花です。ハギ,尾花=ススキ,クズ,ナデシコ,オミナエシ,フジバカマ,朝顔=キキョウ。
ちなみに,1538は,577577のリズムです。
ツリガネニンジン(釣鐘人参) キキョウ科 花期:8月~10月
名前の由来は,釣り鐘のように見える小さな可愛い花(1㎝~3㎝くらい)と,朝鮮人参のような形の根っこに由来するそうです。
山野の日当たりのいい草地などに自生する多年草です。アプリ「花しらべ」によると,
「山でうまいはオケラにトトキ,里でうまいはウリ,ナスビ。嫁に食わすも惜しゅうござる」のトトキとはツリガネニンジンのことで山菜として食用にされる。
らしいです。(三崎町,2023/08/29)
ツリフネソウ(釣船草) ツリフネソウ科 花期:7月~10月
ツリフネソウを見つけたのは,ため池調査で訪れた水辺に近い湿地。花は少なかったけど,群生していたので気づきました。
名前の由来は,予想通り,花の形が帆掛船を吊り下げた様子に似ているから。
別名,ムラサキツリフネと呼ぶように,同じ形のキツリフネというツリフネソウもあるらしいです。(正院町,2022/08/30)
センニンソウ(仙人草) キンポウゲ科 花期:7月~10月
生きもの観察会で訪れている場所に,昨年気づかなかった白い花を見つけました。センニンソウという名前の花です。
名前は,花の形(といっても,この白い部分は花弁ではなく萼)ではなく,この後に出来る実につく白い毛に由来するらしいです。白い毛が仙人のヒゲのように見えるからだというけれども…。有毒植物で液汁が皮膚に付くと皮膚炎を起こすからご注意を。
東アジア原産ということで,在来種にいれたけれども,いいのかな。(上戸町,2022/09/06)
オモダカ(面高) オモダカ科 花期:7月~10月
珠洲では水田のあぜ道側によく生えているのを見ることができます。稲刈り前になると,緑色のオモダカの体が目立ってきます。白い花もきれいです。花には雄花と雌花があって,上の方に咲くのは雄花(黄色いおしべ),雌花(緑色のめしべ)は下のほうにあるそうです。写真の花は雄花です。
茎の下のほうに見える緑色のものは実(ということは雌花だった場所)です。
ハナグアイという別名があるように,クワイとよく似た実ができます。というか,クワイはオモダカの栽培品種のようです。(宝立町,2022/09/07)
ツルリンドウ(蔓竜胆) リンドウ科 花期:8月~10月
林の林縁に見つけた可愛い植物です。多年草なので来年も同じ場所で咲いてくれるでしょう。
文字通りつる性のリンドウのことで,花はリンドウの花のようです。写真の花は桃色ですが,紫っぽい花もあるようです。
晩秋には,1㎝くらいの赤い果実をつけるそうです。(三崎町,2023/09/09)
センブリ(千振) リンドウ科 花期:8月~11月
アプリ「花しらべ」には「花期:8月~」とありましたが,この花を森で見つけたのは11月に入ってからでした。能登では,それくらいの時期なのかも知れません。日当たりのよい,湿った草原などに自生する二年草。二年草って不思議な響きですね。2年に1度しか咲かないのかな。花びらは5裂していて,縦の紫色の筋がきれいです。
名前の由来は,1000回煎じても苦みが残っているから。とても苦くて,昔から胃薬にしたようです。(三崎町,2023/11/04)
オヤマボクチ(雄山火口) キク科 花期:9月~11月
植物名を漢字で見ると「雄山という火山の火口」みたいに勘違いしそう。「火口(ほくち)」というのは,昔,火起こしの際,木の摩擦などで起こした火種を受ける〈もの〉のこと。この植物の茸毛(ジョウモウ,葉の裏に生える繊維)を火口として使ったらしい。
ヤマゴボウという山菜は,オヤマボクチのことらしいです。(野々江町亀ヶ谷池,2023/11/22)
キヅタ(木蔦) ウコギ科 花期:11月~12月
林縁の木に絡まっていた常緑生のツル植物です。11月も末になってから花をつけているので,よく目立ちます。葉はテカテカ光沢があります。小さな花をたくさんつけます。このような花の咲き方を「散形花序」と呼ぶそうです。
名前は,木を昇るツタだから…なんだ,そのままじゃないか。
セイヨウキヅタという外来種もあって,こちらの方は,園芸店で「アイビー」とか「ヘデラ」と呼ばれて売っています。うちのブロック塀に生えているやつです。(三崎町,2023/11/24)
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