珠洲たの通信・1995年5月号

 遅くなりましたが,サークル通信5月号(←間違いじゃありません5月号です)をお送りします。
 ときどき激しく降る雨に「梅雨明けま近」を感じています。6月の例会は,会場の宝立公民館が使えなかったために,お休みとなりました。せっかく楽しみにしていたのに,という方もいてくれたのですが,申し訳ございませんでした。
 例会をしないときでも,ちゃんと月に1回は連絡をしたほうがいいなあと思っています。皆さんのいろんな予定もあるでしょうしね。そういいながら,今回の連絡も例会ぎりぎりの案内となってしまったのですが…。

 と書いたのが,もう2カ月以上も前。もう,このサークル通信は間に合わないと感じて,7月の連絡は,結局,はがきとなりました。全く,筆無精は困るぜ!
 以下の文章も7月上旬に書いたものです。あら,はずかしや。
 最近読んだ『季刊・教育法』の中の木下征二郎「高校中退から見る現在の学校教育制度」という文章の1部を紹介します。高校入試改革だけでなく,高校そのものの在り方が,ボクの中で,今,大変気になっています。

このこと(注:高校中退者の大検出願数が増加していること)は,高校教育が学校で完結すべきとする前提が綻びはじめてきていることの前兆なのかも知れない。というより,学校教育としての高校の価値を拒否したところから始まる多様な他の教育手段が,大人の知らないうちに子どもたちの間でオーソライズされ,定着しつつあるのである。つまり,こうした学校によらない教育の機会を学校教育の補填装置として広く認めていくべきなのである。いま教育の多様 化が叫ばれているが,その中身は学校教育を前提としたカリキュラムの多様化に過ぎない。何もかも学校という施設内で教育が完結し得るという発想の転換期にさしかかってきていることに気付く時なのである。

 大筋としては,上のような発想の転換をしていくべきだと思います。
 学校絶対主義から脱しないことには,現在の小中学校での不登校の問題も先に進めません。ボクたちは,授業を少しでもよくしよう,学びがいのあるものにしようと思って日々やっているわけですが,たのしい授業をやっていたからといって不登校がなくなるわけではない。そんなとこまで今の学校制度は病んでしまっているのです。
 でも,ボクたち教師は,学校外教育の可能性を積極的に認めながらも,子どもたちにとって少しでも住みよい学校になるように行動していく必要があります。制度の改革や教育の自由の確立,教育条件の整備等は,組合運動などを通して要求していくべきだろうし,自分自身の授業をよりよくしていく努力は,こんなサークルや研究会を通してやれるでしょう。
 来てよかったと思えるような学校。知ってよかったと思えるような授業。そんな大きな目標に向かいながらも,「今日も拙い授業をしてしまった」と後悔しているボクです。

■5月の例会参加者(4名)
M.S(内浦町M小)  H.H(珠洲市H小)  T.M(内浦町O中)  M.O(珠洲市K小)

資料紹介

1.一版多色刷版画・浮世絵編   1ぺ  M.O
 『ものづくりハンドブックⅡ』(仮説社)を参考にして昨年度の卒業生を対象に実施した報告です。たった12人のクラスですが,どの子もすばらしい出来栄えで,なによりも本人が満足していたのが良かったです。出来た作品は卒業式後の謝恩会(これに対し,ボクは強く反対したのだがPTAの方に押し切られた)の会場であるランチルーム(控室でもあった)に掲示しました。
 多色刷は,彫る作業は割りと簡単なのですが,刷る作業が大変です。細かいのになると1枚刷るのに2時間くらいかかります。ですから,作品によっては,「飽きちゃって3枚も刷れない」ということになります。「最低2枚は刷って,1枚はカレンダーにして,もう1枚はボクにプレゼントして」って約束でやってもらいました。
 なにはともあれ,「版画をカレンダーにする 」のはお進めです。もう結構やられていることだそうですが・・・。

2.第6学年社会科学習指導案   4ぺ  M.O
 昨年度の校内授業研究でやった社会科歴史の指導案とその結果の話です。内容は「ノルマントン号」です。例の風刺画から読み取る場面では,期待していたほどのことは子どもたちから出て来てきませんでしたが,まあいいでしょう。
 <予想を立てて,その結果を調べる>というパターンを取り入れれば,今まで自分が受けて来た講義式の歴史の授業を少しは変えることにもなると思います。
 いやー,小学校へ来れば何でもしたくなりますねえ。でも,「小学校で歴史を教えるわけ」が依然として良く分かっていないボクです。

3.学級通信『サイクル』   4ぺ  H.H
 4月に入ると,新しく受け持った子どもたちへの期待と同時に,「学級通信の題名を何にするか」というのでいろいろと考えてしまいます。最近のボクは,「子どもたちに考えてもらった中からボクの気に入ったものを選ぶ」ということにしています。見事採用された人には,豪華粗品(主におもちゃ)をプレゼントすることにしています。
 Hさんは,昨年度が「EM」(だったよね確か),そして今年度が「サイクル」と,<らしいな>と思わせるタイトルです。
 第1号に,Hさんの教育方針について書かれています。クラスの約束として,次の3つをあげています。
1 失敗を恐れず,たくさんの失敗をすること
2 人を不幸にするようなことはしないこと
3 うそやごまかしはしないこと

 「失敗を恐れるな」だけでなく「失敗をしろ」という<失敗のすすめ>まで言ってるところ,気に入りました。
 また,第2号では,国語の教科書の読み方としての「完璧読み」を紹介してくれました。1ページを一字一句間違いなく読めるかを,隣の人と競争するというか聞き合う・読み合うというゲームです。なかなか盛り上がるそうなので,すぐにまめしてみました。うちのクラスでも,好評でした。うちのクラスでは「パーペキ読み」と呼んでいます。月曜の朝の国語の時間にはぴったりの<眠気覚まし緊張読み>です。一度お試しあれ。

4.学級通信『走れ』No.3   2ぺ  M.S
 命令口調タイトルだと思いませんか。一説には彼女は競馬が好きだとか-「ホントへんなの考えるねえ」と陰の声。
 「完璧読み」の追試と子どもたちの感想が載っています。あまり夢中になると「おまえずるいぞ」ってな声も出たりして,ある程度ルールを決めておかないといけないなあと感じました。
 また「目が不自由ってどんな感じ?」と題して,目隠しをして校内を歩いてみたそうです。これについては,ボクも追試したので,次号でお伝えします。

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