珠洲たの通信・2018年7月号

※2020/04/26記

 ついに珠洲市も自宅勤務OKになりましたね。本来なら,「自宅勤務をしてください」というのが本当なんでしょうが,やはり,どこかでまだ「能登は大丈夫」というような緩みがあるので,そこまでは思い切れないんでしょう(わたしのそうですが(^^;)。責任とりたくない人たちばかりなので,肝心なときにも中途半端で進んでいきます。これまでも,そして,これからもそうなのででしょう。
 こんなコロナ渦の中でさえ「休みだからこそじっくり研究したりレポートを書ける」と思っている人もたくさんいます。先月(2020年4月)のサークルで紹介した著作に,次のような一節がありました。

この時期(引用者注:1665年から66年にかけてのロンドンの大ペストの時),ケンブリッジのトリニティ・カレッジを卒えたばかりの一人の青年がいた。ペストの流行によって,青年の通っていた大学も何度かの休校を繰り返した。休校中大学を離れて故郷の街ウールスソープに帰った青年は,ぼんやりと日を過ごすうちに微積分法や万有引力の基礎的概念を発見した。青年の名前はアイザック・ニュートンといった。主要な業績の多くを発見したこの時期は後に「創造的休暇」とも「已むを得ざる休暇」とも呼ばれることになった。その休暇はペスト流行によってもたらされた。   山本太郎著『感染症と文明-共生への道』(岩波新書)より

 2018年7月のみなさんのレポートを読んでみると,この年の7月は,すでに相当暑かったようです。熱中症という言葉も飛び交っていたし…。学校の教室にも冷房を!という呼びかけも,本格的になり予算化されたのもこの年だった気がします。

■7月の例会の参加者(5名)
 K.H   M.S   M.O   T.N   M.K 

資料の紹介

1 「New Moon ~新米教師のたのしい授業レポ~」 B5 2p  T.N
漢字ノートだと「めんどくさい」みたいに思ってしまうことがあるけど,マッキーノだったら,すごく楽しくできるから。
 漢字マッキーノをやった4年生の子どもたちの1学期終了後の感想です。Nさんは,漢字マッキーノ用のカードをScratchで作成して画面上で行ったようです。昔からあるマッキーノだけど,確実に進歩しているってことですね。
マッキーノは,初めてだったので「ほんとうにおぼえられるのかな?」とおもっていたけど,かんじだけはテストでよい点数になりました。まきのさま,ありがとうございます!
 牧野さんも喜んでくれていると思います。中学校勤務の頃,理科用語の時などにマッキーノをやって,その効果に絶大なる信頼をもっていたわたしでも,小学校の漢字マッキーノについては,半信半疑だったのです。「漢字はドリル」「反復練習あるのみ」という意識が抜けなかったというわけです。でも,自分で漢字マッキーノをやってみて,「これは本物だ」と思いました。ただなんとなく繰り返し練習するよりも,真剣に書き取る方が,よほど効果があるということでしょう。
 読み聞かせも毎日やったそうです。保護者からも「本を読むようになった」との声も寄せられたそうです。
たのしい授業のおかげで一学期を楽しくすごすことができました。夏の間にネタを仕入れるのと,プログラミングの授業プランなんかを作れたらいいなーと考えています。
という教師2年目のNさんの姿です。

2 サークル資料「子どもたちの姿」 B5 4P  M.S
 小規模校でありがちな子どもたちへの過干渉・馬鹿丁寧な対応。
 わたしもある小学校にいたときに強く感じ,職員に言ったことがあります。子どもが自分の口で言わない先から,大人たちがいろいろ先走って対応しようとする姿。「そんなの子どもの自立を妨げちゃうよ」ってね。以前,「幼年期の教育」の話の中で,「保育所では,年長さんとしてある程度自立して小学校へと送ったはずなのに,小学校に入るなり,何もできない,知らない1年生として対応しすぎているのではないか」ということでした。なるほど,確かにそういうことを感じます。〈大人が関わりすぎない教育的配慮〉ってものを知らないと,よってたかって…ってことになります。他山の石としていきたいものですね。
 《足はなんぼん?》を終えての感想を書いてもらったときのSさんのミスを書き留めておきましょう。
 授業後,「5.たいへん楽しかった」を選んで○で囲んでいたSくん。でも,感想欄には何も書かれていなかったので,教師が「なにか一個くらいないかなあ」と要求したところ,Sくんは5の○をけして1にしたそうです。「感想を強要した私のミスです」とSさん。そうなんです,感想は書かせるものではなく,書いてもらう(いただく)もの。感想を出さなかった子に「早く出してよ」とお願いしたこともあったなあと,自分の過去を思い出して苦笑しました。
 授業後にはカードゲーム「足算」で楽しんだそうですが,クラスが少人数のために勝者がだんだん固定されてきて,面白くなくなってきたそうです。こういうときこそ,淀井泉さんの『カードゲームでたのしい授業』(仮説社,2016)が役立ちますね。
 終業式の日には,「カルピスゼリー1/2」を作って食べたそうです。6限目がない1,2年生に平気に6限「学活」を入れてくる学校のやりかたに反発してのたのしい授業だって。いいね~この考え方。子どもたちにとっても「シメタ」に違いない。

3 「アイくん日記・7月号」 B5 2p         K.H
 支援員として関わっているアイくんとリュウくんとの最近のやりとりについて,感想をまとめてきてくれました。一筋縄ではいかないからこそ支援員が横に着いているのだと考えると,二人が,いろんなことをスムーズにやらないのは仕方ないことなのだと思います。がしかし,支援員として,じゃあ,どこまで関わるのか…難しい問題ですね。結局,仮説実験しかないようなきがします。こうしたらこうなるだろうと予想してやってみる。結果は違っていた。じゃあ,次の対応を考えようってね。
 あとは,Hさんもいっているように,その子のいいところを見て,そこを伸ばすようにすることかな。同級生よりも劣っている部分はいっぱいあるので,その点ばかりに目が行くと当事者にとっては,しんどい言葉しか耳に聞こえてきません。そうすると余計にやる気がなくなりそうです。そっと支援できるといいですね。

4 「笑顔を広げる達人講師の道 講座 参加記」 A4  6ぺ  M.K
 楽知んさんの「笑顔を広げる達人講師の道」という講座に参加してきたそうです。 
 講座は「皿回しをとおして組織論を考える」ものでした。Kさんは,講座で配付された資料を示し「いまさら私が何をつけくわえましょう?」と言っています。宮地さんの文章は,それほど分かりやすく書かれています。
 Kさんにとり,この講座で新鮮だったのは,
〈適度な束縛〉ではなく〈自由になるための束縛を発見し,それを自分に課して束縛する〉
ということだそうです。
 仮説実験授業しかり,キミ子方式しかり…。授業そのものが〈束縛と自由〉との関係を上手く活かしているし,それらを研究するわたしたちにとっても,束縛と自由との関係の上でこうしてサークルに参加しているんだと思います。サークルというグループに束縛されることが,自分に我慢を強いることだけだと思う人は,ここには長くは参加できませんね。「サークルがあることで,より自由にものが考えられ,学校に戻っても自分というものをしっかり支えていけるんだ」という経験を一度でも感じることができると,それは自分にとって自分を発揮できる場所を得たことになります。
 ともあれ,Kさんが楽知んや「親子孫〈たのしい仮説実験〉講座」に積極的に関わっている姿が見れて頼もしいです。Kさんが楽知んにのめり込むのは,もしかしたら,学校外でやってきたこれまでの彼の活動にあるのかもしれません。今回の講座で,彼自身がやってきたことを意味づけ・理論づけし,さらに発展する未来が見えてきている…そんな気がします。

5 「ブログ的気楽レポ2018年7月号」 A5 8p   M.O
 道徳の話題が二つ。峯岸さんのプラン「マシちゃん」(記録は,学級通信№48)と定番プラン「忘れないご馳走」(通信№55)です。いずれのプランも,「たのしい道徳」を目指している人には,オススメします。
 あと,《燃焼》の授業記録(通信№53)も持ってきました。今年は初めて《16版》の方でやったのですが,終わってみれば子どもたちの評価はオール5。素晴らしいです。
特に楽しかったのは,スチールウールとセルロースのろ紙を燃やしてみたことが楽しかったです。スチールウールはせんこう花火のように「パチッパチッ」となって,すごく思いました。セルロースのろ紙を全部燃やせたことが,自分でもびっくりしました。
というような,自分でやってみた実験が楽しかったという感想もあれば,
少し難しいところもあったけど,火事の原因や,なぜサビたりするのかもわかることができた。重さ比べをしたり燃やしたり,たくさんの実験をしたので分かりやすかった。酸化○○は,もう燃えないことが分かったのでよかったです。
というような,科学の論理的な部分をしっかり感じ取ってくれた感想もありました。特に,第3部「地球は燃えかす」は壮大な話なので,わたしは大好き。
 「酸化マグネシウム」が便秘薬として使われているという話題を学級通信にも載せたのですが,それがどのように働いているのか,サークルでは詳しく調べませんでした。あるサイトから見つけたものを転載しておきます(○番号は引用者)。

酸化マグネシウムは口から服用された後,腸内でその効果を発揮します。
①まず,胃の中で胃酸(HCl)と反応することで塩化マグネシウム(MgCl2)になります。
②次に,腸内に分泌される膵液(NaHCO3)と反応して,重炭酸塩(炭酸水素マグネシウム:Mg(HCO3)2),炭酸塩(炭酸マグネシウム:MgCO3),になります。
③腸内においてこれらの塩類の濃度が高くなることで浸透圧が働き,腸管から腸内に水分が移動します。
(EPARK くすりの窓口)より

ということらしいです。
 その他には,反戦川柳作家・鶴彬に関する現地研修会参加記をまとめてきました。
 最後に「たのしい授業学派が二人いる職場」についても考えてみました。この年度は,N学級(4年生)とO学級(6年生)とで,同じ道徳プランや《もしも原子が見えたなら》などの授業書をやっていたので,保護者や子どもたちは何か疑問に思わないのか?ということを問題提起してみました。
 さて,ここで予想した保護者や子どもたちの反応は,実際どうだったのか。わたしの記憶では,保護者からは「まったく何も言ってこなかった」どころか,たのしい授業をやってくれる先生として,信頼感が深まったのでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました