珠洲たの通信・2019年1月号

 2020/05/19記

 先日(2020年5月16日)の「Zoomでサークル」は,新しい体験で楽しかったですね。今回報告する2019年1月ころは,まさか1年数ヶ月後に,こういう形でサークルを開くようになるなんて,誰一人として予想していなかったと思います。今後は,このZoomなどの有効性と限界を探っていきたいと思います。
 それでは「あけましておめでとうございます」のサークルの報告をします。
 さて思い出してください。この例会のほんのひと月前(2018年12月)には,群馬県の峯岸昌弘さんをお呼びして「体育と道徳の講座」を開いたのでした。懐かしいね。また,それを機会に,新しいメンバーが参加してくれたのも1月でした。

■1月の例会の参加者(6名)
 M.S , M.K , T.N , M.O   K.H    新:K.H

今月話題になった本

資料の紹介

1 「珠洲たのレポート 2019年1月号」  B5 2p  K.H
 一番最初に,こんな言葉が載っていました。
友達と新年の抱負について話していたら「何もないことが幸せなのだ」ということにうなづく自分でありました。
 昨今(書いているのは2020年5月)の世界の現状を見るにつけ,「何もないことの幸せ」の意味を噛みしめてしまいました。本当に,日常のありがたさが身に染みます。こういう気持ちは,また時間が経つと忘れちゃうんでしょうね。人間って困った生き物です。
 まず,2冊の本を紹介してくれました。
○恩田陸著『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎,1800円+税)
○高野圭著『たのしく教師デビュー』(仮説社,1800円+税)
 恩田陸って女性だとは知りませんでした。わたしも前作『真夜中のピクニック』は読みました。面白いお話でした。この作品については,全く知りませんでした。
 高野圭さんは,営業マンから教員になった北海道の高校に勤めている先生です。明星大学で小原茂巳さんの講義を受け,仮説実験授業に魅せられて就職,現場でも楽しく教師をやっている様子が伝わってきます。
 私も読みました。ベテランの教師でなくても,子どもたちに歓迎される授業はできる。しかも高校でも可能である。そんなことを示してくれる内容でした。
 ほかは,身辺雑事,アイくんとリュウくん,花の写真,生活の充実ということについて書かれています。
 身辺雑事では,積ん読になっていた本などを思い切ってブック・オフへ持っていったそうです。また,退職後に一眼レフを購入してから,サークルの際には花の写真をいろいろ見せてくれたのですが,そろそろ違うテーマに変えるかどうか迷っているという話も。ん~,あの「Hさんの一番のお気に入りはなんでしょう」クイズは,面白かったんだけどなあ。
「毎日の生活を充実させるもの」では,朝の珈琲,朝ドラ,夕方のウォーキングらしいです。退職したいまのわたしにとっては,朝の犬との散歩(30~40分),朝食づくり,朝の珈琲,図書館から借りた本の読書,Primeで映画鑑賞,夕方の散歩(20~30分),夕食づくり,かな。でも「それでおまえは充実しているのか…」と問われると…ちょっと?ですが。
 ただ雨の日に,資料を整理しながら,こうしてパソコンに向かっているのが,今のところ一番有意義な時間に感じます。なにせ,〈この通信(仕事)を待っていてくれる(読んでくれる)人がいる〉ってのが,やっぱり,やり甲斐ありますよ。これが晴れた日だと,家の中にいるだけでとても後ろめたく感じるのです。幸い今日は雨なので,安心して午前中はパソコン前です。

2 「New Moon~新米教師のたのしい授業レポ」  B5 2p   T.N
 いや~,こういう心配はみんなするんだよなあ。一読してそう思いました。「子どもたちの評価」というのは信頼できるのか…教師に対して本音を言わないのではないか…とね。
 これまで,仮説実験授業やたのしい授業のネタをしてきたNさん。子どもたちに感想や評価を聞くたびに,いつもほぼ全員が「5.とてもたのしかった」をつけたそうです。ここで指導者は考えてしまいます。
ただ,あまりに「5」ばかりで,適当に「5」をつけているのかなあと,逆に心配でした。
 そんな心配をしていたのですが,あるカードゲームをしたときに,負けてばかりいた子から低評価がついたそうです。
低評価がつくと,自分は,もっと落ち込むかと思っていましたが,ちゃんと評価を受けとめることができてよかったです。また,素直に評価を書いてくれる子がいることが分かり,「5.とてもたのしい」という評価に少し自信を持つことができました。
 素直に書いている子ばかりだと思いますよ。教師がすべてを受けとめてくれる…と感じていてくれれば。子どもが教師の顔色をうかがうようになったら,学級経営は失敗ですね。そうしたいヒトも教員には多いかも知れないけど。仮説実験授業の授業運営法に従っていれば,教員からの無言の圧力なんて,子どもたちはこれっぽっちも感じません。
 さて,子どもたちの評価を受け入れる一方で,「もっと感想を書いてほしい」と思う気持ちが出てきたそうです。これもまた「仮説あるある」です。そんなに楽しかったのなら,もっともっと感想文に楽しかったことを書いてよ,教えてよ,オレを励ましてよ,とね。この辺りのことについても,仮説の実践家や板倉先生がいろいろと書いておられますので,読んでみるといいでしょう。討論で頑張った子どもたちは,もう感想なんて書く力が残っていない。そんなことよりも,次の問題が楽しみで仕方ないんです。授業中,わりと静かな子の方が感想をしっかり書いてくれたりします。面白いものです。
 他にも「楽しいだけでいいのか」というようなことに対して,反論できずに揺れていたり…。でも,いまはそういう姿が本当ですね。いまはまだ,うまく説明できないし,ましてや「楽しいだけでいいのです」なんて言い切る自信もないけれども,自分の中で「子どもたちがどういうときに自分から進んで学ぼうとするのか」を一つ一つ見ていく中で,「楽しくないとはじまらないな」ということに合点がいくと思います。

3 「3学期スタート」 B5 4p           M.S
 成人式の話題のあと,あの「金魚チョーク事件」のその後です。
 金魚水槽の横にニセ水槽(水はちゃんと入っています)を設置。「どうしてもチョークを入れたくなったら,こっちにいれてね」と子どもたちにお願い。当のよっくんも,まんざらではないようです。しばらく水槽にはチョークが入らなかったのだが…残念ながら,またまた金魚水槽の中に黄色のチョークが…。よっちゃんは「ごめんなさい」とはいうものの,ついついやってしまうらしい。子どもたちは,犯人を見つけるために「ふたに鈴をつければいい」と提案。でも,子どもたちは,犯人は教室に誰もいないときにチョークを入れるのだから,鈴の機能は働かないないことに気づきます。そこでのSさんの一言が秀逸。
「この鈴の音はね,チョークを入れちゃう人の心に響けばいいんだよ。」
 まだまだ「金魚チョーク事件」は続くのであった。
 峯岸さんの道徳プラン「つれさられた記憶」で授業をしたことも報告してくれました。予想どおり子どもたちは真剣に考えてくれたそうです。がしかし,次の道徳に期待して子どもたち曰く…「今度はもっとこわいヤツにしてください」だって。おいおい(^^;)

4 「《生類憐みの令》から学んだこと」 B5  4p      M.O
 6年生に出していた「学級通信№155号」です。この号では《生類憐みの令》の子どもたちの感想文を特集しました。
 担任をすると毎年のように授業をしてきた社会の科学の授業書《生類憐みの令》。わたしの大,大,大好きな授業書のひとつです。何せ,教師1年目(小5)からやってますからね。おそらく授業にかけた回数は《もし原》の次に多いと思います。中学校でもやりました。「善意や正義のみで世の中に働きかけるととんでもないことが起きることに気づいてほしい」~そんな思いからやってきました。最後の授業(次の年は級外だった)の評価は,なんとオール5。すごいなあ。
 今回は,はじめて,子どもたち自身の〈綱吉に対する気持ちの変化(第1部終了時と第3部終了時とを比べる)〉も取り上げてみました。おもしろいまとめ方になったなと思います。わたしの前書きの部分を一部紹介します。
 最後の時間は「もう一度,将軍綱吉は,優しくて良い人か恐ろしくて悪い人か」を考え,一人一人の意見を発表するという授業でした。ここまで来ても,やっぱり綱吉に対する評価は大きく割れました。おもしろいですね。みんなで同じ授業を受けてきたのに,将軍綱吉に関する価値観はひとぞれぞれなんですね。だからこそ,意見の違いを話し合う意味があり,お互いの気持ちを理解し合う必要があるのでしょう。これぞ《本物の道徳心》だと私は思います(ましてや,違う家庭環境で育ってきた人たちや,常識が全く違う国同士の人たちの価値観が違うのは,むしろ当たり前ですよね。それが一つになるなんてないから話し合いが必要になる)。

5 「思わずやってみたくなる体育&道徳・講座報告」 B5 8p   M.O 
 2018年12月,宝立小中学校+宝立公民館で開かれた峯岸さんの講座の感想をまとめてきました。新しい若い人たちが大勢参加してくれて,盛大に終わりましたね。5000円という会費でしたが,板倉係数は1.13と,ちょうどよかったと思います。この記録は,仮説実験授業研究会が発行している『会員レポート・2019年4月号』(表紙は文ちゃんが書いています)にも掲載してもらいました。
 どの参加者も講座の内容に満足してくださったようで,うれしいです。
 このような講座を開くと,主催者が一番楽しくて得をした気分になります。そして,次への意欲もわいてきます。
 今回の講座(+夕食会)で,能登の若い教師たちと峯岸さんのパイプもできたようなのでよかったです。自分が歳をとっても,こういう触媒のようなはたらきができたことに満足してます。これからのわたしの立ち位置は,詩羽*1のように〈触媒になること〉だな。見えてきた!!

*1詩羽(しいは)…山本弘著『詩羽のいる街』(角川書店)に出てくる主人公の女性の名前。詳しくは,拙文「喃々レポ2020年5月号」を参照のこと。

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