珠洲たの通信・2018年9月号

 今年度も半分を過ぎましたが,みなさま,いかがお過ごしでしょうか?
 今日(10月13日)は,ちょうど県教研をやっている日です。例年なら私も出かけていることが多いのですが,今年はお留守番。教研活動や民間教育運動は,わたしに教育を広い視野で眺めることを教えてくれました。それがあったから今までやってこれた感があります。30年以上,いつも子どもたちとたのしく授業をしてきました…わたしの教師としての懐はこれらから学んだものでいっぱいです。指導主事(お上の垂れ流し,流行を追う無責任)の言葉が入る隙間はありません。別腹を探してもないです(^o^)
 さて,教師生活が短くなった私は,自分が学んできたこのエキスを少しでも伝えたいと,群馬の峯岸さんに連絡を取って,奥能登で講座を開くことにしました。12月の講座には,一人でも多くの地元の若者が来てほしいです。みなさん,宣伝お願いしますね。そうそう,峯岸さんからは,2日に1度くらいのペースでメールが届きます。あちらのサークルがあった後で,そのサークルの紹介やレポートのこと,その後の発展的な話など…です。OneDriveを使ってサークルで提出された資料の共有もしているようです。日々のメールを通して「サークル通信」が一ヶ月続いている感じです。こんなことを,毎日,授業をしながら,もちろん,子育てや家事もしながら,しかも,12月出版に向けた「跳び箱の単行本」の執筆もしながらこなしている峯岸さんって,すごいです。「いつも,メールありがとう! ますますほれちゃいました」とラブレターを送っておきました。

■5月の例会の参加者(5名)
 K.H   M.S   M.O   T.N   M.K 

資料の紹介

1 「仮説全国大会報告2018」」 B5 3ぺ     K.H
 Hさんが参加したのは「教師論分科会」「人との関わり方分科会」「仮説の伝え方分科会」「仮説のこれから全体会」です。これらの分科会に提出された主な資料と感想をまとめてきてくれました。
 最後のアンコール分科会のときにも話が出ましたが,次の指摘はおもしろい視点を与えてくれました。それは,「自主性」と「主体性」の違いについてのことです。
この2つのことばの大きな違いは自分の頭で考えるか,考えないかにある。自主性のある行動をとる場合は自分の頭で考えないが,主体性のある行動をとる場合は自分の頭で考えなければならない。学校教育で期待されている主体性は,残念ながら自主性の意味合いが濃い。
 哲学・心理学用語としての「自主性」の定義は知りませんが,少なくとも学校現場で「あの子は自主性があるね」というときには,「教師の思いに沿って,教師に言われる前に行動できる子」ということになります。そして「主体的に判断する子」にしても,「教師や大人社会の思いに沿った判断ができる子」という話になるのです。これって,本当の自主性や主体性ではないような気がします。
 中村文ちゃんのマンガの話題は,Nさんのレポートにもありました。文ちゃんのマンガもおもしろいですからねえ。これから,仮説マンガ分科会も出てくるに違いないと予想します。というか,もうすでに,そんな講座がありますね。今度は文ちゃんに来てもらうか? ちょっと遠いけど。

2 「たのしい授業講座刈谷報告2018」 B5 2ぺ   K.H
 教師14年目の市原さんの「たのしい教師入門」講座,《光と虫めがね》体験講座,明星大学で教鞭をとる小原茂巳さんの「これであなたもハッピー教師」などに参加してきたそうです。小原さんの
学びに値することを提供するのが仮説
新しいことをやり始める時は自分とのたたかいである

という言葉,身に染み入ります,さらに,こんなこともおっしゃっていたそうです。
仮説の討論の時,教師が一番大切にすることは「しゃべりやすい雰囲気」「気楽な雰囲気」「友達が意見を言いやすい雰囲気」「間違ったことを言っても許される雰囲気」をつくること。
 この雰囲気,うちの学級にも出てきましたよ~。授業していて討論が延々と続く。笑いあり,必死の説得あり,分からん!と言う声あり…。教科書授業とは次元の違う世界が,そこにはあります。

3 「夏から秋にかけての雑感集」 B5 8ぺ   M.S
 全国大会で手に入れた2本の資料の話から。
 「石はできるだけ遠くに投げる~久しぶりに管理職ともめた日々の記録」という怪しげなレポート。もう1本が「湾岸山days」。2本とも,今の教育界を席巻する「スタンダード」から堂々とはずれて実践しようとしたからこそ生まれてきたイザコザについて書かれていました。このスタンダードがあまり意味がないことは,今の現状を見れば分かります。スタンダードがなかった頃に比べて,先生の授業が上手くなったとか,子どもたちが授業を好きになったとか,自分から進んで勉強する子が増えたなどという成果は,研究校以外,聞いたことがありません(「研究」校は必ず「上手くいった」ということになります。なぜなら,本物の研究じゃないから)。
 二つのレポートの感想を読んでいると,こういう状態は,仮説実験授業をやっているから起きたように思えますが,そうではありません。たとえば,私の本棚にある,かもがわ出版(以前は国土社)から出ている古くからの教育月刊誌『教育』の最近の「特集テーマ」をみてみると,
○「学校スタンダードと無寛容」(2018年9月号)
○「学校スタンダードが変えるもの」(2016年5月号)
○「同調圧力と学校の自由」(2014年9月号)
というのがあります。ここには「他の教師との同一歩調」ということをうるさく言いすぎる現場の息苦しさが指摘されています。そして,はみ出しを許さない非教育的な態度が,教師のやる気を削いでいることも明らかになっています。それこそ自分自身の頭で考え,主体的に教育活動に関わろうとするホンモノの教師は,今の現場では「指導力不足教員」などというレッテルを貼られる危険性があるのです。
 だからこそ,本当に好きなことをやるためには,管理職と正面衝突するのは得策ではありません。管理職にも管理職としてのプライドがあります。そのプライドを守ってあげつつ,子どもたちの方に寄り添った教育をしていく方法…そんなことを広めていきたいと思います。もしかしたら,これからの大切な研究テーマになるかもしれません。私のやり方も,まとめてみるかな。
 平和について考えた夏。紹介してくれたのはジョナ・ウィンター文/さくたゆみこ訳『この計画はひみつです』(すずき出版,2018)3枚組DVD『SHOAH~虐殺の証言』です。原爆投下とユダヤ人虐殺という第2次世界大戦がもたらした人類史上未曾有の悲劇について考えさせられる内容でした。このような非人間的なことができてしまう人間も,きっと,家に帰ると道徳的に優秀なお父さんだったんだと思うと,国から降りてくることにただただ従うだけの教育の怖さを改めて感じます。今,現場はそうなりかけているから…。組合をもっと強くしないとバランスが取れません。
 最後は,学校に来ていた大学生ボランティアについて。何か間違っています。

4 「New Moon」 B5  2ぺ      T.N
 初めて参加した仮説実験授業研究会の全国大会参加記です。宿泊場所も決めずに出発する辺り,さすがNさんの行動力です。わたしにはできません(^^;;
 マッキーノの牧野さんに会って,自分が作成した資料を渡したそうです。そのとき,プログラムの話もしたようです。また,ナイターにも積極的に参加して,文章を書いている人たち(論文を発表している人たち)にもたくさん出会えたようです。人見知りしない人は,すぐ,全国にいっぱい研究仲間が増えますよ。
 Nさんは,他にも,栃木に帰省した時に「たのしい授業体験講座IN宇都宮」に参加したり,私といっしょにKITの講座を担当したりして,おそらく,今までで感じたことのない夏休みを過ごしたことと思います。積極的に学ぼうと思えば学ぶ場はあり,そういうことから得たものこそ,自分の血となり肉となって,最終的には子どもたちの学ぶ意欲に繋がっていきます。
 今の現場だけを見ていると,閉塞感ばかりになってしまいますが,全国の仲間とのつながり,優れた教材の存在を知るだけで,とても明るく過ごすことができますよね。

5 「ブログ的気楽レポ2018年9月号」 A5 6ぺ    M.O
 9月のサークルの前々日に起きた北海道地震(北海道胆振東部地震 )の被害状況を見て,なにか,力が抜けたんです。地震当日のニュース映像を見て,なぜ自分の力が抜けたのか?を考えて,まとめてみました。それは,山崩れと地質や震度との関係や,震源からずいぶん遠くの内陸で大規模な液状化現象が起きたこと…などです。さらに,全道停電という事態。もし泊原発が動いていたらよかったのか,よくなかったのか?さらに,これまでに知られていた活断層が動いた地震ではないという説明…など,気になること満載でした。まだまだ,勉強しないといけないことがいっぱいあります。
 2つ目の話題は,全国大会です。今回は,体育と道徳(峯岸さんを追って),授業書案検討会(〈空気と気圧〉〈太陽と地球〉の2本)について,じっくりと学んできました。全国大会と言えば,以前は石川のメンバーで「加能屋」という売り場も設け,期間中の半分くらいはその売り場にいたりしていたのですが,ここ数年は,分科会にしっかり出て,学ぼうとしている自分がいます。
 あとは,KITサマーサイエンススクールの話。《光と虫めがね》の講座は,天気さえ良ければ,8時間分の内容はだいたい確定してきた感じです。今後,もし変更するなら,カメラの内容には深入りせずに(というのも,最近はデジタルカメラになっちゃったから),望遠鏡に話を進めることができれば,また,違った展開があるかも知れません。その時には,簡易望遠鏡も作ると、子どもたち喜ぶかも。

 他には,12月の講座案内(案),中村文ちゃんのマンガ,峯岸さんの体育のレポート(いずれも紹介はO)などが,ありました。
 さて,前書きにも書きましたが,12月の講座に向けて呼びかけて下さい。ものづくりも募集中です。3種類くらいのコーナーを考えています。10分間くらいで作れるもので,自分が担当できるものづくりを考えてください。

コメント

  1. 懐かしい。たのしく刺激的だったあの夏を思い出します。また、ぜひ、いつか。

  2. コロナが空けて、また、自由に飛び回りたいですね。

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