珠洲たの通信・2017年12月号

 新年 あけましておめでとうございます。本年も,よろしくお願いします。息苦しい今の学校現場に風穴を開けるべく,子どもたちにたのしい話題を提供していけるように交流できればいいですね。ま,何よりも,自分たちが楽しくなるようなサークルを目指していきたいと思います。
 さて,今年も半月が過ぎました。早いものです。今年に入り,元教え子のA子(金沢で教師をしている)からメールが来ました。「『つるかめ算~楽しい文章題への道』を持っていますか。持っていたら貸して欲しいです。仮説社に連絡したら,在庫はないと言われたので…。どんな内容か見てみたいです」ということでした。『つるかめ算』(1983年発行)は,故新居信正先生が作った同名の授業書が収録された単行本です。子どもたちが苦手な文章題=鶴亀算を真正面から取りあげて,小学生でも楽しめるような授業書にしたものです。彼女がこの授業書の存在を知っていて,その内容に興味を持っているということがうれしいです。教科書にも出ていないことについて興味を持ち,自分から調べてみたい…これこそ〈自ら学ぶ教師の姿〉です。
 せっかく話題にしたので,『つるかめ算』第6章「授業運営法に関する覚え書」から,一段落だけ引用します。
 はっきりした教育目的があれば,それを教える「もっとも適切な方法」というのが必ずあるはずである。もしそれを否定するならば,それは「人間の認識のしかた(ノーミソの活動)に法則性などはない」ことを認めることになり,そもそも「教育の研究」などということがまったく成り立たなくなるのである。教育研究というのは,そのような法則性の存在を前提としており,いいかえれば,その法則の認識が可能であるものだけが研究対象となりうるのである。(前掲書112ペ)
 私たちが,学校研究でやっていることは,本当に「法則の認識が可能なこと」なのでしょうか。「今,ここでしか通用しない」ようなことは,そもそも研究するに値しない(研究する対象ではない)ことなのですが…。

■12月の例会の参加者(6名)
 K.H  M.S   M.O   T.N   M.K  S.H

資料の紹介

1 「充実した12月」 B5 4ぺ   M.S
 まず,桑田佳祐さんの「しゃアない節」という曲の歌詞を紹介してくれました。桑田さんのファンの人は知っていて当たり前なのかな。私は初めて聞きました。桑田さんは,この歌をシングルライブツアーのオープニングで歌っているそうです。
 Ah しゃアない…嗚呼 人生のブルース 「しゃアない節」よ 
 嗚呼 「平和」の意味が違って見える 
 そして愚かなボスがこう言う… 
 “さあ!!若者よ人を撃て!!

 世相を反映しているようで,桑田さんのメッセージが伝わってきます。
 「恐るべしオオトカゲ」は,図工で作ったオオトカゲの話題です。このオオトカゲは新聞紙で簡単に作れます。5人のお子さんたちは,このトカゲに大喜び。「飼い主がペットを猫かわいがりする状態になってしま」ったそうです。色画用紙でちょっとだけ飾り付けをしたりするのも楽しそうです。いろいろ自分のペットとして改良できるのがいいんでしょうね。もちろん,一匹一匹にはちゃんと名前も付いています。
 「足算 楽しすぎ!」 足算とは,《足はなんぼん》という授業書をやったあとで,その習得を兼ねて遊べるカードゲームです。研究会内では数年前から知られていましたが,最近,ちゃんとした製品になりました。3年生の子どもたちは,「足算おもしろすぎ! これ欲しい」と訴えているそうです。たった二人でやっているので「先生も混ぜて」と要求したところ拒否されたそうです。そのわけは「順番が回ってくるのが遅くなるから」だって…。あと「日本の都道府県」の紹介もありました。これも子どもたちに受けているようです。
 4月から,いろいろあった4年生の子どもたちですが,「とにかくいいものはいい。あの3人が,そのモノサシのような気がする」とSさん。いいモノサシです。

2 「いろいろと…」 A4 3ぺ  M.K
 楽しく学ぶことを追求しているNPO法人「楽(らく)知(ち)ん研究所」にゾッコンのKさん。その楽知んさんについて,いくつかまとめたレポートです。
 まずは,自分の誕生日に来た楽知んさんからのメールの紹介がありました。
 シェークスピアの「マクベス」に出てくる台詞を引用したその内容は,それだけで,立派な研究物語となっています。さすが楽知んさんです。メールには,興味深い言葉が引用してありましたので,ここでも孫引きさせてもらいます。1955年に書かれた文章からです。
 科学の理論をいっぱんの大衆にひろめることが 啓蒙といわれています。けれども啓蒙するものに科学を学ぶ態度が保有されていないと 啓蒙は布教とかわらないものになります。
 ある未解決の問題がまずなければなりません。その問題を解決するために おおぜいのなかまがひつようになり そのなかまに問題の意味を説明し そのなかまもやがていっしょに手をつないで その問題の解決にむかっていっしょに歩きはじめる。問題の解決の準備のために いままでわかっている理論を ひとつの道具として使う。そういうことが啓蒙だと思うのです。(松田道雄「常識の生態」『少年少女科学名著全集7』国土社より)

 そして,再度,マクベスの言葉で締めくくっています-「明けない夜はありません」
 この閉塞的な環境でも,やっていくしかないですものね。
 いつか夜は明けます。
 それを信じて…。
 そういうわけで,楽知んさんからた~くさんのことを学びたいKさんですが,当然ながら,学校現場では彼の興味・関心とはまったく関係なく「研究」という名の強制就労や学校行事がどんどんとやってきます。そこで,仕方なく,そういう現場の合間を縫って学ぶしかない…それが現状です。
 でも,本当に自分のやりたいことがあると,現場にある〈やらなけらばならないこと〉を早々に終わらせようとして,いろいろと工夫したりするんですよね。そして,結果として,必要に迫られると,自分の時間なんてけっこう作れることにも気づきます。本当にやりたいことを作ることで,逆に時間的に余裕が出来る。こういう良循環がいいです。

3 「アイくん日記」       B5 2ぺ      K.H
 5か月ぶりの「アイくん日記」です。
 レポートにあった最後の言葉を紹介しておきましょう。どんなときにも,教師って「やりたいことをやりたいのだ」って思います。
 数学を教える喜びを再び感じたい!というのがボクの原点になっています。アイくんは時々憎たらしいこともあるけど,毎日気持ちをリセットして愛情をもって支援していくかな!
 時々,子どもが憎たらしく見えるのは,その子どものせいではありません。子どもは一人で大きくなったわけではありませんからね。教師は専門家だから,そういうことはわかっているつもりだけど,やはり,憎たらしいと思うこともある。教師だって人間ですからね。でも,その憎たらしさを受けとめていく(これは教師が変わるということ)と,子どもも変わっていくと思います。子どもだけを変えようなんてことは,できないのですから。

4 「ブログ的気楽レポ2017年12月号」 A5 8ぺ    M.O
 今月は「刺激を受けて,広がる世界」と題して,まとめてみました。
 『教師のための教育相談』という単行本の中一夫さんの文章に紹介されていた河合隼雄著『縦糸横糸』を読んで思ったことをまとめてみました。生徒指導を考える際に大切なことがたくさん書かれているなあって思って読んでいました。
 三浦綾子著『石ころのうた』は,これまた中さんが12月の講座で紹介されていた本です。作家の三浦綾子さんの自叙伝の一部です。三浦さんが,戦前~戦中と小学校の教員だったということを初めて知りました。国内の社会問題になにも疑問も持たずに,ただ日々の授業をこなしていくことだけを一生懸命考えていた自分を,終戦を迎えた彼女は痛烈に自己批判しています。これは,今の学校現場にもあてはまるようで,私は怖いです。
 もう一つの話題は「珠洲たのサークル」の歴史について…です。これもまた,12月の会に参加したことをキッカケに,まとめてみた文章です。
 こんな風に,「自分はいろんな人からの影響を受けて,自分の世界を広げているよな」って思います。それは私だけではなく,みんな,そうなんだと思います。だからこそ,まわりに自分を刺激してくれる人がいること,それが,自分をひとまわりもふたまわりも大きくしてくれ,楽しさをもたらしてくれるのではないか…そう思います。

5 「大人の道徳プラン…旅の思い出」 A5 5ぺ         T.N
 あえて,忘年会の席で,お酒を飲みながらこのプランを体験しました。それは「大人の道徳プラン」だからです。アヤシイですねこの響き(^0^) Sさんの若き日の行動を予想しながら読んでいくプランです。とっても盛り上がりました。何せ本人が前にいるんですから,リアルな解説付き,質問もOKですからね。
 いやー,人間って,信じてよいのかいけないのか分かんなくなります。この体験は,ちょっと子どもには言えないな。

6 「単位のマメ知識」 A5 6ぺ          M.O
 久しぶりに,6年生「単位のまとめ」のための資料を調べていたら,急に思い立ってまとめてみたものです。今使っている単位を漢字で表すとどんな風になるのか。中国ではどのように表しているのか。それを調べて,授業プラン風にしてみました。
 サークルでもやってみましたが,なかなか面白かったです。その場で「新事実」も見つかったりして,もう少ししっかりまとめてみたいものです。中国人にも実際に聞いてみたいです。しばらく棚をつって,待ちます。

 他にも,とっても小さなパソコン(紹介:S)「今日の授業で取りあげたことを科学的な視点で見ると」(O)などもありました。
 忘年会では,それこそ,いろんな話題が出て,盛り上がりました。今年は,サークル30年。何かやりたいな。

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