珠洲たの通信・2005年6月号

2005年度

 今回の通信は,結構早い時期に書いたのですが,やはり皆さんにお届けするのが遅くなってしました。
 そろそろ学期末で,あわただしいことと思います。私の方は,どうも切りが悪くて,どの単元も中途半端に終わりそう。級外なので時間が自由にできなくて,しかも,いろいろな学期末の行事のせいで時間がなくなることも見えていなかったのが原因です。深く反省。

■6月の例会の参加者
M.S(NYSB4年)   H.H(S市S小6年)   M.T(N町U小4年)  T.M(N町M小34年)    M.O(S市S小級外)  初参加:R.H(N町Y小2年)

資料の紹介

1.『みどりい~ボールの謎』 B5  4ぺ    M.S
 取得している言葉の数が少ないマサキくんの成長ぶりに驚きながら,様々なことを感じさせてくれました。
 何でも自分のものにしようとするマサキくんに「○○の××」と云う言葉を繰り返し教えながら,ものの所有と云うことについて少しでも分かってくれないだろうかと奮闘してみたり,時計を教えるにも,長い・短いという言葉がマサキくんの中になくて,こまったり。ものの名前(名詞)や行動(動詞)ならいざ知らず,形容詞を教えるのはなんて難しいんだろうと考えていたようです。
 マサキくんとのそんなやりとりの中で,ひっかかったのが「みどりい」という言葉です。
 子どもたちは,赤い,黒い,青い,みどりい,ピンクいと,色の最後に「い」とつけて呼ぶ子が多いですよね。で,これは,どうしてか。単なる云いやすさかなと思っていたのですが,…,新発見。
 実は,赤には「赤い」という形容詞,白には「白い」」という形容詞がありますが,緑には形容詞がないのです。もちろん,外来語のピンクやオレンジにもありません。そこで子どもたちは,「赤いボール」「青いボール」と同様「みどりいボール」と呼ぶしかない。正しい日本語では「緑のボール」と「の」をつけないといけないので,一貫性がないわけです。なるほど…って思いました。

2.「分けられた世界で思うこと」 B5  4ぺ   M.S
 今後,マサキくんが言葉をたくさん獲得するのは,担任との1対1の中だけではなく,多くの子どもたちの中でこそ効果があるのではないか-そんな疑問から,分けられた世界としての養護学校というものについて考えてみた-というレポートです。
「本校からの彼を知っている職員は,マサキがうんと変わったと言います」とSさんが述べていますが,これは大変大きなことです。もしかして本校しかなかったら,そういう変化がなかったか,あったとしても遅々たるものでしかなかったのではないかと想像されるからです。
 毎日,学校の多くの場面で「?」がつくという感覚を大切にしながら,地域にできた分校として,一人ひとりの子にとって何が必要で,今,何ができるのか,どんな働きかけが可能なのか,試行錯誤で追及していって欲しいなと思います。分校だからできることってたくさんあると思います。

3.「5月23日のできごと」 B5  2ぺ   M.S
 マサキくんとの一こまです。大切な授業用おもちゃ=ピンポンブーを壊してしまったマサキくん。その後の行動と担任の対応について,いろいろと話が出ました。
 マサキくんとSさんとの関係は,決して特殊じゃないのではないか。たくさんの子どもを担任している普通学級のわれわれも,学ぶべき対応の仕方があるのではないか。言葉で通じないとき,いろいろ予想を立ててやってみるしかないだろうし,そこからしか関係はつくれないのではないか。などなど,面白い話題提供となりました。

4.「はじめての仮説実験授業」 B5  3ぺ  M.O
 3年生と行った《空気と水》の感想文を持ってきました。3年生が圧倒的に支持したのは「スポイト競争」です。やはりこういうものが生活科との流れの中で大切なんだなと思いました。また,その一方で,討論の楽しさや予想変更して間違ったときの悔しさ,あったときのうれしさ,さらに,実験の時のドキドキする気持ちなども書いてくれました。
 何年生にやっても必ず成功する仮説実験授業は,本当に授業科学なんだなあと改めて思いました。

5.「第3・4学年 道徳指導案」 A4  3ぺ   T.M
 6月30日に公開する道徳授業用の指導案を持ってきました。内容は「不撓不屈・努力」。中学年には難しい価値項目です。
 高橋尚子を取り上げた資料を元に,子どもたちに「夢を持つこと,そのために諦めないで努力すること」の意欲を育てたいというねらいです。
 ここでは,Hさんが,次のような視点を出してくれました(Oの視点で捉え直しをしてあります)。珍しくメモをしたのでここにあげておきます。
レベル1 目標や夢を持っていると,いいことがあるよ。たのしいよ。
レベル2 目標がかなう前に挫折するかもよ。目標を叶えるって難しいよ。どんな選手だって,そういう思いの中で,くじけずに頑張ってきたんだよ。
レベル3 頑張るときには,自分一人じゃ苦しいよ。周りを見てご覧,応援してくれる人がたくさんいるよ。それは生きている人でなくてもいいよ。天国から応援しているよ。伝統が応援してくれるよ。
レベル4 自分の満足感が一番だよ。人から見て「小さいこと」とか関係ないよ。自分の人生は自分で評価するんだよ。
 今回の授業は,資料がレベル3から4を示唆しているのに,子どもには1か2を振り返らせることになります。このあたりのギャップを如何に埋めるか。あるいは埋めないで,どう攻めるかが,授業の組み立ての悩む部分でしょう。
 どんな授業になるのか楽しみなので,見てきました。
 授業は,最初からMさんらしい,やさしい雰囲気でした。学級の雰囲気もよくて,自分の目標と努力していることを語る場面では,とってもいい感じでした。詳しくは次回のサークルで聞いてみてください。

6.「やっぱり授業がすべてかな」  B5  2ぺ   M.O
 級外になって,どんな気分で1年間過ごせばいいのか。そこをまとめていたらタイトルのような結論になりました。ま,そうですね。これしかないですよね。
 日常の雑務に追い回されて,いろいろとみんなのためにはたらくのもいいけど,やっぱり教材研究はちゃんとやりたいです。そして準備もして授業に臨まないと,子どもたちがかわいそうですよね。それに何より,ボクがかわいそうですよね。
 教務主任は学校全体を見て…なんて言葉に乗せられないように,「先生がいないと寂しい」って言ってもらえる級外になりたいものです。

7.「6年学級通信」 B5  16ぺ   H.H
 今年,異動があったHさん。学校の職員構成の関係で,異動してすぐに6年生の担任になってしまいました。昨年からいるボクは申し訳ない気持ちでいっぱいですが,まあ,それも子どもたちにはプラスに働くしかないと思っていますので,子ども中心主義のボクは喜んでいるのですが…。
 さて,このクラスは,以前から続いている様々な問題を抱えています。それを一つ一つ解きほぐし,子どもたちに本音を語らせ,ある時はきつくしかり,あるときには聞き役に回り,それでも一歩一歩成長する子どもを信じて対応しているHさんの姿を見るとき,とても感心してしまいます。
 一般に「学級経営」とはいうけど,Hさんの場合には,「授業という核」をしっかりしたいという強い思いが反映しています。いい加減な授業をしておいて,学級経営もいじめ撲滅もあったものではありません。
 机を並べているボクは,Hさんに刺激を受けながら,日々の授業を進めています。ほんと,これだけやるやつはなかなかいない。
 自分の思いを子どもにしっかり出しながらも,子どもにあわせてすすめていく。その姿勢さえあれば,感動的な3月を迎えるに違いないと楽観主義のボクは思うのであります。

8.「あなたなら どうする?」 B5  7ぺ    M.S
 インターネットで注文したのに,あちらが指定した期日に商品が届かない。さて,あなたならどうする?
 くもん出版との間で実際にあったできごとを,メールのやりとりを順番に予想しながら読んでいくことで楽しめるレポートでした。いやー,現実は面白い。
 会社としての対応,それに対するこちらの気持ちの表明。さらに,それに対応する会社のやり方。その一つ一つが「マニュアル」という言葉でくくれそうで残念でした。メールには,「くもん出版の××です」と個人名があるのですが,どうもメールからは血が通っていないような…。さらに追及したがっているSさんは,この後どうするのでしょうか。さあ,みんなで予想しましょう。

9.『今月の本棚2005年6月号』 B5  4ぺ  M.O
 今月は,盛りだくさん。ベストセラーから古書(昭和5年発行)まで,様々な本を読みました。どれもそれなりにおもしろかったです。興味のあるものを手に取ってみてください。
○恩田陸著『夜のピクニック』(新潮社,2004,342ぺ,1600円)
○能登ラブ・レジェンド実行委員会編集『1000の星 1000の愛』(知玄社,2005,112ぺ,1600円)
○梶田叡一著『学びと育ちのフィールド』(金子書房,1994,261ぺ,1800円)
○桜井邦朋著『福沢諭吉の「科學のススメ」』(祥伝社,2005,224ぺ,960円)
○山田真哉著『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社新書,2005,216ぺ,700円)
○渡邊香春子著『調理以前の料理の常識』(講談社,2004,191ぺ,1400円)
○松本猛著『ぼくが安曇野ちひろ美術館をつくったわけ』(講談社,2002,172ぺ,1500円)
○毛利子来・母里啓子編集代表『予防接種へ行く前に』(ジャパンマシニスト,2004,140ぺ,1100円)
○正木不如丘著『身體と食物』(アルス,昭和3年,241ぺ,古本)
○金田一京助他著『日本童話集・下』(アルス,昭和4年,240ぺ,古本)
 レポートにも書きましたが,お薦めは『夜のピクニック』です。梅雨の夜長にどうぞ(秋より夜は長いのです)。

 このほかに,ジャンボシャボン玉セット(今月のタイトル写真:S),新聞記事「小学校発ブログ増加」(O),「さくらふるーる」のHPやブログの紹介(T)がありました。
 ジャンボシャボン玉の入手方法については,Sさんに聞いてください。

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