2008年11月20日
尾形正宏
時間がかかる「寒天地層」の準備
なんと言っても,この授業の欠点は,準備に時間がかかることです。
まず,500mlのビーカーで色つきの寒天汁を4色作らなければなりません。
しかも,これでできる「寒天地層」はケースたったの4つ分です。
今回の6年1組の班は6班あるので,あと二つ足りません。そこで,もう少し色寒天が必要になるので,時間が余計にかかりました。
結局,日曜日に理科室へ行き,1時間30分くらいかけて作りました。授業をするのは火曜日です。
後片づけも含めて…です。
このときは,
4リットルのやかんに水を入れ,ガスコンロ(職員室)でわかした後,理科室へ行き,電熱器を2個用意してビーカーに小分けしながら色をつけてケースに流し込むという方法
をとりました。
何度か準備をすると,もっと効率的にできるようになると思います。
ただし,作りためておいた寒天は,固まりすぎており,火曜日の段階で,ケースと寒天との間付近にひび割れ(地割れ)ができていました。1週間置いておいたものはさらにひび割れが大きくなっていました。
せめて前日くらいに準備できればいいのかなと思います。もちろんできるなら,子どもたちと一緒に地層づくりからやってみれば,より楽しいものになる気がします(やけどをしないように…)。
後日,このひび割れのことについては,「フタをして冷蔵庫に入れておく」などの対策をとれば,さして問題ではないと教えてもらいました。
実際の授業
私は今年6年生の理科を担当していないので,1時間だけ飛び入りで授業をさせてもらいました。
子どもたちは,このときまでに,教科書に沿った地層の学習を終えています。
授業は,以下のように進めました。
【導入】
[質問1]
「宇出津町のボーリング試料」の写真を見せて,なんだと思うかを聞く。
・何かの石の標本。
・掘り出した土。
[説明1]
これは,あばれ祭りの時に御輿を投げ込む川・梶川(宇出津地区の川)の両岸をボーリングしたものです。能登町のコウシンコウギョウさんから資料をいただきました。(教科書を開き,ボーリングの様子を見る)
実は,何カ所か,こういう風にボーリングをすると,地面の下の様子が分かる宇出津地区のボーリング箇所かります。宇出津地区では,この会社だけでも(右下プリントを見せて)こんなにたくさんの地点をボーリングしていて,それらから,地面の下の地層の様子を予想することができます。
【作業】
[説明2]
今から,寒天地層で疑似体験をしてもらいます。
そして,作業のやり方を説明しました。
だいたいここまでで,15分かかりました。作業のやり方の説明が8分くらいかかって,それでも実際にはまだまだ説明が足りない感じでした。
このあと,作業に入ってもらったのですが,後片づけまで考えるともう少しじっくりと「ボーリングのまとめ」をやらせてあげたかったです。
このときの理科の授業は2時間続きだったので,感想や後片づけは担当の先生にお願いして次の時間にやってもらいました。だから,実質は,レポートを書いて片付けまで入れると,1時間半ほどかかったことになります。
子どもたちの感想
○とちゅうまであっていたけど最後ぬけた。さすときにぷすといっておもしろかった。予想では,「みどり色と黄色が途中でなくなる」だったけど,実際にはみどりも黄色もあった。(男子)
○今までの授業とは,ちょっと違うような気がしました。寒天地層のボーリング体験はすごく不思議な感じがしました。とても分かりやすくて,なるほど!と納得する興味を持たせるような授業でした。寒天の感触がプニプニして気持ち悪かったです。(男子)
○私は初めてこの実験をしました。失敗したかと思ったけど成功でした。ほそいものでさしたけど,次はもっと太いものでさしてみたいと思いました。(女子)
○また機会があればやりたいです。寒天を切ったのがおもしろかったです。黄色のところがとれてうれしかったです。(男子)
○切るのがおもしろかった。もう1回やりたいです。地層はこんなふうになっていたんだなあと思いました。予想とはずれて残念でした。(男子)
○この授業はすごくおもしろいなと思いました。またこんなおもしろい授業をしたいなあと思いました。予想が合っていたのでよかったです(女子)
反省と今後の改善点
(1)PowerPointを準備してテンポよく進めることで,導入を5分,説明を5分,作業を25分,まとめ・後片づけを10分取る
今回の授業では横着をしてA3のプリントを子どもたちの机の間を回りながら見せていましたが,やはり時間がかかります。提示資料を,OHPやプロジェクターで拡大してみせることで,2分くらいは導入の時間を縮められそうです。
(2)本物ボーリング試料を準備する(持っていたのに見せるのを忘れた)
ほんものの試料を準備してやることで,ボーリングというもののイメージがわくと思います。
近くの会社で余分なコアを分けてもらうとよいでしょう。
(3)作業の説明を分かりやすくするために,PowerPointを利用して写真入りで見せる
作業の仕方が,なかなか徹底しませんでした(今回は,もう一人教師がいたのでスムーズに行ったが…)。
特に毛細管を最上部の地層に合わせて並べ,その毛細管の上の方をセロテープで貼るという部分では,2つの班が毛細管の下の部分をセロテープで貼ってしまい,色鉛筆で書けないというアクシデントもありました。
また試料の下の部分がうまく上がってこないこともあり,地面の位置を合わせて毛細管を並べるのですが,それがちょっとむずかしそうでした。どうしても下の方に合わせてしまうのです。
これについては,
「プリントのわくの下の部分を書かないで,地表面の直線を書いてあげればいいのではないか」
という意見がゼミで出されました。なるほど,これなら子どもたちも合わせやすいですね。
(4)もっと太いストローなどでやってみたが…
何人かの子が,「もっと太い管の方がやりやすい」と感想にも書いていたので,小学生にはその方がいいかもと思い,直径4mm~5mmのストローでやってみました。しかし,何度もやってみたのですが,試料がうまくあがってきませんでした。直径が太いとうまくいかないようです。
たぶん,ストローの直径が大きくなると,その分,ストローの内面と中の寒天と触れあっている面積が大きくなり(2乗に比例)当然摩擦力も増えるのですが,ストローの中に入る寒天の<かさ>は3乗に比例するので,結局,太ければ太いほど,寒天は抜けにくくなってくるみたいです。
この部分については授業の後で,いろいろとネットや資料で調べてみました(後ほど公開します)。
それによると,ストローでやるときには,引き上げるときに吸いならがやるとか,一番下に寒天ではない別の層を作っておくとかの方法がある-らしいです。まだ追実験はやっていませんので,その真偽のほどは分かりません。
(5)指で押さえる大切さをうまく説明できた
毛細管を抜くときに「上の口を指で押さえて抜けあげないと中身が落ちてしまうことがあります」という説明の時に,いい説明を思いつきました。それは,「色水の入ったビーカーにガラス管を入れて,そのガラス管を持ち上げてみる」ということを実際に見せたことです。これにより「指でちゃんと押さえないと寒天はうまくあがってこない」ということが印象的に理解でき,中身の落ちた子はほとんどいませんでした。
(6)予想図・スケッチ図を誰に書いてもらうか
今回の授業で最後まで迷ったのが「実験の予想図や結果のスケッチ図を,班で書かせるのか,個人個人で書かせるのか」でした。
結局,その両方のプリントをやったのですが,これでは時間がかかります。でもやはり,子どもたちのことを考えると一人一人に書かせるのがいいと思います。そのプリントに工夫が必要です。
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