2008年9月18日
ゼミ担当教授:酒寄淳史
報告:尾形正宏
はじめに
連携ゼミの初日,教授の皆さんが,この1年間どんな内容のゼミをやっていくのかを簡単に紹介してくれました。もちろん,私はどの先生とも初対面です。
そのとき,私が「子どもたちがボーリングの模擬資料を基にデーターを入れると3次元にしてくれるようなフリーソフトやエクセルのプログラムなどはありませんか?」とお聞きしたのが酒寄先生でした。
昨年,地層~地震の学習をするために,いろいろと資料を集めた結果,「そういうものがあれば,子どもたちに地下の様子がよく分かるのになあ」と思っていたからです。
今回は,そんなソフトよりも,より簡単にしかも子どもたちの視覚に訴える教材を教えていただきました。3次元とはいきませんが,小学生にでもできる方法でした。
それでは紹介します。
寒天を使った地層のボーリング教材
用意するもの(詳しくは下の作り方を見てください)
ビーカー,粉寒天(棒状のものでも可),ポスターカラー4色
ケース(不透明なもの,9㎝×12㎝×4㎝のステンレスの容器)
タッパ(ケースを冷やすために冷水を入れるもの)
毛細管(外径約1.6mm,内径約1mm,長さ約77mm)または細いストロー
へら,下敷き,グラフ用紙,色鉛筆
寒天地層の準備
色つき寒天汁を作る
ビーカーに水を入れ,少し沸騰させて粉寒天を完全に溶かしたあと、ポスターカラーで色をつける(こういうものを4色作る)。ポスターカラーの色は少し濃い気味にした方があとの観察がしやすい。弱火にしておく。寒天が固まらないように注意。
今回は,4つの班に分かれて,それぞれ約500mlずつ赤・黄・緑・青の寒天汁を作り,それを他の班に分けてあげることにした。上記のケースを使うと,ちょうど4つ分の地層ができる量だった。
色つき寒天を重ねて地層を作る
「9㎝×12㎝×4㎝」くらいのステンレスのケースに色つき寒天を順番に重ねて入れていく。
寒天は指で押して少し固まった程度(膜が張っている程度)になったら次の寒天を丁寧に注ぎ込むとよい。
寒天汁を容器に注ぐ時,少し傾きをつけると「傾いた地層」ができて,おもしろい(小石などを置いて傾けるといいだろう)。ただしあまり複雑すぎるとよくない。これを4色繰り返す。
寒天が冷えやすいように,水冷するためのプラスチックの入れ物もあるとよい。
一番上の層が固まったら,寒天の上に東西南北が分かるような印を油性ペンでつけておく。
これで地層模型のできあがり。
ここまでが一番時間がかかる。学校では,教師が準備しておくとよいだろう。その方が,どんな地層になっているのか分からないというドキドキ感もある。
寒天地層のボーリングと地層断面図の作成
ボーリングの位置決め
断面図を描くために,ボーリングが一列に並ぶように計画を立てる。東西か南北の方向に一定間隔でボーリングをするとよいだろう。
本当のボーリングでも,一直線にしたいのだが,建物が建っていたりして実際は直線から少しずれてる場合もある。
ボーリングをする
毛細管(あるいは細いストロー)をケースの底までまっすぐに突き刺す。そして毛細管をゆっくり回転させる。
そして,毛細管の口を指でふさぎながら,ゆっくりと引き上げる。このとき,きれいに資料が抜けてこないことがある。しっかり指でふたをしないと資料が寒天内に残ってしまうのだ。
地層断面図の作成
グラフ用紙に,ケースと同じ横幅と高さの図を書いておく。
そのグラフ用紙に,とりだした毛細管を並べる。このとき,ボーリングをしたときの間隔で並べることをしっかり話しておく。
また,地層の下の方の寒天がうまく付いてこないことがある。それでは資料がそろわないことになる。そのときには,一番上(地上になる)を併せるとよいだろう。
その資料の様子を見て,資料間の地層の様子を想像し,色鉛筆で塗り分ける(右下の写真)。
断面図には,断面線の向き(寒天地層模型に記した方角)を記入する。
地層の確認
次に,寒天地層をケースからとりだす。
ケースのまわりをへらでぐるりと一周し,ケース壁面と寒天をはがす。
サランラップを上に置き,ひっくりかえして寒天を外に出す。
それをまたひっくり返して,もとの天地にもどす。
そして,ボーリングの直線に沿って,寒天地層を切り分ける。
これがドキドキの瞬間!!
後片付け
のこった寒天は,水道に流さないように…。排水溝が詰まることがあります。
固めて生ゴミにして捨てるだけでOK。
あんまりきれいなので,食べたくなるけれども,食べてはいけません。
ゼミ生からは「食紅で作れば食べれるんじゃないか」という話も出ましたが(というか私が言ったんだけど),やはり,ここは,実験に使ったものは食べない方がいいです。ビーカーだって何だって新しいものじゃないといけないしね。
天文ソフト(日本語対応フリーソフト)
今回のゼミでは,最後に,無料で手に入り,しかもけっこう使い勝手のいい「天文ソフト」を紹介してもらいました。
まだ,全てをやってみたわけではありません。どれも一長一短があるようです。
以下は酒寄先生の解説文からの抜粋です。
天文ソフトStellarium
リアルなグラフィックスで星空を表示するプラネタリウムソフト。肉眼から望遠鏡による観察までを疑似体験できる。日本語フォントを追加することで,日本語表示に対応する。
Celstia
太陽系の惑星間航行から銀河系の外まで,宇宙旅行をシミュレートできるソフト。多くの追加ファイルが公開されており,さまざまな機能を拡張できる。
太陽系シミュレータースタジオ(Sssim Studio)
太陽系の天体現象をシミュレーションするソフト。宇宙空間からの視点と地上からの視点とを切り替えることができる。グラフィックは至ってシンプルだが,教材として有用な機能を持つ。
Mitaka
地上から宇宙の果てまで移動できる高性能なソフト。天文学の最新の研究成果に基づく宇宙の姿を,美しいグラフィックで描き出している。ただし,ソフトを軽快に動かすには,それなりのマシンスペックが必要である。Mitakaの機能をさらに向上させた派生版としてMitakaPlusが公開されている。
Celstia以外は使ってみましたが,ご指摘のとおりでした。
Mikataは,うちのパソコンではダメです。時々,待ってしまいますので…(^^ゞ
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