内浦から外浦へ:三崎地区~日置地区(狼煙町~折戸町~木ノ浦)

1 隣り合った場所なのに(三崎町雲津と小泊)
蛸島でお昼を頂いた後は,また珠洲市の海岸線を走ります。鉢ヶ崎海岸を過ぎると「三崎町雲津地区」へと向かいますが,この地区も,家屋の倒壊被害が大きかった地域です。しかし,雲津パーキングのY字路を過ぎ,小泊地区に入ると,倒壊した家はほとんどありません。これはどうしてなのか,地質の違いを調べてみたので,興味のある方は,「地震の被害と地質(雲津と小泊)」をご覧ください。
途中の「長手埼」というのは,珠洲市最東端の岬です。このあたりの地盤も少し隆起したようで,以前よりも灯台の周りに陸地が増えていました。写真はいずれも,2024年4月10日撮影。


今回の模擬tourには,原子力発電所に関係する場所もルートに入っています。
珠洲市には,以前,電力3社(関西,中部,北陸電力)による「珠洲原発建設計画」がありました。この計画は,珠洲市民の粘り強い反対運動によって2003年12月,凍結(事実上の白紙撤回)されました。[詳しくは,本サイトの「珠洲原発反対運動の歴史」をご覧ください。
令和6年能登半島地震は,活断層が連続して動いたこと,その結果として震度7という長い揺れと大きな土地の隆起をもたらしたことで,「もしあのまま珠洲市に原発が建設されていたとしたら…」という思いを持った人々が多くいたのも事実です。そこで,今回の模擬tourでも,原発に関連する場所も回っているわけです。
2 須須神社
寺家地区は,今回の地震で津波の被害が大きかった場所(最大5m)です。しかし,日頃の避難訓練の成果を発揮して,住民全員が高台に避難して無事だったことは,不幸中の幸いでした。高台に避難した住民が撮影した津波の映像を見るたびに,津波の恐怖を再確認します。
珠洲原発計画遺稿(境内にある,キリコ収納庫・トイレ)
須須神社の境内には,寺家地区で秋の祭礼に使うための大きなキリコ(奉燈)が入っているキリコ倉庫があります。このキリコ倉庫は,寺家地区に原発建設を計画していた中部電力の補助金で建てられました。ついでに,入り口にあるトイレにも「寄贈 平成六年十二月吉日 中部電力株式会社」という文字プレートが付いています。
右写真が地元でキリコと呼ばれる奉燈です。能登地方では,夏から秋のお祭りになると,各集落において,大小様々なキリコが担ぎ出されます。
中でも,この寺家地区のキリコは一番高いキリコです(隣のバスとくらべてみてください)。約16.5m,4t。こうなると,もう担ぐことはできないので,4輪のタイヤが付いています(^^;)



須須神社の建物など
須須神社の石造りの鳥居や灯籠は,2023年5月5日の地震でも大きな被害を受けました。そして,まだ復旧もしていない中,今回の地震でもさらに大きな被害を受けました。
拝殿の軒下には,何やら記念の竹が飾られていました。さだまさし…などどいう名前が…。



3 寺家地区(寺家漁港と珠洲原発建設予定地)
須須神社を出発し,しばらく進むと,右側に漁港が見えてきます。ここが寺家漁港です。
宝立地区からずっと海岸線の道路を走ってきましたが,ここまでは,おおむね右側に砂浜が広がっている海が見え隠れしていたはずです。このあたりを地元では「内浦(うちうら)」と呼んでいます。
寺家漁港を境に,道路は海より高いところを走ることが多くなります。

隆起した寺家漁港
寺家漁港へ行くと,堤防の海面が下がっているのに気がつきます。これまで海面の下だったところには貝が付いていた白い跡があります。これを見ると,30㎝くらいは隆起しているのではないかと思います。港の外側を見ても,今まで海の下だったところが海面に顔を出していました。


隆起した原発建設予定地
また,寺家漁港を過ぎて少し進み,海沿いへ降りていくと中部電力が計画していた珠洲原発建設予定地があります。そこにも寄ってみました。
なお,今回わたしが紹介している珠洲原発関連のルートは,下の新聞記事(元石川県議会議員・北野進さんの案内)も参考にしています。



4 日置地区(狼煙町:狼煙漁港と禄剛埼灯台)
三崎町寺家漁港を過ぎると,いつの間にか海岸が遠くなったように感じます。しばらく進むと日置地区(の狼煙町)に入ります。
道が大きく左にカーブする前に見えてくるのが,狼煙(のろし)漁港です。堤防の海水面のあとを見てみると,約1mくらいは隆起したことが分かります。このままでは,船に乗り降りするのも困難です。堤防の裏側にある海岸も陸地が増えていました。
この海岸付近はアサギマダラの飛来地なのですが,今後,アサギマダラを呼び寄せるスナビキソウの植生がどう変わるのか,その変化にも注目です。


左にカーブして30mほど進むと,大きな無料駐車場がありますので,ここで車を止めて周辺を見学しましょう。
ここは能登半島最先端・禄剛埼(ろっこうざき)です。急坂ですが,ぜひ,灯台のある台地へも登ってみましょう。
「燈台の下あたりをとりまいて,海面すれすれに,波食台が見られます。泥岩層のなかのとくにかたい部分が突出して,「洗濯板」のような縞目になっています」(絈野義夫編著『日曜の地学6 北陸の地質をめぐって』(築地書館,1979),144ぺ)
地震以来,この〈洗濯板ような部分〉がとても広くなっていることがわかります。
燈台から降りてきたら「道の駅のろし」や「いかねてて」(二三味コーヒーも飲める,犬の同伴可)などで休憩するのもいいですよ。




5 木ノ浦海岸
狼煙でしばらく休憩した後は,またまた海岸沿いの道を進み,右下の坂道から木ノ浦海岸へ降りてみましょう。
ここは,岩場が多い独特の海水浴場でもあったのですが,ごらんのように海底が隆起してしまい,とても泳げたものではありません。奥能登国際芸術祭の舞台ともなっている素敵な景色は,ちょっと様変わり。波打ち際がずいぶん離れてしました。



海岸から坂道を上がり本線に戻って少し進むと,峠のてっぺんに駐車場(ツバキ展望台)があります。sこに車を止めて,海の方を見てみてみると,隆起した白い部分がよく見えます。道をはさんで,つばき茶屋という地元の海女親子が経営している食堂もあります。能登の味が味わえます。お薦めです。犬の同伴可です。





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